素材」カテゴリーアーカイブ

トラム撚りとは(ヨリ tram twist)


トラム撚りとは、フィラメント(長繊維)の無撚糸の糸を数本引きそろえて 100~500T/m(TはTurnで 回数のこと)程度の右撚り(S撚)ををかけた 片撚り糸のことです。

「撚り数が1,800~2,400回ではボイル撚り 3,000回前後になるとクレープ撚りという。」
と言う記述も他で見られますが、メータ当たりの撚り回数で 区別するのは おかしいと思われます。
(太い糸(例:ポリエステル150デニール)では 少ない撚回数 例えば1,800T/mでも 強いトルクになります。細い糸では 反対に1,800T/mでは トルクが弱いです)

ですので 撚りの効果で定義するが正しいと思われます。

  • ポイル撚りシボは立たないが、布生地にドライ感(乾いた感じ)やコシを与えたり、粗い糸密度でも 布生地の糸目が寄れたりしない程度の少なめの撚り回数(トルク弱め)。
    (ポリエステル75D(デニール)の糸では、目安800~1,500T/m程度)
    .
  • クレープ撚りシボが立つ 多めの撚回数(トルク強い)。
    (ポリエステル75D(デニール)の糸では、目安2,500~3,000T/m程度)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

 

メリヤスとは 莫大小(メリヤス)


メリヤスとは、ニット(編物)の別名です。昭和30年ころまで ニットをメリヤスと一般に呼んでました(そのまで頃は 下着や靴下に使用が大半でした)。それが ニットの使用範囲が外衣(アウター)に広がるにつれて、肌着や靴下のイメージの強い「メリヤス」から だんだん「ニット」と呼ばれるようになりました。

今でも肌着などの生地は メリヤスと呼ぶのが一般的です。(靴下は もう最初からあの形で 編まれます。パンストもそうです。布生地を切って縫い合わせる事は まずありません)

メリヤスは江戸時代から輸入されていて 靴下の意味のポルトガル語「メイアシュ(meias)」や、スペイン語「メジアス(medias)」から 来たと言われています。

漢字で「莫大小」と書きますが、「莫」はなし つもまり伸縮性があって 大小を問わないと言う意味です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

スーパー表示とは (Super’s ウール 毛)


ウール(毛)のスーバー表示とは、ウールの糸のなかの1本1本の繊維の平均太さ(直径でマイクロメーター[μ] 1mmの千分一の単位)で表されます。例えば

平均直径:19.5μ  Super 80’s
から 0.5μ刻みで
平均直径:13.0μ  Super 210’s
と 定められているようです。

(この太さであれば 理論的にこの数字の毛番手の糸が紡績できますよの意味らしいです。ですが Super 210’s の繊維を使っていても210毛番手の太さの糸とは限らないようです(もっと太い場合が多いようです)。詳しくは 次を参照してください。ウールのスーパー表示

ウールの場合、繊維が細くなれば細いほど 手触りが良くなり高級な細い糸を紡績しやすくなります。非常に重要な要素ですで ウールの糸や布生地を評価する場合の 重要な指標として 国際標準が定められました。

Super’s表示が絶対ではなく 「糸番手で生地の評価が決まります」みたいな 記述もありますが、わたしは 糸の太さよりも その中の繊維一本一本の太さの方が 糸の手触りに対する影響は大きいと思います。そうでなければ 業界が国際的な標準を手間とコストをかけて 定める筈がありません。
(確かに 細い糸の値段は、太い糸に比べて高い(重さ当たりの)ですが。でも それは細い糸の方が 太い糸に比べて 同じ重量の糸を紡績するのにコストがかかるからです)

ただ 布生地になった場合は、織り方や糸密度の設定 織った後の後加工(起毛するとか 毛焼き 柔軟加工)なども 加味されて、布生地の総合評価が決まります。ですので Super’s表示の低い糸を使った布生地が Super’s表示の高い布生地よりも 質が良くなる事はありえます。

(ですが、同じ織り方 後加工だったらSuper’s表示の高い糸を使った 布生地の方が質が良い筈です。ただ どのくらいの割合(100%ではないようですので)使っているのかの問題は 残ります。そのSuper’s表示の繊維を使っている割合が低ければ 当然質は下がります)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

超長綿とは(チョウチョウメン)


超長綿とは、綿花の中の繊維の平均の長さが平均35mm以上のものです。綿花は平均長さによって 下記のようにおおよそ分類されます。(カッコ内は平均長さ)

  • 短繊維綿(21mm以下)
  • 中繊維綿(21mmを越え 28mm未満)
  • 長繊維綿(28mm以上)

この長繊維綿の中でも 平均長35mm以上のものは 超長綿と呼ばれて 珍重されてます。カリブ海の西インド諸島で生産される海島綿(Sea-Island cotton)が有名です。他にも エジプトの「ギザ45」やペルーの「ピマ・コットン(pima cotton)」があるそうです。

手触りがいいとか 糸にした時の反射率が高い(シルクのような光沢になります)とか 綿花自体の性質も優れているのですが、綿花繊維の長さが長いと 細くてもある程度の強度の糸が作れます。ですので 薄くて上質の布生地を作ることができます。

(ただ 綿(コットン)生地の場合 お値段と耐久性は比例しない事が多いです。薄くて高級そうな綿生地は 着心地等もとってもいいのですが、摩擦等に弱い場合が多いです。よく着ていると 数年でダメになる事が多いです。洗濯が一番布生地を傷めるのですが、洗わないわけにはいきませんし)

あと 繊維の長さが長いので、糸がしっかり絡まっていて ほどけにくい(布にすると 痩せにくい)、やや毛羽立ちにくい性質が あります。(ただ 綿の繊維自体が それほど強くないので、強く摩擦すると 表面の繊維が切れます)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

キュプラとは(cupra) 銅アンモニア・レーヨン


キュプラとは、綿花のくず(コットン・リンターともリンター・セルロースとも言います)を 銅アンモニア溶液に溶かし、湿式紡糸で繊維にしたレーヨンの一種で、再生繊維です。銅アンモニア・レーヨンとも呼ばれます。

絹のような光沢としなやかさがあり、弾力性に富むので ビスコース・レーヨンよりシワになりにくいです(ポリエステル等よりは シワになりやすいです)。

世界でただ一社生産している 旭化成せんい(株)ベンベルグ(商標)は 裏地のトップ・ブランドで アパレル業界では根強いファンが多いです。

衣料用以外にも ガーゼやフェイス・マスク等の衛生用品をはじめいろいろな分野で 不織布等が使われています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ベンベルグとは(Bemberg)


ベンベルグとは 旭化成せんい(株)キュプラ繊維(銅アンモニア・レーヨン 再生繊維)の商標です。

通常のレーヨン(ビスコース・レーヨン)よりも 弾力性があり シワになりにくいです(レーヨンとの比較で、ポリエステル等よりは シワになりやすい)。

キュプラ繊維は 世界で旭化成せんい(株)しか生産しておらず、裏地のトップ・ブランドと言ってもよく 再生繊維なので 静電気も発生しにくいです。一流デザイナーさんや アパレルのデザイナーさんにも根強いファンが多いです。

衣料用以外にも ガーゼやフェイス・マスク等の衛生用品をはじめいろいろな分野で 不織布等が使われています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

加工糸織物とは(textured cloth カコウシオリモノ)


加工糸織物とは 加工糸(いろいろな意匠糸もその一種)で作られた織物の総称の筈ですが、織物業界では ポリエステル 長繊維仮撚加工糸で作られた織物の事を指します。それ以外のものを 加工糸織物と言う事は ほとんどありません。

糸が嵩高(カサダカ ふくらむ事)になり ポンジーウーリー(加工糸)・ツイルなど 天然繊維の短繊維織物であるコットン(綿)やウール(毛)に 似た外観や手触りになり、汎用性が増し非常に幅広い分野に使われてます。

婦人・紳士服のポリエステル中肉・厚地織物は 複合仮撚糸(2種類以上の性質の違う糸を 仮撚加工する)の新合繊を含め ほとんど加工糸織物と言っても過言ではありません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

エステル縮合とは(ester condensation)


エステル縮合とは、一般的な定義は ちょっとややこしいです。ポリエステル(PET)の場合は、

  • テレフタル酸 COOH-C6H6-COOH (CH6CH6は俗に言う亀の子のベンゼン環です)
  • エチレン・グリコール OH-CH2-CH2-OH (飲むアルコールのエタノール(CH3-CH2-OH)とは ちょっと違うだけですが、エチレン・グリコールは有毒です。車の不凍液等に使われます)

が 重合して、H2O(つまり水)が取れ、
(-COO-C6H6-COO-CH2-CH2-)n
になる反応の事です。水分子がとれて縮んだようになるので 縮合と言います。

(一般的な定義に ご興味のある方は 次を参照してくださいませ。
エステル(ester)は、有機酸または無機酸のオキソ酸と アルコールまたはフェノールの・・・ )

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

 

双糸とは(ソウシ)


双糸とは、2本の糸を撚り合わせた糸で 太さは倍くらいになり、1本の糸(単糸)よりも 太さが均一な糸になります。3本以上 4本とか合わせる場合もあります。
(単糸には太さムラがありますが、2本合わさると 1本よりは打ち消しあって やや均一になります。統計学的に 合わせる本数が多いほど均一になります)

双糸は撚り合わせるので 糸にコシもでます。ですから 表面の平滑な短繊維 織物のシャツ地等には 双糸が使われている事が多いです。

強さも 2本だから2倍のはずなのですが、2.5~3倍になります。糸は一番弱い部分から切れるのですが、その部分がもう片方の糸で補強されるので 2倍以上になるのです。

20番手単糸の双糸は 「20/2」(太さはおおよそ10番手)のように記述される事もあります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリノジックとは(polynosic)


ポリノジックとは、ビスコース・レーヨンの欠点を改善した繊維で、製法を変えて 重合度結晶化度を上げて 緻密な繊維にしたものです。

全体的に均一の分子構造を持っているため、弾性にすぐれ特性を示します。通常のレーヨン(ビスコース・レーヨン)に比べ吸水性が低く、水中膨潤度が小さくなります。ですので 寸法定性(洗濯、着用によって、寸法が伸びたり、縮んだりしない性質)も向上してます。

東洋紡(株)のタフセルとか 富士紡績(株)のジュンロンが 日本で生産されてましたが、現在(2012年)はもう生産していません。

(余談ですが、わたしは随分長い間 ポリノジックとは ポリエステルの一種だと勘違いしてました)

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。