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ボイルとは?(voile)


ボイルとは、薄地の目の粗い織物の総称です。シフォン・ジョーゼットよりは太い糸を用いて、ボイル撚りをかけて作ります。ですので、シフォン・ジョーゼットよりは厚く、ほとんど 平織りです。

通気性がいいのと ドライな手触り(乾いた手触り)で 春夏の洋服布生地に 用いられます。

元々は 2本の糸を合撚で ボイル撚りをかけたものを 呼んでいたようですが、コスト削減のために 太い1本の糸にボイル撚りをかけて 作ったものもそう呼ぶようになりました。
(2本で作ったものを「本ボイル」 1本で作ったものを「単糸ボイル」と 呼び分ける場合もあるようです)

布生地の世界では ちょっと見 似ていれば、その布生地の名前をつける事がよくあります。また 一般の生地屋さんでも正しく区別してない事も 多いのでご注意くださいませ。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

撚糸とは(ネンシ) ボイル撚(ヨリ) クレープ撚(crepe twist) トラム撚(trame twist) 甘撚 中撚 強撚 合撚(ゴウネン)


撚糸とは、糸に撚り(ひねり)をかける事です。撚りをかける事によって、下記のような特長等が出てきます。

  • 強い撚り(強撚 撚回数多い)ですと、ドレープ性落ち感がでます。また シボと呼ばれる 糸の細かい屈曲が発現します。(染加工前では 糸は屈曲してません。染加工後に発現します)
  • 糸が毛羽立ちにくくなります。
  • 中程度の撚り(中撚)ですと、布生地にコシが出ます。
  • 中撚以上で、手触りがドライになります。(ベトつかない乾いた感じです)

中程度のシボが立たない程度の撚回数は ボイル撚り、シボが立つ強い撚回数は クレープ撚りとも言われます。詳しくは次の「中撚、強撚」の項を参照してください。
(「撚り数が1,800~2,400回ではボイル撚り 3,000回前後になるとクレープ撚りという。」
と言う記述も他で見られますが、メータ当たりの撚り回数で 区別するのは おかしいと思われます。撚りの効果で区別すべきだと 思われます)

単純な工程ですが 布生地に対する効果が大きいので、布生地の産地では 撚糸だけを専門にする会社もあります。

同じ撚回数800回/mでも 太い糸では効果高いですし、細い糸では低いです。ですが、75D(デニール)くらいの太さのポリエステル糸では 撚回数によっておおむね下記のように区分されてます。

  • 甘撚(アマヨリ):100~500T/m(TはTurnで 回数のこと)程度。主に製造しやすくするために(毛羽立ちしにくい) かけます。
    糸を小分割できるので 小ロット対応で かける事もあります。(あまり 手触りや外観には 大きな影響はありません)
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  • 中撚(チュウネン):800~1,500T/m程度。ボイル撚りとも言います。主に布生地の手触りをドライにしたり、コシを出すためにかけます。
    目の粗い織物では 織物の目よれ(糸がずれること)を 防ぐためにかける事もあります。シボはほとんど立ちません。
    この撚回数以上では そのままでは巻いてしまって取り扱い困難なために、ヒートセットをして撚り止めをします。
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  • 強撚(キョウネン):2,500~3,000T/m程度。クレープ撚りともいいます。シボを出したり、ドレープ性落ち感を出したりする時にかけます。最もドライな乾燥した手触りになります。
    織物の緯糸に片方の撚方向の糸だけを 入れると、経シワの楊柳になります。

他にも 合撚と言って、2種類以上の糸を合わせるためとか、糸を太くするために 撚り合せたりする場合もあります。トラム撚りは合撚の一種です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

落ち感とは?


落ち感とは 布生地が女性の体の線にそって落ちると言う意味で、ドレスやスカートで大切な布生地の要素です。女性の美しい体のライン(線)を表現する事ができます。

落ち感のある布生地は同時にドレープ性もあります。反対の意味は 「ハリ感のある生地」になります。

当店の生地は 撚糸が入った織物が多く、下記の商品を中心に 落ち感が良好なものが 大変多いです。

1) サテン MB8410 サテン クレープ(147cm巾)
2) デシン MB2000 シルデュー デシン1(140cm巾)

3) 中肉素材 MB6100 二重織ジョーゼット(140cm巾)
4) 中肉素材 MB6120 チリメン ジョーゼット(112cm巾)

5) 薄地 MS7400 50Dシフォン ジョーゼット(147cm巾)
6) 薄地 MS7100 75Dシフォン ジョーゼット(147cm巾)

7) 薄地 MS7104 75Dシフォン ジョーゼット(112cm巾)
8) 薄地 MS7110 100Dシフォン ジョーゼット(112cm巾)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

パイル織りとは? パイル織


パイル織りとは、布生地の表面に パイル(ループ)を出した織物です。

そのループをカットしないものの 代表的なものがタオルで(高級品はカットして 手触りを良くしたものもあります)、カットするものの 代表的なものが ビロードベルベット)やコーデュロイ(コール天)です。

経糸(タテイト)をパイルするものと 緯糸(ヨコイト)をするものの2種類があり、経糸のは パイルの長さの長いものから 短いものものまで 比較的自由に作成可能です。2ビーム(2種類の経糸を使う)の特殊な織機で織ります。

緯糸をパイルするものは、織組織を利用して作るので(緯糸の浮きの多い組織にして 後加工で横に縮めて ループを出す)、あまりパイルの長いものは できません。

経パイル織物:タオル、ビロード、モケット 等
緯バイル織物:コーデュロイ(コール天)、別珍(ベッチン) 等

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

縮充とは? 縮絨 (シュクジュウ milling)


縮充とは(シュクジュウ)、アルカリ性の液体の中で ウール(毛)をもむと、毛がからまって どんどん縮んでいきます。この性質を利用して 織目の見えない肉厚のフェルト生地を作ることを 縮充加工(通常促進するために 蒸気で熱と圧力をかけます)と呼びます。

(昔は 「縮絨」と書きましたが、今は「縮充」と書くようです。ウールはアルカリ性に弱いので 強く促進されるようです)

ウールや多くの動物の毛だけの特長で、キューティクルと言う人の髪の毛にもある 鱗みたいなものが、片方の向きにだけ生えていることから なります。片方の方向にだけ 動きやすく、反対方向には 動きにくいために どんどん縮んでいきます。

ウールやカシミヤなど 動物の毛でできた衣類を、通常の洗剤(アルカリ性)で洗うと 縮むのはこのためです。動物の毛でできた衣類を洗うときは 中性洗剤を使いましょう。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

プラッシュとは? plush プラッシュ編(パイル編)


プラッシュとは、経パイル織物(経糸(タテイト)をパイル(輪状)にする)の一種です。パイルをカットして長い毛羽(ケバ)を 表面に出します。

毛羽の長さをいろいろ変えたり、熱と力をかけて 毛を縮ませたり 寝かしたりして、いろいろなものが作られてます。

一般的に毛にはウール(毛)が、地組織(下地)には綿(コットン)が 用いられているようです。(ウールは熱でクセがつきますが、綿はつきにくいです。毛羽には熱でクセのつく繊維、地組織にはつきにく繊維を一般的に用います)

織物でなく 編物(ニット)で同様の事をしたものを プラッシュ編パイル編)と呼びます。

代表的な経パイル織物であるタオルでも パイルをカットして手触りを良くした超高級品もあります。この場合は プラッシュの一種になります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

防炎加工とは? 難燃加工とは


布生地の防炎加工とは、誤解される方がたまにいらっしゃるのですが、燃えなくする加工ではなく 燃え拡がるのを遅らせる加工です。

火事になれば ほとんどのものは燃えてしまいます。耐火金庫でも2時間くらいしか 持ちません。火事のような高温で燃えなかったり 溶けなかったりする布生地は ありません。

つまり 燃え拡がるのに数分程度かかり、その間に逃げてくださいと言う加工です。難燃性の樹脂をつけて 燃えにくくします。炎が小さければ 自己鎮火してしまいます。

(通常の建物なら 3分もあれば、火元の部屋から避難可能でしょうし、ちょっと炎がついたくらいでは 自己鎮火するので安心です)

生地屋で 販売している布生地は 防炎加工可能です(反単位で 弊店販売の布生地のみです)。防炎シールも実費で 販売しております(防炎シールのみの販売は ございません)。詳しくは 下記を参照してくださいませ。

防炎加工はできるの

(公共の施設では、カーテンや幕等 防炎加工が安全のために義務付けられています)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

オパール加工とは? おぱうるかこう (opal finish)


オパール加工とは、透ける部分と 透けない部分のプリント模様を つけた布生地の事を指します。作り方は、

  1. 酸に弱いセルロース系の繊維(コットン(綿)、レーヨンキュプラベンベルグ)等)と、耐酸性のある繊維(シルク(絹)、ナイロンポリエステル等)を、合撚(ゴウネン 2種類以上の糸を 一緒に撚糸すること) 混紡 カバーリング 交織など 何らかの方法で混ぜ合わせて布生地を作ります。
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  2. 溶かしたくない模様を、抜染(バッセン)の方法で 糊をつけてそこに 酸が浸み込まないようします。それを 硫酸や硫酸アルミなどの酸に漬けます。
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  3. そうすると 酸に弱いセルロース系の繊維は 炭化して抜け落ちてしまいます。それで そこが透ける模様になるのです。

ベルベット(ビロード)などで、地生地は ポリエステルを用いて 毛の部分にレーヨンを使って 部分的に 毛を抜け落ちさせて、模様にしたような布生地もあります。

フロッキー加工電着加工)のプリント加工の布生地と、間違えやすいので 注意してくださいませ。見分け方は 透ける部分と透けない部分の境目が 炭化していればオパール加工、きれいに毛全体が残っていれば フロッキー加工です)

抜け落ちた部分の強度は 当然弱くなるので、デザイン的に工夫するか、あらかじめ布生地設計の段階で 考慮して作る必要があります。

合成繊維シボ織物を利用して、シボ立て工程の前に 生地に模様状の熱をかけて シボが立たないようにして オパール加工のような感じにした オプアート加工と言う加工も ウラセ株式会社でやられてました。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

布生地の傷みの原因 洋服や衣装の痛みの原因


通常使用での一番の原因は 洗濯です(虫食いなどを除いて)。脱水が一番傷みます。(クリーニングでも 傷みます)

ですから お気に入りの洋服や衣装は、ネットなどに入れて できるだけ短時間で洗います。(洗濯機の中の洗濯物が 少ない状態で洗うと、短時間でも汚れが落ちやすいです。また お湯を入れてやると 洗浄効果高くなります)

脱水はできれば30秒程度、長くても1分程度にして あとは物干しに干して 自然乾燥させます。(水が垂れなければ いいと思います)

あとは 洗濯機で洗わないで 手洗いが一番です。汚れの少ないものは 40℃くらいのお湯と洗剤で 押し洗いします。押し洗いが一番傷みません。十分にすすいで(洗剤等 残っていると、傷みの原因になります) 上記のように30秒~1分程度脱水します。

気に入った洋服や衣装は 長く使いたいですね。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

トロピカルとは? (tropical)


元々は、薄手で軽く しゃり味(ドライ感)のある梳毛 織物の事です。経(タテ)・緯(ヨコ)に梳毛糸を使い、平織りに織りクリアカット仕上げを施したもので 春夏の衣料に適しています。

最近は 毛/ポリエステル混紡やポリエステル100%などもあり、無地を中心に ストライプやチェックでなどがあります。トロピカルとは「熱帯地方」の意味で、初めはイギリスで作られてましたたが 南洋のマレーシア インドなどに輸出されたころから、この名称が付きました。用途はサマー・スーツ ドレスなどです。

タフタポンジー オーガンジーなどの名前と同じように、元々は他の素材で作られていた布生地が ポリエステルなどで 似たものが作られ、そちらの布生地の方が 広く流通するようになった 織物(布生地)の一です。

大変申しわけございませんが、弊生地屋では トロピカルの取扱いは ございません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。