ふくれ織とは(フクレオリ) マトラッセ/クロッケ(matelasse/cloque(仏) 紋ピケ 紋ピッケ


ふくれ織とは、マトラッセ(matelasse)、クロッケ(cloque 最後のeには 上に点が付きます) とも言い 二重織の浮いた部分と結節部分で 凹凸の模様を表した織物です。紋ピケ(紋ピッケ)は、ピケの手法で 盛り上がった柄を作ったも織物で ふくれ織に属します。

下記の写真がその例です。
(写真は「京都 着物通販【きものACT】」さんより 転載しています)

ふくれ織の布生地例

ふくれ織の布生地例

ジャガード織機でしか製織できず 非常に珍しい織物で高価です。

マトラッセの語源は「寝床、物を横たえる場所」といった意味のアラビア語(matrah)からきているものと思われます。英語ではマットレス(mattress)に相当します

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

袋織とは(フクロオリ)


袋織とは、経緯二重織で 織組織の中に結節点(上下の布生地をつなぐ部分)をもうけないで、両端の耳部分だけ繋がっている布生地です。袋状になっているので この名前があります。(下を縫い合わせれば 本当に袋として使えます)

ほとんど見かけない織物で 私も実物を見たことがありません。

昔のフライシャトル織機では 繋がった部分をもうけなくても良かった(耳部分でつながる)のですが、最近のシャトルレス織機では 別途作る必要があります。

もうすぐ廃業されますが、みやしん(株)さんでは ニューヨークの自由の女神のストールを この袋織の手法で作られたそうです。1.5mくらいの巾の布生地しか織れない織機で、袋織の手法を応用して 数十mの巾の布生地を織られたとか。

(何重にも織って 両端だけカットして 広げて数十mの巾の布生地にしたそうです。
みやしん(株)さんのリンク先は みやしんさんにしてありません。大変残念ですが、近い将来なくなると思いますので)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

風通織とは(フウツウオリ) 風通


風通織とは 風通とも言い、二重織の一種で 小さな袋状の模様が現れる織物です。中に風が通ると意味から風通と名づけられたと言われています。

表側の経糸・緯糸と 裏側の経糸・緯糸に それぞれ違う色を使い、緯糸を変えたりする組み合わせで多色の風通(三色風通 四色風通等)ができます。下記のようです。
(裏では 対の配色の同じ模様が 現れます)

風通織物例

風通織物例

(上記画像は 「着物が着たくなったら、着物用語集」さんより 転載しております)

この布生地を織るジャガード織機自体が 数が非常に少なく、また 多種多様な柄がいくらでも作れる事から(完全受注生産 自由度がありすぎるので逆に定番品がない) 風通織の布生地は非常に高価で貴重なものと思われます。

(cf. 布生地とは一期一会 )

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ベルベットとは(velvet) ビロード(天鵞絨)


ベルベットとは、ビロード(天鵞絨)とも言い 柔らかな短めの毛羽で覆われた、光沢のあるなめらかな織物です。豪奢でドレッシーな趣があります。

元来は 絹の経糸をパイル毛にしたパイル織物を言いましたが、現在はアセテートレーヨンを経糸にして 多く作られています。(他の繊維に比べて アセテートやレーヨンの細い毛は手触りが良い)

製法としては、下記があります。北陸地方では 下の方法で多く作られてます。(外観はベロアに良く似てますが、製法は違います。cf.ベロアとは

  • 針金を挿入して他組織とパイルを交互に作る
  • 二重織にして それを真ん中から切り離す

下記動画は その織方を写したものです。1分過ぎ辺りから、織っている様子と それを真ん中でカットするナイフが右左に走っている様子がわかります。(山崎ビロード製作)

毛はレーヨン 毛の下の地組織(地生地)は、ポリエステルで作られる事が多いです。(ビロードの毛が柔らかくなり 下生地はポリエステルの為に強い)

オパール加工の手法を利用して 毛の部分を溶かすと、ベルペットの毛羽模様の面白い布生地が出来あがります。
(パリコレ参加ブランドの 又はそれに近い実力のあるデザイナーさん達や アパレルさんに 良く使われているそうです)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

スエードクロスとは(suede cloth)


スエードクロスとは、スエードに似せた人工スエードの事です。繊維素材はほとんどポリエステルで、超極細(糸の中の1本のフィラメントの太さが0.5デニール以下程度)のフィラメントを使います。

スエードとは(suede)、カーフ(子牛の皮) キッド(仔山羊) ピッグスキン(豚皮)などの小動物が主体で、皮の表面をサンドペーパー等でけずり、ビロードのような感触に仕上げたものです。非常に細かい仕上げのものはシルキーと言われています)

基布は不織布 織物 ニットがあり、これにウレタン系樹脂を含浸させて 起毛した物が多いです。

本物の皮のスエードに比べて 手触り等はやや違いますが、軽くて発色性も良く 取り扱いが簡単なので、コート ジャケットなどに使われます。均質なので 自動車のシートや 家具などにも広く使われています。熱に弱いのが最大の弱点です。(たばこの火の粉等で 簡単に穴が開いてしまいます)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

起毛とは(キモウ raising)


起毛とは、布生地の表面をひっかいて 毛羽(ケバ)を出す加工です。これにより 布生地の表面を毛羽が覆い 手触りが柔らかくなり、独特の外観、厚みが出て温かみのあるものになります。糸や布の織組織を隠したり、柄物の輪郭をぼかす効果をねらう場合もあります。

通常は片面だけの起毛ですが、より保温効果等を出すために 両面起毛する場合もあります。また布生地を柔らかくする目的で あえて裏側を起毛する場合があります。(起毛により 布生地が揉まれるのと、織組織が多少でも崩され 若干でも薄くなる事が 影響するのでしょうか?)

 フランネルネルスエードクロス(人工皮革)が 代表的な起毛製品です。起毛の後に、ブラッシング(brushing)で毛羽の方向を揃えたり、シャリング(shearing  煎毛)により 毛羽の長さを揃える事もあります。

起毛には 湿式と乾式があり、湿式の方が起毛効果が高いです。合繊や綿(コットン)等の起毛には 針金(シンプ)を植えつけた針布を使い、上質の毛織物には 薊(アザミ)の実を使います。

(たぶん 薊の実を使った方が、細かい上品な毛羽になるのだと思います。ですが、薊の実の耐久性が 針布より低いので、生地値の安いものには 使いにくいのでしょう)

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フランネルとは(flannel) フラノ


フランネルとは、フラノとも呼ばれ 経糸(タテイト)・緯糸(ヨコイト)とも 紡毛(ボウモウ)糸を使い、平織または綾織縮充(シュクジュウ)を施して 毛羽を押さえた、軽くて柔らかい紡毛織物です。

梳毛(ソモウ)で織ったものもあり、梳毛フランネルと呼ばれます。綿織物の場合は コットン・フランネル又は綿ネルと言います(片面か両面を起毛しています)。詳しくは下記をクリックで。
ネルとは

現在では ウール(毛)からだけでなく、ウールと綿 ウールと合成繊維などから 作られる事もあるそうです。

フランネルと言う名称は、イギリスのウェールズ地方の言葉で “gwlanen” (ウールのような)からきたと言われています。

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

購入の決め手は「動画」(お客様アンケートより)


番外ですが、生地屋のお客様アンケートの
「何が決め手となって、生地屋で購入なさいましたか?」

に対して 「動画」 と、東京のM様が書いていただけました~♪
やっぱり効果があるのですね、とっても 嬉しいです。


生地屋のサテン・クレープの魅力  布生地へは次をクリックで:サテン・クレープ

上記は2年ほど前に作った動画で、再生回数は11,700回を越えてます(高評価9)。下記が一ヶ月半前に作った動画で 再生回数は1,070回くらいです(高評価23)。

宜しければ こちらもご覧くださいませ。(もし 気に入られましたら、動画下の「生地屋のサテン・クレープの魅力」や「シルデュー・デシンの魅力」のリンクをクリックされて、親指を立てたマークの「グッド!」をクリックしてもらえると とっても嬉しいです。

高評価が1つ増えます。YouTubeに未登録の方は 登録を求められますが、メールアドレスがあれば無料で登録できます)


シルデュー・デシンの魅力  布生地へは次をクリックで:シルデュー・デシン

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ネルとは(cotton flannel) コットン・フランネル 綿ネル


ネルとは、綿フランネル(コットン・フランネル 綿ネルとも呼ばれます)の略称です。甘撚の緯糸を打ち込んで平織、2/1綾織、2/2綾織の綿織物を起毛した布生地です。起毛してあるので 肌触りが柔らかくて暖かく、バジャマ ベビー衣料 シャツなどに使われます。

片面だけを起毛したもの(片面ネル)、両面を起毛したもの(両面ネル)の2種類があります。起毛は、晒し(サラシ P下にする事) 無地染め 捺染した後で 行います。

(綿で フランネルに似せて作った織物です。似せる為に起毛しています。ウールのフランネルは起毛しません)

“cotton frannel” と書かれた用語解説も多いのですが、フランネルが “flannel” のスペリングでもあり 英和辞典に “frannel” と言う単語は ないので( “flannel” はあります)、間違いだと思います)

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水通しとは(ミズトオシ) 地直し(ジナオシ) 地伸し(ジノシ) 地づめ(ジヅメ)


水通しとは、洋服の縫製が出来上がってから 洗濯などで型崩れするのを防ぐために あらかじめ布地の縮みやゆがみを矯正する事です。合繊以外は織布や染め加工工程で 多かれ少なかれほぼ100%ゆがみは入ってます。地直し 地伸し 地づめとも言います。

(ただ 最近は防縮加工された布生地も多く、水通しの必要性は 以前ほどはなくなっています。ですが 国産生地でも5~10%程度縮む場合もあります)

  • ポリエステルナイロンアクリルなどの合繊(合成繊維)では、吸湿性(吸湿する繊維は 吸湿によって変形するので 地直しが必要)がなく 寸法安定性がいいのでほとんど不要です。プロのアパレルさんも ほとんどしません。
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    (一部 ビンテージ繊意などの 天日干し風加工等(染色加工でわざと 生地のひずみ等を強く矯正しない加工方法等)をしてあると 必要な場合もあります。その場合は最後に書いてある方法で ひずみの程度を調べて対処してください。
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    不明な場合は やっておいた方が無難かも知れません。せっかく手間暇かけて 縫製されるのですから)
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  • キュプラ(ベンベルグ)レーヨンなどの再生繊維や アセテートなどの半合成繊維は、天然の吸湿性のある綿花のクズ パルプなどから作られる為に、コットンと同様(同じセルロース系の繊維です)の水通しは必要です。
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  • 混紡のように 混ざっているものは、一番混率の多いもので判断します。ですが 織物の場合、混率が少なくても 下記のように経糸(タテイト)や緯糸(ヨコイト)のどちらかのメインの混率が 水通しが必要な場合は 必要になります。
    例:経糸:ポリエステル100%  緯糸:レーヨン80% ポリエステル20%
    (全体の混率 ポリエステル60% レーヨン40%)
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    不明な場合は やはりやっておかれた方が 無難です。
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  • 通常 下記の方法で水通しします。
    1. ウール(毛):アイロンの蒸気をあてます。
    2. シルク(絹):光沢・風合いを大切にするために 裏から空(から)アイロンをする程度。織物は 経緯の糸目を直角に揃えてください。
      (水に弱いので アイロン・スチームや洗濯機での水洗いは 避けた方が無難です。お洗濯も中性洗剤での手洗いをお奨めします)
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    3. コットン(綿):最近の生地は 防縮・防シワ加工されているものが多く 水通しの必要のないものが多いそうです。空アイロンか 裏から軽く霧吹きをかけて アイロンする程度でいいそうです。
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  • 輸入の生地で きちんと作られているかどうか不明(開発途上国やイタリア製の場合は 要注意です)の場合は ひずみの程度を調べて 洗濯機で回す方法もあるようです。 これが本来の水通しでしょうね。

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。