月別アーカイブ: 2012年11月

カルゼとは(kersey)


カルゼとは、経糸(タテイト)に霜降りの双糸 または杢糸、緯糸(ヨコイト)には 単糸を使用した綾織物です。

  • 紡毛のカルゼは、経緯(タテヨコ)に紡毛糸を用いて、2/2ので緻密に織り 十分に縮充して、起毛後煎毛(センモウ)します。
    布面は毛羽で隠れていて、光沢があります(下記写真参照)。
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  • 綿のカルゼは、経糸に42双糸くらいの杢糸、緯糸に20番手くらいの染糸を使って、2/2のに織った織物です。霜降り効果があります。
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  • 日本では 綿の小倉をカルゼと言う場合もあります。

下記が紡毛カルゼの例です。(写真は「apparel fashion Wiki」から 拝借しています)

紡毛カルゼ(光沢があって 綾目がはっきり見える)

紡毛カルゼ(光沢があって 綾目がはっきり見える)

紡毛カルゼの布生地写真

カルゼの名称は、イギリスのサッフォード州の毛織物産地ガージー(Kersey)に由来すると言われています。

丈夫なので コートやジャケット パンツ スカートなどに使われます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ビエラとは (Viyella)


ビエラとは、本来は綿(コットン)50% 毛(ウール)50%の混紡の糸で 2/2の綾織にして フランネル仕上げ(起毛)した織物の事です。

イギリスのウィリアム・ホリンズ社(Willam Hollins & Co)の商標名でしたが、現在は綿や毛織物の薄手フランネルも ビエラと呼ばれてます(フランネルの中で薄いもの)。

シャツ、パジャマなどに よく使われてます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ギャバジンとは(gaberdine) ギャバ


ギャバジンとは、単にギャバとも言い 綿(コットン) 梳毛 麻 ポリエステルなどで 織られた丈夫で緻密な綾織物です。一般に特定の素材(綿とかウールとか)の織物の名前ではなく 織り方(織組織)の名前と言えます。

バーバリーのコート地が有名です。通常経糸の密度が 緯糸の倍くらいあるので(この方が織布の生産性は高い)、綾目(斜文目)が急角度になります。(裏面の方が綾目がはっきり見える場合もあります)

綿ギャバジンは40~60番手双糸使い、毛ギャバジンは48~72番手双糸使いが多いです。毛のギャバジンは厚く本格的な冬物に使用される事が多く、綿やポリエステルのものは 薄手で秋冬のコート地に使われる事が多いです。

ギャバジンの名前の由来は、もともと中世に着られた緩やかなクロークないしガウンを意味し、後に雨用のクロークや、身体を保護するスモックなどを意味するようになった「ギャバジン (gaberdine, gabardine)」という言葉に由来しているそうです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

バーバリーとは (Burberry)


バーバリーとは、コートで超有名なイギリスのブランド名です。布生地では 綿ギャバジンの一種で 元々はバーバリー・ブランンドのオイル・クロス(透湿防水加工)のコート地につけられた商標でした。ですが、今ではコート地の代名詞にように使われています。

ポリエステル一般をテトロンと呼ぶのと 同じような感じですね)

経・緯に80~100番双糸を使い、密度は経190~200本/吋 緯95~100本/吋にして 2/2の綾(ツイル)に織ります。緻密でかすかな光沢のある手触りの良い織物です。

緻密に織った布生地に 耐久性のある撥水オイルをコーティング(塗布)しているので、ゴアテックスほど高性能ではないですが、透湿防水性能(汗をかいても ムレにくい)があります。それで 第二次世界大戦では 戦場のトレンチ・コート生地(トレンチは塹壕の意味です)として採用されました。

バーバリーの創始者 トーマス・バーバリー氏は、梳毛または綿を 織布工程の前に防水加工を施して緻密に織り上げて 布生地を織ることの特許を取りました。これが コート生地のバーバリーの始まりです。

ゴム引きよりはずっと着心地がよく(透湿性のため 昔はゴアテックスなどはなかった)、1911年に南極点に到達したロアール・アムンセン、南極大陸横断探検隊を率いたアーネスト・シャクルトンをはじめ、極地探検家たちに愛用されたそうです。1924年にエベレスト初登頂を目指したジョージ・マロリーが遭難した際にも、彼はこの布で作られたジャケットを着用していたそうです。

でも アムンセンと同時期に南極点を目指して 遭難したロバート・スコットの防寒服も、バーバリー社が製作したものらしいですが。
(牛革を重ねた形状の防寒服で、汗など体から出る水蒸気を吸い込み それが体温を奪って 保温の役目をあまり果たさなかったらしいです。それに比べて アムンゼンのは伝統的な防寒服であるアザラシの毛皮(耐水性がある)で作られていたらしいです)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

帆布とは(ハンプ canvas) キャンバス セールクロス(sailcloth) ダック(duck)


帆布とは、セールクロス ダック テント・ダック キャンパス ズックとも言い、通常10番手くらいの糸を密に織った非常に丈夫な厚手の平織物です。厚いものを織る時は 10番手くらいの糸を2~8本撚り合わせて使います。

本来は船の帆に使われてました。厚さは1~11号まであり、数字が小さいほど厚いです。10、11号は薄物、6~9号は厚物、2~4号は極厚物と言われるそうです。細い糸を使って 密に織ってあるものほど 高級とされ、防水性に優れてます。

コットン(綿)製が主ですが、麻や合繊製のものもあります。コットンや麻は 水分を含むと膨らむので 防水性が不完全ながら増しました。ゴム引き等の手法がなかった時代は 布生地ではこの程度の防水性しかできませんでした。

用途は 帆 天幕(テンマク) スニーカー カバン 日よけ 建築用シート 洋画布 着物の衿芯や帯芯 相撲の廻し トラックの幌 競馬のゼッケン等など 幅広く使われます。用途によって 防水やゴム引きする事もあります。

ダックの語源は、布を意味するオランダ語の”doek”だそうです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シレジアとは(silesia) スレーキ(sleek) スレキ


シレジアとは、スレーキ スレキ(英語のスペルからは スレーキの方が正しいと思われますが)とも言われ、元々コットン(綿)の比較的密に織られたツイル(綾)織物で、服の裏地等に使われます。

一般に無地織物ですが、格子(チェック)などに 染められた物もあります。強い光沢仕上げをされて(合繊などと比べると あまり光りませんが) 滑りがよくなってます。

ジーンズ用語では スレーキはフロント・ポケットの袋地を指します。綿の平織または綾織で 厚く糊付けして弱いですが光沢を出してます。

ドイツのシレジア地方で最初に織られた事から シレジア(silesia)と言われるそうです。

スレーキの語源は 滑らかなという意味のスリーク(sleek)にあると言われています。合繊でも ズボンの裏地用途などに ウーリー加工糸平織りに織った織物も スレーキと呼ばれます。

また別にメリノ羊毛や メリノ羊毛を使った織物を シレジアと言う事もあります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

よろけ織とは オンジュレー(仏 ondule eは上に点がつきます)


よろけ織とは、オンジュレーとも言い、

  1. 特殊な筬(オサ)を使って 経糸を波状にしたもの
  2. 緯糸を波状にしたもの

で、波型の地模様が現れます。非常に珍しい織物(私も写真でしか 見たことがありません。通常は 経糸緯糸共 直線です)で、一般に平織が多いそうです。

下記が経糸をよろけさせた織物の例です。わかりにくいですが、経糸が波状になっている部分があります。
(写真は nunotech研究所様より 拝借しています)

経よろけ織(たてよろけ)

経よろけ織(たてよろけ)

経よろけ織(たてよろけ)

下記が緯糸をよろけさせた織物の例です。特殊な方法でやっているようですが、緯よろけ織の布生地としては このようなものだと 思われます。
(写真は 小林繊維株式会社様より拝借しています)

緯糸よろけ織(よこよろけ)

緯糸よろけ織(よこよろけ)

緯よろけ織(よこよろけ)

オンジュレーとは フランス語で「波形」の意味だそうです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

異型断面とは(イケイダンメン)


異型断面とは、糸では下記の写真のように シルク(絹)を真似て 合成繊維再生繊維で 糸の断面を丸でない断面にした繊維の総称です。
(下記写真は 丸安毛糸株式会社様より 拝借しています)

異型断面の例(左:シルク 右:レーヨン)

異型断面の例(左:シルク 右:レーヨン)

異型断面の例

丸でない形にする事によって(通常の合成繊維や再生繊維は 丸断面です)、下記のような特性が出てきます。

  • 絹のような光沢が出る(絹独特の光沢は 上記写真のような 不完全ながら三角形になっている為)
  • 合繊独特のぬめり感が軽減して ドライなタッチになる
  • 糸の表面に 上記右写真のように縦の溝をつけて、毛細管現象で水分を排出しやすくなる(速乾の布生地の中には これを利用しているものもある)

三又のような三角(例:東レシルック等 単に「異型断面」と言うと この三又のような三角断面を指すことが多いです)  星型 五角形等、いろいろな種類があります。最近は 下記写真のような精密な断面の糸も 作られるようになったみたいです。
テイジンさんのホームページより 拝借)

精密な形の異型断面

精密な形の異型断面

テイジンタコ足断面の軽量・多機能繊維

下記が 弊生地屋取り扱いの 異型断面繊維の布生地です。画像やリンク・クリックで 詳細がご覧になれます。

シワになりにくいサテン・クレープ

シワになりにくいサテン・クレープ

サテン・クレープ:MB8410

金属光沢の綺麗なシャンブレー・サテン

金属光沢のシャンブレー・サテン

シャンブレー・サテン:MB8400

手触りの良いシルデュー・デシン

手触りの良いシルデュー・デシン

手触りの良いシルデュー・デシン:MB2000

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

シャンブレー・シワ・ヘリンボン:MM1333

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

シャンブレー楊柳:MB9000

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

シャンブレー・シフォン・ジョーゼット:MB7506

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

移行昇華とは


移行昇華とは、布生地にコーティングされたポリウレタンやゴム引きのゴムに 色が昇華して移ってしまう現象です。ポリエステル繊維を染めるのに使う分散染料は この現象が起こりやすいです。

(昇華とは、固体から気体へ 気体から固体へと言うように、液体の状態を経ずに 変わる事をいいます。この場合は 布生地から昇華した染料成分が、ポリウレタンやゴムの中で 昇華して固体へ変わり、色が見えます)

移行昇華が起こると、プリントの柄が ポリウレタン・コーティングに移って プリント柄が2重に見えたりします。染生地とポリウレタンやゴム素材に縫い合わせ等で 密着している部分で 起こる事もあります。

いろいろな移行昇華防止の加工方法が 行われてます。また カチオン可染のポリエステルを用いて カチオン染料のみで染めると この現象は起こりません。
(カチオン可染布生地を使っていても 色によって分散染料で染めている場合もありますので 注意が必要です)

移行昇華を完全に防ぐには 酸性染料で染まるナイロン等を用いれば良いです。コーティングやラミネート布生地で 防寒着やスポーツ用素材 バック用素材等に ナイロンが使われる理由の一つになってます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ダブル幅とは(W幅) シングル幅 ダブル巾 W巾 シングル巾 S巾


ダブル幅とは(W巾)、合繊織物の場合、現在では布幅140cm幅以上のものを言います。それ未満をシングル幅(S巾)と言いますが、112cm幅のものが多いです。

ただ 繊維(素材)がちがうと 呼び方も変わるようです。コットン(綿)ではシングル幅は92cm(ヤード幅 ヤール幅とも言います。1ヤード=91.44cm)のようです。ウール(毛)では ほとんど150cm幅以上のようです。
(ですので「ダブル幅とは」で検索すると いろいろな幅の答えが出てきます)

手芸店では 布生地を置く棚の長さの関係もあり、90cm幅の布生地が置かれている事が多いようです。

シングル幅では 身頃と袖や他のパーツを別々の長さで取らなければ ならない事が多く、用尺が余分に必要になります。ですが、ダブル幅では 身頃の長さの中で袖や他のパーツを取ることができて、取り効率が良くなります。

用尺が短くて済むのと(メータ単価は倍にはならない)、最近は体格が良くなってきていて 大きなサイズはシングル幅では 取りづらい場合もあるので、プロのアパレルさんは ダブル幅の指定が多いです。

ただプリント下(P下)は、プリント工場の設備がダブル幅に対応してない工場も多く シングル幅の布生地が主体になります。

幅はあくまでも公称で、その幅までパターンが取れますよ(端には いろいろな歪が残っているので 実際にギリギリまで取る場合は あまりありません)と言う意味です。実際には公称幅以上ある事が多いです。(数センチですが)

倍の長さでないのに ダブル幅と言うのは、いろいろ調べましたが よくわかりませんでした。身頃の長さの中で 袖等他のパーツも取れるので ダブル幅と言うのかも知れません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。