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ポンジーとは? ポンジとは (Pongee)


経緯(タテヨコ)75D(デニール)の太さの ポリエステル仮撚加工糸を用いた安価な平織りの織物。世の中で一番安価な織物と言われています。適度な膨らみがあって 短繊維織物(仮撚加工糸自体は長繊維です)のような外観や手触りがあります。

安いので コンビニやスーパーのぼり旗や インクジェット印刷基布等の雑資材用途に 非常に大量に使われてます。(実物は 近所のコンビニやスーパーに立っている旗で ご覧になれます。ほぼ100%ポンジーです)

ウォータージェット・ルーム(WJL)と言う 水で緯糸を飛ばす織機が 導入されてから、膨大に作られるようになり、布生地(織物)の欠点も目立ちにくいので 価格も非常に下がりました。

旗の問屋さんなどで 「ポンジ」と書かれてますが、上記英語のつづりを見てもわかるように 正しくは「ポンジー」だと 思います。

元々は シルク(絹)の
「柞蚕糸(さくさんし)を経緯に用いて平織にしたもの。柞蚕糸特有の色は色調が悪いので漂白し黄褐色あるいは褐色にする。綿やレーヨンなどを用いたものもある。さらりとした触感がありドレスやシャツ、カーテン、ふとん地などに用いられる。もとは中国の山東省で織られた絹織物のことを指していた。絹(けんちゅう)のこと。」-apprel fashion wiki より
の意味だったらしいですが、今では この織物はほとんど目にする事がないです。

大変申しわけございませんが、弊生地屋での取り扱いはないです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

縫いにくい薄いジョーゼット縫製のコツ


洋裁で有名な うさこさんは アイロンの時に使うスプレー糊をかけるそうです。そうすると 紙に近くなり 扱いやすくなると言ってます。

下記は熊本のM様の労作です。長文ですが非常に参考になると思います。(今は産休で休まれておられますので、ホームページをご紹介できないのが 大変残念です)

<以下 熊本のM様の文章>

私が初めて生地屋さんの生地を使用したのは、よりによって50dシフォンジョーゼット(148cm幅)でした。「もう2度と使わん!!」と腹を立てながらなんとか衣装を作り上たあの苦労は、今でも忘れられません。

ですが、生地屋さんの148cm幅のシフォンジョーゼットの質感に惚れ込んでしまい、現在では50dのものも75dのものもしょっちゅう使わせていただいております。

今でも使用するたびに「うへ~」と思いながら悪戦苦闘しています(笑)。ただ、数をこなしていけば、どこでどのように気を配ればよいかを体が覚えていく気がいたします。

「失敗は成功のもと」と思いながら、懲りずに衣装の製作に励んでいる毎日です。

きっと私やメルマガに掲載された方だけではなく、縫製で同じように苦労された方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?洋裁を趣味に持つ同じ同士として、どうしてもエールを送りたくなりましたので、書き込みをさせていただきました。

以下は、148cm幅のシフォンジョーゼットを使用する際に私が苦労した数々の問題点と、透ける素材を使用する際の縫製のコツについて本からの抜粋事項になります。

初めてチャレンジされる方などに、何かの折に参考にしていただければ・・・と思います。

~苦労の数々~
裁断:とにかく生地がずれる。はさみを入れると、生地が動く。テーブルの上に生地を平らに置くだけでもテーブルと生地の間に空気が入り込み、一苦労する。

印付け:チャコペンやルレットを押しあてただけで生地がずれる。細かな印付けは断念し、必要最低限の印のみ付ける。

縫製:ミシンのテーブル面を憎らしいほどに気持ちよさげに滑り落ちていく。
縫っている途中に生地が伝線する・ロックミシンで針が生地をすくってくれない。(ミシン針を7番に替えて解決)。

縫っている最中にミシン油が付着してしまうとなかなかとれない(何度と染み抜き剤を使用してみたもののとれなかった。どなたか良い方法がありましたら、教えて下さい。)

~コツ(正しい?縫い方)~
(「改訂版 洋裁」(ブティック社発行)より抜粋)
裁断:布地が動きやすいので、ハトロン紙に1枚ずつ型紙を経済的に配置し、写します。ハトロン紙に写しとった型紙は切らずに、布目の矢印を入れます。

ハトロン紙の上に表布を乗せ、表布と布目を合わせておき、まち針で止め動きを止めます。切り取るときはハトロン紙と布を一緒に切り取ります。

しるしつけ:ハトロン紙に止めた状態で、布地だけに縫いじつけでしるしをつけます。

縫製:ミシン針は11番(?私は7番をおすすめしますが・・・?)。糸は絹ミシン糸50番か100番を使用します。(?私は直線縫いは普通のシャッペスパン60番を、ロックミシンはスパン糸90番を使用しています。

新合維用の「キングフィット」やシルク形状糸の「フジックス ファイン」など、ロックミシンではテトロン糸などを使うとより仕上がりも充実してくるのかなあ・・・と思いますが・・・使われている方、いかがでしょうか?)

ミシンの糸調子はゆるめにして、ミシン目は細かくします。ミシンで縫うときは必ずハトロン紙または薄紙を敷いて一緒に縫います。

縫い終わったら紙は取り去ります。縫い代が透けて見えるので、綺麗に縫い代の始末をするのが重要です。

ちなみに、面倒くさがりの私はこの方法はあまりしていないです(笑) 自分なりに縫いやすい方法を模索されて、自分のやりやすい方法で制作されるのが良いかと思います。

<熊本のM様の文章終わり>

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

防炎加工はできるの? (難燃加工)


ここで言う防炎加工とは、火がついても 素早く燃え広がらない(難燃加工も同様)と言う意味です。ですので この加工をしても 燃えないのでなく、燃えあがるまでに時間がかかり その間に消火するか 逃げ出すまでの時間を稼ぐための加工です。

(耐熱繊維のノーメックスケブラー等の繊維も、火事になれば 燃えてしまいます。昔の石綿(アスベスト)で作られた消防服でも 炭化してしまいます。火事のような高温になれば 耐えられる繊維などないです。勿論 通常の繊維よりも はるかに火に強いですが)

生地屋でも 防炎加工(難燃加工)は可能ですが、次のような条件があります。

1) 弊店の生地のみ(万一の場合は 法的責任がからんできますので、ご容赦くださいませ)  反単位(約46~50m程度)の加工で有償です。

2) 防炎シールは ¥3,150/枚での 販売です。(弊店が加工したものだけに発行可能です。防炎シール単独での販売は 違法になります)

3) 下記料金が生地代とは別に加算されます。納期 ご決定後1週間程度。

加算加工賃
備  考
1反のみ
+ ¥15,750/反 (注1
規格長さよりも短くても この料金
2反以上
+ @263/m (注2
色違いOK、仕上がり長によって総額が変動

 

4) 薄い生地は 難燃樹脂が雲のようにムラ状に見えます。下記生地はムラ状に見える事をご了解ください、それ以外の生地は加工OKです。(薄暗い舞台等で使用する場合は あまり目立たないかも知れません。今まで クレームは一件もございません。
MR2040(CR2040)は 防炎樹脂がのりにくいので お奨めできません)

生 地 品 番
薄い生地なのでムラ状に見える
加工バッチによっては ムラ状に見える事もある

 

5) オリジナル色で別注染加工し 防炎加工も可能ですが、両方の料金が加算された金額(別注染加工賃+防炎加工賃)となります。詳しくは お問い合わせください。

 

下記いずれの場合も 一反の長さは多少変動(規格長46mとは限らない)します。メートル
単価は不変ですが、長さによって総額は 多少変動します。

(注1 例えばMS7104の一反の場合 下記のようになります。

@469 x 46m乱 + 15,750 = ¥37、324-

(注2 例えばMS7104の二反の場合 下記のようになります。

(@469 + 263) x 46m乱 x 2反 = ¥67,344-

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

プリント(柄物)の布生地は売ってないの? チェック(格子)、ストライプ(タテ縞)は ジャガードは


大変申しわけございませんが、弊生地屋では プリントやチェック ストライプ ジャガードなどの 柄物は 一切取り扱いがございません

どうしてかと 言いますと、

  1. 柄物は 布生地の質よりも、柄の良し悪しで決まる確率が高いです。生地屋は 元々織物製造会社だったので 布生地の質の良さで勝負したいと思ってます。
    (プリント代等 コストが高くつくので、一般的に無地生地に比べて 柄物の布生地は質が低い物が多い)
  2. 柄物は 柄だけでなく 色の組合せも関係してしてくるので 種類がとっても膨大になってしまい、柄に対して素人の生地屋がやると、在庫過多になる可能性がとても高いです。
    (在庫過多になると 当然利益確保のために 値段が高くなってしまいます。柄物の布生地は 驚くほど高い事が多いです)

等々の 理由で生地屋では 取り扱いいたしませんので、良くお問合せがあるのですが ご了解くださいませ。

下記のお店等で 取り扱っておられるようですので、そちらへお問合せいただけませんでしょうか?
http://www.biwacity.com/miyake/
http://www.rakuten.co.jp/kijihinode/

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

緯取りとは? (ヨコドリ よこどり) 布生地の経緯(タテヨコ)


布生地には 経緯(タテヨコと 読みます。布生地の世界では なぜかこの漢字を使用します)が あります。型紙にも 「↓」などの書き方で 経方向が書いてあると 思います。

広巾の生地などで 取り効率(又は布生地が不足する場合)の関係で 緯に取る(型紙の経方向を 緯にパターンを置く)場合があります。その場合は いくつか条件があります。(編物(ニット)は 専門ではないので、ここでは 織物に話を限ります)

  • 布生地に経と緯に方向性があまりない(例えば 平織のような織組織)。サテン(朱子織 繻子織)ツイル(綾織 斜文織)は 方向性があり 不向きです。平織でも 経糸密度と緯糸密度が 大きく違う場合(通常は 経糸密度がやや多い)とか、経糸と緯糸の性質が大きく違う場合(緯糸が経糸に比べて 特に太い等)も あまり向いていません。
    (弊店の 147cm巾のシフォン・ジョーゼット MS7400MS7100は 経緯の差が少なく 緯取りで量産された実績があります)
    .
  • 2Wayのストレッチ生地では 経と緯のストレッチ量が、同じ場合は非常に少ないです。通常は 緯の方がよく伸びます。布生地に方向性がなければ、よく伸びる方を 伸びて欲しい方向に使います。例えば
    .
    1.身頃は横に伸びて欲しいので 伸びる方を横に。
    2.膝や肘は 縦に伸びて欲しいので 伸びる方を縦に。

どうして 経緯を区別するかと 言いますと、製織(織り、織布)工程でも 染工程でも 基本的に経方向に 力がかかってます。ですので その方向が 洋服の縦にきたりした方が、自然ですし 狂いも少なくなります。

ですから、基本的に 型紙の経方向は守った方が 無難です。

余談ですが、布生地が足りないからと 同じ生地を買いに行っても 色合いが微妙に違う事もありますので ご注意くださいませ。詳しくは 下記を参照してくださいませ。
後から買いに行った布生地の色が微妙に違う

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ダウンプルーフとは? ダウンプルーフ加工とは


防寒のため ダウン(羽毛)を中に詰めた防寒製品で 中からダウンが出てこないように 布生地を加工することを言います。

ダウンは大変細いので 通常の目の詰まった布生地でも 中からダウンが出てきてしまいます。(プルールとは「防」の意味で、ウオーター・プルーフで完全防水 ビュレット・プルーフで防弾と言う意味になります)

目の詰まった織物(高密度織物と言います)を ローラーではさんで 高い圧力と熱をかけながら、糸と糸の隙間を ダウンがはみ出さないようにつぶして狭めていきます。(チンツ加工で使う カレンダーと言う機械を使います)

(ダウンがはみ出さないようにするだけなら フィルムのような素材でもいいのですが、それでは 通気性がなくなって 中でムレたり手触りが良くなかったりします)

ダウンプルーフ加工された布生地は あまり一般の生地屋さんでは 売っていません。(生地屋も取り扱っておりません)

(あと 余談ですが、ダウンジャケットなどを一般消費者の方が 縫製で修理される事は お奨めできません。針穴や縫い目から 中のダウンが次から次へと出てきて、どうしようもなくなる場合があります。必ず専用の貼り付け布で 修理されるか、専門の業者へ頼むことを 強くお奨めいたします)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ヒートテックの詳しい原理 吸着発熱とは (吸湿発熱)


人間は別に汗をかかなくても 一日約0.8リットルもの水蒸気を 体全体から蒸発させているそうです。水蒸気は運動エネルギーをもっていて これが繊維などに吸着(吸湿)すると 熱を出します。これが 吸着熱吸湿熱)です。

(水が蒸発する時に 気化熱を奪うのと逆の作用ですね。火災の時 水をかけるのは この原理を利用して消火してます)

ですので どんな繊維も衣服も吸着熱作用を持っています。でも、どうして「ヒートテック」等の素材は 暖かく感じるのでしょうか?

  1. 水蒸気の吸着を できるだけ皮膚に近い部分で起こるようにしています。(外側で起こるほど 人は温かさを感じにくい)
  2. 吸着した水分が できるだけ速く外へ拡散させるしくみ(毛細管現象等)があります。
    .
  3. 外側へ出てきた水分を できるだけ速く蒸発させるしくみ(繊維の表面積を広くする等)があります。
    (2.と3.のしくみがあるので、着用後の数分間だけ暖かいわけではなく 長時間暖かく感じます。吸湿速乾の機能性下着やユニフォームは 2.と3.のしくみを使って速く蒸発させます)
    .
  4. 3.の蒸発するときに 熱を奪いますので、布生地の内側と外側が しっかり断熱されるしくみ(内部にしっかり空気の層を確保する等)があります。
  5. 1.~4.まで どれか一つでも 大きく劣っていると、そこが 暖かさを感じる度合いを 大きく下げてしまいます。1.~4.の性能が バランス良く発揮されてないとダメです。

実際に着用すると 本当に暖かいです。ポリエステル100%の薄手のものより 綿やアクリルと混紡されワッフルのように編まれたものの方が 少し厚手で空気の層が厚いので わたしは暖かく感じますね。

(風が通ると ヒートッテックの保温機能が 大きく損なわれるので、衣服の一番外側には 一枚は風を通しにくいものを 着用されることをお奨めいたします。ただ 完全に体を密閉しますと、上記3.の蒸発が 起こりにくくなるので 良くないと思います)

ユニクロ以外にも いろいろ発売されているようですが、どの程度ヒートテックと違うのか 比較する必要があると 思います。値段の安さだけで 大量に買わないほうが いいのでは? 1~2枚買われて効果を実感されてから 沢山買われるといいと思います。

現時点ではヒートテックの方が 抗菌機能とか形状安定とか いろいろな付加機能がありますね。どんどん 進化してます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリエステルはシワになりにくい?


一般にそう言われますが、実はそうではありません。ポリエステル製でも タフタや通常のサテン生地は シワになりやすいです。

ポリエステル製で シワになりにくい布生地は

上記のような糸で 作った布生地は シワになりにくく、公演や大会が遠方であっても 現地でそのままか 薄いシワでも気になさる方は 軽いアイロンで着ることが可能です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

下着は綿(コットン)が一番でない場合もあります。吸湿速乾とは?


よく 肌につけるものは 汗をよく吸う綿(コットン)でないとダメって 思う人が多いと思います。
ですが、下記のような場合は 不向きです。

  • サッカーやバスケット マラソンのように 大量に汗をかくスポーツ
  • 重労働で 大量に汗をかく作業
  • 非常に汗かきの人(わたしです、特に夏場)
  • 冬山登山などで 非常に寒い場所に行くような場合

どうしてかと言うと 綿は10%程度しか吸水しないのです。そうして一度濡れると なかなか乾燥しません。乾きにくいので 体温を奪われて体が冷えます。

わたしは 昔5kmとか10kmのマラソンによく出たのですが、綿のユニフォームを着てたときは ゴールするとユニフォームが汗でベタベタでした。ある時から ポリエステル合成繊維)製の吸湿速乾性(汗をよく吸って 外側からどんどん発散させる機能があります)のユニフォームに変えました。

そうすると ゴールしたときに 胸周りが少し濡れているだけで ほかは乾燥していたのです。サッカーやバスケット選手等も 最近はほとんどポリエステル100%の吸湿速乾性の下着やユニフォームを着ています。

また 冬山登山される方も 登山用品店で売っている やはりポリエステル100%の吸湿速乾性の下着(通常の下着より割高ですが)を 買われます。

使う場面や 時間・時期によって、使い分けることをお奨めいたします。また ポリエステル製の下着は 綿などの下着に比べて 非常に耐久性があり長持ちします。わたしの だいたいの感じでは 3倍くらい持ちますね。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シボとは? しぼとは


ジョーゼットクレープなどの シボ(しぼ)織物の表面を、拡大して見ますと経緯の糸が屈曲しているのがわかります。これがシボと呼ばれるものです。

ジョーゼットなどでは 細かく屈曲の程度が 多いものが高級とされます。または 楊柳などの細かい経シワ(経方向の凹凸)を楊柳シボと呼ぶこともあります。

下記が生地屋の代表的なシボ織物の例です。

シフォン・ジョーゼットの細かいシボ

シフォン・ジョーゼットの細かいシボ

縮緬の表面の大きい凹凸(シボ)

縮緬の表面の大きい凹凸(シボ)

ジョーゼット(MS7104) 細かいシボ

サテン・クレープの表面

サテン・クレープの表面

経シワの楊柳シボ

経シワの楊柳シボ

サテン・クレープ 楊柳(MB9000)  楊柳シボ

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。