月別アーカイブ: 2012年4月

ゴアテックス GORETEX


ゴアテックス(商標)は WLゴア&アソシエイツ社が製造販売する 有名な「防水透湿」とか「防水吸汗」とか 言われる素材です。

つまり 水は防ぐが湿度は通す為に、登山や雨の中を動き回っても 中が蒸れにくいようになってます。水滴が大きく 水蒸気(水分子)が小さい事を利用してます。(ついでに 風も防ぐのでウインド・ブレーカとしても使えます)

具体的には 素材に沢山の微細な穴を空けて(水蒸気分子は通れるが、水滴は通りにくい程度の大きさ) 、さらに撥水加工をほどこして 水滴をより通りにくくしてます。

ただ 表面が汚れてたり洗濯を繰り返したりして 撥水性が落ちると、水の膜になり 透湿性が大きく低下します。また 中にコットン(綿)の下着を着ていて ベトベトに濡れると、やはり同じように水の膜ができて 性能が大きく低下します。

ですので
・なるべく汚れないようにして 撥水性能低下したら洗濯しましょう。洗濯を繰り返して 撥水性が落ちてきたら、撥水加工などを依頼して 撥水性を回復させましょう。
・下着は コットン100%ではなく 吸湿速乾性のものを 着ましょう。(コットン100%のものは 吸湿速乾と表示してあっても 性能の低いものが多いそうです)

ゴアテックスのように 防水透湿性素材としては 東レ(株)のエントラントなども あります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

先染め 後染め (サキゾメ アトゾメ)


先染めとは 糸を染めてから織物に織る事です。後染めとは その反対で、織ってから布生地を染めます。

先染めは チェック(格子)やストライプ(経縞)に多く用いられます。自由に多色で作る事が可能で ギンガムや 有名なバーバリー・チェック等は この方法で作られてます。

ただ 作る前に柄や色を決定する必要があり 後から変更できないために、売れ行きを見ながら 調整すると言う事ができません。

後染めは 無地やプリント生地に使われます。ですが異種類の糸を組み合わせて作ることで 後染めでチェックやストライプを作る事も可能です。柄は先に決まってしまいますが、色は後から変更可能です。

ですが、あまり多色は難しく また他方の糸が汚染される場合も多いので 色の組合せは限界がある事が多いです。

(稀ですが、プリントでチェックやストライプを表現している場合もあります。この場合は 柄が糸目に沿ってないので 判別可能です)

例えば 下記のように組み合わせて 2種類以上の染料を使って 染め分けます。染め方は染料の性質によって1回で染められる場合( 1)は1回で染められます)と 2回以上に分けなければ ならない場合があります。
1)通常のポリエステル+カチオン可染ポリエステル
2)ポリエステル+コットン

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ギンガム (gingham)


ギンガムとは 先染め糸を組み合わせて チェック(格子)状や ストライプ(経縞)状に織ったコットン(綿)の平織の織物です。

チェックはギンガム・チェック、ストライプはギンガム・ストライプとも言われます。元々は コットン製のものだけを指してましたが、今では 他の素材を用いた短繊維織物でも 同様に作られてます。

有名な裏地のバーバリー・チェックは 一見するとギンガムのようですが、平織ではなく ツイル織組織になってます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

捲縮 (ケンシュク、crimp)


捲縮とは 繊維の中の1本1本が 縮んで巻いている事を指します。ウール(毛)などは捲縮性があり パーマをかけたように 中の繊維1本1本が 縮んで巻いています。

繊維がかさ高になり 伸縮性や弾力性も出てきます。
ポリエステル長繊維では 仮撚加工でこの捲縮性を与えられます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポーラとは (poral)


ポーラとは、強撚糸を使った 目の粗い多孔性の平織織物ポーラは 多孔性の意味です。風通しがよく ドライな感じで、夏用の背広生地などによく用いられます。

毛羽(ケバ)の多い梳毛織物では、春夏用にするために クリアカット仕上げされてる事が多いです。

元々は 三種の色糸を撚り合わせた三杢(ミツモク)糸を用いた織物が多かったようですが、現在では それに外観が似ていれば ポーラと呼ぶようです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

昼夜サテン (チュウヤ・サテン ちゅうや)


サテン織組織を 表と裏にストラプ(経縞) またはチェック(格子)に並べた織物生地。

通常表サテン面は光り 裏サテン面は光らないので、その光沢差が 昼と夜のコントラストに見えるので 昼夜サテンと言います。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

布生地の厚さの表現


通販の生地屋さん等で 良く見かけるのは、

  1. 厚さを測って書いてある(例:0.3mm等)
  2. 単位面積当たりの重さ(例:125g/㎡、14オンス、16匁等)
  3. 用途を明記(例:薄地-ブラウス・シャツ用 中肉-ドレス・スーツ等 厚地-ジャケット・オーバー等)

でも どのような書き方でも、一般消費者の方は しっくりこないと思います。わたしでも 厚さ0.3mmなんて 書かれても、思っている用途に合うのか 見当がつかないです。(同じ種類の布生地で 知っているものとの比較にはいいでしょうが)

結論から書きますと、実サンプルを取り寄せて 【 ご自身で判断いただく 】のが一番です。
(小さなサンプルと 2~3mの大きな布生地では 色同様 印象が多少変わりますが、色ほどの印象の違いは 厚さの場合少ないと思います)

生地屋でも 頭を悩ませております。よく「普通の厚さの布生地」とか 言われましても、普通の尺度は それぞれ違うと思うのです。

また 同じ厚さでも 膨らみ感のあるエアリーな布生地と、コート素材のような中身がしっかり詰まった布生地では、厚さの感じが当然変わってきます。

単位面積当たりの重さでも 膨らみのある布生地は軽く感じますし、中身がしっかり詰まっていると重く感じます。

透け感も 下記の写真のように、白や淡色は かなり布生地が厚くても 透けますし、濃色は透けません(写真は 同じ布生地です。写真クリックでこの布生地の詳細へ飛べます)。

2重織ジョーゼット 淡色は透ける

2重織ジョーゼット 淡色は透ける

2重織ジョーゼット 中色(淡色と濃色の間)は透けにくい

2重織ジョーゼット 中色(淡色と濃色の間)は透けにくい

2重織ジョーゼット 濃色は透けない

2重織ジョーゼット 濃色は透けない

厳密には、同じような布生地で 同じ厚さでも コシが強いと厚く感じられます。下記がその例で ほぼ同じ目付けと糸密度 全く同じ糸の太さでも コシのあるシャンブレー・サテンの方がほんの少し厚く感じられます。
(わたし自身も お客様からご指摘されるまで 同じだと思ってました。ご指摘されて 改めて触ってみると、本当にシャンブレー・サテンの方が ほんの少しですが厚く感じます)

コシが弱いので ほんの少し薄く感じるサテン・クレープ

コシが弱いので ほんの少し薄く感じるサテン・クレープ

コシが強いので ほんの少し厚く感じるシャンブレー・サテン

コシが強いので ほんの少し厚く感じるシャンブレー・サテン

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

色の見え方が大きさの大小で変わる


よくお聞きするのですが、
無料サンプル請求でもらった名刺大のサンプルの色と、実際に購入した布生地(だいたい2~3m以上)の色の 印象が違って見えます。」

全部の色ではないですが、確かにこのような事があります。並べて比べると 同じ色なのですが、大きなサイズで見ると 微妙に違う色に見えるのです。これは布生地に限らず どの商品でもそう言う事があります。(例えばタイルや 壁の色等) お含み置きくださいませ。

また ご存知の方も多いと思いますが、パソコンや紙のカタログで見た色と 実物の色は違って見える事が多いです。これも 色の性質上避けられない事で どの説明にも「色は実物とは違って見える事があります」と 但し書きが書いてあります。

それと 布生地もそうですが、他の商品も 通常製造ロットによって 微妙に色は変わります。これも色の性質上 避けられない事ですので ご了承いただけませんでしょうか? 詳しくは下記を参照してくださいませ。
後から買いに行った布生地の色が微妙に違う

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

巾の広い布生地 幅の広い


よく2mの巾の布生地がないかとか、3mの巾とか 問い合わせがあるのですが あまり世の中には 存在してません

汎用の用途としては カーテン等ありますが、カーテンは検査基準が大変厳しいため 無地の巾の広いカーテンは ほとんどありません。(プリント柄や織柄を入れて 多少の欠点は目立たないように最初から設計してあります。巾の広い布生地ほど 欠点が入りやすいです) あっても非常に高価です。

織物では2m以上の巾の布生地は わたしは ほとんど見たことがないです。弊生地屋の売っている布生地でも 最大巾1.47mです。ニット(編物)では 2~3mの巾の布生地が稀に あるようですが。

巾の広い布生地を織ったり 編んだりする機械や、それを 染めて仕上げる機械の最大巾が決まっているので 巾の広い布生地を作る事は 簡単にはいかないのです。(数多くある全部の工程の機械を 巾の広いものに買い換えたり、そう言う設備のある会社に外注する必要があります)

ですので 通常は、巾の狭い布生地を 縫い合わせて 巾の広い布生地を作ります。詳しくは 下記を参照してくださいませ。
巾147cmを越える生地(布地)は販売(通販)しているの

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

家庭用漂白剤とは


布生地の家庭用漂白剤には 2種類あります、塩素系と酸素系です。両方とも強酸化剤で 酸化して、色素の性質を変えたり 分解したりして漂白します。(染め加工の漂白については 次をクリックしてください。工業的漂白とは

1)塩素系
効果が強いのは塩素系です。柄物や色物は 色が薄くなるので お奨めできません、白いものだけです。あまり濃い液につけたり、適性濃度でも何度も漂白したりすると 布生地自体も傷みます。(強度も落ちて 破れやすくなります)

また 塩素系は酸性のトイレ用洗剤などと 混ぜて使用すると、猛毒の塩素ガスが発生して大変危険です。(死亡者も実際に発生しているようです) 容器にも書いてありますが、絶対に混ぜて使用しないでくださいませ。
(通常のアルカリ性洗剤や中性洗剤等は 混ぜてもOKです。効果が促進されるようです。よくわからない場合は 混ぜないでくださいませ)

嘔吐物のついたものを漂白する場合も 胃酸と反応して塩素ガスが発生する恐れがあります。ですので、あらかじめ嘔吐物は水などで よく洗い流してから 漂白してくださいませ。

2)酸素系
酸素系は塩素系よりも効果が落ちますが、柄物や色物と 一緒に使えます。また 酸性の洗剤等と一緒に用いても 塩素ガスが発生することはありません。

酸素系でも 多少は布生地を傷めるので 過度の使用はお奨めできません。汚れは落ちてますが、色が白くなるほどに完全に落ちているわけでもなさそうです。(分解されて 色が見えなくなって残った汚れもあるようです)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。