素材」カテゴリーアーカイブ

布生地の大分類


大きく 3つに分けられます。

  1. 織物(経糸(タテイト)と緯糸(ヨコイト)を 交絡させたもの)
  2. ニット編物
  3. 不織布(使い捨てのお手拭やおしめなどに 使われている)

1.織物の例として サテンとか ジョーゼットなどがあります。ドレスや衣装 シャツ スーツなどに使われている生地の多くは 織物です。寸法安定性に優れてます。

2.ニットには 経編 緯編丸編は緯編の一種ですが、一番生産量が多いです)などがあり、体操服や水着 Tシャツなどに用いられます。セーターなども 編物です。嵩高(厚みがある)で伸び縮みする素材が多いです。

3.不織布は 織ってない布と言う意味で、繊維を和紙のように 絡ませて作ったり、洋紙(通常の紙)のように 接着剤や糊で固めたりして作ります。安価なものは 絡ませて作っています。

安価に大量にできますが、異物が入りにくい製造工程なので 精密フィルターや研磨布などの高機能用途(こちらの用途用は非常に高価です)にも使われます。

生地屋は 合繊織物専門です。ニットは不織布の取り扱いはございません。同様に綿(コットン)や毛(ウール)の取り扱いもございません。

また合繊(合成繊維)でも ほとんどポリエステル100%の取り扱いですので、ナイロンやアクリル等の取り扱いもございません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

後から買いに行った布生地の色が微妙に違う!


用尺を計算して、布生地を買ってきて いざ作り始めたら、

  • デザインを変更したくなった
  • (パターンカット等を)失敗してしまった
  • 用尺の計算を間違えていた

等 よくあることだと思います。近くのお店で すぐに買いに行けば 同じ布生地なので 問題はありません。

でも かなりたってからだったり、売れ行きのいい布生地で 次のが入荷していたりすると 色が微妙に違う事があります。

これは仕方ない事なのです。ペンキのはげた部分を塗りなおす時に はげた部分だけでなく 全体を塗り直します。目の前で色合わせしても 合わないのに、いくつもの工程を通る染色工程で 毎回寸分たがわず色合わせする事は 非常に困難なのです。

ですので、近くのお店で まだ沢山残っているような場合を除いて パターンの一番長い部分以上(たとえば ワンピースなら 身ごろの一番長い部分) 余分に買われる事をお奨めいたします。

最悪その部分を失敗しても やり直す事ができます。

 

(染めロットが同じ(その時に 一緒の釜で染めている)なら 同じ色になる筈です。ですが 入荷した時期の異なる糸(ロットの違う)で作った布生地が一緒に入っていると、色が微妙に異なってしまう場合があります。

なので プロの世界では「反内縫製」と言って、一着の洋服や製品は 一反内でパターンカットします。一着に足りなければ もったいないですが、廃棄します。

色に対する人間の目の感覚も 非常に敏感な色の系統があったり、かなり鈍感な系統もあります(淡色系は 一般に少しぐらい違っていても 人間の目はまず感知できません)。敏感な色は 少しでも違うと 人間の目は 見分けてしまいます。

また 染め工程も、通常 薄い色から染めていき、中色 濃色 黒色と だんだん濃い色に順番に染めて行きます。毎回完全に洗っていると 手間がかかりすぎるからです。黒色から淡色に染める場合は 手間をかけて綺麗に洗います。

ですので、微妙な色は 前に何色を染めたかで 影響を受ける場合もあります。

染めるのが難しい生地もあります。弊店のシルデュー・デシンがそうで 毎回染工場さんが目標の色に染めるのに大変苦労されてます。色直しの 色抜きも1~2回程度しかできず(表面の極細の糸が溶けてしまう) 何度も修正ができないのです。

こう言う布生地は 色の許容範囲を不本意ですが 広くします)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

織物(布生地)の表裏の見分け方


合成繊維(合繊)長繊維織物の場合は 下記のように見分けます。(コットンやウールでは 反対の場合もあります。歴史的に各布生地産地でやり方が違います。たぶん それぞれの布生地や機械にとって都合の良い法方が取られているでしょう)

  1. 両耳の2列に空いている針の穴が 上に凸の方が表
  2. 反物は 巻いてある内側が表
  3. 虫眼鏡等で拡大して 毛羽みたいな表面の毛が 比較して寝てない方が表

で 見分けます。

  1. は 最後の仕上げセットで、表を上にして 機械にかけるため
  2. は 使用面を保護するため
  3. は ローラーなどにかかるときに 表を上にしているため(ローラー面の方は 毛等が寝てしまう)

片表面だけしか 布生地の検査はしてないです。薄い生地の場合は 問題ありませんが(片面に欠点があれば 裏からでも見える)、透けにくい布生地の場合は注意しないと裏側だと 検査で見逃した欠点がある場合があります。

ですが 表裏の見分けがつかなければ、(支障がなければ)お好きな方をお使いになられて 問題ありません。(だだし その場合、一枚の洋服では 使う面を統一した方が無難です)

プロの縫製工場さんでも、平織りのように 表裏のない組織の場合、表裏を気にせずにパターン・カットする場合もあります。(勿論 使う面は統一しますが。わたしのような布生地のプロでも 表裏を見分けることは 困難です)

著名なデザイナーさんでも 作り手が思った面と反対を 面白いと表にされる事も多々あります。またバックサテン・アムンゼンや 下記の生地のように 最初から両面を使うことを想定する布生地もあります。(ですが この場合も矛盾するようですが 主使用面しか検査しません)

裏面も使えるストレッチ・サテン

裏面も使えるストレッチ・サテン クリックで詳細へ飛べます

ストレッチ・サテン:MB3000

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリエステルの二色染めとは? カチオン可染とは?


  • 通常ポリエステル繊維は 分散染料と言う染料で 130℃以上に温度を上げて(圧力を上げて) 染めます。
  • ですが、カチオン染料と言う染料でも染まる分子基を ポリエステルの中に入れることによって カチオン染料でも染められる繊維を作れます(カチオン可染糸)。
  • カチオン可染糸の中にも 100℃以下でも染まる 常圧カチオン可染糸(通常の大気圧では100℃以上に温度が上がらない)と、100℃以上でないと 綺麗な色に染まらない 通常のカチオン可染糸の二種類があります。
  • 常圧カチオン可染糸は 高価ですが、100℃以上に温度を上げると劣化しやすい 絹(シルク)などを混ぜた布生地に使われます。
  • ポリエステル100%で 二色に染め分ける場合は 通常のカチオン可染糸を用いますが、カチオン可染糸もポリエステルですので 分散染料で染まってしまいます。
  • ですので カチオン可染糸を濃い色(又は混ざった色)でしか 染めることができず、色の組合せに限界があります。
    通常のポリエステル糸:分散染料だけで染まる
    カチオン可染糸:分散染料とカチオン染料の両方で染まる
  • ポリエステル100%で シャンブレー(玉虫)やチェック ストライプに染め分ける場合は このカチオン可染糸を用います。
  • この場合 後染め二浴(2回染める)との記述も見受けられますが、現在では分散染料とカチオン染料を一緒に入れて 一浴で染めています。
  • 下記が ポリエステル100%で二色に染めた織物の例です。クリックで 布生地の詳細がご覧になれます。
金属光沢のシャンブレー・サテン

金属光沢のシャンブレー・サテン

シャンブレー・サテン:MB8400

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

シャンブレー・シワ・ヘリンボン:MM1333

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

シャンブレー楊柳:MB9000

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

シャンブレー・シフォン・ジョーゼット:MB7506

シャンブレーオジヤ:MS9410

カチオン染料には 色によっては200℃の温度(通常はこのような高温はかけませんが)で 変色してしまう成分もあります。弊生地屋のシャンブレー楊柳:MB9000は 200℃の高温でも 変色しにくい染料で染めてます。ですので200℃の温度で加工する事も可能です。

200℃でも変色しにくいシャンブレー楊柳
200℃でも変色しにくいシャンブレー楊柳

シャンブレー楊柳:MB9000

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

フルダルとは?(FD) セミダルとは(SD)、ブライトとは(B)


化合繊の糸の艶(光沢)の種類の事で 大きく次の3種類に分けられます。

  1. フルダル (FD, Fully Dull)
  2. セミダル (SD, Semi Dull)
  3. ブライト (B, Bright)

1.のフルダルが最も糸に光沢がなく、3.のブライトは一番光沢があります。2.のセミダルはその中間で 最も多く使われています。

フルダルはUVカット性能が高いのと 下着やパンツ(ズボン)等の透け防止に効果があります。ただ ビビットな(鮮明な)色は出にくいです。

ただブライトの糸でも 撚糸をかける事によって 幾分光らなくなります。

 

例えばブライトの糸でも 強撚をかける事によって、セミダルぽくなりますし、中撚をかける事によって 光沢はマイルドになります。(強撚、中撚は撚糸の項を参照して下さい)

フルダルの糸は 酸化チタン含有量が多いです。セラミックの主成分の1つで 昔はガイドに傷がつきやすい 糸道が出来る等 いろいろ問題が多かったですが、現在は改善されています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

UVカットの生地とは?(ユーブイ) 紫外線カット


1)通常のポリエステル製の布でもかなりUV(紫外線)カット性があります。淡色より濃色(黒 濃紺 こげ茶等)がお奨めだそうです。下記クリックで参照できます。(2013.02.13現在 下記の記事は 削除されてるようです。非常に有用な記事だったので、大変残念です)
UV加工の生地について

「UVカット 生地 販売」で検索して捜しました。ただ誇大広告くさいところも多く(布生地で 光にかざして光が漏れていたら、100%のUVカットではありません) 上記のサイトは科学的に説明していて信頼できると思います。

 

2)当店でUVカット性の生地として下記があります。(CF7000とか MF7000は同じ生地です。2桁目以降が同じなら同じ生地です。CFはメータ売り MFは反売り品番です)
CF7000 MF7000
CF7012 MF7012 (廃版予定 残10色程度のみ。代換生地のMS7110は 糸がフルダルではありません。UVカット性が必要な場合は 上記のCF7000(MF7000)を お使いください)

フルダル(FD)と言われる糸にはUVカット性があります。ただ糸自体にUVカット性があっても、生地が透けているとカット性が低下します(糸と糸の隙間からUVが漏れます)。ですから良心的なメーカはあまり積極的に宣伝しません。上記の布は夏用の生地としては比較的透けにくく 糸と透けにくさの両方でUVカット性が高いです)

他の季節は少し厚い布地を使えば UVは簡単にカットされてしまいます(UVのように波長が短いと薄い厚さの生地で 簡単に遮断されます。暗い所から明るい所を見て全然透けない生地なら まず大丈夫でしょう)。

夏は上記の布をお使いになり、かつ下地と上に はおりもののようなデザイン(風も通って涼しいと思います)で 2重に布を重ねればUVカット性は高いと思います。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

デニールとは(D)


デニールとは 化合繊やシルク(絹)の糸の太さの単位で、9,000m当りのグラム数。”D”(Denier)で通常あらわします。

”75D(デニール)”の糸は9,000m当り75gある糸と言う意味です。太さと言うと直径が思いうかびますが、細い糸を 厳密に計測する事は通常困難(また 長い長さ方向に多少ばらつきます)なので このような方法がとられてきました。

(最近ではこの呼び方を止めて、デシテックスと言う言い方に変わろうとしています)

例えば 下記の例のように(クリックで その布生地の商品ページへ飛んだり(詳細が見れます)、拡大写真が見れます)

繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

50Dシフォン・ジョーゼットの透け感

50Dシフォン・ジョーゼットの透け感

巾の広い75Dシフォン・ジョーゼット

巾の広い75Dシフォン・ジョーゼット

75Dシフォン・ジョーゼットの透け感

75Dシフォン・ジョーゼットの透け感

50D(デニール)の方が 糸が細いので、薄く透けやすいです。 (50Dと75Dくらいの 差では 僅かの差しかありませんが)

綿やウールの糸の太さの「番手」と違って 大きいほど太い糸になります。番手は大きいほど 細くなります。
(番手は一定重量あたりの長さであらわしてます。ややこしい事に、綿 ウール 麻で全部一定重量が異なってます。すから 綿とウールで同じ40番手でも 太さは異なります)

余談ですが 公称75デニールでも、実際の糸の太さは 72~73デニール程度です。それでも 糸の取引は重量でしますので、別に不正なわけでは ありません。75D(デニール)で 計算した長さよりも 実際の糸の長さは 多少長くなるので 使う方も不都合はないわけです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

デシテックスとは(T) テックスとは


デシテックスとは 化合繊の糸の太さの単位で、10,000m当りのグラム数。”T”(deci Tex ”D”とすべきなのかも知れませんが それでは従来のデニール(D)と区別つかないため)で通常あらわします。

例えば”84T”の糸は10,000m当り84gある糸と言う意味です。本来”テックス”は1,000m当りのグラム数なのですが、10分の一の意味の”デシ”をつけて 8.4テックス=84デシテックスとあらわしています。

綿やウールの糸の太さの「番手」と違って 大きいほど太い糸になります。番手は大きいほど 細くなります。

デニール(D)から こちらの単位に変わろうとしています。面白いのは 数字の切りがいいのか 一部換算どおりの表示になってません。
30D = 33.333T  表示33T
50D = 55.555T  表示56T
75D = 83.333T  表示84T (本来83Tのはず)
100D = 111.111T  表示110T (本来111Tのはず)
150D = 166.666T  表示167T
あと 今まで習慣的にデニールを使って来たので、当分の間は下記のように商品名にはデニールが使われると思います。(50Dの方が薄い。50Dと75Dくらいでは 僅かの差しかありませんが。透け感の写真は クリックで拡大します)

50Dシフォン・ジョーゼット:MS7400

繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

50Dシフォン・ジョーゼットの透け感

50Dシフォン・ジョーゼットの透け感

75Dシフォン・ジョーゼット:MS7100

巾の広い75Dシフォン・ジョーゼット

巾の広い75Dシフォン・ジョーゼット

75Dシフォン・ジョーゼットの透け感

75Dシフォン・ジョーゼットの透け感

 

将来的には

56Tシフォン ジョーゼット:MS7400
84Tシフォン ジョーゼット:MS7100

のように呼ばれる事に なるかも知れません。

余談ですが 公称84デシテックスでも、実際の糸の太さは 80~82デシテックス程度です。それでも 糸の取引は重量でしますので、別に不正なわけでは ありません。84T(デシテックス)で 計算した長さよりも 実際の糸の長さは 多少長くなるので 使う方も不都合はないわけです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

短繊維とは?(タンセンイ) スパン糸とは(spun yarn) ステープルとは(staple)


スパン糸、ステープルとも言い、細い短い繊維の糸を撚り合わせて(=紡績して)つくります。綿やウールは代表的な短繊維です。反対の言葉に長繊維があります。

短繊維だけの繊維: 綿(コットン)、毛(ウール)、麻(リネンラミー。リネンとラミーは別物です)等
短繊維と長繊維の両方あるもの: 絹(シルク 短繊維は「絹紡糸」)、レーヨンポリエステル

注:ナイロンは 長繊維がメインで、短繊維を作ることは不可能ではないですが、あまり聞いたことがないです。
アクリルは 短繊維がメインで 長繊維は存在しますが、生地や製品等は一般にはあまり売っていません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

合成繊維とは?(ゴウセイセンイ) 合繊とは?(ゴウセン)


石油などの原料(テレフタル酸等)から人工的に合成される繊維ポリエステル ナイロン アクリル ビニロン等がある。リサイクルできれば 天然繊維よりははるかに地球に優しい繊維(異論もあると思います)となります。

また 一般的にドライクリーニング(環境に優しくない)しなくても家庭で水洗濯でき 強度もあり長持ちする。寸法安定性にも優れています。

反面 一般的に静電気がおきやすく 熱には弱いです。

よく誤解されますが レーヨンキュプラベンベルグ) アセテート等は 合成繊維ではないです。レーヨンやキュプラは再生繊維と呼ばれ、アセテートは半合成繊維と呼ばれます。

パルプ(木材のくず)や綿花のくずなど 天然に存在するもののセルロース(綿 コットンの主成分)を原料として溶かし 糸に再生します。それで再生繊維と呼ばれします。

半合成繊維は、セルロースやタンパク質のような天然の原料に 化学薬品を反応させて作った繊維です。

合成繊維と再生繊維、半合成繊維は 一般的性質は全然違うので 注意が必要です。再生繊維は一般的に 静電気がおきにくく 熱には強いです。

合繊(合成繊維)と再生繊維、半合成繊維を合わせて化繊(化学繊維)と呼ぶ場合と 再生繊維だけを化繊と呼ぶ両方の場合があります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。