投稿者「kijiya」のアーカイブ

オパール加工とは? おぱうるかこう (opal finish)


オパール加工とは、透ける部分と 透けない部分のプリント模様を つけた布生地の事を指します。作り方は、

  1. 酸に弱いセルロース系の繊維(コットン(綿)、レーヨンキュプラベンベルグ)等)と、耐酸性のある繊維(シルク(絹)、ナイロンポリエステル等)を、合撚(ゴウネン 2種類以上の糸を 一緒に撚糸すること) 混紡 カバーリング 交織など 何らかの方法で混ぜ合わせて布生地を作ります。
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  2. 溶かしたくない模様を、抜染(バッセン)の方法で 糊をつけてそこに 酸が浸み込まないようします。それを 硫酸や硫酸アルミなどの酸に漬けます。
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  3. そうすると 酸に弱いセルロース系の繊維は 炭化して抜け落ちてしまいます。それで そこが透ける模様になるのです。

ベルベット(ビロード)などで、地生地は ポリエステルを用いて 毛の部分にレーヨンを使って 部分的に 毛を抜け落ちさせて、模様にしたような布生地もあります。

フロッキー加工電着加工)のプリント加工の布生地と、間違えやすいので 注意してくださいませ。見分け方は 透ける部分と透けない部分の境目が 炭化していればオパール加工、きれいに毛全体が残っていれば フロッキー加工です)

抜け落ちた部分の強度は 当然弱くなるので、デザイン的に工夫するか、あらかじめ布生地設計の段階で 考慮して作る必要があります。

合成繊維シボ織物を利用して、シボ立て工程の前に 生地に模様状の熱をかけて シボが立たないようにして オパール加工のような感じにした オプアート加工と言う加工も ウラセ株式会社でやられてました。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

オジヤとは? オジヤジョーゼット おじやじょうぜっと


経緯楊柳(タテヨコ ヨウリュウ)の事で、下記写真のように 経(タテ)方向と緯(ヨコ)方向に 楊柳シボ(細かいスダレ状シワのようなもの)が格子のように不規則に入ってます。
(下記リンク・クリックで それぞれの商品ページへ 飛べて詳細が見れます)

オジヤジョーゼット:MS9400

オジヤジョーゼット:MS9400

MS9400:オジヤ・ジョーゼット

シャンブレー・オジヤジョーゼット:MS9410

シャンブレー・オジヤジョーゼット:MS9410

MS9410:シャンブレー・オジヤジョーゼット

この布生地は 生地の特性上、カーリング(布端が巻きます)します。カーリングしない布生地には なりませんので ご了承くださいませ。

また 面白いことに、経糸と緯糸の撚方向を変えないと このような綺麗な経緯楊柳には なりません。(ただの ややシワっぽいシフォン・ジョーゼットもどきになってしまいます) この特性を利用して ストライプ状やチェック(格子)状に 模様をつけた布生地も 世の中には存在するようです。

新潟県小千谷(オジヤ)の地名から 来ているのでは?と 思われますが、ネットで調べても わかりませんでした。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

糸目の揃え方


布生地を裁断する時に、織物の場合は 経(タテ)と緯(ヨコ)の糸目を 揃えてないと、洗濯などをした後に 洋服などがゆがんでしまう場合があります。

織物は下の図のように 経糸と緯糸が絡み合わされて 作られてます。

織物の糸の絡み方

織物の糸の絡み方

糸目の揃え方(経糸と緯糸をきちっと直角にして、経糸は原則洋服の縦方向になるようにする)は 簡単で、

  1. 布生地の端をちょっと切って タテとヨコに裂きます。
  2. 裂いたタテとヨコの2面を 直角に板などに固定して、ヨコ タテの順番ではらいます

こうすると きちっと タテヨコに糸目が揃います。後は 型紙を乗せて、布生地がずれないように 裁断して行くと タテヨコの糸目の揃ったパーツを切ることができます。

あと 布生地の耳端に近い部分は、織布や染加工時に いろいろな無理がかかっているので、使わないか 重要でないパーツに使われたらいいと 思います。

製造工程で 経方向に力がかかっているので、洋服の縦方向に 織物の経(タテ)方向を もってきた方が 無難です。(経緯にあまり性質差のない織物の場合は、コストなどの関係(取り効率が良くなる場合)で あえて緯取りをする場合もあります)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

布生地の傷みの原因 洋服や衣装の痛みの原因


通常使用での一番の原因は 洗濯です(虫食いなどを除いて)。脱水が一番傷みます。(クリーニングでも 傷みます)

ですから お気に入りの洋服や衣装は、ネットなどに入れて できるだけ短時間で洗います。(洗濯機の中の洗濯物が 少ない状態で洗うと、短時間でも汚れが落ちやすいです。また お湯を入れてやると 洗浄効果高くなります)

脱水はできれば30秒程度、長くても1分程度にして あとは物干しに干して 自然乾燥させます。(水が垂れなければ いいと思います)

あとは 洗濯機で洗わないで 手洗いが一番です。汚れの少ないものは 40℃くらいのお湯と洗剤で 押し洗いします。押し洗いが一番傷みません。十分にすすいで(洗剤等 残っていると、傷みの原因になります) 上記のように30秒~1分程度脱水します。

気に入った洋服や衣装は 長く使いたいですね。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリウレタン高混率製品の色移りについて


わたしが実際に2度体験した事です。きちんとした メーカー品を買ったのに 白い下着に色移りしました。

スポーツウェアなどに よくポリウレタン(商品名ライクラ Lycra (東レやデュポン等)とか言います。他のメーカーのだったら 例えば旭化成なら ロイカとか)が、15~25%と 高混率で使われたものが あります。体にピッタリ フィットする 伸び縮みの大きなタイツなどです。

ポリウレタンは 染料をよく吸い込みます。そうして 出すのも速いのですが、時間がかかって 少しずつ出てくる場合もあります。

ですので お店や倉庫などで 長期間、在庫されてたものは 染料が出てきている可能性が 高いのです。(染め上げ時に しっかり洗われて(ソーピングと言います)いてもです)

新品のサイクリング・パンツをはいて 2時間以上汗をかきながら サイクリングしたら、白いシャツに色移りしてました(パンツの色落ちはしてません)。ですので 新品の色の濃い高ポリウレタン混率の製品を買ったら、

  1. 短時間(30分以下程度?)の使用で 洗濯してしまうか、使う前に一度洗濯する。この時 色移りしてはまずいものとは 一緒に洗わない。(綿や麻 ウールなどの天然繊維や ベンベルグなどの再生繊維は色移りしやすいです。ポリエステル等の合成繊維は 色移りしにくいです)
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  2. 混率が5%以下程度なら あまり影響が少ないので、そのまま着用しても ほとんど大丈夫です。
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  3. アイボリーなどの淡色なら 吸着している染料も少なく、万が一 色移りしても 影響が少ないので そんなに神経質になる必要は ありません。(濃色ほど 染料は沢山吸着してます)

他の国産の繊維製品(ポリウレタン高混率でないもの)や 国内のメーカーが海外で作ったものは ほとんど色移りしないので、色移りしないのが 当たり前だと 思われている方も多いと 思います(わたしも そうです!)。

ですが、海外メーカーが発展途上国で作ったのもや、先進国でもイタリアのファッション性を優先して 色の綺麗なもの(染堅牢度を犠牲にしたもの)は、高価でも色移りする場合があります。

ご自身で洗濯される場合や クリーニングに出す場合(他のクリーニング品に色移りして 大問題になるケースがあるそうです。ご本人に直接損害賠償が行くケースは 少ないと思われますが、時間と労力が取られます)は ご注意くださいませ。

関連:色落ち

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

トロピカルとは? (tropical)


元々は、薄手で軽く しゃり味(ドライ感)のある梳毛 織物の事です。経(タテ)・緯(ヨコ)に梳毛糸を使い、平織りに織りクリアカット仕上げを施したもので 春夏の衣料に適しています。

最近は 毛/ポリエステル混紡やポリエステル100%などもあり、無地を中心に ストライプやチェックでなどがあります。トロピカルとは「熱帯地方」の意味で、初めはイギリスで作られてましたたが 南洋のマレーシア インドなどに輸出されたころから、この名称が付きました。用途はサマー・スーツ ドレスなどです。

タフタポンジー オーガンジーなどの名前と同じように、元々は他の素材で作られていた布生地が ポリエステルなどで 似たものが作られ、そちらの布生地の方が 広く流通するようになった 織物(布生地)の一です。

大変申しわけございませんが、弊生地屋では トロピカルの取扱いは ございません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シボとは 楊柳シボとは


シボとは、ジョーゼットクレープなどの シボ織物の表面を、拡大して見ますと経緯の糸が屈曲しているのがわかります、これです。

ジョーゼットなどでは 細かく屈曲の程度が 多いものが高級とされます。

または 楊柳などの細かい経シワ(経方向の凹凸)を楊柳シボと呼ぶこともあります。
下記は弊店の代表的なシボ織物の例です。

(楊柳の経シワには エンボス加工をして 経シワを均一にしたものと、上記のMB9000のように エンボス加工をしないで 経シワがやや不均一なもの(ナチュラル楊柳)があります。エンボス型は 染加工場によって違う事が多く、同じ生機を加工しても 経シワの形状が異なる事もあります)

下記サテン・クレープなどの例のように、サテン面からは シボの具合が見えない場合もあります。ですが、サテン裏で糸が屈曲している事によって 布生地の厚みが増して(エアリーになるとも言います) シワになりにくく なります。

シフォン・ジョーゼットの細かいシボ

シフォン・ジョーゼットの細かいシボ

縮緬の表面の大きい凹凸(シボ)

縮緬の表面の大きい凹凸(シボ)

経シワの楊柳シボ

経シワの楊柳シボ

サテン・クレープの表面

サテン・クレープの表面

楊柳(MB9000) サテン・クレープ(MB8410
サテン面にシボは見えない)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ワッシャー加工とは


コインランドリーの洗濯機を大きくしたような機械で、その中で布生地をグルグル回してモミ効果を与え、ジョーゼットデシン等のシボを高く上品にすることの出来る加工機です。

北陸でも量産規模でもっている染工場は少なく(私が知っているだけで3社程度) 中国でもほとんど導入されていません(ワッシャー加工しかできないので 投資効率が悪い)。人手がかかり、高温の生地を取り扱うために 大変危険で生産性も悪いです。

また 単にこの機械を導入しても、機械の条件設定等 技術やノウハウもいるため簡単に同じものを作るのが むずかしいと言われています。

他社がこの機械を廃棄していっても、シボを重視する染工場さんだけが温存している。当社の生地はほとんどの種類がこの加工機で加工されているので、シボが高く上品な織物に仕上がっています。

ポリエステル等は この加工をしても シワ等はとれますが、ナイロン等は取れないので、この加工をしたナイロン布生地は 洗濯をして天日干しをしたような細かい薄いシワが残ってます。自然な感じがするので このような布生地を好むデザイナーさんも いらっしゃいます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

写真撮影に向いた布生地


写真撮影の背景専用に売られている布生地を別にして 市販の布生地を使う場合は、

  • シワになりにくい(使うたびに 手間のかかるアイロンが必要になります)
  • 光沢がきつすぎない(布生地が 目立ちすぎてしまいます)
  • 表と裏の色が違ったり 表情が違ったりする(撮る目的によって 使い分け可能)

のような特性があると いいと思います。

下記が弊生地屋のお客様が 撮られたご使用例です。サテンがマイルドな光沢で ほど良いとおもいます。(写真クリックで もっと詳しい説明がご覧になれます)

サテンクレープを背景にご使用例

サテンクレープを背景にご使用例

50Dシフォンジョーゼットご使用例

50Dシフォンジョーゼットご使用例

両生地とも シワになりにくいですし、サテン・クレープは 光沢が不要な場合は 裏使い(光沢なし)する事も可能です。(写真クリックで 各布生地の詳細がわかります。御注文もできます)

しわになりにくいサテン・クレープ

しわになりにくいサテン・クレープ

繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

上記は 柔らかいもの同士(人と布生地)ですが、バランスから言いますと 固いもの(腕時計とか宝石等)と柔らかいもの(布生地とか 花・植物等)を 組み合わせると、いい写真になる事が多いそうです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

仕立て栄えする布生地 (反発感のある)


洋服になったときに良く見える、言わゆる「仕立て栄えのする」布生地って どんなものでしょうか?

誤解を恐れずに、極論を言えば 紙のような布生地が 仕立て栄えします。(縫いやすく 構築的な形が作りやすいですから) でも それでは シワになりやすいですし、生活するのに動きにくい洋服になってしまいます。

柔らかい布生地で 手で握って離すと パッと広がる反発感のある布生地が、実際に売られている 仕立て栄えのする布生地になります。

反発感が強いと 多少ドレープ性が犠牲になりますが、実用レベルでは 十分なドレープ性を兼ね備えた反発感の強い布生地も よく販売されています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。