素材」カテゴリーアーカイブ

レーヨンとは(rayon) ビスコース・レーヨンとは(viscose rayon)


レーヨンとは パルプ(木材のくず)などを原料とした繊維素(セルロース cellulose セルロースは綿の主成分)からなる再生繊維の総称です。製法によって下記のように分類されます。

  • ビスコース・レーヨン(ビスコース法繊維):一般にレーヨンと言うと この繊維です(狭義の呼び方)。もう国内では作られてません。
  • キュプラ(銅アンモニア法繊維 銅アンモニア・レーヨンとも呼ばれます):旭化成せんい(株)ベンベルグ 原料は「綿花のくず」
  • ポリノジック:ビスコース・レーヨンの欠点を改良した繊維でしたが、もう国内では作られてません。

レーヨンは 近年生産量が少ない(過去には 現「東レ(株)」の旧社名が「東洋レーヨン」だったように かなり多く生産されてました。東レは現在海外で生産しています)のに 競争が激しく付加価値がつけにくいために 世界的にもどんどん生産が減ってます。

長繊維と 紡糸した繊維を主に2吋(約5cm)の長さにカットして紡績した短繊維があります。短繊維は過去にスフと呼ばれてました。ビスコース・レーヨンの長繊維も過去に「人絹(ジンケン)」とも 呼ばれてました。

性質的にも 洗うと縮むとか シワになりやすいとか 強度がないとかで あまり優れてません。

ベンベルグ裏地を主用途として ブランドを確立したベンベルグ以外は もう国内では作られなくなりました。(世界中で キュプラを生産しているのは 旭化成せんい(株)だけです)

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

エンボス加工とは(embossing finish)


エンボス加工とは、熱可塑性(熱すると柔らかくなる性質)の織物などの布生地に 型のついたローラー等で熱をかけて 凹凸の押型模様をつける加工です。

ローラーの大きさの制約上 小さい柄や経トライプの模様が多いです。

楊柳などで 経シワの形状を一様にするために(通常は両耳端近くの 経シワが強くなり、真ん中は平坦になりやすい)、リラックスと言う楊柳シボを立てる工程の前に行う事もあります。

(エンボスで シワの型押をつけておくと 一様になりやすい。染工場によって 型が違う事が多く、同じ生機を加工しても 楊柳の形状は同じにならない事もあります)

エンボスをしない楊柳シボは やや不均一で自然な感じで仕上がります(ナチュラル楊柳。ただし 経糸に比べて緯糸の撚糸力を十分に強く織物設計しないと 不均一になりやすい)。

下記はその布生地の一例です。写真クリックで この布生地の詳細をご覧になれます。

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

クリアカット仕上げとは(clearcut finish) ドライ・フィニッシュとは(dry finish)


クリアカット仕上げとは、表面の毛羽(ケバ)を 焼いたりカットしたりして 綺麗にする仕上げ方法です。ドライ・フィニッシュとも言われ、主に薄めの梳毛織物のように元々毛羽の多い布生地を 春夏向きにするために用いられます。

ポーラトロピカルクレープジョーゼットなどの薄めの梳毛織物に用いられ、本来秋冬素材である梳毛織物の用途を拡げています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シルックとは 


シルックとは、東レ(株)の商標で ポリエステル製ですが 糸の断面をシルク(絹)の花びらのような三角断面を真似て その形にした糸の事です。(通常の糸は丸い断面です) 絹のような光沢や手触りですが、家庭で通常の洗剤で洗濯できて 取り扱いはとても楽です。

または その糸を用いた布生地や 着物などの製品を「シルック」と呼ぶこともあります。
東レシルックきもの

他のメーカーからも 同等の糸(異型断面糸と通称されてます。字句の意味からだけ言うと 丸段名以外は全部異型ですが、繊維の業界で異型断面と言うと 通常は花びらのような三角断面を指します)は販売されていますが、それらの製品をシルックと呼ぶ事は 商標権の侵害にあたります。

下記が弊生地屋取り扱いのシルック織物の例です。画像やリンク・クリックで 詳細がご覧になれます。

手触りの良いシルデュー・デシン

手触りの良いシルデュー・デシン

手触りの良いシルデュー・デシン:MB2000

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

シャンブレー・シワ・ヘリンボン:MM1333

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

シャンブレー楊柳:MB9000

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

シャンブレー・シフォン・ジョーゼット:MB7506

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

スフとは スパン・レーヨンとは(spun rayon)


スフとは スパン・レーヨンの事で ビスコース・レーヨン長繊維の形で紡糸したものを わざわざカットして(通常2吋の長さ 約5cm程度)短繊維にして 紡績した糸の事です。
テープル・ァイバー (Staple Fiber 短繊維の意味) から「スフ」と呼ばれるそうです)

これで織物に織った布生地を スフ織物と言い、綿織物タイプや毛織物タイプなどが あります。天然繊維に似た外観をしていて 天然繊維が高価だった頃には 代用品として使われましたが、現在では あまり見かけなくなりました。

現在は スフと言う名称は使われておらず、長繊維も短繊維も 全てレーヨンと呼ばれてます。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

単丁パレスとは(タンチョウパレス) 単パレ(タンパレ)


単丁パレスとは 経糸無撚糸に緯糸1,000~1,500回/mの片方の撚りの緯糸を入れた平織り織物です。本パレスがもっと撚回数の多いSZ撚り(左撚りと右撚り)を2本交互に入れるのに 対してコスト・ダウンしたものを作るために 考え出されました。

SZ撚りのように 緯糸を2種類入れようとすると、ツーピック(2 pick 二丁(ニチョウ)と言って 少し特殊な織機が必要ですし、織機の回転数も上げにくいので生産性もやや落ちます。これに比べて 緯糸を一種類にすれば 通常のワンピック(1 pick 単丁(タンチョウ)の織機で織れますし、生産性も高いです。

単バレとも呼ばれ ポンジータフタと並んでポリエステルの三大定番品(いつでも市場にある大量生産される商品)と 呼ばれましたが、あまりに手を抜いた粗悪品(撚回数をどんどん落としたり 糸密度を甘くしたり、正規のシボ立て工程を通さなかったり等)が出回りすぎたために そのうちに消えてしまいました。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

パレス・クレープとは パレスとは (palace crepe)


パレス・クレープとは 経糸無撚糸で緯糸に2,000~2,500T/mの撚糸(通常SZ撚(左撚り右撚り)2本交互)を打ち込んだ 平織りシボの少ない織物です。デシンに似ていますが、デシンより緯糸の撚回数が少ない(パレス撚とも呼ばれます)ので シボがあまり目立ちません。

単にパレスとも呼ばれ、重めの羽二重に似た柔らかい外観と手触りです。ドレスやシャツ ブラウス等に使われます。

ドピー織機を用いて、朱子織(サテン)綾織(ツイル)で 織り模様を表したものを 紋パレスと言います。

一時期 緯糸の撚糸にSZ撚(左撚り右撚り)2本交互でなく 片方の撚りの撚糸を打ち込み 撚回数も1,000~1,500T/mに落として コスト・ダウンした「単丁パレス」(略して単パレ これに対してSZ撚2本交互のものは「本パレス」とも呼ばれた)が 大量に作られて輸出されました。

ポンジータフタ、単パレとポリエステルの三大定番品(いつでも市場にある大量生産される商品)と 呼ばれましたが、あまりに手を抜いた粗悪品(撚回数をどんどん落としたり 糸密度を甘くしたり、正規のシボ立て工程を通さなかったり等)が出回りすぎたために そのうちに消えてしまいました。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

フリーズとは (frieze)


フリーズとは(frieze)、フリーズ(freeze)ともフリース(fleece)とも違います。
(freezeとは カタカナ表記が同じなので わかりにくいですね。それぞれの意味は それぞれの単語をクリックしてください。解説のページへ飛びます)

フリーズとは(frieze)、毛羽(ケバ)を立たせた厚い紡毛織物(布生地)のことです。質の悪い羊毛を使った二重織の毛布のような感じです。厚手のコートなどに使われます。

13世紀にオランダのフリーズランドで作られたところから この名前がありますが、現在ではアイルランドで作られているそうです。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ヒートセットとは (heat setting)


ヒートセットとは、合成繊維など熱可塑性(ネツカソセイ 熱をかけると柔らかくなる性質)繊維を 熱処理して形態や寸法安定性を保つようにする加工です。

繊維(紡糸段階) 糸(撚糸等) 布生地(染め工程) 製品のいずれの段階でも、行なう事は可能です。

布生地の場合は 主に下記の目的でヒートセットされます。

  1. 一定寸法への巾だし
  2. 洗濯などに対しての寸法安定性付与
  3. 布生地表面の平滑化

ヒートセットには 乾熱(温風)と湿熱(蒸気)の2種類があり、湿熱の方が熱容量が大きいので 同じ温度でも湿熱の方が効果が大きいです(50℃くらいの差があるそうです。湿熱130℃と同じヒートセットをしようとすると 乾熱では180℃くらいまで温度を上げないとダメだそうです)。

織布工程の前に 糸に中撚ボイル撚 800~1,500T/m程度)以上の撚りをかけた場合は、そのままでは 糸が巻いてしまって 製織困難なので、80℃の湿熱でヒートセットして 撚り止めします。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリウレタンとは (polyurethane, spandex) ライクラ(Lycra)


ポリウレタンとは、ゴムのように伸びる糸の事で スポーツ・ウェアやパンティ・ストッキングなどの ストレッチのある製品に良く使われてます。

アメリカでは”spandex“とも 呼ばれてますが、デュポン(株)東レ・デュポン(株)ライクラ(Lycra)と言う商標の方が 有名です。ゴムのように5倍も伸びる唯一の弾性繊維で、ゴムに比べて 下記のような優位性があります。

  • 劣化しにくい
  • はるかに細い糸ができる
  • 染色できる(染色性はあまり良くありませんし、他染料を吸い込んで 色移りの問題がおきやすいです)

東レやデュポン以外でも、旭化成のロイカとか いろいろなメーカーからいろいろな商標で販売されています。

5~10%程度の使用で 大きなストレッチ性が得られ、キックバック性(強く引っ張っても 元に戻る性質)も良好です。

劣化しにくいと言っても ゴムと比べるとと言うだけで、保管方法や質の悪いポリウレタンを使うと 半年~3年程度で劣化する場合もあります。(太陽光は勿論 蛍光灯の光でも劣化しますし、排気ガス等にも弱いです。倉庫等でエンジン・リフトの排気ガスで劣化してしまった例もあるようです。勿論何日も何ヶ月もさらされた場合で、屋外で運動する程度では そんなに速く劣化しません)

安物の靴下の上の部分が すぐに伸びてしまうのは 質の悪いポリウレタンを使っているためです。

余談ですが、日本では 過去にライクラと言う商標を使わせてもらえず(品質レベルの実績ができるまでデュポンが使わせなかった?)、オペロンと言う商標で呼ばれてました。その後品質レベルも向上し 実績もできたので、同じ日本の会社が作っているのですが ライクラと言う商標を使えるようになりました。
(東レのライクラの会社が 東レ・オペロンテックスと言うのは その名残です)

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。