仮撚糸とは? (カリヨリシ) ウーリー加工とは DTYとは


仮撚糸とは 仮撚加工ウーリー加工)をした糸です。ポリエステル長繊維に 撚り(糸をねじること)をかけ、熱でセットし、撚りを戻す加工です。こうすると パーマをかけた毛髪のように 糸が捲縮してかさ高になります。

ウール(毛)ようなので ウーリー糸とも言います。この糸で作った織物は 名前の前にウーリーをつけて ウーリー○○○(例 ウーリータフタ)などとも言います。長繊維でできた織物ですが、短繊維でできた織物に近い外観と手触りになります。DTY(Draw Textured Yarn)とも言います。

仮に撚りをかけるので「仮撚」とか ウールに近い外観になるので「ウーリー (Wooly)」とか言います。

通常 ポリエステルの長繊維織物は ビニールのようにペラっ(扁平な)としているのですが、この仮撚糸で織った織物は かさ高で柔らかく シワになりにくいです。仮撚加工をすることで 暖かい分厚い布生地ができ 秋冬向きの素材をポリエステル長繊維で作る事が可能になりました。

(短繊維糸よりは 仮撚加工糸は安価にでき、また 織布工程での生産性も高い(強度が強く 毛羽もほとんどない)ので 短繊維織物よりもコストの低い布生地を作れます)

コンビニやスーバーののぼり旗に使われているポンジーは 仮撚糸を使った代表的な織物です。(お近くのお店に行けば いつでもご覧になれます)

現在は 下記3つの工程を 仮撚機と言う高額な機械で 1つの工程で高速でやってしまいます。
撚りをかける → 熱セットする → 撚りを戻す → (熱セット)

最後の工程(熱セット)は 省かれる事もあります。1ヒーターと呼ばれ 糸が撚り戻ろうするトルク(力)が残ったままになります。トルクが残っていても問題ない 織物用などに主に用いられます。

省かれないものは 2ヒーターと呼ばれ 糸にトルク(撚り戻り力)がありません。トルクがあると 編みにくいニット(編物)などに 主に用いられます。

通常は 普通のポリエステル糸から作るのではなく、半延伸糸(POY Partially Oriented Yarn 高速溶融紡糸で作る。通常の糸よりもコストが安い)から 延伸しながら仮撚加工して 作ります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

絹紡糸とは? (ケンボウシ けんぼうし)


かいこの繭のくずや 生糸(キイト)のくず等を紡績(引き揃えて撚りをかけ 糸にする事)した糸です。精練(練り 生糸表面のセリシンを取る工程)方によって半練り、七分練り、本練りの3種類がある。現在ではほとんど作られなくなり、生糸よりも高価になります。

セリシンなどが とれているので、セリシンをとる練りの工程が簡単になります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

踊ると綺麗に広がる布生地 (回るときれいに拡がる)


ドレープ性の良い 布生地が綺麗に広がってくれます。下記動画の冒頭にも ありますように、ドレープ性の良い布生地は 目を見張るほど綺麗に広がってくれます。

生地屋取り扱いの布生地は オーガンジー以外は どの布生地もドレープ性の良好な生地ばかりです。

また ドレープ性が良いと ひだなどをつけた時に、下記写真のように 優美な曲線を描いてくれます。

ひだのとても美しいドレス例

ひだのとても美しいドレス例

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ジャガードとは? ジャカードとは 紋織(モンオリ)


経糸(タテイト)と緯糸(ヨコイト)を 組み合わせて、大きな織組織で織った布生地の事です。ネクタイの柄とか 高級ブランドのロゴの入った裏地などは ジャガード紋織 ジャガードの柄を作る厚紙に穴の空いたものを 紋紙と言います)で織られてます。

通常 サテンツイル 梨地等を織るドビー柄などでは 同じパターンでない限り(織柄のストライプとかチェック等)、数ミリの大きさの柄しかできません。ジャガードなら 数センチ~10センチ程度の大きさの柄が 作成可能です。

ですが、ジャガード織機の個々に経糸のパターン本数は 決まっていて(変えると 十数万円程度以上かかります) それほど自由に柄が 設定できるわけでは ありません。

また 生産設備も生産量も 非常に少なく、柄を作るのにも 相当金額がかかり、オリジナルの柄を作る事は 余程発注ロットが大きくない(長さ46mの反物で 数十反程度)と 無理だと思います。(不可能ではないですが、かかった金額を 生産反数で割ることになり 非常に割高になります。また完全受注生産です)

ですから 気に入ったジャガード布生地を見つけられたら その場でゲットされる事をお奨めいたします。たぶん もう二度と会えません。(プリント布生地も一期一会になる可能性が高いですが、ジャガード布生地は もっと高いと思います)

一般には、ジャガードで、通っているようですが、フランスの、ジャカールさんが作ったので、「ジャカード」 ( ガと濁らない )  が本来の呼び名のようです。ほとんど ジャガードと濁って呼ばれますが。

日本では、京都府から、フランスのリヨンに、ジャカード織り機の学生として派遣された
「 近藤徳太郎 」先生のお話は、宝塚歌劇にもなったそうです。

大変申しわけございませんが、弊生地屋では ジャガードの布生地の取り扱いは ございません。

(余談ですが、上記の紋紙が元になって 昔のコンピュータのパンチカードが考えられたのだそうです。もうパンチカードを使っていた人達も ほとんどの人は第一線から引退していると思いますが。わたしも 実際にパンチカードを見ましたが、使った事はありません。

今から考えると信じられない事ですが、プログラムやデータをパンチカードに打ち込んで(一文字一枚のパンチカード) 読み取り機械にかけ コンピュータを動かしたとか。一箇所でも打ち間違えていると エラーが出て、パンチカードを持って帰って 修正箇所を打ち直したそうです。
ちょっとしたプログラムでも 大変な紙の量になってました(1m角の机の上一面に パンチカードが20cmくらいの高さで 山積みとか)。

そのパンチカードの束のしごき方(読み取り機で重送りしないように しごいたそうです)で どのくらいコンピュータに精通しているかどうか わかったとそうです。今から考えると 随分原始的なやり方ですよね。

パンチカードと同時期くらいの入力装置に 紙テープなんてのもあったそうで、その当時のSFなどで 紙テープを読み取り機械を通さずに 内容を読んでいるコンピュータの専門技術者みたいな人が出て来ました。
きっと わたしのような昔のマイコン少年が 機械語の符号(例:「3F:停止」)を暗記しているような感じだったのでしょうね! ハンド・アッセンブルと言って アセンブラ言語で書いたプログラムを 人が機械語に翻訳して マイコンに入力してました! 今から考えると 本当に原始的です)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

布生地とは一期一会 洋服も一期一会


よくお問合せがあるのですが、

  • 気に入っているので、この布生地と同じものを 捜して欲しい。
  • 10年来着ている お気に入りの洋服があるので、これと同じ布生地を捜して欲しい。

お気持ちは 良くわかりますし、長く着られたお洋服は 本当に幸せ者だと思います。

ですが、布生地は 特に婦人服は、その洋服のだけために 受注生産されたものが
大変多く、同じものが見つかる可能性は ほとんどないと言っていいと思います。
少し似たものでさえ 見つけることが大変困難です。

特にジャガードなどの織柄 プリントなどの図柄は、見つけた時が一期一会です。
もう二度と 会うことはないと思います。特に気に入ったものは 見つけた時に入手される
事を強くお奨めいたします。

洋服も同じでして、アパレル・メーカーさんは シーズン毎(年間6~8回程度?)に 素材
やデザインを変えます。洋服小売店さんも よほど大きなお店でない限り 各サイズごとに
1つのデザインしか置いてません。

ですので、一着目を買われて 非常に気に入られ長く着るおつもりでしたら すぐに
2着目を
取り寄せてもらう事をお奨めいたします。シーズンが終われば アパレル・
メーカーさんは 処分売りするか、高級なブランドでは 大変もったいないですが、
廃棄処分してしまいます。
(遅いと 取り寄せても完売でもうない場合もあります。人気商品ほど そうです)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ナイロン・タフタとは?


ナイロンの糸で織った タフタの事です。(それぞれの 言葉の意味は、それぞれの単語をクリックすると 意味を参照できます) 平織りで薄く 平滑で適度な光沢があります。

雨カッパや ウィンドブレーカ 傘などの布生地になってます。

以前は 大量に作られてましたが、だんだんポリエステル・タフタに置き換えられていきました。ポリエステルの方が 価格が安い事と、ナイロンは他の揮発成分を吸着しやすく 淡色は黄変(黄色く変色)するためです。濃色は黄変しても わかりにくいだけです。

(ダンボール箱に入れておいて ダンボール紙の「リグニン」を吸着して黄変する事もあります。中~濃色はナイロン製 薄い淡色はポリエステル製と言う事もあるそうです)

ただ ポリエステルは分散染料で染めるのですが、それが コーティング剤(防水性能とか 機能を付加するために 表面に塗る薬剤)とか ラミネート・フィルムやラバー(やはり 機能を付加するために 張り合わせるもの)に 色移り(移行昇華)するために、酸性染料などで染めたナイロン・タフタが用いられる事が多いです。

(近年は 分散染料を色移りさせない技術も かなり進んできて、ポリエステル製に置き換えられている部分もあるようです)

傘用途は、折畳式の傘など 長期間折り畳んでおくものは、ポリエステル製の布だと 折り目がついてしまうので、折目のつきにくい ナイロン製が多く使われています。(ナイロンの方が 結晶性が低く 柔らかいためです)

また ポリエステルよりは柔らかいので 耐衝撃性が高く、簡単に引き裂けては困る用途に 使われる事もあります。

生地屋では ナイロン・タフタの取扱はございません、大変申しわけございません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

梳毛とは? (ソモウ そもう) 紡毛とは(ボウモウ ぼうもう)


ウール(毛)で 細くて毛羽の少ない糸は梳毛ですし、表面がフアフアとして毛羽立った太い糸が紡毛です。対の意味で 使われます。

  • 梳毛は毛足の長い羊毛を、引き揃えて 短い羊毛を取り除き(梳毛) 紡績して作ります。(梳毛紡績。紡毛紡績に比べて はるかに複雑です)
  • 出来上がった糸は 繊度(糸の太さ)が均一でスラリとしています。糸の撚りは強めで どの部分にも同じようにかかり、固く締まった感じがします。
  • 糸の表面は 滑らかで光沢感があり、織った布生地は梳毛織物と呼ばれます。主に表面の綺麗な 凹凸感の少ない高級スーツ地などに使われます。
  • 夏用には クリアカット仕上げして 使われます。
  • 紡毛は粗雑で短い羊毛繊維を主体として 紡績(紡毛紡績)してつくります。リング糸とミュール糸の2種類があり、太さは均一でなく撚りは少し甘いです。
  • 梳毛に比べて太くて外観は粗雑に見えますが、柔らかく起毛しやすく保温性に富んでいます。織った布生地は紡毛織物と呼ばれます。
  • 冬用の凹凸感のある厚地のジャケットなどに用いられます。

大変申しわけございませんが、弊生地屋では ウールの取り扱いはございません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

きばたとは? 生機 キバタ (grey, gray)


生機とは(「きばた」と読みます)、布生地の染加工する前の布生地の事です。天然繊維の場合は その天然繊維の色(ウール(毛)なら 生成り色のアイボリーっぽい色)をしています。ポリエステルなどの化繊は ほとんど通常の白色です。

通常 天然繊維も化繊も 糊(布生地を織る時などに 製造しやすいように 化学糊を着けます)が 着いていて、とてもゴワゴワで硬いです。

生機を湯通しして糊を落とした布生地は 染加工した後の布生地にかなり近くなります。ですが ポリエステルの布生地で 減量加工するもは、生機と染上げ後の布生地は 全然違うものになります(通常 風合いがかなり柔らかくなり ドレープ性も増します)。

余談ですが、織物(織物製造 織布)工場の事を 機屋と書いて「はたや」と読みます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポンジーとは? ポンジとは (Pongee)


経緯(タテヨコ)75D(デニール)の太さの ポリエステル仮撚加工糸を用いた安価な平織りの織物。世の中で一番安価な織物と言われています。適度な膨らみがあって 短繊維織物(仮撚加工糸自体は長繊維です)のような外観や手触りがあります。

安いので コンビニやスーパーのぼり旗や インクジェット印刷基布等の雑資材用途に 非常に大量に使われてます。(実物は 近所のコンビニやスーパーに立っている旗で ご覧になれます。ほぼ100%ポンジーです)

ウォータージェット・ルーム(WJL)と言う 水で緯糸を飛ばす織機が 導入されてから、膨大に作られるようになり、布生地(織物)の欠点も目立ちにくいので 価格も非常に下がりました。

旗の問屋さんなどで 「ポンジ」と書かれてますが、上記英語のつづりを見てもわかるように 正しくは「ポンジー」だと 思います。

元々は シルク(絹)の
「柞蚕糸(さくさんし)を経緯に用いて平織にしたもの。柞蚕糸特有の色は色調が悪いので漂白し黄褐色あるいは褐色にする。綿やレーヨンなどを用いたものもある。さらりとした触感がありドレスやシャツ、カーテン、ふとん地などに用いられる。もとは中国の山東省で織られた絹織物のことを指していた。絹(けんちゅう)のこと。」-apprel fashion wiki より
の意味だったらしいですが、今では この織物はほとんど目にする事がないです。

大変申しわけございませんが、弊生地屋での取り扱いはないです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

縫いにくい薄いジョーゼット縫製のコツ


洋裁で有名な うさこさんは アイロンの時に使うスプレー糊をかけるそうです。そうすると 紙に近くなり 扱いやすくなると言ってます。

下記は熊本のM様の労作です。長文ですが非常に参考になると思います。(今は産休で休まれておられますので、ホームページをご紹介できないのが 大変残念です)

<以下 熊本のM様の文章>

私が初めて生地屋さんの生地を使用したのは、よりによって50dシフォンジョーゼット(148cm幅)でした。「もう2度と使わん!!」と腹を立てながらなんとか衣装を作り上たあの苦労は、今でも忘れられません。

ですが、生地屋さんの148cm幅のシフォンジョーゼットの質感に惚れ込んでしまい、現在では50dのものも75dのものもしょっちゅう使わせていただいております。

今でも使用するたびに「うへ~」と思いながら悪戦苦闘しています(笑)。ただ、数をこなしていけば、どこでどのように気を配ればよいかを体が覚えていく気がいたします。

「失敗は成功のもと」と思いながら、懲りずに衣装の製作に励んでいる毎日です。

きっと私やメルマガに掲載された方だけではなく、縫製で同じように苦労された方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?洋裁を趣味に持つ同じ同士として、どうしてもエールを送りたくなりましたので、書き込みをさせていただきました。

以下は、148cm幅のシフォンジョーゼットを使用する際に私が苦労した数々の問題点と、透ける素材を使用する際の縫製のコツについて本からの抜粋事項になります。

初めてチャレンジされる方などに、何かの折に参考にしていただければ・・・と思います。

~苦労の数々~
裁断:とにかく生地がずれる。はさみを入れると、生地が動く。テーブルの上に生地を平らに置くだけでもテーブルと生地の間に空気が入り込み、一苦労する。

印付け:チャコペンやルレットを押しあてただけで生地がずれる。細かな印付けは断念し、必要最低限の印のみ付ける。

縫製:ミシンのテーブル面を憎らしいほどに気持ちよさげに滑り落ちていく。
縫っている途中に生地が伝線する・ロックミシンで針が生地をすくってくれない。(ミシン針を7番に替えて解決)。

縫っている最中にミシン油が付着してしまうとなかなかとれない(何度と染み抜き剤を使用してみたもののとれなかった。どなたか良い方法がありましたら、教えて下さい。)

~コツ(正しい?縫い方)~
(「改訂版 洋裁」(ブティック社発行)より抜粋)
裁断:布地が動きやすいので、ハトロン紙に1枚ずつ型紙を経済的に配置し、写します。ハトロン紙に写しとった型紙は切らずに、布目の矢印を入れます。

ハトロン紙の上に表布を乗せ、表布と布目を合わせておき、まち針で止め動きを止めます。切り取るときはハトロン紙と布を一緒に切り取ります。

しるしつけ:ハトロン紙に止めた状態で、布地だけに縫いじつけでしるしをつけます。

縫製:ミシン針は11番(?私は7番をおすすめしますが・・・?)。糸は絹ミシン糸50番か100番を使用します。(?私は直線縫いは普通のシャッペスパン60番を、ロックミシンはスパン糸90番を使用しています。

新合維用の「キングフィット」やシルク形状糸の「フジックス ファイン」など、ロックミシンではテトロン糸などを使うとより仕上がりも充実してくるのかなあ・・・と思いますが・・・使われている方、いかがでしょうか?)

ミシンの糸調子はゆるめにして、ミシン目は細かくします。ミシンで縫うときは必ずハトロン紙または薄紙を敷いて一緒に縫います。

縫い終わったら紙は取り去ります。縫い代が透けて見えるので、綺麗に縫い代の始末をするのが重要です。

ちなみに、面倒くさがりの私はこの方法はあまりしていないです(笑) 自分なりに縫いやすい方法を模索されて、自分のやりやすい方法で制作されるのが良いかと思います。

<熊本のM様の文章終わり>

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。