投稿者「kijiya」のアーカイブ

バックサテン・アムンゼン(back satin amunzen) クレープ・バック・サテン(crepe back satin) バック・サテン(back satin)


バックサテン・アムンゼンとは、表面がクレープ(一般的にアムンゼン(梨地)組織) 裏面がサテンになった布生地の総称です。クレープ・バック・サテンとか 簡単にバック・サテンとも呼ばれます。

ですが、どちらの面も使えます(一般的に布生地は デザイナーさんが好きな面を使われます。企画・生産者が思っている面と 反対の面を使われる事も多いです)。また 身頃はクレープ 襟はサテンのように 1枚の布生地で2種類のような使い方もできます。

生地屋ストレッチ・サテンは この生地の一種で、両面使えます。(ただ 御注文時には どちらを使うかご指定くださいませ。そちら面を検査して出します。一般的に 布生地は片面しか 染め上がり後に検査しておりません)

下記画像クリックで この布生地の詳細(購入もできますし、無料サンプル請求もございます)へ飛べます。

バックサテン・アムンゼンの一種 ストレッチ・サテン

バックサテン・アムンゼンの一種 ストレッチ・サテン

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

整経とは(セイケイ) 荒巻整経(アラマキセイケイ) 部分整経(ブブンセイケイ)


整経とは、織物の生産工程で 糸(タテイト)を揃える(える)工程です。ニット経編(タテアミ)の経糸を揃えるのにも使われます。以下は織物に限った説明になります。

通常 織物の経糸は4,000~16,000本もあり、それらを一度に揃えようとすると 4,000~16,000本もの糸本数が 必要になる上に、一巻きの糸量が例えば1kgとすると 最低でも4トンもの糸量が必要になり 大変な量になります。(ポリエステルでは 通常一巻きの糸量は 2.5~10kg程度です)

ですので、下記のような2種類の方法が 取られます。

  1. 荒巻整経:無地織物とか生産量の多い織物に用いられる方法で、例えば7,000本の経糸なら 1,000本ずつ7つのビーム(経糸を巻くちまきみたいなもの)に巻いて(荒巻)、それを7本まとめてビームに巻いて 織布工程の経糸とします。
    .
    糊付け(サイジング)の必要な場合は 通常この工程で糊付けします。荒巻工程で糊付けする方法(クリル(注1) to ビーム より大量生産に向いています)と 荒巻してからそのビーム一本一本を糊付けする方法(ビーム to ビーム 糸切れが多い場合に有利(注2))があります。
    .
    利点:経糸の張力ムラが少なく 経縞(織物の欠点のひとつ)になりにくい
    大量生産に向いている(コストも安くなります)
    欠点:ストライプ柄(経柄)を作るのは困難
    少量生産は困難
    .
    <下記はYouTubeで見つけた荒巻整経(サイジング)の動画です>
    (あまり適当なのがありませんでした)

    .
  2. 部分整経先染織物などで 経柄の織物や、生産ロットの少ない織物に用いられる方法で、例えば1.5mの整経巾なら 15cmずつ10回に分けて(部分部分で)整経する方法です。
    (前述の例では 7,000本の経糸なら1回に700本ずつ10回部分整経します)
    下の動画に写っている大きなドラム(太鼓とも言われます)と言う器具に巻き取った後に、織布工程のビームに巻き返します。
    .
    利点:経柄を作れる
    少量生産に向いている
    欠点:経糸の張力ムラになりやすく 経縞(織物の欠点のひとつ)になりやすい

<下記はYouTubeで見つけた部分整経の動画です>

(注1):クリルとは 一巻きの糸を何百本とか千本とか かけておく器具です。荒巻整経の動画の中で 丸い糸が規則正しく何本も並んでいるのが クリルです。
(注2):荒巻中などに 糸が切れると、当然機械を止めます。その時に糊付けしていると その部分に糊が多くついて 欠点になりやすいのです。なので 糸が切れ易い場合は ビーム to ビームの糊付け方法が 多くとられます。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリノジックとは(polynosic)


ポリノジックとは、ビスコース・レーヨンの欠点を改善した繊維で、製法を変えて 重合度結晶化度を上げて 緻密な繊維にしたものです。

全体的に均一の分子構造を持っているため、弾性にすぐれ特性を示します。通常のレーヨン(ビスコース・レーヨン)に比べ吸水性が低く、水中膨潤度が小さくなります。ですので 寸法定性(洗濯、着用によって、寸法が伸びたり、縮んだりしない性質)も向上してます。

東洋紡(株)のタフセルとか 富士紡績(株)のジュンロンが 日本で生産されてましたが、現在(2012年)はもう生産していません。

(余談ですが、わたしは随分長い間 ポリノジックとは ポリエステルの一種だと勘違いしてました)

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

レーヨンとは(rayon) ビスコース・レーヨンとは(viscose rayon)


レーヨンとは パルプ(木材のくず)などを原料とした繊維素(セルロース cellulose セルロースは綿の主成分)からなる再生繊維の総称です。製法によって下記のように分類されます。

  • ビスコース・レーヨン(ビスコース法繊維):一般にレーヨンと言うと この繊維です(狭義の呼び方)。もう国内では作られてません。
  • キュプラ(銅アンモニア法繊維 銅アンモニア・レーヨンとも呼ばれます):旭化成せんい(株)ベンベルグ 原料は「綿花のくず」
  • ポリノジック:ビスコース・レーヨンの欠点を改良した繊維でしたが、もう国内では作られてません。

レーヨンは 近年生産量が少ない(過去には 現「東レ(株)」の旧社名が「東洋レーヨン」だったように かなり多く生産されてました。東レは現在海外で生産しています)のに 競争が激しく付加価値がつけにくいために 世界的にもどんどん生産が減ってます。

長繊維と 紡糸した繊維を主に2吋(約5cm)の長さにカットして紡績した短繊維があります。短繊維は過去にスフと呼ばれてました。ビスコース・レーヨンの長繊維も過去に「人絹(ジンケン)」とも 呼ばれてました。

性質的にも 洗うと縮むとか シワになりやすいとか 強度がないとかで あまり優れてません。

ベンベルグ裏地を主用途として ブランドを確立したベンベルグ以外は もう国内では作られなくなりました。(世界中で キュプラを生産しているのは 旭化成せんい(株)だけです)

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

エンボス加工とは(embossing finish)


エンボス加工とは、熱可塑性(熱すると柔らかくなる性質)の織物などの布生地に 型のついたローラー等で熱をかけて 凹凸の押型模様をつける加工です。

ローラーの大きさの制約上 小さい柄や経トライプの模様が多いです。

楊柳などで 経シワの形状を一様にするために(通常は両耳端近くの 経シワが強くなり、真ん中は平坦になりやすい)、リラックスと言う楊柳シボを立てる工程の前に行う事もあります。

(エンボスで シワの型押をつけておくと 一様になりやすい。染工場によって 型が違う事が多く、同じ生機を加工しても 楊柳の形状は同じにならない事もあります)

エンボスをしない楊柳シボは やや不均一で自然な感じで仕上がります(ナチュラル楊柳。ただし 経糸に比べて緯糸の撚糸力を十分に強く織物設計しないと 不均一になりやすい)。

下記はその布生地の一例です。写真クリックで この布生地の詳細をご覧になれます。

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

クリアカット仕上げとは(clearcut finish) ドライ・フィニッシュとは(dry finish)


クリアカット仕上げとは、表面の毛羽(ケバ)を 焼いたりカットしたりして 綺麗にする仕上げ方法です。ドライ・フィニッシュとも言われ、主に薄めの梳毛織物のように元々毛羽の多い布生地を 春夏向きにするために用いられます。

ポーラトロピカルクレープジョーゼットなどの薄めの梳毛織物に用いられ、本来秋冬素材である梳毛織物の用途を拡げています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

番手とは(バンテ) 太番手(フトバンテ) 細番手(ホソバンテ)


番手とは 糸の太さを表す単位で 一定重さ当たりの長さデニールデシテックスと反対です。それらは一定長さ当たりの重さです)になります。ですので、小さいほど太い糸になります。20番手の糸の方が 40番手よりも太くなります。

太い糸を太番手、細い糸を細番手とも言います。
(通常下記のように言います。
太番手:綿番手では20番以下、毛番手では36番手以上 麻番手ではリネンは40番以下 ラミーは25番以下
細番手:綿番手では60番以上、毛番手では72番手以上 麻番手では100番以上)

ややこしい事に、コットン(綿) ウール(毛) 麻など 素材別に全部 一定の重さや長さの単位が異なります。ですので 綿の40番手と毛の40番手は 同じような太さではありません(比重が少し異なるので 同じ単位にしても同じ直径にはなりませんが)。テックスと言う 共通の単位もありますが、上記の天然繊維の業界では普及しませんでした。

下記が それぞれの番手の定義です。

  • 綿番手:1ポンド(453.6g)当たりの長さ(単位840ヤード=768m)
    (1ポンドで長さが840ヤードあれば 1番手)
  • 毛番手(=メートル番手):1kg当たりの長さ(単位1km)
  • 麻番手:1ポンド(453.6g)当たりの長さ(単位300ヤード=274m)
  • カタン番手:ミシン糸の太さの単位。綿番手と同じ定義。
    (詳細は ミシン糸の番手を参照)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シルックとは 


シルックとは、東レ(株)の商標で ポリエステル製ですが 糸の断面をシルク(絹)の花びらのような三角断面を真似て その形にした糸の事です。(通常の糸は丸い断面です) 絹のような光沢や手触りですが、家庭で通常の洗剤で洗濯できて 取り扱いはとても楽です。

または その糸を用いた布生地や 着物などの製品を「シルック」と呼ぶこともあります。
東レシルックきもの

他のメーカーからも 同等の糸(異型断面糸と通称されてます。字句の意味からだけ言うと 丸段名以外は全部異型ですが、繊維の業界で異型断面と言うと 通常は花びらのような三角断面を指します)は販売されていますが、それらの製品をシルックと呼ぶ事は 商標権の侵害にあたります。

下記が弊生地屋取り扱いのシルック織物の例です。画像やリンク・クリックで 詳細がご覧になれます。

手触りの良いシルデュー・デシン

手触りの良いシルデュー・デシン

手触りの良いシルデュー・デシン:MB2000

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

シャンブレー・シワ・ヘリンボン:MM1333

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

シャンブレー楊柳:MB9000

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

シャンブレー・シフォン・ジョーゼット:MB7506

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

スフとは スパン・レーヨンとは(spun rayon)


スフとは スパン・レーヨンの事で ビスコース・レーヨン長繊維の形で紡糸したものを わざわざカットして(通常2吋の長さ 約5cm程度)短繊維にして 紡績した糸の事です。
テープル・ァイバー (Staple Fiber 短繊維の意味) から「スフ」と呼ばれるそうです)

これで織物に織った布生地を スフ織物と言い、綿織物タイプや毛織物タイプなどが あります。天然繊維に似た外観をしていて 天然繊維が高価だった頃には 代用品として使われましたが、現在では あまり見かけなくなりました。

現在は スフと言う名称は使われておらず、長繊維も短繊維も 全てレーヨンと呼ばれてます。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

単丁パレスとは(タンチョウパレス) 単パレ(タンパレ)


単丁パレスとは 経糸無撚糸に緯糸1,000~1,500回/mの片方の撚りの緯糸を入れた平織り織物です。本パレスがもっと撚回数の多いSZ撚り(左撚りと右撚り)を2本交互に入れるのに 対してコスト・ダウンしたものを作るために 考え出されました。

SZ撚りのように 緯糸を2種類入れようとすると、ツーピック(2 pick 二丁(ニチョウ)と言って 少し特殊な織機が必要ですし、織機の回転数も上げにくいので生産性もやや落ちます。これに比べて 緯糸を一種類にすれば 通常のワンピック(1 pick 単丁(タンチョウ)の織機で織れますし、生産性も高いです。

単バレとも呼ばれ ポンジータフタと並んでポリエステルの三大定番品(いつでも市場にある大量生産される商品)と 呼ばれましたが、あまりに手を抜いた粗悪品(撚回数をどんどん落としたり 糸密度を甘くしたり、正規のシボ立て工程を通さなかったり等)が出回りすぎたために そのうちに消えてしまいました。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。