月別アーカイブ: 2013年1月

ベネシャンとは (venetian) ベネ


ベネシャンとは、朱子(サテン) または綾(ツイル)の変化組織で、マイルドな光沢があり 厚手でなめらかな風合いを持っています。布面には 急角度の斜めの線が密にあります。略して「ベネ」とも呼ばれます。

織組織は5枚サテン(経糸が4本浮いて 1本沈む。サテンの項参照)が多いようで、普通のサテンよりも 厚手で光沢はマイルドです。

元々ウール(毛)で 経糸が梳毛 双糸、緯糸が紡毛糸を使って作られてます。ですが、コットン(綿)やポリエステル、ポリエステルやコットン等の混紡糸でも 作られてます。

背広 コート カーテンなどに使用されます。ベネシャンと言う名前は 中世最強の都市国家 ベネチア(イタリア語でComune di Venezia イタリア北部の都市。英名Venice 日本ではベニス ヴェニスとも呼ばれる)から 来ています。

この記事は 布通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ニードルパンチとは (needle punch)


ニードルパンチとは、

  • 不織布では、短い繊維を薄く何枚も重ね 多数の針(ニードル)のついた機械で 圧縮してフェルト状にした布生地です。不織布の代表的な製法の一つで、安価でホツレがなく自由にカットできるので カーペットなどに多く使用されてます。
    .
    (ホームセンターなどに 安く売っているフェルト状のカーペットは ほとんどこれです)
    .
  • 刺繍では 下記動画のように、下に色のついた短い繊維のシートを敷いて、上から針(ニードル)を高速回転で差して 下の繊維を引っ張り上げたりします。

ニードル(針)を ボクシングのパンチのように差すので ニートルパンチと言うのだと 思います。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

オパール・ジョーゼットとは (opal finished georgette)


オパール・ジョーゼットとは、オパール加工をしたジョーゼットの事です。透けた生地に 透けないプリント模様が見えます。

オパール加工は、まず 絹 合成繊維などの 酸に強い繊維と、綿 レーヨンなどのように 酸に弱い繊維との 交織や混合織物を作ります。溶かしたくない部分に糊をつけ、生地を酸につけ酸に弱い繊維を溶かして 模様を作ります。詳しくはオパール加工の項を 参照してくださいませ。

オパールジョーゼットは、以前は絹とレーヨンで、最近では合成繊維とレーヨンで作られる事が多いです。

溶けた部分の 滑脱強度が弱くなり過ぎないように 織物設計の段階で ある程度考慮しておく必要があります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

 

ブロードテール ファブリックとは (broadtail fabric)


ブロードテール ファブリックとは、高級毛皮のブロードテールに似せて作った 波状の渦紋のある毛織物の事です。婦人のコート地に使われます。

(毛皮のブロードテールとは、カラクル種(ペルシャ羊の一種)の早産(未熟児で生きられなかった羊) 死産、または母親が死んだ場合の子羊の毛皮を指します。(最初は生きたまま 殺して毛皮にするのかと 思いましたが、違うようで安心しました)

毛足が非常に柔らかくて短く黒く 波紋状の模様と 美しい光沢が特徴です。産地の名前が付くことが多く ロシアン・ブロードテールとか アフガン・ブロードテールなどがあります。ロシアン・ブロードテールが有名です。

色は黒 茶 グレーなどが多く、ドレッシーな趣を持つ高級毛皮で、冬のコートなどに用いられます。カラクル種の羊の 尾が太く幅の広い事から名づけられました。(broad tail) )

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ガーゼとは (gauze, (仏)gaze)


ガーゼとは、経(タテ)・緯(ヨコ) 40番手の コットン(綿)の単糸を、経密度30本/インチ 緯密度22本/インチ程度の極めて粗い平織にして、柔らかく仕上げた織物です。

精練 漂白して衛生用材料や幼児用肌着 ハンカチにも使われます。
(以前は 切り傷ややけどなどの患部を覆う布生地として 使われてましたが、傷を治すために分泌される体液を カーゼが吸収するために、かえって害があるので 使わない方がいいようです)

近年は紡績技術が進歩して 綿糸でも細い糸が比較的安価に作られるようになり、織機も高速化して ダブル・カーゼ(ガーゼの経緯二重織)やトリプル・カーゼ(経緯三重織)も沢山販売されるようになりました。

(以前は 高価な原料である超長綿とかを使わないと 細い綿糸を作るのが困難でした。
また織機の回転数が低い(低速)と 二重織や三重織の織物を作るのに 大変コストがかかり、安価に販売する事が困難です)

粗く織ってある布生地を 一般に「ガーゼ」と称する場合もあるようです(コットン製でなくても)。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ブロードとは(broad) ブロードクロスとは(broadcloth)


ブロードとは、ブロードクロスとも言い 経糸(タテイト)を密に 緯糸(ヨコイト)の1.5~2倍くらいの糸密度で織った織物です。密な地合いで光沢があり 繊細な緯畝のある柔軟な平織物で、強度はかなりあります。

ポプリンよりは 緯畝が細いです。
(ブロード・クロスはアメリカの呼び方で、ポプリンは英国の呼び方だそうです。でも 日本では 畝が細いものをブロード・クロス、太いものをポプリンと呼ぶそうです)

元々はウール(毛)で作られてましたが、今はコットン(綿) シルク(絹) ポリエステルなどでも 作られてます。

綿ブロードが代表的で、経糸に80番手双糸 緯糸に40~60番手の単糸を使って織ります。(綿番手は 数字が小さいほど太い)

用途は幅広く、ワイシャツ パジャマ カジュアル・スーツ スカート エプロンなどに使われてます。

ウールのブロードは、縮絨によって フェルトになります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

カード糸とは (carded yarn)


カード糸とは、綿(コットン)のコーマ工程を通さない糸の事で 40番手以上(30と40番手のみは コーマ糸もある)の太さは 事実上全部カード糸になります。
(30番手以上の糸で コーマ糸を作る事も 可能ですが、あまり意味がありませんし(太いので強度は十分ある) 需要もないので、生産されてないのでは? と思われます)

カード(card:すき櫛 毛羽立て機の意味)工程は、長さ短い繊維の除去と 繊維の平行度を高める為に、綿紡績では 必ず行います。30と40番手には 両方あるので、「カード30番」とか「カード40番」のように 明記されます。
(たぶん 他の毛紡績とか 麻紡績などでも、必ず同様の工程はあると 思われます)

下記のように 外観が異なります。(写真は apparel fashion wiki より拝借しています。写真掲載ページ) カード糸の方が 膨らみ感のある糸になります。

カード糸の外観

カード糸の外観

コーマ糸の外観

コーマ糸の外観

中を構成する繊維長も 下記のグラフのようになります(綿花をほどいた繊維を縦にして 長さ順に横に並べています。縦軸が1本1本の繊維の長さです)。クラフは オリジナルTシャツ作成のファインダーと言う店の用語解説ページから 拝借しています)

ステープル・ダイヤグラム

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

コーマ糸とは (combed yarn)


コーマ糸とは、短繊維カード糸に対する言葉で、カード工程(長さの短かい繊維の除去と 繊維を平行に引き揃える工程)の後で、さらにより短かい繊維の除去と繊維の平行度をより良くする為に コーマ(comb 櫛の意味)と言う機械を通して紡績したコットン(綿)の細番手高級糸の事です。

こうする事で 締まった糸になり(かすかな光沢も出ます)、中の繊維の平行度が増して糸の切断強度も上がります。30、40番手の糸には カード糸とコーマ糸の両方がありますが、それ以上の細番手はコーマ糸のみになります。カード糸では 短い繊維があったり 平行度が低いので 細い糸を作ると強度が出ないためです。(糸は一番弱い部分で切れます)

下記のように 外観が異なります。(写真は apparel fashion wiki より拝借しています。写真掲載ページ

コーマ糸の外観

コーマ糸の外観

カード糸の外観

カード糸の外観

中を構成する繊維長も 下記のグラフのようになります(綿花をほどいた繊維を縦にして 長さ順に横に並べています。縦軸が1本1本の繊維の長さです)。クラフは オリジナルTシャツのPMワークスと言う店の用語解説ページから 拝借しています)

ステープル・ダイヤグラム

超長綿と言うのは この1本1本の繊維長の平均の長い綿花を 糸にした物です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。