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ダウンプルーフとは? ダウンプルーフ加工とは


防寒のため ダウン(羽毛)を中に詰めた防寒製品で 中からダウンが出てこないように 布生地を加工することを言います。

ダウンは大変細いので 通常の目の詰まった布生地でも 中からダウンが出てきてしまいます。(プルールとは「防」の意味で、ウオーター・プルーフで完全防水 ビュレット・プルーフで防弾と言う意味になります)

目の詰まった織物(高密度織物と言います)を ローラーではさんで 高い圧力と熱をかけながら、糸と糸の隙間を ダウンがはみ出さないようにつぶして狭めていきます。(チンツ加工で使う カレンダーと言う機械を使います)

(ダウンがはみ出さないようにするだけなら フィルムのような素材でもいいのですが、それでは 通気性がなくなって 中でムレたり手触りが良くなかったりします)

ダウンプルーフ加工された布生地は あまり一般の生地屋さんでは 売っていません。(生地屋も取り扱っておりません)

(あと 余談ですが、ダウンジャケットなどを一般消費者の方が 縫製で修理される事は お奨めできません。針穴や縫い目から 中のダウンが次から次へと出てきて、どうしようもなくなる場合があります。必ず専用の貼り付け布で 修理されるか、専門の業者へ頼むことを 強くお奨めいたします)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ヒートテックの詳しい原理 吸着発熱とは (吸湿発熱)


人間は別に汗をかかなくても 一日約0.8リットルもの水蒸気を 体全体から蒸発させているそうです。水蒸気は運動エネルギーをもっていて これが繊維などに吸着(吸湿)すると 熱を出します。これが 吸着熱吸湿熱)です。

(水が蒸発する時に 気化熱を奪うのと逆の作用ですね。火災の時 水をかけるのは この原理を利用して消火してます)

ですので どんな繊維も衣服も吸着熱作用を持っています。でも、どうして「ヒートテック」等の素材は 暖かく感じるのでしょうか?

  1. 水蒸気の吸着を できるだけ皮膚に近い部分で起こるようにしています。(外側で起こるほど 人は温かさを感じにくい)
  2. 吸着した水分が できるだけ速く外へ拡散させるしくみ(毛細管現象等)があります。
    .
  3. 外側へ出てきた水分を できるだけ速く蒸発させるしくみ(繊維の表面積を広くする等)があります。
    (2.と3.のしくみがあるので、着用後の数分間だけ暖かいわけではなく 長時間暖かく感じます。吸湿速乾の機能性下着やユニフォームは 2.と3.のしくみを使って速く蒸発させます)
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  4. 3.の蒸発するときに 熱を奪いますので、布生地の内側と外側が しっかり断熱されるしくみ(内部にしっかり空気の層を確保する等)があります。
  5. 1.~4.まで どれか一つでも 大きく劣っていると、そこが 暖かさを感じる度合いを 大きく下げてしまいます。1.~4.の性能が バランス良く発揮されてないとダメです。

実際に着用すると 本当に暖かいです。ポリエステル100%の薄手のものより 綿やアクリルと混紡されワッフルのように編まれたものの方が 少し厚手で空気の層が厚いので わたしは暖かく感じますね。

(風が通ると ヒートッテックの保温機能が 大きく損なわれるので、衣服の一番外側には 一枚は風を通しにくいものを 着用されることをお奨めいたします。ただ 完全に体を密閉しますと、上記3.の蒸発が 起こりにくくなるので 良くないと思います)

ユニクロ以外にも いろいろ発売されているようですが、どの程度ヒートテックと違うのか 比較する必要があると 思います。値段の安さだけで 大量に買わないほうが いいのでは? 1~2枚買われて効果を実感されてから 沢山買われるといいと思います。

現時点ではヒートテックの方が 抗菌機能とか形状安定とか いろいろな付加機能がありますね。どんどん 進化してます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリエステルはシワになりにくい?


一般にそう言われますが、実はそうではありません。ポリエステル製でも タフタや通常のサテン生地は シワになりやすいです。

ポリエステル製で シワになりにくい布生地は

上記のような糸で 作った布生地は シワになりにくく、公演や大会が遠方であっても 現地でそのままか 薄いシワでも気になさる方は 軽いアイロンで着ることが可能です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

下着は綿(コットン)が一番でない場合もあります。吸湿速乾とは?


よく 肌につけるものは 汗をよく吸う綿(コットン)でないとダメって 思う人が多いと思います。
ですが、下記のような場合は 不向きです。

  • サッカーやバスケット マラソンのように 大量に汗をかくスポーツ
  • 重労働で 大量に汗をかく作業
  • 非常に汗かきの人(わたしです、特に夏場)
  • 冬山登山などで 非常に寒い場所に行くような場合

どうしてかと言うと 綿は10%程度しか吸水しないのです。そうして一度濡れると なかなか乾燥しません。乾きにくいので 体温を奪われて体が冷えます。

わたしは 昔5kmとか10kmのマラソンによく出たのですが、綿のユニフォームを着てたときは ゴールするとユニフォームが汗でベタベタでした。ある時から ポリエステル合成繊維)製の吸湿速乾性(汗をよく吸って 外側からどんどん発散させる機能があります)のユニフォームに変えました。

そうすると ゴールしたときに 胸周りが少し濡れているだけで ほかは乾燥していたのです。サッカーやバスケット選手等も 最近はほとんどポリエステル100%の吸湿速乾性の下着やユニフォームを着ています。

また 冬山登山される方も 登山用品店で売っている やはりポリエステル100%の吸湿速乾性の下着(通常の下着より割高ですが)を 買われます。

使う場面や 時間・時期によって、使い分けることをお奨めいたします。また ポリエステル製の下着は 綿などの下着に比べて 非常に耐久性があり長持ちします。わたしの だいたいの感じでは 3倍くらい持ちますね。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

(布生地の)欠点について


布生地の商品特性として 欠点の問題があります。当然 お客様は無欠点の布生地を求められます。わたしも 消費者の一人ですから そのお気持ちは良くわかります。

2~3mの布生地なら 無欠点で出すことは そんなにむずかしくありません。ですが、10mとか20m以上の布生地を 毎回毎回完全に無欠点で出すことは 不可能なんです。

(弊店お買い上げの布生地で、万が一 どうしても欠点がパターンに入ってしまう場合は 弊生地屋ご相談くださいませ。そのパターン分の布生地を 無料でお送りさせていただきます。
メール: info@kijiya.com  Tel. 0779-66-3765 )

  • 合成繊維長繊維織物は 1反(46~50m程度)の中に7箇所までの欠点は 合格反範囲内と認められてます。(欠点が7箇所まであっても 正規の商品として流通してます。3~4箇所の欠点が10mくらいの中にかたまっている事もあります)
  • 天然繊維(コットンやウール)など他の布生地では もっと検査基準が甘く(合格の欠点の数が多い。欠点が入りやすいためです)なってます。
  • また 薄地合成繊維の長繊維布生地は、欠点の補修がほとんど できません。厚く透けにくい布生地でしたら、汚れ等の欠点は インキングと言って 布生地と同じような色を塗ることによって 目立たなくする事ができます。ですが 厚い生地でもそれくらいしか できないのです。
    (それに比べて コットンやウールなどの布生地は 欠点の修正が比較的やりやすいです)
  • 言い訳に聞こえるかも知れませんが、染め工場でも弊店(生地屋)でも 検査は流し検査と言って 検査台の上である程度のスピードで 布生地を巻き取りながら検査します。微細な欠点(数ミリの大きさ)は 見逃しやすいのです。
  • また 斜めからしか見えないとか 光線の関係で見えるなど、正面からは見えにくい欠点の発見は 極めて困難です。(正面からだけ 検査してますから)
  • 欠点箇所を完全に検査して 悪い部分を全部捨てていたら、大変な資源の浪費になりますし、今の良心的な価格を 維持できなくなります。(10mの御注文で 9mめに欠点があれば、9m全部廃棄しなければ なりません)
  • 無欠点の布生地を求められるのは当然です。ですが 上記のような いろいろな理由がございますので どうかご理解をお願いできませんでしょうか? どこの布生地屋さんで 買われても同じだと思います。
    (弊店では 欠点一箇所につき 0.5m余分につけて 出してます)
  • 洋裁などの本にも 「布生地には欠点があるので 印をつけて そこを避けてパターンカットする」と 書いてあると思います。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

合成繊維は地球(環境)に優しい?


いろいろ 異論もあろうかと思いますが、わたしは

合成繊維(合繊)は地球に優しい」 (ポリエステルとかナイロン、アクリルなど)

と本心から思います。理由としましては、

  1. 最も少ないエネルギー・コストで作れます。
    (綿とかウールとか、1年かけて大変なエネルギーと労力(オーガニック・コットン以外は 農薬や肥料も必要です)をかけて(地球に負荷をかけて) 原料が作られます。そのような耕地があれば、地球人口70億を越えて不足が予想される食料生産に振り向けるべきだと わたしは思います)
  2. 合成繊維の方が一般に 丈夫で 長持ちします。
    (綿100%のズボンは 毎日のようにはいていると 1~2年くらいでダメになります。綿100%のシャツもそうで、袖口や襟が擦り切れてしまいます。ウールなども同様です)
  3. 合成繊維はリサイクル可能です。
    (PETボトルからのリサイクルは既に実用化され、ポリエステルやナイロン繊維からのリサイクルも研究が進んでいます。天然繊維はボロにする以外に使い道がありません)
  4. 厚手のウールの服を沢山着るより、ユニクロ等から発売された薄手で軽量のダウンやヒートテックなどの機能性防寒素材の方が 暖かくて見た目もいいです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

布生地の素材の見分け方


燃やして 匂いで見分けます。混紡(糸の段階で 2種類以上混ぜて 糸にする事)の場合は ちょっと困難ですが(不可能ではありません。最下段 注1)参照)、混織(コンショク)や 素材で色分けされているもの等は ほどいて同一と思われる繊維くずを集めて燃やされれば わかります。

(具体的には マッチやライターの火で あぶって、すぐに消して 匂いをかぎます)

だいたい 次のような感じです。

  1. 綿(コットン)やレーヨン キュプラベンベルグ) アセテート等は、紙が燃えたような匂い。(紙もコットン等も 全部主成分はセルロースです) 短繊維(一本の繊維くずが5cm以下と短い)なら だいたいコットンです。長繊維(糸の端から端まで一本の繊維)なら だいたいレーヨンかキュプラ アセテートです。ただスフのように レーヨンの短繊維で作られた布生地もありますから 一概には決められません。ですが、スフはほとんど売ってないと思います。
  2. 毛(ウール)や絹(シルク)は 髪の毛が燃えたような匂い。どちらも たんぱく質でできています。短繊維なら ウール、長繊維なら シルクです。ですが、非常に稀ですが、絹紡糸と言って 絹のくずで作った紡績糸があります。非常に高価ですので、ほとんど一般には売られてません。
  3. 合成繊維は プラスチックが燃えたような刺激臭がします。主に ポリエステル ナイロン アクリルです。匂いの違いは わずかで、わたしは素材の分かったものを 燃やしてみて、その匂いと比較して決めます。ポリエステルは長繊維 短繊維両方あります。アクリルも両方ありますが、短繊維の生産量は 非常に少ないので、あまり一般には売られてません。ナイロンは長繊維のみです。

あと カシミヤとか アンゴラとか 動物の毛を用いたものもあります。これは 上記の2と同じですが、わたしも 匂いをかいだ事が ないので何とも言えません。

注1)混紡された糸を ほどいて、顕微鏡などで見て 同じ種類と思われる繊維くずを かためて燃やします。その匂いを嗅げば区分できるはずです。最低豆粒くらいの量がないと 匂いがしませんが)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

布生地の大分類


大きく 3つに分けられます。

  1. 織物(経糸(タテイト)と緯糸(ヨコイト)を 交絡させたもの)
  2. ニット編物
  3. 不織布(使い捨てのお手拭やおしめなどに 使われている)

1.織物の例として サテンとか ジョーゼットなどがあります。ドレスや衣装 シャツ スーツなどに使われている生地の多くは 織物です。寸法安定性に優れてます。

2.ニットには 経編 緯編丸編は緯編の一種ですが、一番生産量が多いです)などがあり、体操服や水着 Tシャツなどに用いられます。セーターなども 編物です。嵩高(厚みがある)で伸び縮みする素材が多いです。

3.不織布は 織ってない布と言う意味で、繊維を和紙のように 絡ませて作ったり、洋紙(通常の紙)のように 接着剤や糊で固めたりして作ります。安価なものは 絡ませて作っています。

安価に大量にできますが、異物が入りにくい製造工程なので 精密フィルターや研磨布などの高機能用途(こちらの用途用は非常に高価です)にも使われます。

生地屋は 合繊織物専門です。ニットは不織布の取り扱いはございません。同様に綿(コットン)や毛(ウール)の取り扱いもございません。

また合繊(合成繊維)でも ほとんどポリエステル100%の取り扱いですので、ナイロンやアクリル等の取り扱いもございません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

後から買いに行った布生地の色が微妙に違う!


用尺を計算して、布生地を買ってきて いざ作り始めたら、

  • デザインを変更したくなった
  • (パターンカット等を)失敗してしまった
  • 用尺の計算を間違えていた

等 よくあることだと思います。近くのお店で すぐに買いに行けば 同じ布生地なので 問題はありません。

でも かなりたってからだったり、売れ行きのいい布生地で 次のが入荷していたりすると 色が微妙に違う事があります。

これは仕方ない事なのです。ペンキのはげた部分を塗りなおす時に はげた部分だけでなく 全体を塗り直します。目の前で色合わせしても 合わないのに、いくつもの工程を通る染色工程で 毎回寸分たがわず色合わせする事は 非常に困難なのです。

ですので、近くのお店で まだ沢山残っているような場合を除いて パターンの一番長い部分以上(たとえば ワンピースなら 身ごろの一番長い部分) 余分に買われる事をお奨めいたします。

最悪その部分を失敗しても やり直す事ができます。

 

(染めロットが同じ(その時に 一緒の釜で染めている)なら 同じ色になる筈です。ですが 入荷した時期の異なる糸(ロットの違う)で作った布生地が一緒に入っていると、色が微妙に異なってしまう場合があります。

なので プロの世界では「反内縫製」と言って、一着の洋服や製品は 一反内でパターンカットします。一着に足りなければ もったいないですが、廃棄します。

色に対する人間の目の感覚も 非常に敏感な色の系統があったり、かなり鈍感な系統もあります(淡色系は 一般に少しぐらい違っていても 人間の目はまず感知できません)。敏感な色は 少しでも違うと 人間の目は 見分けてしまいます。

また 染め工程も、通常 薄い色から染めていき、中色 濃色 黒色と だんだん濃い色に順番に染めて行きます。毎回完全に洗っていると 手間がかかりすぎるからです。黒色から淡色に染める場合は 手間をかけて綺麗に洗います。

ですので、微妙な色は 前に何色を染めたかで 影響を受ける場合もあります。

染めるのが難しい生地もあります。弊店のシルデュー・デシンがそうで 毎回染工場さんが目標の色に染めるのに大変苦労されてます。色直しの 色抜きも1~2回程度しかできず(表面の極細の糸が溶けてしまう) 何度も修正ができないのです。

こう言う布生地は 色の許容範囲を不本意ですが 広くします)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

織物(布生地)の表裏の見分け方


合成繊維(合繊)長繊維織物の場合は 下記のように見分けます。(コットンやウールでは 反対の場合もあります。歴史的に各布生地産地でやり方が違います。たぶん それぞれの布生地や機械にとって都合の良い法方が取られているでしょう)

  1. 両耳の2列に空いている針の穴が 上に凸の方が表
  2. 反物は 巻いてある内側が表
  3. 虫眼鏡等で拡大して 毛羽みたいな表面の毛が 比較して寝てない方が表

で 見分けます。

  1. は 最後の仕上げセットで、表を上にして 機械にかけるため
  2. は 使用面を保護するため
  3. は ローラーなどにかかるときに 表を上にしているため(ローラー面の方は 毛等が寝てしまう)

片表面だけしか 布生地の検査はしてないです。薄い生地の場合は 問題ありませんが(片面に欠点があれば 裏からでも見える)、透けにくい布生地の場合は注意しないと裏側だと 検査で見逃した欠点がある場合があります。

ですが 表裏の見分けがつかなければ、(支障がなければ)お好きな方をお使いになられて 問題ありません。(だだし その場合、一枚の洋服では 使う面を統一した方が無難です)

プロの縫製工場さんでも、平織りのように 表裏のない組織の場合、表裏を気にせずにパターン・カットする場合もあります。(勿論 使う面は統一しますが。わたしのような布生地のプロでも 表裏を見分けることは 困難です)

著名なデザイナーさんでも 作り手が思った面と反対を 面白いと表にされる事も多々あります。またバックサテン・アムンゼンや 下記の生地のように 最初から両面を使うことを想定する布生地もあります。(ですが この場合も矛盾するようですが 主使用面しか検査しません)

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この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。