月別アーカイブ: 2012年4月

バーズアイ (bird’s eys) 鳥目織(トリメオリ)


バーズアイとは 鳥目織とも言われ、下記写真のように 小さな鳥の目のような柄の事です。

本来は 白目の中に瞳にあたる黒い点があるものを指しますが、下記のようになくても バーズアイと言われる事が多いです。婦人服ではあまり用いられず 紳士服等でよく使われます。

バーズアイ(鳥目織)

バーズアイ(鳥目織)

(写真は オーダースーツコンシェルジュ 松はじめさんの サイトより写真のごく一部を拝借してます)

先染めの二重織で 織柄で作る事が多いです。(二重織でなくても作成可能ですが、主用途が紳士のスーツ等なので 生地厚が必要な為と思われます)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ドビー (dobby) ドビー素材 ドビー織 ドビー柄


ドビー素材とは ドビー織(柄)とも言われ、経糸(タテイト)を1回おきに交互に 上げ下げしないで織る織組織の布生地の事です。代表的な織組織に サテンツイル 梨地等があります。

(梨地を平織と 勘違いされてる問屋や小売店さんの方も いらっしゃいますが、平織で梨地は作れません。またドビーを織る機械(織機)で 平織は可能ですが、平織用の機械でドビー織はできません)

数ミリ程度の小さな柄とか 同じパターンの繰り返し(織柄で作る ストライプとかチェック)なら 可能ですが、大きな柄はできません。ネクタイやブランド・ロゴに使われるような大きな柄は ジャガードで作ります。

昼夜サテンやサテン・ストライプ・ジョーゼット(サテンとジョーゼット部分が 経ストライプになっている)などは ドビー柄の特徴的な布生地です。

(経糸を吊り下げる枠(ソーコーと言います)を ワイヤーで吊り下げている通常のドビー織機と、カムで枠を上げ下げするカム・ドビー織機と 呼ばれる2種類があります。
カム・ドビー機は高速で動かす事ができて 生産性は高いですが、柄や経糸本数の制限があります)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

成形編 (セイケイアミ)、ガーメント・レングス編、フル・ファッショニング (full fashioning)


成形編とは ニットの製造過程で網目の数を増減しながら編んでいく編み方です。ガーメント・レングス編とも言われます。

靴下や手袋 パンティストッキング等が この方法で作られて来ました。(ですので 時々お問合せがあるのですが、パンストのような布生地自体は 販売されてません)

(反対に反物状に編んで(流し編)生産したものを ジャージーと言います)

フルファッショニングとか 単にファッショニングとも言われ、fashionは 流行とかの意味の他に 「形作る」の意味もあり、ここでは その意味で使われてます。

フルファッショニングは 全部成形編で作ることで、近年は 全自動で編み上げる機械式緯編機(ヨコアミキ ホールガーメント等)が 普及してきています。複雑な形状でも つなぎ目がなくフィット感の高い ほとんど布生地のロスのない衣料製品が出てきてます。

参考:カットソー カット・アンド・ソーン(cut & sewn)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

カットソー カット・アンド・ソーン (cut & sewn)


カットソーとは カット・アンド・ソーンを短く言ったもので、ニット(編物)生地を 裁断(cut)して縫製(sewn ソーンと発音します)したものです。

ニットには一着分ずつ編み上げる成形編フル・ファッショニングがあるので これと区別する為に用いられます。織物には 用いられません。

つまり 通常の布生地のように、決まった巾の生地に編み上げ 染加工したものを、パターン・カットして 通常の洋服を作る事です。

通常 編物(ニット)の衣料製品の作り方には、

  1. 成形編:最終的な形まで 成形しながら編み上げる。
  2. 身頃や袖などのパーツごとに編み上げ それをつなぎ合わせる。
  3. 成形せずに編み上げた平面の布生地を パターンカットし縫製する。

があり、今までは 網目の粗いセーターやカーディガンなどは 2.の作り方、Tシャツ等の細かい網目のものは 3.の作り方で量産されてきました。

しかし 近年は1.の方法で 全自動で編み上げる機械式緯編機(ヨコアミキ ホールガーメント等)が 普及してきて、複雑な形状でも つなぎ目がなくフィット感の高い ほとんど布生地のロスのない衣料製品が出てきてます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

織機 (ショッキ ルーム loom)


織機とは 織物を織る機械です。布生地は大きく3つに分類されますが、その内の一つ 織物を織ります。

経糸(タテイト)を織物の巾の分だけ 引きそろえて(整経 セイケイと言います)、経糸を上げ下げしながら 緯糸(ヨコイト)を通します。
(上げ下げの方式によっても、平織織機 ドビー織機 ジャガード織機に大別されます)

当初は手機(テバタ)と言って 手で緯糸(ヨコイト)を挿入して織物を織っていたのですが(ですから 非常に手間がかかり、王侯貴族とか大金持ちしか沢山持てませんでした。布生地も貴重品で 使い古しの衣類も 何度もほどいて作り直したりしてました)、産業革命で蒸気機関が実用化されると その動力を利用するようになりました。

(古い織機の説明の詳細は Wikipediaの織機の項を参照してくださいませ)

そのうちにモーターを利用するようになりましたが、蒸気機関同様1台の大きなモーターで 天井から長いベルトで 1台1台の織機を 何台も動かしてました。危険なのと伝達ロスも大きい等の理由で 1台の織機に1台のモーターになって行きました。

その頃の織機は 緯糸がなくなると 感知して自動的に織機が止まりました。これでは生産性が悪いので 日本の豊田佐吉氏(後にトヨタ自動車(豊田佐吉の長男 喜一郎氏が創業)を生み出す 豊田自動織機製作所の創業者)が 苦労して特許をいくつも取りながら、緯糸がなくなると自動的に交換する自動織機(自動的に交換するので自動織機)を開発していきました。

(これに対して 緯糸がなくなると止まる従来の織機を その頃は普通織機と称してました。シャトルレス織機全盛の今では 自動織機を普通織機と言います。また 変わるかも知れませんが)

この頃までの織機は スペース・シャトルの語源となったフライ・シャトル(日本語名「飛び杼(トビヒ)」)を使って 緯糸を入れてました。経糸の間を 行ったり来たりする姿を、宇宙と地球を往復する様子に なぞらえたものと 思われます。

それからフライ・シャトルを使わない シャトルレス織機も開発され(「ルーム」は織機と言う意味の英語です。下記のリンク先は適当な説明が検索で 出てこないので、特定メーカーの特定機種にリンクしています。ですので 近い将来リンク切れになると思います。その時は「ウォータージェットルーム」等のキーワードで検索してくださいませ)、

などがあり、現在では発展途上国でもシャトルレス織機が主流で 織物を高速で生産してます。

この他にも 織物の生産性を飛躍的に上げると言われている 多相織機(一度に全部の経糸を上げ下げするのではなく、いくつもの相に分け部分的に 上げ下げしていきます。銃身がたくさんあった 初期の頃の機関銃のような感じです)が実用化されようとしています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ナイロンとは? ナイロン織物とは?


ナイロンとは、合成繊維の1つで ポリアミド樹脂と言う非常に強い樹脂を糸にしたものをナイロン繊維と言い、それで織った織物をナイロン織物と言います。世界最初につくられた合成繊維です。

シルク(絹)やコットン(綿)の靴下が 破れやすかったのですが、ナイロンで作られたそれらは 大変丈夫で破れにくかったのです。当時
「石炭と水と空気から作られ、鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い」
と 言うキャッチフレーズでストッキング等良く売れました。

ナイロン樹脂自体の物性や化学式はここをクリックで調べられます。

ナイロン繊維には化学式の1つの単位の中に 6個炭素がつながった「ナイロン6」(6ナイロンとも言われます)と 6+6個つながった「ナイロン6,6」(66ナイロンとも言われます)があります。

ナイロン6,6の方が物性的には優れています(大差はありませんが)。ナイロン6は日本が開発した繊維ですが 第二次世界大戦に負けたせいもあり、一時は日本独自開発とは認められなかったそうです。

非常にきれいな色に染まります。ですが 淡色は他の揮発成分を吸収(ナイロンは吸着しやすい性質があります)して黄変しやすいです。ダンボールに長期間入れておいただけで 黄変する事もあります。ダンボール紙に含まれる「リグニン」を吸着するためです。

濃色も実際は吸着しているのですが、わかりにくいだけです。中~濃色はナイロン製 薄い淡色はポリエステル製と言う事もあるそうです。

また 染料が酸性染料なので ポリエステルの分散染料と違って 他の樹脂に色移り(移行昇華と言います)しにくいです。

それで 樹脂とのコーティング(塗布)ラミネート(貼り合せ)に向いた素材で スポーツ用途に多く使われています。ただポリエステル等と比べますと 紫外線には弱く 長期間屋外にさらしておきますと劣化します。
(ですので、同じ製品でも白色などの淡色系は ポリエステル製を使う事もあるそうです)

また ポリエステルより粘性が強く 引き裂きに強いので(結晶性が低いので柔らかい)、パラグライダーやパラシュート エアーバックなどの安全性が要求される用途に使われる事もあります。

生地屋では ナイロン織物の取扱はございません、大変申しわけございません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

減量加工 (ゲンリョウカコウ) アルカリ減量加工


減量加工とは、合成繊維ポリエステルを、強いアルカリ液(苛性ソーダ等)で 繊維の表面を溶かして 風合い(手触り)を柔らかくする加工方法です。

絹織物で 表面のセリシンを溶かして フィブロインを残す加工を、精錬(練り)と言いますが それをポリエステルに応用した加工方法です。

この加工方法により ポリエステル織物の用途が大きく拡がり、強い撚り(ひねり)をかけた強撚糸織物の風合いが 非常に良くなりました。
(この加工方法が拡がる前は、硬いポリエステルの強撚糸を 柔らかいレーヨンなどと2本交互とかに配列して 手触りを柔らかくすると言う 苦肉の策もとられたと聞いたことがあります)

蛍光白 (ケイコウシロ) 白色の種類 生成り (キナリ)


通常 白色には3種類くらいあります。

  1. 蛍光白(ケイコウシロ)
  2. 通常の意味の白 自然白(オフ白)
  3. 生成り(キナリ アイボリー色 象牙色)

蛍光白は 男性のワイシャツの白のように、少し青みがかった 太陽光の下ではちょっと目に痛いくらいの白です。スノーホワイト(snow white)とか言われます。人工的な感じの白です。
蛍光剤が入ってますが、通常光を当てた後 暗いところに持っていっても 光るくらいの強い蛍光剤は入ってません。

(昔の洗剤には 白さを際立たせるために 青い染料が少し入ってました。今は 人工的な白さは嫌われるのか 入っていないようです)

通常の意味の白は 普通自然界で見られるような白色で、蛍光剤の入ってない白色の紙は この色です。(白い紙には 多くの場合多少の蛍光剤入ってます) 合成繊維キュプラなどの再生繊維 アセテートなどの半合成繊維の染めてない布生地(オフ off オフ白)は この色になります。(糸本来の色で ほとんど通常の白色です)

生成りは天然繊維などに使われる色名で 糸の色そのままです。コットン(綿)やウール(毛)では 黄色っぽい白色になります。合成繊維や半合成繊維では 染めているのでアイボリー(象牙)色と 書かれている事も多いですが、「生成り」と表示されている場合もあります。

(ですので 合成繊維や半合成繊維で「生成り」と 書かれている場合や、天然繊維で「オフ白」と書かれている場合は 染料がついています)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

オフ (off) P下 (ピーシタ) プリントシタ


オフは ボイルド・オフ(boiled off 煮立てて仕上げしたもの)の略で、通常の染品と同じ加工をして 染加工だけしてません。布生地の色は 糸の色になります。
(天然繊維では 黄色っぽいですが、合成繊維キュプラなどの再生繊維 アセテートなどの半合成繊維では ほとんど白色です)

似たような布生地にP下があり、プリント下の事で プリントする前の白生地を指します。両者は下記だけが違います。
オフ:帯電防止用などの樹脂がついてます
P下:何もついてません

通常 P下はプリントするのに使われたり、P下から無地染めしたりします。

P下は プリント柄がずれないように プリント台に固定する必要があります。ですので 樹脂などがついていると、うまくくっつかないので 作業に支障がでます。

逆に縫製等するときは、帯電防止剤がついてないと 静電気が発生して作業に支障がでます(まとわりついたり、埃などが吸着したり等。通常売ってませんが、縫製される方はP下を買ってはダメです)。

オフは天然繊維では 生成りと言う場合が多いです。ですが 合成繊維でも天然繊維でも 布生地によっては、オフや生成りと言いながら 実際は染めていたり(アイボリー(象牙)色等)する場合も ありますので、注意が必要です。
(特に ご自身で染められる場合は 要注意です。必ず染めてないものをお選びください)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

制電加工 帯電防止加工 (antistatic finish)


制電加工とは 合成繊維は一般に静電気が起きやすいので(水分をほとんど含まないので 起こり易い。天然繊維も電気を通しませんが、水分(湿気)を含みやすいので 静電気が溜まらずに逃げていきます)、それを防ぐために 帯電防止の樹脂を布生地に付ける事を言います。

帯電防止加工とも言い、プリント下P下 プリント前の布生地)以外の合成繊維の布生地は 通常この加工がされてます。何度か洗濯すると 取れてしまいますが、今度は洗剤の残渣が 静電気を防ぐ役割をしてくれます。(残渣は ほんの少しで大丈夫です)

(P下に 帯電防止の樹脂をつけると(オフになります) プリント台にうまく付かなかったりします。逆にP下を通常の縫製工場へ持っていくと 静電気のために布がからみついたりして 作業に支障が出るときもあります)

ただ 冬場のようにあまり乾燥すると 帯電防止の樹脂や洗剤の残渣でも 水分が不足して、静電気を防げなくなるので 静電気防止スプレーなどをして 防ぎます。
(急場では 霧吹きで湿らせたり 軽く水気を振ったりでもいいと 思います)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。