月別アーカイブ: 2012年6月

フェルトとは(felt) 織フェルト


フェルトとは、ウール(毛)などの動物繊維の糸くずを 集めて縮充させシート状にしたものです。不織布の一種ですが、強度や摩擦力が要求される用途には 紡毛織物を縮充・起毛して作った織フェルト(これに対して 通常のフェルトは 圧縮フェルトと呼ばれる事もあります)が用いられたりします。

保温力 衝撃の緩和 音の吸収などに優れ、そのような機能が必要な用途に用いられます。他にも、敷物 スリッパ 手工芸品などにも 幅広く用いられてます。ピアノのハンマーのカバーも フェルトです。

遊牧民族のテント(ゲル)や敷物は フェルトで作られているものも多く 住の部分を担う大切な技術であり 製品でした。

フェルトの語源は下記からきていると 言われてます。
フィルト(filt):こす
フィルター(filter):こすもの

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

エステル縮合とは(ester condensation)


エステル縮合とは、一般的な定義は ちょっとややこしいです。ポリエステル(PET)の場合は、

  • テレフタル酸 COOH-C6H6-COOH (CH6CH6は俗に言う亀の子のベンゼン環です)
  • エチレン・グリコール OH-CH2-CH2-OH (飲むアルコールのエタノール(CH3-CH2-OH)とは ちょっと違うだけですが、エチレン・グリコールは有毒です。車の不凍液等に使われます)

が 重合して、H2O(つまり水)が取れ、
(-COO-C6H6-COO-CH2-CH2-)n
になる反応の事です。水分子がとれて縮んだようになるので 縮合と言います。

(一般的な定義に ご興味のある方は 次を参照してくださいませ。
エステル(ester)は、有機酸または無機酸のオキソ酸と アルコールまたはフェノールの・・・ )

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

 

ピケとは ピッケとは (pique)


ピケとは(又はピッケ)、下の写真のように 経畝(タテウネ)になった織組織です。

ピケ(繊維業界検索なびより)

ピケ(繊維業界検索なびより)

(写真は 繊維業界検索なびより 引用させていただいてます)

畝の細いものを ピンホール・ビケ(pinwale pique)、太いものを ワイド・ピケ(wide-wale pique)とも呼んでいます。(通常 緯二重織の織組織で作ります)

また このふくらみが細長い菱形とか (経方向だけでなく)柄状になったものを 紋ピケジャガード織)と呼びます。

英語表記が”pique”であることからも「ピケ」が 正しいカタカナ表記だと思われます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

双糸とは(ソウシ)


双糸とは、2本の糸を撚り合わせた糸で 太さは倍くらいになり、1本の糸(単糸)よりも 太さが均一な糸になります。3本以上 4本とか合わせる場合もあります。
(単糸には太さムラがありますが、2本合わさると 1本よりは打ち消しあって やや均一になります。統計学的に 合わせる本数が多いほど均一になります)

双糸は撚り合わせるので 糸にコシもでます。ですから 表面の平滑な短繊維 織物のシャツ地等には 双糸が使われている事が多いです。

強さも 2本だから2倍のはずなのですが、2.5~3倍になります。糸は一番弱い部分から切れるのですが、その部分がもう片方の糸で補強されるので 2倍以上になるのです。

20番手単糸の双糸は 「20/2」(太さはおおよそ10番手)のように記述される事もあります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

デニムとは(denim)


デニムとは、経糸に綿(コットン)の20番手 双糸(太さはおおよそ10番手になります)、緯糸未晒糸(ミザラシ 漂白してない糸)の経糸よりも細めの綿糸を入れて 綾織(ツイル)に織った織物の総称です。

厚手のごわごわした生地が多いです。同じ綾織で やや薄めの生地を葛城と言う事もあります。厚さは 1平方ヤード(0.84㎡)の重さオンス(OZ   1OZ=28.3g弱)で表されます。

経糸を紺色に染めた糸を 用いたものが代表的で、ジーンズ(ボトム)や鞄などに使用されてます。最近はジーンズの事を デニムと言う事も多くなってます。経糸が太く表に沢山出ているので 紺色っぽく見えます。通常ジーンズには 14OZ前後の厚さの布生地が使用されてます。

デニムの語源は フランス語のセルジュ・ドゥ・ニーム(serge de Nimes ニーム産のサージ生地)だと言われてます。

(余談ですが、エドウィンビッグジョンも アメリカのブランドみたいですが(わたしも以前は そう思ってました)、実は純日本ブランド(両社とも 発祥は岡山県倉敷)です。

エドウィン:「江戸(東京)で勝つ」をもじって つけたとか。
ビッグジョン:創立者の尾崎小太郎氏が、太郎が日本でよく知られた名前で ジョンもアメリカでよく知られた名前なので 「リトルジョン」と考えたそうですが、リトルでは大きな商売が出来ないと 「ビックジョン」にしたとか)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

葛城とは(カツラギ drill)


葛城とは、双糸の太い糸を使ったツイル(綾織)の綿(コットン)織物の事です。同じツイルのデニムよりは やや薄い布生地になります。現在は主に3/1のツイル織組織になってます。(以前は3/2もあったらしいが 今はほとんどないらしいです)

太い綾目と呼ばれる 斜めの線が布生地に見えます。ワーキング・ウェア(作業服)やパンツ(ズボン)に 主に使われてます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

抜染とは(バッセン) 白色抜染(ハクショク) 着色抜染(チャクショク)


抜染とは P下(プリント下生地)に 専用の糊をつけて 無地染めした後(糊がついた部分は染まらない)、その糊を溶かしてしまう染め方法です。

この糊に何も入れないのが 白色抜染(白の水玉模様などは この方法です)、糊に色を配合してつけるのが着色抜染と言います。着色抜染では 糊が溶けるときに同時にその部分が染まります。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

クレープとは(crepe)


クレープとは、本来は糸の撚(撚糸)が ほどける(解撚)のを利用して 表面に細かいさざ波状の凹凸が現れている布生地の事です。ですが、撚糸を利用しなくても 表面に細かい凹凸のようなものが見えれば クレープと言うようです。

この凹凸は シボとも呼ばれます。縮緬(チリメン)は 代表的なクレープ織物です。(クリックで この縮緬の詳細ページへ飛べます。購入する事も可能です)

縮緬の表面の大きい凹凸(シボ)

縮緬の表面の大きい凹凸(シボ)

縮緬の凹凸はかなり大きめですが、虫メガネで拡大しないと 見えないほどの小さな凹凸の場合もあります。下記がその例です。
(同様にクリックで これらの布生地の詳細ページへ飛べます。購入する事も可能です)

シルデュー・デシンの細かいシボ

シルデュー・デシンの細かいシボ

シフォン・ジョーゼットの細かいシボ

シフォン・ジョーゼットの細かいシボ

縮緬ジョーゼットの中くらいの大きさのシボ

縮緬ジョーゼットの中くらいの大きさのシボ

(フランス語では “crepe” (e は上に点がつく) です)

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

バックサテン・アムンゼン(back satin amunzen) クレープ・バック・サテン(crepe back satin) バック・サテン(back satin)


バックサテン・アムンゼンとは、表面がクレープ(一般的にアムンゼン(梨地)組織) 裏面がサテンになった布生地の総称です。クレープ・バック・サテンとか 簡単にバック・サテンとも呼ばれます。

ですが、どちらの面も使えます(一般的に布生地は デザイナーさんが好きな面を使われます。企画・生産者が思っている面と 反対の面を使われる事も多いです)。また 身頃はクレープ 襟はサテンのように 1枚の布生地で2種類のような使い方もできます。

生地屋ストレッチ・サテンは この生地の一種で、両面使えます。(ただ 御注文時には どちらを使うかご指定くださいませ。そちら面を検査して出します。一般的に 布生地は片面しか 染め上がり後に検査しておりません)

下記画像クリックで この布生地の詳細(購入もできますし、無料サンプル請求もございます)へ飛べます。

バックサテン・アムンゼンの一種 ストレッチ・サテン

バックサテン・アムンゼンの一種 ストレッチ・サテン

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

整経とは(セイケイ) 荒巻整経(アラマキセイケイ) 部分整経(ブブンセイケイ)


整経とは、織物の生産工程で 糸(タテイト)を揃える(える)工程です。ニット経編(タテアミ)の経糸を揃えるのにも使われます。以下は織物に限った説明になります。

通常 織物の経糸は4,000~16,000本もあり、それらを一度に揃えようとすると 4,000~16,000本もの糸本数が 必要になる上に、一巻きの糸量が例えば1kgとすると 最低でも4トンもの糸量が必要になり 大変な量になります。(ポリエステルでは 通常一巻きの糸量は 2.5~10kg程度です)

ですので、下記のような2種類の方法が 取られます。

  1. 荒巻整経:無地織物とか生産量の多い織物に用いられる方法で、例えば7,000本の経糸なら 1,000本ずつ7つのビーム(経糸を巻くちまきみたいなもの)に巻いて(荒巻)、それを7本まとめてビームに巻いて 織布工程の経糸とします。
    .
    糊付け(サイジング)の必要な場合は 通常この工程で糊付けします。荒巻工程で糊付けする方法(クリル(注1) to ビーム より大量生産に向いています)と 荒巻してからそのビーム一本一本を糊付けする方法(ビーム to ビーム 糸切れが多い場合に有利(注2))があります。
    .
    利点:経糸の張力ムラが少なく 経縞(織物の欠点のひとつ)になりにくい
    大量生産に向いている(コストも安くなります)
    欠点:ストライプ柄(経柄)を作るのは困難
    少量生産は困難
    .
    <下記はYouTubeで見つけた荒巻整経(サイジング)の動画です>
    (あまり適当なのがありませんでした)

    .
  2. 部分整経先染織物などで 経柄の織物や、生産ロットの少ない織物に用いられる方法で、例えば1.5mの整経巾なら 15cmずつ10回に分けて(部分部分で)整経する方法です。
    (前述の例では 7,000本の経糸なら1回に700本ずつ10回部分整経します)
    下の動画に写っている大きなドラム(太鼓とも言われます)と言う器具に巻き取った後に、織布工程のビームに巻き返します。
    .
    利点:経柄を作れる
    少量生産に向いている
    欠点:経糸の張力ムラになりやすく 経縞(織物の欠点のひとつ)になりやすい

<下記はYouTubeで見つけた部分整経の動画です>

(注1):クリルとは 一巻きの糸を何百本とか千本とか かけておく器具です。荒巻整経の動画の中で 丸い糸が規則正しく何本も並んでいるのが クリルです。
(注2):荒巻中などに 糸が切れると、当然機械を止めます。その時に糊付けしていると その部分に糊が多くついて 欠点になりやすいのです。なので 糸が切れ易い場合は ビーム to ビームの糊付け方法が 多くとられます。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。