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工業的漂白とは (コウギョウテキ ヒョウハク bleaching)


漂白とは 染色工程で 繊維中に含まれる色素を除去して白くする事です。晒し(サラシ)とも言います。(家庭用漂白剤については 次をクリックしてください。家庭用漂白剤とは)

酸化する事によって色素を無効化したり(酸化漂白 通常塩素を用います)、逆に還元(酸化の反対)する事によって色素を無効化したり(還元漂白 通常亜硫酸を用います)します。

白色(自然な白色)に仕上げる場合と、下晒し(シタザラシ)と言って より鮮明な色に仕上げるために 染め前布生地をより白く漂白する場合があります。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

プリーツ加工とは (pleating)


プリーツ加工とは襞(ヒダ)付け加工の事です。

合成繊維が高混率の布生地は その熱可塑性(熱で柔らかくなり 冷やすと堅くなる性質)を利用して プリーツをつけます。ギャザーと違い 堅い感じになります。

コットン(綿)やウール(毛) 再生繊維レーヨンキュプラなどは、熱可塑性がないので、一般にそのままでは 耐洗濯性のあるプリーツ加工できません。

コットンやレーヨンキュプラなどは樹脂加工で、ウールはシロセット加工で、耐洗濯性のあるプリーツ加工が可能になります。

よくお問い合わせがあるのですが、プリーツ加工された布生地は ほとんど売っていません。完全受注生産品です。プリーツ加工もどきのような布生地でも シワ加工のように大量生産されたもの以外はほとんど売っていません。
(大変稀に キャンセル品などが、売っているかも知れませんが)

天然繊維は 昔は耐洗濯性のあるプリーツ加工は困難だったので、王侯貴族とか大金持ちしか 着用できませんでした。浮き彫りなどに残っている 細かいプリーツの沢山入った衣装は 富の象徴だったのです。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリアミド繊維 (polyamide fiber)


ポリアミド繊維(polyamide fiber)とは アミド結合によって多くの分子が結合してできた繊維の総称です。

分子鎖骨格に脂肪族(aliphatic)を含むものの代表的なものに ナイロンがあります。また 分子骨格に芳香族(aromatic)のみを含むものは アラミド繊維(aramid fiber)と総称されます。

ナイロンは非常に綺麗な色に染まるのに対して、アラミド繊維は 結晶性が高いために染まりにくいです。

ポリアミドは 繊維だけでなく、いろいろなエンジニアリング・プラスチックとして使われてます。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

アラミド繊維 (aramid fiber)


アラミド繊維とは ケブラー東レ・デュポン(株))やコーネックステイジン(株))等の商品名で販売されている、高強度・高耐熱性繊維です。(強度はケブラーの方が 耐熱性はコーネックスの方がやや優れてます)

ナイロンやアラミド繊維を総称して ポリアミド(polyamide)系繊維といいます。ナイロンは 分子鎖の中に ベンゼン環(亀の子)のない脂肪族(aliphatic)ポリアミド繊維であるのに対して、アラミド繊維は 分子鎖の中にペンゼン環がある芳香族(aromatic いい匂いがする物質が多いので芳香族と言いますが、全ていい匂いがするわけではありません)ポリアミド繊維です。

(アラミド繊維は 分子鎖の中が全てベンゼン環です)

aromaticと amideを組み合わせて、aramidと名づけられたと思います。ケブラーは 防弾チョッキや防刃手袋 自転車等のタイヤコード等に多く用いられてます。高強度ですが ハサミで切ると切れにくいですが切れます。

ナイロンが非常に綺麗な色に染まるのに対して、アラミド繊維は 結晶性が高いので染まりにくいです。

ケブラーはパラ系アラミド繊維 コーネックスはメタ系アラミド繊維で、ベンゼン環の付く位置が横に1つずれているだけなのですが、パラ系は強度が メタ系は耐熱性が やや優れていると言う性質の違いが出ます。

余談ですが、わたしの卒業論文はケブラーで 他大学院の試験を受けたときに
「ポリアミド系繊維の物性等について述べなさい」

と言う問題も出て たぶん出題者はナイロンについて 書くことを期待してたと思いますが、
わたしは 当然アラミド繊維のケブラーについて 書きました。卒業論文でやっていので 自分で言うのも何ですが、いい答案が書けたと思います。わたしが この大学院に受かった要因の1つだと思ってます。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ピリングとは (pilling)


ピリングとは 毛玉や糸の飛び出しの事です。合成繊維やニットはなりやすいです。天然繊維もなりますが、強度が弱いので 擦り切れて落ち易いので あまり目立ちません。

ピリングは 引きちぎるより、はさみや市販の毛玉取り機でカットされた方がいいです。この時に くれぐれも布生地を切らないように注意してくださいませ。わたしは これで洋服や靴下等を何着か穴をあけてしまいました。また やりすぎると布生地の膨らみ感が減ってしまいます。

余談ですが、ピルは”pill”と書いて 動詞の意味に「毛玉にする」と言う意味があります。また 避妊薬のピルも同じスペルで 名詞は「丸薬、カプセル」や「経口避妊薬」の意味が、動詞では「・・・に丸薬を飲ませる、・・・を丸薬にする」と 言う意味があります。

参考:抗ピル加工

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

抗ピル加工 抗ピリング加工


抗ピル加工ピリング加工)とは、合成繊維等に発生し易い毛玉のような 糸が飛び出したもの(ピリングと言います)を 発生しにくくする加工です。

ピリングは 繊維の強度が強いのと繊維同士が滑り易いと 起こり易いです。ですので、

  • 薬品で処理をして 繊維の強度を落とす。(衣服等に要求される 引裂き強度はクリアする程度にです)
  • アクリル酸エステル系の薬品を付けて 繊維同士の摩擦係数を上げる

などの 加工方法が取られます。織物よりは ニット(編物)の方がなりやすいです。

ウール(毛)100%のセーターなどは 繊維の強度が弱いために ピリングや毛玉は発生しにくいですが、アクリル等の合成繊維等が混じったものは ピリングや毛玉が発生し易いです。市販の毛玉取り機等で綺麗にする事ができます。引きちぎったりするよりは 毛玉取り機やはさみ等でカットする方がいいと思います。

(この時 くれぐれも布生地を切らないように。わたしは 何度か切ってしまって 洋服や靴下等をダメにしてます(涙)。また やりすぎると布生地の膨らみ感が減ってしまいます)

余談ですが ウール100%のものは 非常に虫に食われ易いです(上等ないいものほど 美味しいのか食われますね)が、混ざっていると食われにくいです。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

二重織とは 2重織 (ニジュウオリ)


二重織2重織)とは 織物の織組織で、織組織が二重になっているものです。これによって 例えば 2種類の糸を裏と表どちらかに 沢山出すことが可能になったり、肉厚の布生地を作れたりします。

  1. 経二重織(経糸が二重になってます)
  2. 緯二重織(緯糸が二重になってます)
  3. 経緯二重織(経糸と緯糸が両方二重になってます。断面を横から見ると 2枚の布生地に見えます。上と下をつなぐ結節点で 数ミリ間隔でつながっています。結節点の数が多いと 固く締まった織物に、少ないと柔らかい膨らみのある織物になる傾向です)

大きく分けると 上記の3種類があります。1.が一番生産性が高く、3.が織組織的に一番肉厚の織物を作ることが可能です。下記が経緯二重織織物の例です。

二重織ジョーゼット(中肉)

中肉二重織ジョーゼット

中肉二重織ジョーゼット

遮光カーテンは 二重織の代表的な例で、表裏サテン織組織で 中に原着の黒い糸(糸の段階で黒く染められている)が 入っています。ですので 光を遮る性能が高いのです。

余談ですが、アメリカの防弾チョッキは 8重織になっているそうです。ナイロンからもっと強度の強いケブラー(わたしの卒論はケブラーでした)と言うアラミド繊維になり ボディガードなどで死亡する人が減ったそうです。(防弾チョッキでも 至近距離から撃たれたりすると 貫通するそうです。日本にいて良かったですね!)

この記事は 布生地生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

成形編 (セイケイアミ)、ガーメント・レングス編、フル・ファッショニング (full fashioning)


成形編とは ニットの製造過程で網目の数を増減しながら編んでいく編み方です。ガーメント・レングス編とも言われます。

靴下や手袋 パンティストッキング等が この方法で作られて来ました。(ですので 時々お問合せがあるのですが、パンストのような布生地自体は 販売されてません)

(反対に反物状に編んで(流し編)生産したものを ジャージーと言います)

フルファッショニングとか 単にファッショニングとも言われ、fashionは 流行とかの意味の他に 「形作る」の意味もあり、ここでは その意味で使われてます。

フルファッショニングは 全部成形編で作ることで、近年は 全自動で編み上げる機械式緯編機(ヨコアミキ ホールガーメント等)が 普及してきています。複雑な形状でも つなぎ目がなくフィット感の高い ほとんど布生地のロスのない衣料製品が出てきてます。

参考:カットソー カット・アンド・ソーン(cut & sewn)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

カットソー カット・アンド・ソーン (cut & sewn)


カットソーとは カット・アンド・ソーンを短く言ったもので、ニット(編物)生地を 裁断(cut)して縫製(sewn ソーンと発音します)したものです。

ニットには一着分ずつ編み上げる成形編フル・ファッショニングがあるので これと区別する為に用いられます。織物には 用いられません。

つまり 通常の布生地のように、決まった巾の生地に編み上げ 染加工したものを、パターン・カットして 通常の洋服を作る事です。

通常 編物(ニット)の衣料製品の作り方には、

  1. 成形編:最終的な形まで 成形しながら編み上げる。
  2. 身頃や袖などのパーツごとに編み上げ それをつなぎ合わせる。
  3. 成形せずに編み上げた平面の布生地を パターンカットし縫製する。

があり、今までは 網目の粗いセーターやカーディガンなどは 2.の作り方、Tシャツ等の細かい網目のものは 3.の作り方で量産されてきました。

しかし 近年は1.の方法で 全自動で編み上げる機械式緯編機(ヨコアミキ ホールガーメント等)が 普及してきて、複雑な形状でも つなぎ目がなくフィット感の高い ほとんど布生地のロスのない衣料製品が出てきてます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

織機 (ショッキ ルーム loom)


織機とは 織物を織る機械です。布生地は大きく3つに分類されますが、その内の一つ 織物を織ります。

経糸(タテイト)を織物の巾の分だけ 引きそろえて(整経 セイケイと言います)、経糸を上げ下げしながら 緯糸(ヨコイト)を通します。
(上げ下げの方式によっても、平織織機 ドビー織機 ジャガード織機に大別されます)

当初は手機(テバタ)と言って 手で緯糸(ヨコイト)を挿入して織物を織っていたのですが(ですから 非常に手間がかかり、王侯貴族とか大金持ちしか沢山持てませんでした。布生地も貴重品で 使い古しの衣類も 何度もほどいて作り直したりしてました)、産業革命で蒸気機関が実用化されると その動力を利用するようになりました。

(古い織機の説明の詳細は Wikipediaの織機の項を参照してくださいませ)

そのうちにモーターを利用するようになりましたが、蒸気機関同様1台の大きなモーターで 天井から長いベルトで 1台1台の織機を 何台も動かしてました。危険なのと伝達ロスも大きい等の理由で 1台の織機に1台のモーターになって行きました。

その頃の織機は 緯糸がなくなると 感知して自動的に織機が止まりました。これでは生産性が悪いので 日本の豊田佐吉氏(後にトヨタ自動車(豊田佐吉の長男 喜一郎氏が創業)を生み出す 豊田自動織機製作所の創業者)が 苦労して特許をいくつも取りながら、緯糸がなくなると自動的に交換する自動織機(自動的に交換するので自動織機)を開発していきました。

(これに対して 緯糸がなくなると止まる従来の織機を その頃は普通織機と称してました。シャトルレス織機全盛の今では 自動織機を普通織機と言います。また 変わるかも知れませんが)

この頃までの織機は スペース・シャトルの語源となったフライ・シャトル(日本語名「飛び杼(トビヒ)」)を使って 緯糸を入れてました。経糸の間を 行ったり来たりする姿を、宇宙と地球を往復する様子に なぞらえたものと 思われます。

それからフライ・シャトルを使わない シャトルレス織機も開発され(「ルーム」は織機と言う意味の英語です。下記のリンク先は適当な説明が検索で 出てこないので、特定メーカーの特定機種にリンクしています。ですので 近い将来リンク切れになると思います。その時は「ウォータージェットルーム」等のキーワードで検索してくださいませ)、

などがあり、現在では発展途上国でもシャトルレス織機が主流で 織物を高速で生産してます。

この他にも 織物の生産性を飛躍的に上げると言われている 多相織機(一度に全部の経糸を上げ下げするのではなく、いくつもの相に分け部分的に 上げ下げしていきます。銃身がたくさんあった 初期の頃の機関銃のような感じです)が実用化されようとしています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。