染め」タグアーカイブ

お召とは(オメシ 御召) 御召縮緬とは(オメシチリメン)


お召とは、経糸(タテイト)と緯糸(ヨコイト)に 強撚(通常2本交互)の精練先染めした絹糸を用いた 最高級クラスの平織物です。御召縮緬も 同じ意味です。

羽二重(重めの方)と共に最高級の素材で 和服の略礼装・洒落着に使われます。経済産業省指定伝統的工芸品です。

(通常の縮緬(チリメン)は、経糸に撚をかけずに 緯糸に強撚をかけて シボだしをしています。ですので お召は 縮緬よりシボが大きくはっきり現れます。また 縮緬は織り上げ後 精ッ練・染をしますが(後染)、お召は 糸の段階で精練・染をしています(先染)。セリシンが取り除かれた状態で 織り上げるため、縮緬に比べて 固くコシのある風合いになります)

下記が お召の布生地の例です。画像は「きもの*BASICルール」さんの 「御召の着物」のページから拝借しています)

お召の布生地の例

お召の布生地の例

徳川11代将軍 家斉(イエナリ)公が、好んでお召しになった事から 「お召」と言われるようになったとの事です。近年は 生産量が少なくなってます。また コスト・ダウンの為に、緯糸にウールを用いた ウールお召もあります。

お召は通常の縮緬よりもコシがつよく、よりはしっとりと馴染む独特の風合いがあり、着崩れしにくく、裾さばきがよいために、洒落着に向くとされます。

一般に和服では織り(先染織物)よりも染め(後染織物)のほうが格が高く 礼装に用いられますが、そのなかにあって御召は織物中一二を争う格を持ち、今日でも略礼装として用いられることが多いです。江戸時代には礼装として用いられることも多かったそうです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

色落ち


ここ2~3日 どうも手が黒ずむと思ったら、新品のコール天の黒ズボン(コットン100% 本当はポリエステル混の方が丈夫なのですが、ほとんど売ってないのですよね)が 原因でした。
(安かったからなあ~(笑)、でも 製品の質と縫製はしっかりしてたので・・・)

このズボンは 洗濯すると色落ちします。最初少なくとも一回は他の洗濯物と絶対に一緒に 洗ってはダメです。クリーニングに出してもダメです。他人の物に 色移りする可能性が あります。

ポリウレタン混の製品ですが、以前大クレームになった話を 聞いた事があります。最近は クレーム防止のために お客様ごとに個別洗いするそうですが)

デニム(ジーンズ)だと 色落ちすると言う事は広く知られていると思いますが、濃色のコットン(綿)製品も同じです。淡色は 使う染料が少なく また万が一色落ちしても、元々色が薄いので 問題ににならないだけです。

(ブランドの高級品だからと 安心しない方がいいです。色の鮮明さを優先して 染色堅牢度を犠牲にしている製品もあります。念のため 最初は別洗いしましょう)

よく見ると ポケットに入れておいたハンカチも 下着も、ほんの少しですが 黒ずんでます。コットン(綿)は、濃色(黒 紺 ごげ茶等)は染色堅牢度の高い反応染料で染めますが、中色(赤 緑 青等)の薄めの色や 淡色は直接染料(染コストが安いので)で染めます。

このコール天のズボンは 濃色なのに直接染料で染めたか、反応染料で 染めたのに 染め後洗いが十分でなかったか。コットンは 専門外なので よくわかりませんが。

関連:ポリウレタン高混率製品の色移りについて

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

転写捺染とは(テンシャナセン transfer style print) 転写 転写プリント


転写捺染とは、単に転写とか転写プリントとも言い 子供の遊びに使われる「写し絵」と同じ手法です。あらかじめ 図柄を紙に印刷しておき、布生地に重ねて圧力と熱を加えて 図柄を転写させる方法です。

多品種少量生産に向いているので 近年日本で盛んに行われるようになりました。インターネットでも オリジナル柄で衣装等のオーダーを受けるお店も増えてきているようです。
(インクジェット・プリンターで 図柄を印刷して使用)
よさこい屋オーダー

優れた点としては下記があります。

  • 多色で自由な柄が作れる(工業生産のプリントは色数等の制限項目が多い)
  • 水等を使わずに 廃水も発生発生しないので 環境に優しい
  • 簡単な小規模な設備で 捺染(ナセン プリント)可能
  • 少量でも比較的低コストで生産できる

短所としては下記があります。

  • 中量以上では コスト高になる
  • 深みのある濃い色は出にくい(表層だけで捺染するため)

主流は ポリエステル繊維の昇華転写捺染(乾式転写捺染)と呼ばれる方法で、ポリエステルを染める分散染料が移行昇華しやすい欠点を 逆手に取った捺染方法です。
(昇華とは 固体から液体を経ずに いきなり気体に変化する現象です。反対に気体から いきなり固体になる場合も昇華と言います)

親水性の天然繊維では 熱を乾式ではなく蒸気を用いた湿式転写捺染をします。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

手捺染とは(テナセン) ハンド ハンドプリント(hand screen printing) ハンドスクリーン(hand screen printing)


手捺染とは、ハンドとかハンド・プリントとも言い(スクリーンを用いたものは ハンド・スクリーンとも言う)、型紙 スクリーン ブロックなどに模様を彫刻し、手工芸的に布生地に捺染する方法の事です。

大きく分けて下記の4種類があります。

  • 型紙捺染(カタガミナセン):美濃紙(ミノガミ)に生渋(ナマシブ)を張り重ね、漆(ウルシ)などを塗布します。これに模様を彫刻して布生地の上に載せて捺染します。
    .
  • スクリーン捺染:木製または金属製の枠に 篩絹(フルイギヌ 現在は絹製ではないと思います)を張った枠型を使います。篩絹の網目の模様以外の部分を膠(ニカワ)やラックなどでふさぎ捺染します。
    (シルク・スクリーンと同様の方法)
    .
  • 摺り捺染(スリナセン):刷毛(ハケ)を使って 型紙の上から染料をすり込みます。ぼかしを出すときに使います。
    .
  • 絞り染め(シボリゾメ):防染剤(ボウセンザイ)を施した糸で、下絵に従って固く絞り これを染めます。そうすると 絞られたところが染まらず模様になります。

少量生産の場合は 機械捺染よりスクリーン捺染のような手捺染の方が コストが安くなります。多くのハンド・プリント工場は112cm巾(シングル巾)の設備しか持っていない所が多く ダブル巾P下生地が一般的でない理由の一つです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

生絹織物とは(キギヌオリモノ) 後練織物(アトネリオリモノ)


生絹織物とは、生糸(キイト)で織り上げた後で 精練練るとも言います)する織物の事です。先練織物の反対語です。精練する前の生機(キバタ)は ゴワゴワで硬くて絹鳴りもしません。

生絹(キギヌ)とは 精練しな絹糸の事で、生糸(キイト)と同じ意味です。

シルク(絹)のオーガンジーのように 後にも先にも精練しない織物もあります。

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

先練織物とは(サキネリオリモノ degummed silk fabric) 練絹織物(ネリギヌオリモノ) 練織物(ネリオリモノ)


先練織物とは、生糸(キイト)精練した練糸(漂白したり染めたりする場合もあります)で織った織物の事です。練絹織物(ネリギヌオリモノ)や 練織物(ネリオリモノ)とも呼ばれます。

(精練する事を「練る」とも 言います)

生糸で織った後、精練する織物は 先練織物(サキネリオリモノ)とも生絹織物(キギヌオリモノ)とも言われます。シルク(絹)のオーガンジーのように 後にも先にも精練しない織物もあります。

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シック アンド シン強調加工とは (T&T強調加工 thick and thin)


シック アンド シン強調加工とは(T&T強調加工)、結晶化率の差で作った ポリエスエルフィラメント糸の布生地で、染め時間を通常より短くして カスリのような染ムラを出す加工方法の事です。通常の染時間ですと 染まりにくい結晶化率の高い部分も 同じような色に染まってしまい、カスリのような染ムラは ほとんど見えなくなってしまいます。

(シック アンド シンの糸の詳細は 下記をクリックしてみてください。
シック アンド シンとは  )

下記が シック アンド シン強調加工をした色もある、弊店取り扱いの布生地です。クリックで詳細をご覧になれます。
(シック アンド シン強調加工をしてない色も 沢山あります)

コットンのような手触り T&Tシフォン・ジョーゼット

コットンのような手触り T&Tシフォン・ジョーゼット

T&Tシフォン・ジョーゼット:MS7802

コットンのような手触り T&Tメッシュ

コットンのような手触り T&Tメッシュ

T&Tメッシュ:MS5020

天日干し風 T&Tチンツ・ジョーゼット

天日干し風 T&Tチンツ・ジョーゼット

T&Tチンツ・ジョーゼット:MM1935-2

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

捺染とは(ナッセン ナセン printing) プリント


捺染とは、プリントの事です。一般的な工程(直接捺染法)は 下記のようです。

  • 染料や助剤をのりと練り合わせて 捺染のりを作る
  • それをスクリーンやローラーなどの プリント機械(捺染機)を使い、布生地にプリント(印捺)する
    .
  • 水蒸気で加熱(スチーミング)し 染料をよく布生地に浸染させ定着させる(発色させるとも言う)
  • 洗浄液で洗浄(ソーピング)し 付着染料などを除去
  • 水洗した後 乾燥して巾を整え製品とする

ですが、柄によっていろいろなやり方があります。
(捺染の反対は 浸染で無地染めの事(浸けて染めるので)です)

  • 抜染法(バッセン):その部分だけ染まらないようにのりをつけ 下染めした後、そののりを取り除いて その部分だけプリントする
    (抜染には 白色抜染着色抜染がある。
    下染めは、濃色は通常の染め(浸染)、薄い色はパディングと言って 染料を塗布して浸染させ定着させます。パディングの方がコストが安い)
    .
  • 防染法(ボウセン):色が着かないように のりや蝋などを付けて 全体を染める(その部分だけ白く残る)

水玉(プリント業界では定番なので「無地」と言われるそうです)やストライプなど 単純な柄は、高速生産が可能でコストの安いローラー捺染をします。複雑な柄は スクリーン捺染(スクリーン印刷とほぼ同様の方法)をします。

スクリーン捺染は 機械でやる場合と手で操作する場合(手捺染 ハンド・プリント)があります。大量にやる場合は機械でやりますが、少量の場合は手捺染でやります。
(少量の場合は 手捺染の方がコスト安くなります)

(多くのプリント工場は112cm巾の機械しか持っていない所が多く 140cm巾以上の広巾(W巾)をプリントできる工場は少ないです。

柄がずれないように 布生地はプリント台に貼り付けます。この時に プリント下(P下 何もついていない)でなく、オフ(Off 染色してなく帯電防止剤付き)を使うと プリント台に張り付きにくいので トラブルの原因になります)
.

最近は セーレン(株)のビスコテックスに代表される プリンターのインクジェット方式を応用したプリントも沢山やられるようになって来ています。従来の捺染に比べての利点は、

  • 数多くの色(ビスコテックスは1677万色)の配色が可能(従来は10色程度 色数が多いほど型が必要で、コスト・アップになる)
  • ビルの壁面につるすような巨大な柄も可能
    .
  • 1mや着分(2~5m程度)の生産も可能(ただし1m当たりのコストは非常に高くなります)
  • 微細な模様も出せる

反面 欠点としては、

  • 深い色が出ない
  • 大量に発注しても 一枚当たりの印刷時間は長いために コストが下がらない

プリントの柄は 意匠権がついている事が多く、あのブランドのプリントが カッコ良かったからと 勝手に真似をして生産できません。また 既存の洋服の柄を持ってこられても 同様のプリント柄の布生地が 売られている事はまずありません。(完全受注生産)

(生地屋さんで売られているプリント生地は 水玉や花柄などの差しさわりのない柄ばかりです。キティちゃんなどのキャラクラー柄も 通常は売られてません)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

中希とは(チュウキ listing)


中希とは、一反の布生地(無地染め)の中で 色が微妙に違う事を言います。多くの場合 両耳端と中央部分の色が違います。非常に稀にですが、一反の巻き始めと巻き終わりで 中希になる場合もあります。

主に染色工程の原因が多いですが、稀に生機が原因(一反の製織中に緯糸の製造ロットが変わった等。製造ロットが違うと染まり具合も違う時があります)の場合もあります。

(通常は 一反の布生地の中では、色が微妙にでも 違う事はない筈です。それで反内縫製と言って 一反内で一個の製品(洋服)を作ります)

中希(チュウキ)が発生していると、例えば見ごろと 袖の色が微妙に違う(縫い合わせた縫い目に顕著に現れる)と 言う欠点が発生します。

(余談ですが、染ロットが異なる布生地間で 厳密に同じ色になる事は 稀ですので、ご注意くださいませ。詳しくは 下記を参照してくださいませ。(淡色や黒等は 違っていても目立ちにくいです)
後から会に行った布生地の色が微妙に違う! )

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

抜染とは(バッセン) 白色抜染(ハクショク) 着色抜染(チャクショク)


抜染とは P下(プリント下生地)に 専用の糊をつけて 無地染めした後(糊がついた部分は染まらない)、その糊を溶かしてしまう染め方法です。

この糊に何も入れないのが 白色抜染(白の水玉模様などは この方法です)、糊に色を配合してつけるのが着色抜染と言います。着色抜染では 糊が溶けるときに同時にその部分が染まります。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。