シュライナー加工とは、コットン(綿)の布に約45度の角度で刻んだローラーを 高温高圧で当てて 絹のような光沢を与える加工方法です。シルキー加工の一つです。
ドイツのシュライナーの発明で、「擬絹つや出し加工」とも 言われます。
この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。
シルケット加工とは(マーセライズ加工 マーセリゼーションとも言います) シルキー加工の一種で、綿糸または綿布に絹(シルク)のような光沢を持たせる加工方法です。
張力をかけながら 苛性ソーダ等でアルカリ処理をすると、綿糸や綿布に絹のような光沢を与えられます。同時に染色性も向上して 綺麗な色に染められるようになります。
(アルカリ濃厚液中で 綿の繊維が膨潤して円形に近くなり光沢が増します。張力がかかっているので 形状の安定が保たれ、綿の非晶領域が増加するので 染色性が向上します)
現在 綿や合繊綿混紡製品の織物の多くは、精練 漂白後にシルケット加工が行われています。
糸に処理をしてから織り上げると ソフトな手触りの高級な織物になります。これを「先シルケット」と言います。
フォーマル・ウエアなどで 光沢とビビットな色目が要求される時に 広く用いられます。逆にTシャツのように マットで自然な風合いが求められるカジュアル・ウエアなどの時は あまり用いられません。(一部ミセス シニア向けには 用いられる事もあります)
この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。
シャンタンとは もともと絹(シルク)織物で、経糸に生糸(キイト) 緯糸に玉糸(不良まゆから製糸した節(フシ)のある生糸)を使って、緯方向に節が不規則に現れた平織の織物です。
サテン(朱子)の織組織に織ったものを サテン・シャンタンと言います。
現在は 絹製のものは ほとんど見ることはなく、合成繊維製のものが多いです。1本のフィラメント糸に もう1本のフィラメント糸を不規則に巻きつけて節にしたものや、紡績糸のスラブ・ヤーンを使って節を表現してます。
シャンタンの名称は 中国のシャントン(山東)省から来ています。
大変申しわけございませんが、弊生地屋での取り扱いはないです。
この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。
新合繊とは 30年ほど前に、東洋紡(株)が1987年に開発したジーナを最初に 今までの合成繊維(合繊)になかった新しい質感の糸が次々と開発され 一世を風靡しました。それから新々合繊とか いろいろ開発されましたが、新合繊ほどのインパクトはなかったようです。
新合繊は大きく分けると 下記のような質感で4つに分類されました。
異収縮混繊糸と言って 縮み方の違う糸を組み合わせる技術(エアー混繊糸や複合仮撚等)を中心に、上記のようないろいろな種類の 糸を作ってきました。例えば 固い縮み率の多い糸と 柔らかい縮み率の少ない糸を複合すると、染め加工後にコシがあるのに 手触りは柔らかい布生地が出来上がります。
(柔らかい糸のみで 作りますと、手触りはいいのにコシのない布生地になってしまいます。固い糸は縮み率が大きいので 糸の表面に出にくくなってます)
弊生地屋のシルデュー・デシンは 1.のニューシルキー・タイプの布生地で、絹を超越した手触りです。
この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。
人絹とは、人造絹糸(ジンゾウケンシ)の略で ビスコース・レーヨンの長繊維の事です。絹糸に似た外観の繊維を人造的に作ったものの総称ですが、レーヨンの長繊維以外を 人絹と呼ぶことはないようです。
レーヨンは再生繊維の1つで 通常ビスコース法で作られてます(ビスコース・レーヨン)。現在はレーヨンの長繊維も短繊維も レーヨンと呼ばれ「人絹」と言う名称は 使われてません。レーヨンは綺麗な色に染まりますが、水に弱く 水洗いすると縮みます。
福井県は昔は、レーヨン織物の生産が盛んで 「人絹王国」とも呼ばれてました。もう 取り壊されてしまいましたが、その頃珍しかった洋風コンクリート建物の「人絹会館」と言う 立派な建物もあり、会合や祝典や結婚式等に よく利用されてました。
この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。
織物を織るときに使用する 筬(オサ)の羽に経糸を2本通して折ることから 「羽二重」と呼ばれます。日本を代表する絹織物であり『絹のよさは羽二重に始まり羽二重に終わる』といわれてました。
元は絹織物で作られていて 戦前は、密度の込んだ重めの羽二重は 着物用布生地(着尺)として主に内地用に、軽め(8匁(モンメ)等)の羽二重は スカーフやブラウス用として 海外へ大量に輸出されてました。ですが 現在国内では ほとんど見かける事がありませんし、輸出もほとんどされてません。
英語でも”habutae silk”と ローマ字で書かれるほど 有名だったのですね。でも 辞書には載ってませんでした。ポリエステルでも 代用品として「羽二重」と言う商品名で作られてます。
平織がメインですが、ドビーで織る綾羽二重(アヤハブタエ)や朱子羽二重(シュスハブタエ)、ジャガードで織る紋羽二重(モンハブタエ)なども あったそうです。
余談ですが、福井県の銘菓「羽二重餅」は この絹羽二重のような繊細で柔らかいタッチを 表現してます。
この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。
モスリンとは 日本ではウール(毛)などの単糸で平織した薄地の織物の事を指します。略してモスとか、別名メリンス 唐縮緬(トウチリメン)とも呼ばれるようです。漢字の当て字は「毛斯綸」のようです。
アクリルで作られると アクリル・モス(アクリル・モスリン)、ウール(毛)で作られると 本モスリン、コットン(綿)で作られると 綿モスリンと区別する場合もありますが、日本では アクリルとウール以外 あまり見かけないようです。
シルク・シフォンは 別名シルク(絹)モスリンとされる事もあるようです。薄地の生地をモスリンと言うのですね。
(天然繊維は 太さのバラツキがあり、かつ単糸では弱いところが切れやすい為に 2本合わせて双糸にする場合も多いです。厚めの布生地で表面の綺麗なコットン・シャツ生地などは 双糸で織られている場合が多いです)
モスリンの名前は、メソポタミアのチグリス河西岸の都市モスールで 綿モスリンが最初に作られた事に由来してます。綿モスリンは日本では ほとんど輸入もされませんでしたし、作られもしなかったようです。
この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。
ポリアミド繊維(polyamide fiber)とは アミド結合によって多くの分子が結合してできた繊維の総称です。
分子鎖骨格に脂肪族(aliphatic)を含むものの代表的なものに ナイロンがあります。また 分子骨格に芳香族(aromatic)のみを含むものは アラミド繊維(aramid fiber)と総称されます。
ナイロンは非常に綺麗な色に染まるのに対して、アラミド繊維は 結晶性が高いために染まりにくいです。
ポリアミドは 繊維だけでなく、いろいろなエンジニアリング・プラスチックとして使われてます。
この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。
アラミド繊維とは ケブラー(東レ・デュポン(株))やコーネックス(テイジン(株))等の商品名で販売されている、高強度・高耐熱性繊維です。(強度はケブラーの方が 耐熱性はコーネックスの方がやや優れてます)
ナイロンやアラミド繊維を総称して ポリアミド(polyamide)系繊維といいます。ナイロンは 分子鎖の中に ベンゼン環(亀の子)のない脂肪族(aliphatic)ポリアミド繊維であるのに対して、アラミド繊維は 分子鎖の中にペンゼン環がある芳香族(aromatic いい匂いがする物質が多いので芳香族と言いますが、全ていい匂いがするわけではありません)ポリアミド繊維です。
(アラミド繊維は 分子鎖の中が全てベンゼン環です)
aromaticと amideを組み合わせて、aramidと名づけられたと思います。ケブラーは 防弾チョッキや防刃手袋 自転車等のタイヤコード等に多く用いられてます。高強度ですが ハサミで切ると切れにくいですが切れます。
ナイロンが非常に綺麗な色に染まるのに対して、アラミド繊維は 結晶性が高いので染まりにくいです。
ケブラーはパラ系アラミド繊維 コーネックスはメタ系アラミド繊維で、ベンゼン環の付く位置が横に1つずれているだけなのですが、パラ系は強度が メタ系は耐熱性が やや優れていると言う性質の違いが出ます。
余談ですが、わたしの卒業論文はケブラーで 他大学院の試験を受けたときに
「ポリアミド系繊維の物性等について述べなさい」
と言う問題も出て たぶん出題者はナイロンについて 書くことを期待してたと思いますが、
わたしは 当然アラミド繊維のケブラーについて 書きました。卒業論文でやっていので 自分で言うのも何ですが、いい答案が書けたと思います。わたしが この大学院に受かった要因の1つだと思ってます。
この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。