用尺を計算して、布生地を買ってきて いざ作り始めたら、
- デザインを変更したくなった
- (パターンカット等を)失敗してしまった
- 用尺の計算を間違えていた
等 よくあることだと思います。近くのお店で すぐに買いに行けば 同じ布生地なので 問題はありません。
でも かなりたってからだったり、売れ行きのいい布生地で 次のが入荷していたりすると 色が微妙に違う事があります。
これは仕方ない事なのです。ペンキのはげた部分を塗りなおす時に はげた部分だけでなく 全体を塗り直します。目の前で色合わせしても 合わないのに、いくつもの工程を通る染色工程で 毎回寸分たがわず色合わせする事は 非常に困難なのです。
ですので、近くのお店で まだ沢山残っているような場合を除いて パターンの一番長い部分以上(たとえば ワンピースなら 身ごろの一番長い部分) 余分に買われる事をお奨めいたします。
最悪その部分を失敗しても やり直す事ができます。
(染めロットが同じ(その時に 一緒の釜で染めている)なら 同じ色になる筈です。ですが 入荷した時期の異なる糸(ロットの違う)で作った布生地が一緒に入っていると、色が微妙に異なってしまう場合があります。
なので プロの世界では「反内縫製」と言って、一着の洋服や製品は 一反内でパターンカットします。一着に足りなければ もったいないですが、廃棄します。
色に対する人間の目の感覚も 非常に敏感な色の系統があったり、かなり鈍感な系統もあります(淡色系は 一般に少しぐらい違っていても 人間の目はまず感知できません)。敏感な色は 少しでも違うと 人間の目は 見分けてしまいます。
また 染め工程も、通常 薄い色から染めていき、中色 濃色 黒色と だんだん濃い色に順番に染めて行きます。毎回完全に洗っていると 手間がかかりすぎるからです。黒色から淡色に染める場合は 手間をかけて綺麗に洗います。
ですので、微妙な色は 前に何色を染めたかで 影響を受ける場合もあります。
染めるのが難しい生地もあります。弊店のシルデュー・デシンがそうで 毎回染工場さんが目標の色に染めるのに大変苦労されてます。色直しの 色抜きも1~2回程度しかできず(表面の極細の糸が溶けてしまう) 何度も修正ができないのです。
こう言う布生地は 色の許容範囲を不本意ですが 広くします)
この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。