素材」カテゴリーアーカイブ

シボとは 楊柳シボとは


シボとは、ジョーゼットクレープなどの シボ織物の表面を、拡大して見ますと経緯の糸が屈曲しているのがわかります、これです。

ジョーゼットなどでは 細かく屈曲の程度が 多いものが高級とされます。

または 楊柳などの細かい経シワ(経方向の凹凸)を楊柳シボと呼ぶこともあります。
下記は弊店の代表的なシボ織物の例です。

(楊柳の経シワには エンボス加工をして 経シワを均一にしたものと、上記のMB9000のように エンボス加工をしないで 経シワがやや不均一なもの(ナチュラル楊柳)があります。エンボス型は 染加工場によって違う事が多く、同じ生機を加工しても 経シワの形状が異なる事もあります)

下記サテン・クレープなどの例のように、サテン面からは シボの具合が見えない場合もあります。ですが、サテン裏で糸が屈曲している事によって 布生地の厚みが増して(エアリーになるとも言います) シワになりにくく なります。

シフォン・ジョーゼットの細かいシボ

シフォン・ジョーゼットの細かいシボ

縮緬の表面の大きい凹凸(シボ)

縮緬の表面の大きい凹凸(シボ)

経シワの楊柳シボ

経シワの楊柳シボ

サテン・クレープの表面

サテン・クレープの表面

楊柳(MB9000) サテン・クレープ(MB8410
サテン面にシボは見えない)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ワッシャー加工とは


コインランドリーの洗濯機を大きくしたような機械で、その中で布生地をグルグル回してモミ効果を与え、ジョーゼットデシン等のシボを高く上品にすることの出来る加工機です。

北陸でも量産規模でもっている染工場は少なく(私が知っているだけで3社程度) 中国でもほとんど導入されていません(ワッシャー加工しかできないので 投資効率が悪い)。人手がかかり、高温の生地を取り扱うために 大変危険で生産性も悪いです。

また 単にこの機械を導入しても、機械の条件設定等 技術やノウハウもいるため簡単に同じものを作るのが むずかしいと言われています。

他社がこの機械を廃棄していっても、シボを重視する染工場さんだけが温存している。当社の生地はほとんどの種類がこの加工機で加工されているので、シボが高く上品な織物に仕上がっています。

ポリエステル等は この加工をしても シワ等はとれますが、ナイロン等は取れないので、この加工をしたナイロン布生地は 洗濯をして天日干しをしたような細かい薄いシワが残ってます。自然な感じがするので このような布生地を好むデザイナーさんも いらっしゃいます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

写真撮影に向いた布生地


写真撮影の背景専用に売られている布生地を別にして 市販の布生地を使う場合は、

  • シワになりにくい(使うたびに 手間のかかるアイロンが必要になります)
  • 光沢がきつすぎない(布生地が 目立ちすぎてしまいます)
  • 表と裏の色が違ったり 表情が違ったりする(撮る目的によって 使い分け可能)

のような特性があると いいと思います。

下記が弊生地屋のお客様が 撮られたご使用例です。サテンがマイルドな光沢で ほど良いとおもいます。(写真クリックで もっと詳しい説明がご覧になれます)

サテンクレープを背景にご使用例

サテンクレープを背景にご使用例

50Dシフォンジョーゼットご使用例

50Dシフォンジョーゼットご使用例

両生地とも シワになりにくいですし、サテン・クレープは 光沢が不要な場合は 裏使い(光沢なし)する事も可能です。(写真クリックで 各布生地の詳細がわかります。御注文もできます)

しわになりにくいサテン・クレープ

しわになりにくいサテン・クレープ

繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

上記は 柔らかいもの同士(人と布生地)ですが、バランスから言いますと 固いもの(腕時計とか宝石等)と柔らかいもの(布生地とか 花・植物等)を 組み合わせると、いい写真になる事が多いそうです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

仮撚糸とは? (カリヨリシ) ウーリー加工とは DTYとは


仮撚糸とは 仮撚加工ウーリー加工)をした糸です。ポリエステル長繊維に 撚り(糸をねじること)をかけ、熱でセットし、撚りを戻す加工です。こうすると パーマをかけた毛髪のように 糸が捲縮してかさ高になります。

ウール(毛)ようなので ウーリー糸とも言います。この糸で作った織物は 名前の前にウーリーをつけて ウーリー○○○(例 ウーリータフタ)などとも言います。長繊維でできた織物ですが、短繊維でできた織物に近い外観と手触りになります。DTY(Draw Textured Yarn)とも言います。

仮に撚りをかけるので「仮撚」とか ウールに近い外観になるので「ウーリー (Wooly)」とか言います。

通常 ポリエステルの長繊維織物は ビニールのようにペラっ(扁平な)としているのですが、この仮撚糸で織った織物は かさ高で柔らかく シワになりにくいです。仮撚加工をすることで 暖かい分厚い布生地ができ 秋冬向きの素材をポリエステル長繊維で作る事が可能になりました。

(短繊維糸よりは 仮撚加工糸は安価にでき、また 織布工程での生産性も高い(強度が強く 毛羽もほとんどない)ので 短繊維織物よりもコストの低い布生地を作れます)

コンビニやスーバーののぼり旗に使われているポンジーは 仮撚糸を使った代表的な織物です。(お近くのお店に行けば いつでもご覧になれます)

現在は 下記3つの工程を 仮撚機と言う高額な機械で 1つの工程で高速でやってしまいます。
撚りをかける → 熱セットする → 撚りを戻す → (熱セット)

最後の工程(熱セット)は 省かれる事もあります。1ヒーターと呼ばれ 糸が撚り戻ろうするトルク(力)が残ったままになります。トルクが残っていても問題ない 織物用などに主に用いられます。

省かれないものは 2ヒーターと呼ばれ 糸にトルク(撚り戻り力)がありません。トルクがあると 編みにくいニット(編物)などに 主に用いられます。

通常は 普通のポリエステル糸から作るのではなく、半延伸糸(POY Partially Oriented Yarn 高速溶融紡糸で作る。通常の糸よりもコストが安い)から 延伸しながら仮撚加工して 作ります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

絹紡糸とは? (ケンボウシ けんぼうし)


かいこの繭のくずや 生糸(キイト)のくず等を紡績(引き揃えて撚りをかけ 糸にする事)した糸です。精練(練り 生糸表面のセリシンを取る工程)方によって半練り、七分練り、本練りの3種類がある。現在ではほとんど作られなくなり、生糸よりも高価になります。

セリシンなどが とれているので、セリシンをとる練りの工程が簡単になります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

踊ると綺麗に広がる布生地 (回るときれいに拡がる)


ドレープ性の良い 布生地が綺麗に広がってくれます。下記動画の冒頭にも ありますように、ドレープ性の良い布生地は 目を見張るほど綺麗に広がってくれます。

生地屋取り扱いの布生地は オーガンジー以外は どの布生地もドレープ性の良好な生地ばかりです。

また ドレープ性が良いと ひだなどをつけた時に、下記写真のように 優美な曲線を描いてくれます。

ひだのとても美しいドレス例

ひだのとても美しいドレス例

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ジャガードとは? ジャカードとは 紋織(モンオリ)


経糸(タテイト)と緯糸(ヨコイト)を 組み合わせて、大きな織組織で織った布生地の事です。ネクタイの柄とか 高級ブランドのロゴの入った裏地などは ジャガード紋織 ジャガードの柄を作る厚紙に穴の空いたものを 紋紙と言います)で織られてます。

通常 サテンツイル 梨地等を織るドビー柄などでは 同じパターンでない限り(織柄のストライプとかチェック等)、数ミリの大きさの柄しかできません。ジャガードなら 数センチ~10センチ程度の大きさの柄が 作成可能です。

ですが、ジャガード織機の個々に経糸のパターン本数は 決まっていて(変えると 十数万円程度以上かかります) それほど自由に柄が 設定できるわけでは ありません。

また 生産設備も生産量も 非常に少なく、柄を作るのにも 相当金額がかかり、オリジナルの柄を作る事は 余程発注ロットが大きくない(長さ46mの反物で 数十反程度)と 無理だと思います。(不可能ではないですが、かかった金額を 生産反数で割ることになり 非常に割高になります。また完全受注生産です)

ですから 気に入ったジャガード布生地を見つけられたら その場でゲットされる事をお奨めいたします。たぶん もう二度と会えません。(プリント布生地も一期一会になる可能性が高いですが、ジャガード布生地は もっと高いと思います)

一般には、ジャガードで、通っているようですが、フランスの、ジャカールさんが作ったので、「ジャカード」 ( ガと濁らない )  が本来の呼び名のようです。ほとんど ジャガードと濁って呼ばれますが。

日本では、京都府から、フランスのリヨンに、ジャカード織り機の学生として派遣された
「 近藤徳太郎 」先生のお話は、宝塚歌劇にもなったそうです。

大変申しわけございませんが、弊生地屋では ジャガードの布生地の取り扱いは ございません。

(余談ですが、上記の紋紙が元になって 昔のコンピュータのパンチカードが考えられたのだそうです。もうパンチカードを使っていた人達も ほとんどの人は第一線から引退していると思いますが。わたしも 実際にパンチカードを見ましたが、使った事はありません。

今から考えると信じられない事ですが、プログラムやデータをパンチカードに打ち込んで(一文字一枚のパンチカード) 読み取り機械にかけ コンピュータを動かしたとか。一箇所でも打ち間違えていると エラーが出て、パンチカードを持って帰って 修正箇所を打ち直したそうです。
ちょっとしたプログラムでも 大変な紙の量になってました(1m角の机の上一面に パンチカードが20cmくらいの高さで 山積みとか)。

そのパンチカードの束のしごき方(読み取り機で重送りしないように しごいたそうです)で どのくらいコンピュータに精通しているかどうか わかったとそうです。今から考えると 随分原始的なやり方ですよね。

パンチカードと同時期くらいの入力装置に 紙テープなんてのもあったそうで、その当時のSFなどで 紙テープを読み取り機械を通さずに 内容を読んでいるコンピュータの専門技術者みたいな人が出て来ました。
きっと わたしのような昔のマイコン少年が 機械語の符号(例:「3F:停止」)を暗記しているような感じだったのでしょうね! ハンド・アッセンブルと言って アセンブラ言語で書いたプログラムを 人が機械語に翻訳して マイコンに入力してました! 今から考えると 本当に原始的です)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

布生地とは一期一会 洋服も一期一会


よくお問合せがあるのですが、

  • 気に入っているので、この布生地と同じものを 捜して欲しい。
  • 10年来着ている お気に入りの洋服があるので、これと同じ布生地を捜して欲しい。

お気持ちは 良くわかりますし、長く着られたお洋服は 本当に幸せ者だと思います。

ですが、布生地は 特に婦人服は、その洋服のだけために 受注生産されたものが
大変多く、同じものが見つかる可能性は ほとんどないと言っていいと思います。
少し似たものでさえ 見つけることが大変困難です。

特にジャガードなどの織柄 プリントなどの図柄は、見つけた時が一期一会です。
もう二度と 会うことはないと思います。特に気に入ったものは 見つけた時に入手される
事を強くお奨めいたします。

洋服も同じでして、アパレル・メーカーさんは シーズン毎(年間6~8回程度?)に 素材
やデザインを変えます。洋服小売店さんも よほど大きなお店でない限り 各サイズごとに
1つのデザインしか置いてません。

ですので、一着目を買われて 非常に気に入られ長く着るおつもりでしたら すぐに
2着目を
取り寄せてもらう事をお奨めいたします。シーズンが終われば アパレル・
メーカーさんは 処分売りするか、高級なブランドでは 大変もったいないですが、
廃棄処分してしまいます。
(遅いと 取り寄せても完売でもうない場合もあります。人気商品ほど そうです)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

梳毛とは? (ソモウ そもう) 紡毛とは(ボウモウ ぼうもう)


ウール(毛)で 細くて毛羽の少ない糸は梳毛ですし、表面がフアフアとして毛羽立った太い糸が紡毛です。対の意味で 使われます。

  • 梳毛は毛足の長い羊毛を、引き揃えて 短い羊毛を取り除き(梳毛) 紡績して作ります。(梳毛紡績。紡毛紡績に比べて はるかに複雑です)
  • 出来上がった糸は 繊度(糸の太さ)が均一でスラリとしています。糸の撚りは強めで どの部分にも同じようにかかり、固く締まった感じがします。
  • 糸の表面は 滑らかで光沢感があり、織った布生地は梳毛織物と呼ばれます。主に表面の綺麗な 凹凸感の少ない高級スーツ地などに使われます。
  • 夏用には クリアカット仕上げして 使われます。
  • 紡毛は粗雑で短い羊毛繊維を主体として 紡績(紡毛紡績)してつくります。リング糸とミュール糸の2種類があり、太さは均一でなく撚りは少し甘いです。
  • 梳毛に比べて太くて外観は粗雑に見えますが、柔らかく起毛しやすく保温性に富んでいます。織った布生地は紡毛織物と呼ばれます。
  • 冬用の凹凸感のある厚地のジャケットなどに用いられます。

大変申しわけございませんが、弊生地屋では ウールの取り扱いはございません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

きばたとは? 生機 キバタ (grey, gray)


生機とは(「きばた」と読みます)、布生地の染加工する前の布生地の事です。天然繊維の場合は その天然繊維の色(ウール(毛)なら 生成り色のアイボリーっぽい色)をしています。ポリエステルなどの化繊は ほとんど通常の白色です。

通常 天然繊維も化繊も 糊(布生地を織る時などに 製造しやすいように 化学糊を着けます)が 着いていて、とてもゴワゴワで硬いです。

生機を湯通しして糊を落とした布生地は 染加工した後の布生地にかなり近くなります。ですが ポリエステルの布生地で 減量加工するもは、生機と染上げ後の布生地は 全然違うものになります(通常 風合いがかなり柔らかくなり ドレープ性も増します)。

余談ですが、織物(織物製造 織布)工場の事を 機屋と書いて「はたや」と読みます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。