投稿者「kijiya」のアーカイブ

ブロードとは(broad) ブロードクロスとは(broadcloth)


ブロードとは、ブロードクロスとも言い 経糸(タテイト)を密に 緯糸(ヨコイト)の1.5~2倍くらいの糸密度で織った織物です。密な地合いで光沢があり 繊細な緯畝のある柔軟な平織物で、強度はかなりあります。

ポプリンよりは 緯畝が細いです。
(ブロード・クロスはアメリカの呼び方で、ポプリンは英国の呼び方だそうです。でも 日本では 畝が細いものをブロード・クロス、太いものをポプリンと呼ぶそうです)

元々はウール(毛)で作られてましたが、今はコットン(綿) シルク(絹) ポリエステルなどでも 作られてます。

綿ブロードが代表的で、経糸に80番手双糸 緯糸に40~60番手の単糸を使って織ります。(綿番手は 数字が小さいほど太い)

用途は幅広く、ワイシャツ パジャマ カジュアル・スーツ スカート エプロンなどに使われてます。

ウールのブロードは、縮絨によって フェルトになります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

カード糸とは (carded yarn)


カード糸とは、綿(コットン)のコーマ工程を通さない糸の事で 40番手以上(30と40番手のみは コーマ糸もある)の太さは 事実上全部カード糸になります。
(30番手以上の糸で コーマ糸を作る事も 可能ですが、あまり意味がありませんし(太いので強度は十分ある) 需要もないので、生産されてないのでは? と思われます)

カード(card:すき櫛 毛羽立て機の意味)工程は、長さ短い繊維の除去と 繊維の平行度を高める為に、綿紡績では 必ず行います。30と40番手には 両方あるので、「カード30番」とか「カード40番」のように 明記されます。
(たぶん 他の毛紡績とか 麻紡績などでも、必ず同様の工程はあると 思われます)

下記のように 外観が異なります。(写真は apparel fashion wiki より拝借しています。写真掲載ページ) カード糸の方が 膨らみ感のある糸になります。

カード糸の外観

カード糸の外観

コーマ糸の外観

コーマ糸の外観

中を構成する繊維長も 下記のグラフのようになります(綿花をほどいた繊維を縦にして 長さ順に横に並べています。縦軸が1本1本の繊維の長さです)。クラフは オリジナルTシャツ作成のファインダーと言う店の用語解説ページから 拝借しています)

ステープル・ダイヤグラム

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

コーマ糸とは (combed yarn)


コーマ糸とは、短繊維カード糸に対する言葉で、カード工程(長さの短かい繊維の除去と 繊維を平行に引き揃える工程)の後で、さらにより短かい繊維の除去と繊維の平行度をより良くする為に コーマ(comb 櫛の意味)と言う機械を通して紡績したコットン(綿)の細番手高級糸の事です。

こうする事で 締まった糸になり(かすかな光沢も出ます)、中の繊維の平行度が増して糸の切断強度も上がります。30、40番手の糸には カード糸とコーマ糸の両方がありますが、それ以上の細番手はコーマ糸のみになります。カード糸では 短い繊維があったり 平行度が低いので 細い糸を作ると強度が出ないためです。(糸は一番弱い部分で切れます)

下記のように 外観が異なります。(写真は apparel fashion wiki より拝借しています。写真掲載ページ

コーマ糸の外観

コーマ糸の外観

カード糸の外観

カード糸の外観

中を構成する繊維長も 下記のグラフのようになります(綿花をほどいた繊維を縦にして 長さ順に横に並べています。縦軸が1本1本の繊維の長さです)。クラフは オリジナルTシャツのPMワークスと言う店の用語解説ページから 拝借しています)

ステープル・ダイヤグラム

超長綿と言うのは この1本1本の繊維長の平均の長い綿花を 糸にした物です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポプリンとは(poplin)


ポプリンとは、緯糸(ヨコイト)の方向に 細い畝が見える 手触りの良い柔らかな平織物です。ブロード・クロスよりは 畝が太いです。

(ブロード・クロスはアメリカの呼び方で、ポプリンは英国の呼び方だそうです。でも 日本では 畝が細いものをブロード・クロス、太いものをポプリンと呼ぶそうです)

元々は シルク(絹)とウール(毛)の交織織物でしたが、現在ではコットン(綿)織物が多く、ウール シルク ポリエステルなどでも 作られてます。

コットン・ポプリンは 経(タテ)40番手くらい 緯(ヨコ)30~40番手くらいの物が多く、経密度が緯密度の2倍近く込んでます。(ブロード・クロスと同じように)

用途は幅広く スカート 薄手のジャケット エプロン カーテン テーブルクロスなどです。

ポプリンの語源は フランスの地名 “Popeline” から来ています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ローンとは (lawn)


ローンとは、薄く 密で 滑らかな織物です。通常経(タテ)に60~80番手(綿番手)、緯(ヨコ)に80~100番手のコーマ糸を使います。元々はリネンで織られてました。リネンを模しているので ハリがあります。

現在は コットン(綿)をはじめ ポリエステル/綿などの混紡糸でも 作られてます。薄いので シャツ、ブラウス、ワンピースなどに使われます。

ローンの語源は、Laon(Laow?)と言うフランスの町の名前と、芝生(lawn)という2つの説があります。

貸付の意味のローンも 日本語表記は同じですが、スペリングは “loan” で別物です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ビニロンとは(vinylon)


ビニロンとは、ポリビニル・アルコールから作られた繊維です。コットン(綿)に似た風合いで、化学式はユニチカのページに載ってます。

合成繊維の中で 唯一吸湿性があり 強度や熱にも強い上にコストが安いために、当初はトレーニング・ウェアや学生服等 いろいろ使われました。ですが、染色しにくくゴワゴワすると言う問題があり 今は産業用に多く使われています。

現在、日本では クラレ(株) ユニチカ(株) (株)ニチビが生産しています。主な用途としては、ロープ 海苔網(吸湿性があるため) 石綿に代わるセメント板の補強材(強度と耐熱性) ゴムやプラスチックの補強材等があります。

耐熱性のあるビニロンに難燃性加工を施したものは、燃焼時の溶融落下物(メルトドリップ)がないので、安全作業服や消防用出動服などに使用されています。

ニチビの水溶性ビニロン(商品名:ソルブロン)は 水に溶ける繊維として知られています。溶かす事で その布生地の風合いを良くしたり、無撚糸のタオル(風合いがとても良い)に使われたり、毛羽の多い麻糸に巻いて 織物の経糸に使ったりします。

日本で世界最初に1939年に合成された繊維で、ナイロンに2年遅れましたが 世界で2番目に作られた合成繊維です。作られた経緯は Wikipediaに詳しく載ってます。

この樹脂は フィイルム状にすると 平面性が良く 光学特性もいいので、液晶ディスプレイの偏光板など、繊維以外の用途にも 多く使われています。液晶ディスプレイの偏光板のクラレの世界シェアは80%と言われています。

(クラレには シェアNo.1の商品が 数多くあります。大学院時代の恩師が 就職先として強く奨めてました)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

寒冷紗とは (カンレイシャ Victoria lawn)


寒冷紗とは、コットン(綿)の平織の薄地織物で、濃い糊を付けて 固く仕上げたものです。ビクトリア・ローンも言います。

経・緯(タテ・ヨコ)とも 40番手くらいの綿糸を用いて、ごく粗く織り上げます。60~80番手の糸を用いた上質なものもあり、造花用 人形の衣装 カーテン地などにも使われます。
(亡くなった人の死装束(コットンやレーヨン製だと 燃やしてもほとんど においがしない為)や、音声特性がいいので スピーカーの前に張る布としても 使われたようです)

40番手以下の太いものには、白と黒があり 共に農作物の日よけ 防虫 防暑(日光を遮る)などの目的にも 使われたようです。

近年はコットンだけでなく、レーヨンや ポリエステル ビニロンなどで 作られたものもあるようです。

芯地(薄地用) ふすま張地 蚊帳 等の用途もあるそうです。

元来は で作られていたようです。たぶん 麻で作るより安価にできたので、だんだんと置き換えが進んだのではないでしょうか?

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ピン・ストライプとは(pin stripe) ドッテッド・ストライプ(dotted stripe) ピンポインテッド・ストライプ(pinpointed stripe) ピンヘッド・ストライプ(pinhead stripe)


ピン ストライプとは、濃色地に明るい色のピンの頭のような点を 連続させた縞柄のことです。一般に縞の間隔は狭いです。ピンを沢山刺したようなので ピン ストライプと言われるのだと思います。

ドッテッド・ストライプピンポインテッド・ストライプピンヘッド・ストライプとも言われます。下記写真は shutterstockさんより 拝借しています。

ピン・ストライプ

ピン・ストライプ

ピン・ストライプ生地の写真 (もっと細かい幅の柄もあります)

紳士スーツ用の毛織物生地によく使われています。

プリントで作って 点線ではなく、連続した線になっていても ピン・ストライプと呼ぶ事もあるようです。(本来の意味からは はずれてますが)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シャトルレス織機とは シャトル(shuttle) 飛び杼(トビヒ)


シャトルレス織機とは、下記写真のような「シャトル」を使わない織機の事です。シャトルの事を 日本語では飛び杼(トビヒ)とも言います。
(下記写真は ウィキペディアより 拝借しています)

シャトル

シャトル

シャトルの写真

スペース・シャトルの語源にもなった シャトルです。経糸(タテイト)の間を行ったり来たりするので、宇宙と地球を往復する姿に なぞらえたと思われます。

織物は非常に長い間 このシャトルを使って 生産されてきました。最初は手で(手機 テバタ)、次に足を使ったり(足踏織機 アシブミショッキ)、産業革命で蒸気機関を使ったり、後にモーター(電力)に変わりました。(動力を使ったものを「力織機(リキショッキ)」と言います)

緯糸がなくなると 検知してシャトルを自動的に交換するような自動織機(日本の豊田佐吉が最初に開発)まで作られるようになりました。ですが 一定の重量のものが、行ったり来たりするので どうしても毎分の往復回数(回転数)に限界がありました。(工業量産スピードで 毎分200~250回程度)

また 太い糸では、シャトルの中に巻く糸も 量的限界があります。シャトルを大きくすると 重量が増し 往復回数を上げにくくなります。幅の広い織物を生産するのも 大変困難です。

それで 水や空気で緯糸を飛ばしたり、長い棒で緯糸を引っ張ってくるような、シャトルレス織機が発明されました。現在の織物生産は、シャトルレス織機が 主力で生産されています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

グリッパー織機とは(gripper loom) グリッパールーム


グリッパー織機とは、小さな鉄片が緯糸(ヨコイト)の一端をくわえて(グリップして)、経糸(タテイト)の間を 片方向からだけ飛んで 緯糸を織り込む織機(ショッキ)です。

シャトルレス織機シャトル飛び杼(トビヒ) を使わない織機)の一種で、スイスのスルーザー織機(Sulzer)が有名です。と言うか ここしか作ってないようです。

緯糸を確実に遠方まで 飛ばすことができるので、幅の広い織物や 二幅織り、三幅織り(2、3枚の布生地を同時に作る)が 可能になります。

綿(コットン)や毛(ウール)織物によく使われてます。汎用性はあるのですが、単品量産型の織機です。(いろいろなものを 織ることが可能ですが、しょっちゅう品種転換するのには 不向きな機械)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。