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反毛とは(ハンモウ Shoddy) 再製毛(サイセイモウ)


反毛とは、元々 毛(ウール)織物や毛編物などの、くず糸やくず布を 反毛機でほぐし 再生した羊毛を指してました。(再製毛とも言います。新毛(virgin wool)よりも 紡績性や縮充性は劣ります)

ですが、近年では 綿(コットン)なども使われ、針状の機具で織りを崩すことによって毛羽立たせ、もとの綿または毛状の単繊維に戻したものも指します。糸くず、裁断くず、ぼろ布、古着などを反毛機・割糸機などで処理し、繊維素原料として 再利用されてます。

また ポリエステルナイロン100%の古着も反毛材料になります。(ただ 表地や裏地がポリエステル100%でも、副資材(レース等)等が他の種類の繊維ですと、ポリエステル100%の古着にはなりません。このあたりに 古着のリサイクルの難しさがあります)

フェルト芯地・内装材などに使われ、古くは、表紙原料にも混入利用されていました。反毛で出来た綿の大部分は、糸向け(作業手袋・作業着原料)、フェルト向け(自動車内装材・建築用断熱防音材)で、カーペット(住宅・事務所用)、縫いぐるみの中綿や運動用具その他のクッション材などにも使われてます。

産業革命以前は、布生地は貴重品で 何度も洋服に作りなおされて 使われてました。(着物などは ほどくと いくつかの長さの元の反物に戻り、また新規に着物が縫えます) その頃は ウールの布生地が 何度も作りなおされて、もうボロボロになってからも、まだ使おうと反毛機にかけられたのだと思います。

産業革命以降 糸を作ったり織物を織るスピードが飛躍的に上がって コストが大幅に下がり、布生地は 庶民でも普通に買える物になりました。
(江戸時代は 和紙に柿渋を塗って 寝具や着物下着の代用にしてしていたほどです。そのころ高かった紙よりも 高価だと言う事ですね)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

色について カラー(color)


色って 本当に微妙で 難しいです。

よくお客様から、メールで画像のリンクを示されたり 画像を添付ファイルとして 送ってこられ、
「これと 同じ色を捜してください」 とか
「これに 一番近いカラーが欲しいのです」 とか 聞かれます。

ですが、お客様がご覧になられた色と 私が見ている色は 微妙に違っている事が 多いのです。元々 パソコンや液晶ディスプレイの機種ごとの癖が ある上に、パソコン出荷時に色がある程度調整されてますが、それから だんだんとずれて行きます。

(厳密にやる所は 2週間おきとか毎月のように カラー校正をやるそうです。

赤が青に見えることはありませんが、赤が微妙に青っぽくなったり 黄色っぽくなったりします。店長三浦のパソコンとディスプレイは、簡易カラー校正器で定期的に校正された色にしてます)

ですので、お答えするときに 上記の事情をお話して、
「厳密には お客様の思われている色と 違うかもしれませんが、私には これが一番近く思えます。」
と お答えしてます。

微妙な色合いの違いを 気になさる場合は、必ず品番(商品番号)と色番(カラーNo.)をメモされて、下記より無料サンプル請求される事を お奨めいたします。
無料サンプル請求

(よく紙のカタログや インターネットのお店で 「実際の色は 写真の色と多少異なる場合があります」って 書かれているのは、その為なのです。

昔 美術の先生に、美術の教科書に載っている絵は かなりお金をかけて 印刷の色調整をしていると 聞いた事があります。高価な自動車のカタログでさえ(商品が高いので、お金をかけられす筈なのですが)、説明には「写真の色とは 異なる事があります」って 書かれてますよね。

製造する時のロット(製造単位)が 違うと、色が微妙に違ってしまう場合もあります。
後から買いに行った布生地の色が 微妙に違う

また 実物の色の一部は、液晶画面で再現できないものもあります)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

紡績とは (ボウセキ spinning)


紡績とは、天然繊維の短い繊維、または化学繊維ステープル(短繊維)を、平行に並べ 均一の太さに引き揃えて、撚(ヨリ ねじること)をかけて糸にすることです。「紡」は撚りあわせることを意味し、「績」は引き伸ばすことを意味する漢字です。

紡績で できた糸は、スパン・ヤーン(spun yarn)とか ステープル・ヤーン(staple yarn)と呼ばれます。

長繊維の絹を蚕の繭から繰り出し、ばらばらにならないように数本まとめて撚る工程は 製糸(silk reeling)と言います。化学繊維から糸を作る工程は 紡糸と言います。こうしてできた糸は フィラメント・ヤーン(filament yarn)と呼ばれます。
紡績も紡糸も 英語名は同じ “spinning” です)

原料繊維の種類によって 下記のような さまざまな種類があります。その製造方法や機械も 全部違います。

  • 綿糸:綿紡
  • 羊毛糸:毛紡
  • 麻糸:麻紡
  • スフ糸:スフ紡
  • 短繊維のスパン・ヤーン:合繊紡
    .
  • 絹紡糸(ケンボウシ):絹紡(くず繭等から作る)
  • 混紡(複数の種類の繊維原料を 混ぜ合わせて紡績する事。大抵は 綿とポリエステルのように 天然繊維と合成繊維を組み合わせる事が多い)
  • ガラ紡(落綿やくず綿から作る。生産スピードも遅く 均質な糸を作る事が難しいため、現在では ほとんど生産されてない)

太さの揃った 切れにくい(糸は一番弱いところから着れます)均質な糸を作るためには、確率統計理論(いろいろな長さの細かい繊維が 大量に寄り集まって糸になる為)が必要で 「紡績学原論」などと言う 大層な名前のついた学問もありました。

(昔の繊維技術者は 大層な名前をつける事が好きだったみたいで(昔は最先端の学問だったのでしょうね)、異種の合成繊維を 組み合わせて糸を作ること等を 「高次加工」(一次元の糸を 三次元加工する意味?)などと 言ったりしてました)

紡績糸(短繊維)で作った布生地は 一般に膨らみ感があります。また 表面に細かい毛羽が出ているので(この微細な毛羽の影響は絶大です) 柔らかく感じ、空気の層を保持するので保温性も高いです。

ただ 長繊維でも 仮撚加工をしたり、異種の長繊維を組み合わたりする新合繊等は、従来の長繊維ない特質を 表現する事が可能になってます。
(従来の長繊維織物は ペラッとした冷たい感じのものが 多かったです)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

紡糸とは(ボウシ spinning) 溶融紡糸 湿式紡糸 乾式紡糸


紡糸とは、一般に化学繊維の製造段階で 糸の原液を多数の小さい穴から、押し出して糸にする事を言います。溶融紡糸 湿式紡糸 乾式紡糸など3種類あります。

(コットン(綿)やウール(毛) などの短繊維を、引き揃えて撚をかけて糸にする事は 紡績と言います)

  • 溶融紡糸(ヨウユウボウシ melt spinning)
    糸の原料を 熱で溶かして、多数の小さい穴から押し出し 冷やして固めます。
    ポリエステルナイロン等 多くの合成繊維で、この方法が取られてます。最も高速で エネルギーコストの低い紡糸方法です。
    .以前は 紡糸と延伸(引き伸ばして 分子鎖の方向を揃える)の2工程に分かれてましたが、最近は紡糸と延伸を1工程でやる one step spinning が主流になりつつあります。
    .
  • 湿式紡糸(シッシキボウシ wet spinning)
    原料を 溶剤に溶かして、凝固液(固める液)中に 多数の穴から押し出して、溶剤を除去して糸にします。レーヨン アクリル ビニロン等。
    .
    繊維を凝固させるのに 下記の2つの方法があります。

    1. 凝固液との化学反応で 凝固させる。レーヨン等
    2. 溶剤を取り去って 凝固させる。アクリル、ビニロン等

    .
    糸の断面は円形ではなく 凹凸の形の物が多いです。

  • 乾式紡糸(カンシキボウシ dry spinning)
    原料を 熱で気化する溶剤に溶かして、熱雰囲気中で 多数の穴から押し出し、溶剤を気化させて固めます。アセテート アクリル ビニロン等。
    .
    糸の断面は 繭形(マユガタ 楕円形)になります。

(2つ以上の製法に書かれている繊維は 製法が2つ以上あると言う事です。どちらが 主流かは わかりませんでした。ご存知の方が いらっしゃれば、御教授いただくと大変幸いです)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

不織布とは (フショクフ non-woven fabric)


不織布とは、織物にも編物にも属さない布生地の事です。繊維を糸にせずに、繊維のまま布生地状にしたものです。

  • 紙をすくのと同じ方法で作る混式(乾式と湿式あり)
  • 繊維を薄くシート状に広げて 接着剤で固めた接着式
    .
  • 特殊な針でシート状の繊維を突いて 絡み合わせたニードル・パンチ
  • 繊維を紡糸するのと同時に布状にしてしまう スパン・ボンド

などの 作り方がります。下記のような 長所・欠点があり、衣料用に使われる事は少なく、芯地やフィルター、スペーサー、使い捨ておしぼり等など 産業用に多く使われます。

<長所>

  • ランダムに結合されたものは、強度や伸びに方向性がない
  • 大量生産ができ 安価である。塵の混入を抑えたり 衛生的に作る事も可能
  • 複数の素材を容易に組合させれる
  • 厚みや空隙を 簡単に変更できる

<短所>

  • 織られた布生地と比較すると 強度が弱い
  • 透けるものを作るのが困難
  • ドレープのあるものも 作成困難

フェルトも 不織布の一種であるが、織物から作られる物もあり 織フェルトと言われます。

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

架橋反応とは (crosslinking reaction, cross-linking reaction)


架橋反応とは、分子鎖(分子が鎖状に 長くつながったもの)の間に 橋を架けるように 他種類の分子がつながる反応です。つながる事によって 高分子(ポリマー)では 一般に粘性が増し、ゲル化したり(分子鎖間の隙間が多く 水分子が入り易い場合) 固くなったりします。また 溶剤等にも 溶けにくくなります。

(湯がいた「うどん」が うどん同士が一部くっついて、湯がく前の「うどん」に なるようなイメージですね)

柔らかく弾力性の小さい「イソプレン」ポリマーが 硫黄による架橋でタイヤなどに成型できるようになり、さらに架橋を進めることで固い「エボナイト」となります。

ワイシャツなどの形態安定加工(アイロンのいらない)などは、縫製後に この反応を利用して形態を安定させ シワもよりにくくしてます。

2液を混ぜ合わせて硬化させる エポキシ樹脂も、この反応で固くなります。

この記事は 布通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

 

熱可塑性とは (ネツカソセイ thermoplasticity) 熱硬化性とは (ネツコウカセイ thermosetting)


熱可塑性とは、加熱すると 柔らかくなる性質で 成形後常温に戻すと ほぼそのままの形で成形できます。ほとんどの合成繊維が この性質を持ちます。(fosshape以外は 三浦は知りません)

熱硬化性とは、反対に 加熱すると架橋反応等が進んで 重合度が上がり、硬くなる性質です。硬くなると 温度が下がっても もう柔らかくなりません。

ポリエステル等の合成繊維は 熱可塑性を利用して 溶融紡糸(溶かして 糸の形にする)が 行われます。この性質を利用して、糸にクリンプをつけたり(仮撚加工糸) 布生地にヒートセットしたり スカートにプリーツをつけたりしてます。

熱硬化性の樹脂は 硬化後は、硬くて溶剤等にも強いので 電気部品やテーブル等の家具の表面処理 灰皿 焼付け塗料に使用されます。(尿素樹脂 メラミン樹脂 フェノール樹脂等)

よくホームセンター等で売っている エポキシ樹脂接着剤は、A液(基剤)とB液(硬化剤)を混ぜることによって、架橋反応等を促進し 熱硬化性樹脂のようにして 固くなるものです。

レーヨンベンベルグ等の 再生繊維は、加熱すると 柔らかくも固くもならず もっと加熱すると燃えるので、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂とは 全然異なるものです。(熱可塑性樹脂よりは 耐熱温度はもっと高いですが)

この記事は 布通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

fosshapeとは


fosshapeとは、熱硬化性の分厚い不織布のようです。下記動画のように 成形して熱をかける事によって 硬くなります。構築的なシルエットを作ったり コスプレなどで利用できそうですね。(フォス・シェイプと読むのでしょうか?)

通常の合成繊維は 熱可塑性で、熱をかけると 柔らかくなりますが、その反対の性質ですね。ありそうで なかった繊維です。

日本でも 似たような布生地が発売されてないか、
「熱硬化性 布」 「熱硬化性 生地」
等のキーワードで検索して、ざっと見てみましたが 同様のものはありませんでした。

下記より ヤード単位で購入できそうです。(英語で海外からの購入になりますが)
fosshapeの購入ページ
販売会社のトップ・ページ

この記事は 布通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

風合いとは (handling)


風合いとは、手触りや肌触り 着心地など、人がその布生地に触れた時に感じる 材質感の事です。「風合い良い生地」(手触りの良い)と言うような 表現をします。

学術的には 次のような標準的基本用語が 定義されてるようです。学術的に定義すると とても難しくなりますね。

  • ソフトさ (Soft feeling) :かさ高さ、曲げやわらかさ、なめらかさの混じったソフト感。準基本風合い。
  • しなやかさ (Flexibility with soft feeling) :やわらかく、ドレープ性を加味し、触ってなめらかな感覚を含んだ総合風合い。これは基本風合いではないが準基本風合いで婦人用薄手布の性質を表現するのに重要なものとして加えられている。
    .
  • ふくらみ (Fullness and softness) :かさ高でよくこなれたふくよかな布の感覚である。圧縮に弾力性があり、曖昧を伴う厚み感である。
  • はり (Anti-drepe stiffness) :張る性質で、曲げ硬さが主であるが、弾力性の有無は問題にしない。
    .
  • こし (Stiffness) :触って得られる可撓性、反撥力、弾性のある充実した感覚。たとえば、弾力性のある繊維や糸で構成されている、また適度に高い密度の布の持つ感覚である。
  • きしみ (Scrooping feeling) :きしむ感覚。絹(シルク)繊維がこの感覚を強くもっている。
    .
  • しゃり (Crispness) :粗く硬い繊維や強撚の糸から生まれる触ってしゃりしゃりした感覚。たとえば、ポーラ地に強く現れる感覚をいう。主として布の表面の感覚である。布のすべての種類の剛さがこの感覚を助長する。
    .
  • ぬめり (Smoothness) :細くて柔らかい羊毛の繊維からもたらされる触ってのなめらかさ、しなやかさ、柔らかさの混じった感覚で、毛質の良さからくる柔らかさをいう。曲げやわらかさ、なめらかさ、なめらかな曲げの手触り、すなわち、ころびの良さ、そして曲げにおける弾力的な性質によって判断する。

大昔に 大学で習った先生に
「風合い計ができたら、売れて大儲けできます!」
と 言われましたが、大変残念ながら そうは ならなかったようです。
ニューサイバーテック
カトーテック株式会社

この記事は 布通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

カード糸とは (carded yarn)


カード糸とは、綿(コットン)のコーマ工程を通さない糸の事で 40番手以上(30と40番手のみは コーマ糸もある)の太さは 事実上全部カード糸になります。
(30番手以上の糸で コーマ糸を作る事も 可能ですが、あまり意味がありませんし(太いので強度は十分ある) 需要もないので、生産されてないのでは? と思われます)

カード(card:すき櫛 毛羽立て機の意味)工程は、長さ短い繊維の除去と 繊維の平行度を高める為に、綿紡績では 必ず行います。30と40番手には 両方あるので、「カード30番」とか「カード40番」のように 明記されます。
(たぶん 他の毛紡績とか 麻紡績などでも、必ず同様の工程はあると 思われます)

下記のように 外観が異なります。(写真は apparel fashion wiki より拝借しています。写真掲載ページ) カード糸の方が 膨らみ感のある糸になります。

カード糸の外観

カード糸の外観

コーマ糸の外観

コーマ糸の外観

中を構成する繊維長も 下記のグラフのようになります(綿花をほどいた繊維を縦にして 長さ順に横に並べています。縦軸が1本1本の繊維の長さです)。クラフは オリジナルTシャツ作成のファインダーと言う店の用語解説ページから 拝借しています)

ステープル・ダイヤグラム

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。