整経とは、織物の生産工程で 経糸(タテイト)を揃える(整える)工程です。ニットの経編(タテアミ)の経糸を揃えるのにも使われます。以下は織物に限った説明になります。
通常 織物の経糸は4,000~16,000本もあり、それらを一度に揃えようとすると 4,000~16,000本もの糸本数が 必要になる上に、一巻きの糸量が例えば1kgとすると 最低でも4トンもの糸量が必要になり 大変な量になります。(ポリエステルでは 通常一巻きの糸量は 2.5~10kg程度です)
ですので、下記のような2種類の方法が 取られます。
- 荒巻整経:無地織物とか生産量の多い織物に用いられる方法で、例えば7,000本の経糸なら 1,000本ずつ7つのビーム(経糸を巻くちまきみたいなもの)に巻いて(荒巻)、それを7本まとめてビームに巻いて 織布工程の経糸とします。
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糊付け(サイジング)の必要な場合は 通常この工程で糊付けします。荒巻工程で糊付けする方法(クリル(注1) to ビーム より大量生産に向いています)と 荒巻してからそのビーム一本一本を糊付けする方法(ビーム to ビーム 糸切れが多い場合に有利(注2))があります。
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利点:経糸の張力ムラが少なく 経縞(織物の欠点のひとつ)になりにくい
大量生産に向いている(コストも安くなります)
欠点:ストライプ柄(経柄)を作るのは困難
少量生産は困難
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<下記はYouTubeで見つけた荒巻整経(サイジング)の動画です>
(あまり適当なのがありませんでした)
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- 部分整経:先染め織物などで 経柄の織物や、生産ロットの少ない織物に用いられる方法で、例えば1.5mの整経巾なら 15cmずつ10回に分けて(部分部分で)整経する方法です。
(前述の例では 7,000本の経糸なら1回に700本ずつ10回部分整経します)
下の動画に写っている大きなドラム(太鼓とも言われます)と言う器具に巻き取った後に、織布工程のビームに巻き返します。
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利点:経柄を作れる
少量生産に向いている
欠点:経糸の張力ムラになりやすく 経縞(織物の欠点のひとつ)になりやすい
<下記はYouTubeで見つけた部分整経の動画です>
(注1):クリルとは 一巻きの糸を何百本とか千本とか かけておく器具です。荒巻整経の動画の中で 丸い糸が規則正しく何本も並んでいるのが クリルです。
(注2):荒巻中などに 糸が切れると、当然機械を止めます。その時に糊付けしていると その部分に糊が多くついて 欠点になりやすいのです。なので 糸が切れ易い場合は ビーム to ビームの糊付け方法が 多くとられます。
この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。