パレス・クレープとは パレスとは (palace crepe)


パレス・クレープとは 経糸無撚糸で緯糸に2,000~2,500T/mの撚糸(通常SZ撚(左撚り右撚り)2本交互)を打ち込んだ 平織りシボの少ない織物です。デシンに似ていますが、デシンより緯糸の撚回数が少ない(パレス撚とも呼ばれます)ので シボがあまり目立ちません。

単にパレスとも呼ばれ、重めの羽二重に似た柔らかい外観と手触りです。ドレスやシャツ ブラウス等に使われます。

ドピー織機を用いて、朱子織(サテン)綾織(ツイル)で 織り模様を表したものを 紋パレスと言います。

一時期 緯糸の撚糸にSZ撚(左撚り右撚り)2本交互でなく 片方の撚りの撚糸を打ち込み 撚回数も1,000~1,500T/mに落として コスト・ダウンした「単丁パレス」(略して単パレ これに対してSZ撚2本交互のものは「本パレス」とも呼ばれた)が 大量に作られて輸出されました。

ポンジータフタ、単パレとポリエステルの三大定番品(いつでも市場にある大量生産される商品)と 呼ばれましたが、あまりに手を抜いた粗悪品(撚回数をどんどん落としたり 糸密度を甘くしたり、正規のシボ立て工程を通さなかったり等)が出回りすぎたために そのうちに消えてしまいました。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

フリーズとは (frieze)


フリーズとは(frieze)、フリーズ(freeze)ともフリース(fleece)とも違います。
(freezeとは カタカナ表記が同じなので わかりにくいですね。それぞれの意味は それぞれの単語をクリックしてください。解説のページへ飛びます)

フリーズとは(frieze)、毛羽(ケバ)を立たせた厚い紡毛織物(布生地)のことです。質の悪い羊毛を使った二重織の毛布のような感じです。厚手のコートなどに使われます。

13世紀にオランダのフリーズランドで作られたところから この名前がありますが、現在ではアイルランドで作られているそうです。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

用尺とは? (ヨウジャク)


必要な用尺とは 洋服などを作るときに 必要な布生地の長さです。

ダブル巾と呼ばれる140cm以上の巾の布生地と それ未満の巾のシングル巾と呼ばれる布生地では 計算方法が少し違います。(ひだや飾り布などを多用しない 通常のデザインの場合です)

上物の場合

  1. 140cm以上の巾の場合(ダブル巾)
    着丈+襟丈+縫い代+ロス(1割程度)
  2. 140cm未満の巾の場合(シングル巾)
    着丈+襟丈+袖丈+縫い代+ロス(1割程度)

ダブル巾の場合 布巾が広いので袖は着丈の中で取れます。

スカートやパンツ等のボトムの場合 ダブル巾でもシングル巾でも同じです。

着丈+バンド丈+縫い代+ロス(1割程度)

「パターンの巾x2」が 布巾に収まりきらない場合は 「着丈+バンド巾」の長さをを 上記の長さに加算してください。(プリーツ等で スカートの巾が広く パターンの巾がもっと広い場合は、「(着丈+バンド巾)x2」の長さを 加算する必要があるかも知れません。ダブル巾の方が 用尺が少なくて済む確率が高くなります)

ですが、すぐに作られない場合や 通販等で買われる場合は、パターン(型紙)で一番長いものの丈分 余分に買われる事をお奨めいたします。プリント物やジャガードなどの柄物の場合もそうです。

失敗した時やパターンを間違えた時のため等です。(2度と全く同じ布生地が手にはいらないかも知れません) また布生地は完全に無欠点ではありません。詳しくは 下記を参照してくださいませ。
後から買いに行った布生地の色が微妙に違う!
布生地とは一期一会
(布生地の)欠点について

(うまく行った場合は 布生地が余るかも知れませんが、その時は 何か小物を作るなどして 転用してくださいませ。パッチワークに利用するのも いいかも知れません)

柄物で 柄合わせをする場合は、上記よりも多めに 購入してくださいませ。また 織物の耳近くは いろいろな歪が残っている場合が多いので、

  1. 身頃等の主要なパターンは なるべく中央で取る。袖等の主要でないパターンを その両端で取る。
  2. なるべく 耳近くまでパターンを取らない。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ヒートセットとは (heat setting)


ヒートセットとは、合成繊維など熱可塑性(ネツカソセイ 熱をかけると柔らかくなる性質)繊維を 熱処理して形態や寸法安定性を保つようにする加工です。

繊維(紡糸段階) 糸(撚糸等) 布生地(染め工程) 製品のいずれの段階でも、行なう事は可能です。

布生地の場合は 主に下記の目的でヒートセットされます。

  1. 一定寸法への巾だし
  2. 洗濯などに対しての寸法安定性付与
  3. 布生地表面の平滑化

ヒートセットには 乾熱(温風)と湿熱(蒸気)の2種類があり、湿熱の方が熱容量が大きいので 同じ温度でも湿熱の方が効果が大きいです(50℃くらいの差があるそうです。湿熱130℃と同じヒートセットをしようとすると 乾熱では180℃くらいまで温度を上げないとダメだそうです)。

織布工程の前に 糸に中撚ボイル撚 800~1,500T/m程度)以上の撚りをかけた場合は、そのままでは 糸が巻いてしまって 製織困難なので、80℃の湿熱でヒートセットして 撚り止めします。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

工業的漂白とは (コウギョウテキ ヒョウハク bleaching)


漂白とは 染色工程で 繊維中に含まれる色素を除去して白くする事です。晒し(サラシ)とも言います。(家庭用漂白剤については 次をクリックしてください。家庭用漂白剤とは)

酸化する事によって色素を無効化したり(酸化漂白 通常塩素を用います)、逆に還元(酸化の反対)する事によって色素を無効化したり(還元漂白 通常亜硫酸を用います)します。

白色(自然な白色)に仕上げる場合と、下晒し(シタザラシ)と言って より鮮明な色に仕上げるために 染め前布生地をより白く漂白する場合があります。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリウレタンとは (polyurethane, spandex) ライクラ(Lycra)


ポリウレタンとは、ゴムのように伸びる糸の事で スポーツ・ウェアやパンティ・ストッキングなどの ストレッチのある製品に良く使われてます。

アメリカでは”spandex“とも 呼ばれてますが、デュポン(株)東レ・デュポン(株)ライクラ(Lycra)と言う商標の方が 有名です。ゴムのように5倍も伸びる唯一の弾性繊維で、ゴムに比べて 下記のような優位性があります。

  • 劣化しにくい
  • はるかに細い糸ができる
  • 染色できる(染色性はあまり良くありませんし、他染料を吸い込んで 色移りの問題がおきやすいです)

東レやデュポン以外でも、旭化成のロイカとか いろいろなメーカーからいろいろな商標で販売されています。

5~10%程度の使用で 大きなストレッチ性が得られ、キックバック性(強く引っ張っても 元に戻る性質)も良好です。

劣化しにくいと言っても ゴムと比べるとと言うだけで、保管方法や質の悪いポリウレタンを使うと 半年~3年程度で劣化する場合もあります。(太陽光は勿論 蛍光灯の光でも劣化しますし、排気ガス等にも弱いです。倉庫等でエンジン・リフトの排気ガスで劣化してしまった例もあるようです。勿論何日も何ヶ月もさらされた場合で、屋外で運動する程度では そんなに速く劣化しません)

安物の靴下の上の部分が すぐに伸びてしまうのは 質の悪いポリウレタンを使っているためです。

余談ですが、日本では 過去にライクラと言う商標を使わせてもらえず(品質レベルの実績ができるまでデュポンが使わせなかった?)、オペロンと言う商標で呼ばれてました。その後品質レベルも向上し 実績もできたので、同じ日本の会社が作っているのですが ライクラと言う商標を使えるようになりました。
(東レのライクラの会社が 東レ・オペロンテックスと言うのは その名残です)

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

プリーツ加工とは (pleating)


プリーツ加工とは襞(ヒダ)付け加工の事です。

合成繊維が高混率の布生地は その熱可塑性(熱で柔らかくなり 冷やすと堅くなる性質)を利用して プリーツをつけます。ギャザーと違い 堅い感じになります。

コットン(綿)やウール(毛) 再生繊維レーヨンキュプラなどは、熱可塑性がないので、一般にそのままでは 耐洗濯性のあるプリーツ加工できません。

コットンやレーヨンキュプラなどは樹脂加工で、ウールはシロセット加工で、耐洗濯性のあるプリーツ加工が可能になります。

よくお問い合わせがあるのですが、プリーツ加工された布生地は ほとんど売っていません。完全受注生産品です。プリーツ加工もどきのような布生地でも シワ加工のように大量生産されたもの以外はほとんど売っていません。
(大変稀に キャンセル品などが、売っているかも知れませんが)

天然繊維は 昔は耐洗濯性のあるプリーツ加工は困難だったので、王侯貴族とか大金持ちしか 着用できませんでした。浮き彫りなどに残っている 細かいプリーツの沢山入った衣装は 富の象徴だったのです。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シュライナー加工 (Schreiner finish)


シュライナー加工とは、コットン(綿)の布に約45度の角度で刻んだローラーを 高温高圧で当てて 絹のような光沢を与える加工方法です。シルキー加工の一つです。

ドイツのシュライナーの発明で、「擬絹つや出し加工」とも 言われます。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シルキー加工 (silky finish)


シルキー加工とは シルク(絹)以外の繊維を、シルクのような外観 風合いを持たせるための加工方法です。コットン(綿)では、シルケット加工マーセライズ加工とか シュライナー加工があり、合成繊維ポリエステルでは 減量加工(ゲンリョウカコウ)があります。

ポリエステルでは 糸の断面を花びらのような三角形(異型断面)にして、外観をシルクに似せてますが、減量加工で風合いがシルクよりも良くなります。暗いところで、減量加工されたポリエステル布生地と シルクのを両方触ると、多くの人がポリエステルの方が 手触りが良いと言うくらいです。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シルケット加工 (mercerization) マーセライズ加工 (mercerize finish) マーセリゼーション(mercerization)


シルケット加工とは(マーセライズ加工 マーセリゼーションとも言います) シルキー加工の一種で、綿糸または綿布に絹(シルク)のような光沢を持たせる加工方法です。

張力をかけながら 苛性ソーダ等でアルカリ処理をすると、綿糸や綿布に絹のような光沢を与えられます。同時に染色性も向上して 綺麗な色に染められるようになります。

(アルカリ濃厚液中で 綿の繊維が膨潤して円形に近くなり光沢が増します。張力がかかっているので 形状の安定が保たれ、綿の非晶領域が増加するので 染色性が向上します)

現在 綿や合繊綿混紡製品の織物の多くは、精練 漂白後にシルケット加工が行われています。

糸に処理をしてから織り上げると ソフトな手触りの高級な織物になります。これを「先シルケット」と言います。

フォーマル・ウエアなどで 光沢とビビットな色目が要求される時に 広く用いられます。逆にTシャツのように マットで自然な風合いが求められるカジュアル・ウエアなどの時は あまり用いられません。(一部ミセス シニア向けには 用いられる事もあります)

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。