月別アーカイブ: 2012年7月

大麻とは(タイマ) ヘンプとは(hemp)


大麻とは、の一種で 桑科の植物の靭皮部分(ジンピブブン 外皮のすぐ内側にある柔らかな部分)からとった繊維です。ヘンプ(hemp)とも呼ばれます。

強度があり 耐久性 耐水性に富みますが、漂白すると 弱くなり弾性に欠けるので 最近は衣料用には あまり使われなくなりました。麻ひも ロープ 鼻緒の芯 畳のたて糸とよこ糸などに使われてます。

戦前は繊維としての大麻の需要が大量にあり、栽培に手間がかからなかったので 沢山栽培されてました。ですが戦後は 綿やジュート(黄麻 コウマ) 化成品が代換品として 使われるようになり需要が激減し、国内では もうほとんど栽培されてません。

大麻の実は 栄養が抱負で、忍者が非常食として 使っていたそうで、現在でも七味唐辛子やペットの餌として 売られています。

(麻薬成分があるのは 葉と花穂のみで、茎(大麻繊維の原料)や 種にはないそうです。ですので 大麻の繊維や種を所持していても 罪になりませんが、許可無く栽培したり 葉と花穂を所持していると 逮捕されます。乾燥した葉や花穂が マリファナです。
当たり前ですが 大麻製の洋服を着ていたり、種を食べても 麻薬中毒になることは ありません)

昔は 大麻のことを「麻」と言っていたのですが、他の麻繊維が どんどん入ってくるようになると 区別するために「大麻」と呼ぶようになったらしいです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

テンセルとは(Tencel) リヨセルとは(Lyocell)


テンセルとは、レーヨンなどと同じように 木材パルプから作られますが、製法が違うので下記の様な特徴があります。
(当初イギリスのコートルズ社が生産していましたが、オーストリアのレンチング社が買収し
リヨセルを商標として販売しています。ですので 同じものです)

  • レーヨンよりも強度が強く 縮みにくい
  • レーヨンよりも製造する時の 環境負荷が低い
  • 布生地の表面が微起毛している

ただ 表面が毛羽立ち易い(フィブリル化 分子鎖の配列性が高いためらしいです)欠点があります。できるだけ摩擦は避け、洗濯は短時間でやられる事をお奨めいたします。

(レーヨンなどは パルプを誘導体を作って化学的に分解するために 同じセルロースでてきている綿よりも 強度が低下します。テンセルは精製するだけなので 上記のような特性があるそうです)

当初は 固くてごわごわした布生地しかできず、デニム・パンツやダンガリー・シャツなどが作られてましたが、あまり売れなかったようです。

その後日本では 大森企画と言う会社が、染加工時に 「もみ処理」や「たたき処理」(布生地表面を毛羽立せる、フィブリル化)、「バイオ加工」(微生物に繊維表面を食べさせて ポリエステルの減量加工にように 風合いを柔らかくした)などの加工を施して、絹のような柔らかい風合いドレープ性を付与しました。

その当時 大変爆発的に売れて 一世を風靡しましたが、その大森企画と言う会社も 今はありません。

ポリエステルとかキュプラ、レーヨンのような分類上は それらの分類には属さず
「指定外繊維」となります。 表示例: 指定外繊維(リヨセル) 100%

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ラミーとは(ramie) 苧麻とは(チョマ)


ラミーとは、日本古来の(カラムシ)や 海外ではイラクサ科の植物ラミー靭皮部分(ジンピブブン 外皮のすぐ内側にある柔らかな部分)から 作られた繊維です。苧麻(チョマ)とも呼ばれ、両者は植物学上では 別々ですが、性質が極めて似ているので 繊維業界では 同義語とされてます。

亜麻と共に 衣料用に使われ、の一種です。

亜麻(リネン)に比べて 一層ハリがあり 肌にべとづかず、麻絹(アサキヌ)と呼ばれるように上品な光沢があります。白度に優れ 夏用の衣類や ハンカチ テーブルクロス等に使われてます。(JRの特急などの 座席の頭の後ろの白いカバーは ラミー製のものもあるようです)

苧から作られた繊維は 日本では越後上布(エチゴジョウフ)が有名で、小千谷縮(オジヤチヂミ)と共に 重要無形文化財に指定されています。

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リネンとは(linen) 亜麻とは(アマ) リンネル(liniere 仏語)


リネンとは、アマ科に属する亜麻植物の靭皮部分(ジンピブブン 外皮のすぐ内側にある柔らかな部分)から 作られた繊維です。フランス語読みはリンネル また亜麻とも呼ばれます。の一種です。

コットン(綿)が広く普及する以前は、ヨーロッパではリネンが シーツやタオル 寝具 下着などに広く大量に使わた 非常にありふれた布生地でした。綿花は温かい地方の植物で ヨーロッパでは 栽培が困難だったせいもあります。

その名残で リネンと言う言葉が シーツや寝具等の用語などに残ったようです。私達が「麻」と言うと 一般に固いザラザラしたラミーramie 同じ麻類)のイメージが強いですが、リネンは それらよりは柔らかいです。

現在の主要途は、縫い糸 レース 服地 芯地 インテリア等です。

旧ソ連地域と ベルギー オランダ ポーラントで生産されますが、旧ソ連地域が70%以上の生産量を誇ってます。質がいいのは オランダ産 ベルギー産などで、オランダ産のクートレ亜麻は300麻番手の糸(番手は 数字が大きいほど細い糸で、質が良くて一本一本の繊維が長くないと 細い糸を紡績する事は困難)を紡績することができると言われてます。

繊維束の状態をフラックスと言い 糸や布生地になると リネンとも言いますが、厳密な用語上の区別はなく 一般にはリネンと言われます。

紀元前3千年頃のエジブトの交易品に「リネン」の記述が見られ、人類最古の布生地と言われています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

麻とは(アサ)


とは、植物の茎や葉から作った繊維の総称です。人類が最初に 作った布は麻で作られたと言われています。

靭皮部分から作るものは 比較的柔らかく 衣料用として使われます。主に ラミーとリネンがあり、日本では「麻」と 一くくりに呼びますが、欧米では リネンとラミーと区別して呼びます。

(家庭用品品質表示法では リネンとラミーのみが麻となります。それ以外は 指定外繊維表示になります。昔 綿があまり普及してなかった頃は、シーツやタオル 肌着等は リネン製でした。その名残が ホテルの「リネン室」等に残ってます。それらの用途は、綿が普及すると 駆逐されてしまいました)

葉脈から作るものは、固いものが多く 産業用資材(ロープや穀物袋 畳のへり等) インテリア等に使われます。

麻の一般的性質は 下記で、夏の衣料用として 優れている点が多いです。

  • 吸水性が速く 吸い込んだ水分も速く蒸発させる
  • 丈夫で光沢(衣料用になると 強い撚糸がかけられ、光沢がないものも多い)がある
  • 熱の良導体

ただ 非常にシワになりやすく、現在は他の繊維に押されて 生産量が少なく価格が高いのが欠点です。

(余談ですが、大麻は麻薬で 葉を乾燥させたものを マリファナと呼ぶようです。種子の所持は違法ではありませんが、栽培すると違法(おかしな法律ですね)ですので 絶対に止めましょう。軽い気持ちで吸って どんどん強い刺激のものが欲しくなり 麻薬中毒になってしまいます)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

パッチワークとは(patchwork) パッチワーク・キルト(patchwork quilt)


パッチワークとは さまざまな色・柄・形の布切れを 縫い合わせて模様を作った布生地です。パッチとは「はぎ合わせ 継ぎ当て」の意味です。

表布と、綿(ワタ) 裏布を三枚縫い合わせたものを パッチワーク・キルトと言います。主にベッドカバーとか 敷物 洋服に用いられます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

キルティングとは(quilting) キルト(quilt)


キルティングとは、2枚の布生地の中に挟まれた綿(ワタ)等を ずれないように 布生地の上から縫い合わす事を言います。縫い合わせた布生地を キルトとも言います。

防寒用のワタ入り衣料や 薄い洋布団 羽毛布団などに用いられます。あらかじめ キルティングされた「キルト生地(キルティング生地)」も 販売されてます。
(大変申しわけございませんが、弊生地屋での取り扱いは ございません)

ファッション的には ステッチ(縫い方や縫い目)が装飾的なものもありますが、多色(又は柄生地)の布生地片を縫い合わせた パッチワーク・キルトが主流です。

キルティングはシャネル(CHANEL)のバックの 大きな特徴のひとつになってます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

トラム撚りとは(ヨリ tram twist)


トラム撚りとは、フィラメント(長繊維)の無撚糸の糸を数本引きそろえて 100~500T/m(TはTurnで 回数のこと)程度の右撚り(S撚)ををかけた 片撚り糸のことです。

「撚り数が1,800~2,400回ではボイル撚り 3,000回前後になるとクレープ撚りという。」
と言う記述も他で見られますが、メータ当たりの撚り回数で 区別するのは おかしいと思われます。
(太い糸(例:ポリエステル150デニール)では 少ない撚回数 例えば1,800T/mでも 強いトルクになります。細い糸では 反対に1,800T/mでは トルクが弱いです)

ですので 撚りの効果で定義するが正しいと思われます。

  • ポイル撚りシボは立たないが、布生地にドライ感(乾いた感じ)やコシを与えたり、粗い糸密度でも 布生地の糸目が寄れたりしない程度の少なめの撚り回数(トルク弱め)。
    (ポリエステル75D(デニール)の糸では、目安800~1,500T/m程度)
    .
  • クレープ撚りシボが立つ 多めの撚回数(トルク強い)。
    (ポリエステル75D(デニール)の糸では、目安2,500~3,000T/m程度)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

 

オットマンとは(Ottoman)


オットマンとは、緯(ヨコ)に太い畝のある厚手の織物の事です。

  • 経(タテ)に光沢のある細番手の糸を密に
  • 緯(ヨコ)に太い糸を 一経糸開口(一ひぐち)に2本以上打ち込んで織る(通常ドビーでないと 織れません(注)

横に畝のある織物の中ではもっとも畝が大きく、はっきりと出ています。ファイユグログランオットマンの順に緯畝(ヨコウネ 緯の線の事)の巾が広くなります。

(ファイユは緯畝のピッチは目安0.5mm以下程度です。あくまでもアバウトな目安ですが、グログランは1mm程度 2mmを越えるようになると オットマンと呼ぶようです)

シルク(絹) コットン(綿) ウール(毛) ポリエステルなど いろいろな素材から作られてます。厚く堅い布生地でコート、スーツ、ジャケットなどに使われます。

下記生地写真は 「ニット生地屋」さんから 一部を拝借しています。(かなり探したのですが、使えそうな写真は ありませんでした。全体写真でなく 一部だけしか使ってませんし、リンクもしています)

オットマン ottoman

オットマン ottoman

経糸が密で、太い緯糸数本がそれに包まれてほとんど見えなくなってます。固く密に織られているので ドレープ性はほとんどありません。

(注:一ひぐちに2本くらいまでなら ドビーでなくても、一回に2本の緯糸を引っ張る 特殊なレピア織機で織ることも可能です)

Ottoman は 中世にヨーロッパの諸国をふるえあがらせたオスマン帝国の英語名です。オットマンはそのカナ読みです。オスマン帝国内で 最初は作られたのかも知れません。

大変申しわけございませんが、弊生地屋での取り扱いは ございません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

グログランとは(grosgrain 仏語)


グログランとは、固く密に織られた緯畝(ヨコウネ)のある織物です。通常は

を打ち込んで作ります。元々 絹織物から来ましたが、人絹(ジンケン) 綿(コットン) 毛(ウール)でも 同様の作り方で作られてます。

下記の写真のように 緯に細かい線が見えます。(この写真は繊維業界検索なびより 拝借してます)。ファイユグログランオットマンの順に緯畝(ヨコウネ 緯の線の事)の巾が広くなります。

(ファイユは緯畝のピッチは目安0.5mm以下程度です。あくまでもアバウトな目安ですが、グログランは1mm程度 2mmを越えるようになると オットマンと呼ぶようです)

グログラン  grosgrain

グログラン grosgrain

写真のように経糸が密で、太い緯糸がそれに包まれてほとんど見えなくなってます。固く密に織られているので 通常ドレープ性はほとんどありません。

名前の由来は、フランス語の gros (大きい 太い)、 grain (穀粒)から来ています。ネクタイやリボン等に 多く用いられます。

大変申しわけございませんが、弊生地屋での取り扱いは ございません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。