オサとは(筬)、下記写真のようなもので 織物を織るときに 経糸を通しておくものです。(2番目の写真。これらの写真は 日本竹筬技術保存研究会さんより 拝借してます)
大昔は竹筬を使用していたようですが、現在は工業生産する場合は金筬(カナオサ 金属製の筬)しかつかいません。
(経編(タテアミ ニットの種類の1種)機の、導糸針を1列に並べて取り付けた板も 筬と言います)
昔は 金筬は機屋(ハタヤ 織物製造業者 織布業者)の財産と言われましたが(半永久的に使えた)、織機の高速回転化に伴って 消耗品となりました(筬が磨耗して傷がついたりして 使えなくなります)。
一つの羽(ハ 筬ではこの字を使います。英語でreed split/reed dent 通常鋼かステンレスです)の隙間に通常1~6本の経糸を通し、これによって織物の経糸密度がほぼ決まります。
(織縮み 染加工縮みなどで、筬密度x通し本数より実際の織物経密度は多くなります。「羽二重」は一つの隙間に2本糸を通す事から 名前がつきました。エアージェット・ルームでは 空気の拡散を少しでも防ぐために 突き出た窪みのある筬羽になってます)
この筬羽に傷がついたり 羽が曲がったりすると、経糸が切れたり 経筋(タテスジ)などの生地の欠点になります。
金筬は 金属製で上下(専門用語で「天地」と言いいます)が固定され 通常「鯨寸(クジラスン 約3.875cm)」間の羽数で密度を表わします。
織物の経緯(タテヨコ)の糸密度も 昔は鯨寸間の本数で表されていたようですが、海外規格のインチ(吋 inch 2.54cm)間の糸本数で 通常表わすようになりました。
金筬は 上下のバネで羽が挟まれており このバネの厚みとコイルの数で密度が決まります。このバネと羽を固定する方法には ハンダで固定する方法と樹脂で固定する方法があります。ハンダの方が耐久性があり 製造現場で傷んだ時に直しも効きますが、ハンダは製造時に熱をかけるために 精度が狂いやすい欠点があります。樹脂製のは現場直しが効きません。
この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。