布生地の名前」カテゴリーアーカイブ

風通織とは(フウツウオリ) 風通


風通織とは 風通とも言い、二重織の一種で 小さな袋状の模様が現れる織物です。中に風が通ると意味から風通と名づけられたと言われています。

表側の経糸・緯糸と 裏側の経糸・緯糸に それぞれ違う色を使い、緯糸を変えたりする組み合わせで多色の風通(三色風通 四色風通等)ができます。下記のようです。
(裏では 対の配色の同じ模様が 現れます)

風通織物例

風通織物例

(上記画像は 「着物が着たくなったら、着物用語集」さんより 転載しております)

この布生地を織るジャガード織機自体が 数が非常に少なく、また 多種多様な柄がいくらでも作れる事から(完全受注生産 自由度がありすぎるので逆に定番品がない) 風通織の布生地は非常に高価で貴重なものと思われます。

(cf. 布生地とは一期一会 )

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

スエードクロスとは(suede cloth)


スエードクロスとは、スエードに似せた人工スエードの事です。繊維素材はほとんどポリエステルで、超極細(糸の中の1本のフィラメントの太さが0.5デニール以下程度)のフィラメントを使います。

スエードとは(suede)、カーフ(子牛の皮) キッド(仔山羊) ピッグスキン(豚皮)などの小動物が主体で、皮の表面をサンドペーパー等でけずり、ビロードのような感触に仕上げたものです。非常に細かい仕上げのものはシルキーと言われています)

基布は不織布 織物 ニットがあり、これにウレタン系樹脂を含浸させて 起毛した物が多いです。

本物の皮のスエードに比べて 手触り等はやや違いますが、軽くて発色性も良く 取り扱いが簡単なので、コート ジャケットなどに使われます。均質なので 自動車のシートや 家具などにも広く使われています。熱に弱いのが最大の弱点です。(たばこの火の粉等で 簡単に穴が開いてしまいます)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

フランネルとは(flannel) フラノ


フランネルとは、フラノとも呼ばれ 経糸(タテイト)・緯糸(ヨコイト)とも 紡毛(ボウモウ)糸を使い、平織または綾織縮充(シュクジュウ)を施して 毛羽を押さえた、軽くて柔らかい紡毛織物です。

梳毛(ソモウ)で織ったものもあり、梳毛フランネルと呼ばれます。綿織物の場合は コットン・フランネル又は綿ネルと言います(片面か両面を起毛しています)。詳しくは下記をクリックで。
ネルとは

現在では ウール(毛)からだけでなく、ウールと綿 ウールと合成繊維などから 作られる事もあるそうです。

フランネルと言う名称は、イギリスのウェールズ地方の言葉で “gwlanen” (ウールのような)からきたと言われています。

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ネルとは(cotton flannel) コットン・フランネル 綿ネル


ネルとは、綿フランネル(コットン・フランネル 綿ネルとも呼ばれます)の略称です。甘撚の緯糸を打ち込んで平織、2/1綾織、2/2綾織の綿織物を起毛した布生地です。起毛してあるので 肌触りが柔らかくて暖かく、バジャマ ベビー衣料 シャツなどに使われます。

片面だけを起毛したもの(片面ネル)、両面を起毛したもの(両面ネル)の2種類があります。起毛は、晒し(サラシ P下にする事) 無地染め 捺染した後で 行います。

(綿で フランネルに似せて作った織物です。似せる為に起毛しています。ウールのフランネルは起毛しません)

“cotton frannel” と書かれた用語解説も多いのですが、フランネルが “flannel” のスペリングでもあり 英和辞典に “frannel” と言う単語は ないので( “flannel” はあります)、間違いだと思います)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

紬とは(ツムギ)


紬(ツムギ)とは、生糸(キイト)に向かない節(フシ)が多いと言われる玉繭や くず繭等(変形した繭等)を手撚りで紡いだ糸紬糸 ツムギイト)を、経糸(タテイト)や緯糸(ヨコイト)の片方か 両方に用いた先練織物(サキネリオリモノ)の事です。糸の太さが不均一で 節も所々にあります。

(生糸に向いた繭は、楕円形で本繭と呼ばれるそうです)

大島紬が有名で 他にも白山紬 上田紬 久米島紬などが あります。非常に耐久性があり 数代受け継がれて着られる事もあったそうです。野良着や普段着に使われていたので、正装には使いませんでしたが、最近は略正装くらいなら 使われるようになりました。

生糸に向かないので 生産者は繭を売る事ができず、その地方の人々が 野良着や普段着用に作っていました。作るのに非常に手間がかかる上に その地方独特の味わいがあり 着物好きの人々から珍重されるようになりました。現在では 伝統工芸品として指定されてる事も多く 高級品として取引されてます。

見た目は絹に見えず 江戸時代に贅沢禁止令が出された時に、裕福な町人が木綿(コットン)と 言い張って着たと言う説もあります。

最初は ゴワゴワするので(先練織物のため セリシンが落ちきってない)、裕福な商人が番頭に着せて 柔らかく着易くなった頃に返させて着たとか、近代では 落語の師匠が 弟子に着せて 着易くなった頃に自分が着たとかの 逸話もあるそうです(笑)。

大島紬が 本来の意味での紬を用いていたのは 明治初年くらいまでで、それ以後は 単に絹糸の撚糸を用いていて、名称をつけるなら「大島」(絣の技法は19世紀頃 取り入れられたそうです)だそうです。結城紬は 本来の意味での紬ですが、の精緻化で 糸が細くなり、織物は昔のものより 柔らかくなっているそうです)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

タイシルクとは(Thailand silk) ジム・トンプソンとは


タイシルクとは、タイの国で作られる絹織物の事です。経糸(タテイト)に極細の絹糸、緯糸(ヨコイト)に甘撚(アマヨリ)の糸(ツムギイト)を用いて、平織にしたものがメインです。

緯糸の節(フシ)と、明るいトルコ・ブルーや黄褐色、金・銀糸使いによる東洋的な色彩に特徴があります。ドレスなどに使われます。

米国人だったジム・トンプソン(James Harrison Wilson Thompson  Jamesの愛称がジム)氏が、第二次世界大戦後 オリエンタル・ホテル(現在のマンダリン・オリエンタル・バンコク)経営で成功しました。その後、機械生産による絹織物に押されて衰退していたタイ・シルクを 私財をなげうって 売込みと復興に没頭した結果、アメリカのファッション業界を中心に注目を浴びるようになりました。

ハリウッド映画の「王様と私」の衣装に使われ 欧米で人気が上がり、ジム・トンプソン氏は タイ・シルクを復興させた男として 世界中で有名になりました。ですが、1967年に休暇で訪れていたマレーシアで 謎の失踪をした後行方がわからなくなりました。

当時マレーシア軍までも動員されて 大規模な捜索が行われたにもかかわらず 本人は発見されず、今に至るも謎は 解明されていません。(失踪当時 既に超有名人でした)

特にジム・トンプソン氏の名前を冠した、「ジム・トンプソン・ブランド」は 高い品質と優れたデザインにより、タイ・シルクの最高級ブランドとして 世界中で有名でその人気を誇ります。
(余談ですが、私はジム・トンプソン・ブランドのネクタイを持ってます(笑)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ニットとは(knit) 編物とは(アミモノ)


ニットとは(編物とは)、編まれたもの(反物) 編まれた製品です。ニット(knit)は編むと言う動詞です。メリヤス(莫大小)とも言われます。

織物のように反物の形で編まれるもの(ジャージー)と、最初から最終製品(靴下 パンスト 軍手等)の形に編まれるもの(成形編)があります。
(反物は 通常の織物生地と同じように、裁断され縫製されます。例:Tシャツやポロシャツ等)

繊維製品には 下記があります。(織物以外を総称して 「編組類(ヘンソルイ)」と言います)

  1. 織物
  2. 編物ニット
  3. 撚り物(レース等)
  4. 網地(ネット 魚網等)
  5. 組み物(組み紐等)
  6. 不織布(使い捨てのお手拭等)

ニットの編み方は 緯編(ヨコアミ 緯糸だけで編みます。丸編(マルアミ)は緯編の一種ですが 一番生産量が多いです)と経編(タテアミ 経糸だけで編みます)に大別されます。

ニット製品の特長は下記です。

  1. 伸縮性がある
  2. シワになにりくい
  3. 着易くて疲れにくい
  4. 空気を多く含み 保温性がある
  5. クラフト性(工芸的・手芸的感覚)を入れられる
  6. 一般にカジュアル(普段着 フォーマルの反対)的

反対に短所としては 下記です。

  1. 型崩れしやすい
  2. 構築的なシルエットは作れない
  3. 通気性のある よく透けるような薄いものは作れない
  4. ピリングになり易い

近年はインテリアや産業資材(自動車用等)など 衣料用以外にも沢山使われるようになってきています。

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

パッチワークとは(patchwork) パッチワーク・キルト(patchwork quilt)


パッチワークとは さまざまな色・柄・形の布切れを 縫い合わせて模様を作った布生地です。パッチとは「はぎ合わせ 継ぎ当て」の意味です。

表布と、綿(ワタ) 裏布を三枚縫い合わせたものを パッチワーク・キルトと言います。主にベッドカバーとか 敷物 洋服に用いられます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

キルティングとは(quilting) キルト(quilt)


キルティングとは、2枚の布生地の中に挟まれた綿(ワタ)等を ずれないように 布生地の上から縫い合わす事を言います。縫い合わせた布生地を キルトとも言います。

防寒用のワタ入り衣料や 薄い洋布団 羽毛布団などに用いられます。あらかじめ キルティングされた「キルト生地(キルティング生地)」も 販売されてます。
(大変申しわけございませんが、弊生地屋での取り扱いは ございません)

ファッション的には ステッチ(縫い方や縫い目)が装飾的なものもありますが、多色(又は柄生地)の布生地片を縫い合わせた パッチワーク・キルトが主流です。

キルティングはシャネル(CHANEL)のバックの 大きな特徴のひとつになってます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

オットマンとは(Ottoman)


オットマンとは、緯(ヨコ)に太い畝のある厚手の織物の事です。

  • 経(タテ)に光沢のある細番手の糸を密に
  • 緯(ヨコ)に太い糸を 一経糸開口(一ひぐち)に2本以上打ち込んで織る(通常ドビーでないと 織れません(注)

横に畝のある織物の中ではもっとも畝が大きく、はっきりと出ています。ファイユグログランオットマンの順に緯畝(ヨコウネ 緯の線の事)の巾が広くなります。

(ファイユは緯畝のピッチは目安0.5mm以下程度です。あくまでもアバウトな目安ですが、グログランは1mm程度 2mmを越えるようになると オットマンと呼ぶようです)

シルク(絹) コットン(綿) ウール(毛) ポリエステルなど いろいろな素材から作られてます。厚く堅い布生地でコート、スーツ、ジャケットなどに使われます。

下記生地写真は 「ニット生地屋」さんから 一部を拝借しています。(かなり探したのですが、使えそうな写真は ありませんでした。全体写真でなく 一部だけしか使ってませんし、リンクもしています)

オットマン ottoman

オットマン ottoman

経糸が密で、太い緯糸数本がそれに包まれてほとんど見えなくなってます。固く密に織られているので ドレープ性はほとんどありません。

(注:一ひぐちに2本くらいまでなら ドビーでなくても、一回に2本の緯糸を引っ張る 特殊なレピア織機で織ることも可能です)

Ottoman は 中世にヨーロッパの諸国をふるえあがらせたオスマン帝国の英語名です。オットマンはそのカナ読みです。オスマン帝国内で 最初は作られたのかも知れません。

大変申しわけございませんが、弊生地屋での取り扱いは ございません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。