月別アーカイブ: 2012年12月

ポプリンとは(poplin)


ポプリンとは、緯糸(ヨコイト)の方向に 細い畝が見える 手触りの良い柔らかな平織物です。ブロード・クロスよりは 畝が太いです。

(ブロード・クロスはアメリカの呼び方で、ポプリンは英国の呼び方だそうです。でも 日本では 畝が細いものをブロード・クロス、太いものをポプリンと呼ぶそうです)

元々は シルク(絹)とウール(毛)の交織織物でしたが、現在ではコットン(綿)織物が多く、ウール シルク ポリエステルなどでも 作られてます。

コットン・ポプリンは 経(タテ)40番手くらい 緯(ヨコ)30~40番手くらいの物が多く、経密度が緯密度の2倍近く込んでます。(ブロード・クロスと同じように)

用途は幅広く スカート 薄手のジャケット エプロン カーテン テーブルクロスなどです。

ポプリンの語源は フランスの地名 “Popeline” から来ています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ローンとは (lawn)


ローンとは、薄く 密で 滑らかな織物です。通常経(タテ)に60~80番手(綿番手)、緯(ヨコ)に80~100番手のコーマ糸を使います。元々はリネンで織られてました。リネンを模しているので ハリがあります。

現在は コットン(綿)をはじめ ポリエステル/綿などの混紡糸でも 作られてます。薄いので シャツ、ブラウス、ワンピースなどに使われます。

ローンの語源は、Laon(Laow?)と言うフランスの町の名前と、芝生(lawn)という2つの説があります。

貸付の意味のローンも 日本語表記は同じですが、スペリングは “loan” で別物です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ビニロンとは(vinylon)


ビニロンとは、ポリビニル・アルコールから作られた繊維です。コットン(綿)に似た風合いで、化学式はユニチカのページに載ってます。

合成繊維の中で 唯一吸湿性があり 強度や熱にも強い上にコストが安いために、当初はトレーニング・ウェアや学生服等 いろいろ使われました。ですが、染色しにくくゴワゴワすると言う問題があり 今は産業用に多く使われています。

現在、日本では クラレ(株) ユニチカ(株) (株)ニチビが生産しています。主な用途としては、ロープ 海苔網(吸湿性があるため) 石綿に代わるセメント板の補強材(強度と耐熱性) ゴムやプラスチックの補強材等があります。

耐熱性のあるビニロンに難燃性加工を施したものは、燃焼時の溶融落下物(メルトドリップ)がないので、安全作業服や消防用出動服などに使用されています。

ニチビの水溶性ビニロン(商品名:ソルブロン)は 水に溶ける繊維として知られています。溶かす事で その布生地の風合いを良くしたり、無撚糸のタオル(風合いがとても良い)に使われたり、毛羽の多い麻糸に巻いて 織物の経糸に使ったりします。

日本で世界最初に1939年に合成された繊維で、ナイロンに2年遅れましたが 世界で2番目に作られた合成繊維です。作られた経緯は Wikipediaに詳しく載ってます。

この樹脂は フィイルム状にすると 平面性が良く 光学特性もいいので、液晶ディスプレイの偏光板など、繊維以外の用途にも 多く使われています。液晶ディスプレイの偏光板のクラレの世界シェアは80%と言われています。

(クラレには シェアNo.1の商品が 数多くあります。大学院時代の恩師が 就職先として強く奨めてました)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

寒冷紗とは (カンレイシャ Victoria lawn)


寒冷紗とは、コットン(綿)の平織の薄地織物で、濃い糊を付けて 固く仕上げたものです。ビクトリア・ローンも言います。

経・緯(タテ・ヨコ)とも 40番手くらいの綿糸を用いて、ごく粗く織り上げます。60~80番手の糸を用いた上質なものもあり、造花用 人形の衣装 カーテン地などにも使われます。
(亡くなった人の死装束(コットンやレーヨン製だと 燃やしてもほとんど においがしない為)や、音声特性がいいので スピーカーの前に張る布としても 使われたようです)

40番手以下の太いものには、白と黒があり 共に農作物の日よけ 防虫 防暑(日光を遮る)などの目的にも 使われたようです。

近年はコットンだけでなく、レーヨンや ポリエステル ビニロンなどで 作られたものもあるようです。

芯地(薄地用) ふすま張地 蚊帳 等の用途もあるそうです。

元来は で作られていたようです。たぶん 麻で作るより安価にできたので、だんだんと置き換えが進んだのではないでしょうか?

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ピン・ストライプとは(pin stripe) ドッテッド・ストライプ(dotted stripe) ピンポインテッド・ストライプ(pinpointed stripe) ピンヘッド・ストライプ(pinhead stripe)


ピン ストライプとは、濃色地に明るい色のピンの頭のような点を 連続させた縞柄のことです。一般に縞の間隔は狭いです。ピンを沢山刺したようなので ピン ストライプと言われるのだと思います。

ドッテッド・ストライプピンポインテッド・ストライプピンヘッド・ストライプとも言われます。下記写真は shutterstockさんより 拝借しています。

ピン・ストライプ

ピン・ストライプ

ピン・ストライプ生地の写真 (もっと細かい幅の柄もあります)

紳士スーツ用の毛織物生地によく使われています。

プリントで作って 点線ではなく、連続した線になっていても ピン・ストライプと呼ぶ事もあるようです。(本来の意味からは はずれてますが)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シャトルレス織機とは シャトル(shuttle) 飛び杼(トビヒ)


シャトルレス織機とは、下記写真のような「シャトル」を使わない織機の事です。シャトルの事を 日本語では飛び杼(トビヒ)とも言います。
(下記写真は ウィキペディアより 拝借しています)

シャトル

シャトル

シャトルの写真

スペース・シャトルの語源にもなった シャトルです。経糸(タテイト)の間を行ったり来たりするので、宇宙と地球を往復する姿に なぞらえたと思われます。

織物は非常に長い間 このシャトルを使って 生産されてきました。最初は手で(手機 テバタ)、次に足を使ったり(足踏織機 アシブミショッキ)、産業革命で蒸気機関を使ったり、後にモーター(電力)に変わりました。(動力を使ったものを「力織機(リキショッキ)」と言います)

緯糸がなくなると 検知してシャトルを自動的に交換するような自動織機(日本の豊田佐吉が最初に開発)まで作られるようになりました。ですが 一定の重量のものが、行ったり来たりするので どうしても毎分の往復回数(回転数)に限界がありました。(工業量産スピードで 毎分200~250回程度)

また 太い糸では、シャトルの中に巻く糸も 量的限界があります。シャトルを大きくすると 重量が増し 往復回数を上げにくくなります。幅の広い織物を生産するのも 大変困難です。

それで 水や空気で緯糸を飛ばしたり、長い棒で緯糸を引っ張ってくるような、シャトルレス織機が発明されました。現在の織物生産は、シャトルレス織機が 主力で生産されています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

グリッパー織機とは(gripper loom) グリッパールーム


グリッパー織機とは、小さな鉄片が緯糸(ヨコイト)の一端をくわえて(グリップして)、経糸(タテイト)の間を 片方向からだけ飛んで 緯糸を織り込む織機(ショッキ)です。

シャトルレス織機シャトル飛び杼(トビヒ) を使わない織機)の一種で、スイスのスルーザー織機(Sulzer)が有名です。と言うか ここしか作ってないようです。

緯糸を確実に遠方まで 飛ばすことができるので、幅の広い織物や 二幅織り、三幅織り(2、3枚の布生地を同時に作る)が 可能になります。

綿(コットン)や毛(ウール)織物によく使われてます。汎用性はあるのですが、単品量産型の織機です。(いろいろなものを 織ることが可能ですが、しょっちゅう品種転換するのには 不向きな機械)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

小倉とは(コクラ)


小倉とは、経糸(タテイト)1本に対し、緯糸(ヨコイト)を2~3本引き揃えて 平織または綾織に織った 比較的密な綿織物です。

白 紺 霜降りなどの色があります。袴(ハカマ) 帯 学生服などに使われましたが、現在は少なくなってます。福岡県小倉で生産されたので この名前があります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

色が違って見える 演色性とは(color rendering property)


布生地の場合、色が違って見える時は 大きく次の2つの場合があります。

  1. 太陽光や蛍光灯など光源の違い(演色性 エンショクセイ)
  2. 染バッチが違う

2.の場合は 次を参照してください。
後から買いに行った布生地の色が微妙に違う

演色性とは、光源によって 同じ色でも微妙に違って見える事です。太陽光(自然光)の下で 同じ色に見えても、蛍光灯などの下では 違う色に見える現象です。弊生地屋は 自然光(北向きの窓)で 色合わせしてます。蛍光灯の下で 色合わせする会社も あるようです。

プロのアパレルの方でも、演色性のことをご存じなくて 「色が違う」と言う おしかりを受ける事が 稀にあります。演色性の事を 御説明してご納得いただきます。(弊店は北向き窓で 色合わせしてますと。自然光で色が合っていても、蛍光灯の光では 違ってみえる場合があります)

下記写真のように 同じ肉の写真でも 色が違って見えます。(写真は コニカミノルタさんのHPより拝借しています。演色性とは)

光源による演色性の違い

光源による演色性の違い

上の肉の写真、左が 演色性が一番高い(太陽光に一番近い)ので 一番美味しく自然に見えます。

  1. 左: 演色指数(Ra)の一番高い(Ra91)D50と言う蛍光灯
  2. 中: 昼白色蛍光灯(Ra79)
  3. 右: LED(Ra68)

(現在販売されているLEDは 技術が進んで もっと演色性は上がってます。Ra85程度とか、実際 昼白色の蛍光灯よりも 自然に見えます)

白熱電球は 演色指数が一番高く(ほとんどRa100 照度は暗いですが)、また 赤味に見えるので(赤黄色の暖色は 食欲をそそります。マックの看板が 赤と黄色なのは そのためです) レストラン等では 白熱電球を使う場合が多いです。

下記が太陽光のグラフです。縦軸は 上のグラフと同じように 相対値になってます。(グラフは 1.023world – ヤドカリパークとマリンアクアリウムさんの ブログより拝借してます)

太陽光(自然光)のスペクトル

太陽光(自然光)のスペクトル

太陽光の計算上のスペクトル

このグラフの形(スペクトル)と 蛍光灯やLEDのグラフの形の違いが 演色性の原因の一つです。LEDのスペクトルが 一番太陽光に近いのですが、480nm(ナノメートル)辺りの 相対値が 低すぎるためか、自然光からは程遠い色の見え方になってます。

他にも 人の目が感じる色の強さが 色によって違うのも要因の一つです。下記グラフのように 明るい所(点線のグラフ)では550nm辺りの緑色が最も強く感じます。(暗い所(実線のグラフ)では 500nm辺りの空色です。写真は シャープさんのHPより拝借しています)

暗い時と明るい時の比視感度

暗い時と明るい時の比視感度

暗い時と明るい時の比視感度

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。