日別アーカイブ: 2012年3月30日

撚糸とは(ネンシ) ボイル撚(ヨリ) クレープ撚(crepe twist) トラム撚(trame twist) 甘撚 中撚 強撚 合撚(ゴウネン)


撚糸とは、糸に撚り(ひねり)をかける事です。撚りをかける事によって、下記のような特長等が出てきます。

  • 強い撚り(強撚 撚回数多い)ですと、ドレープ性落ち感がでます。また シボと呼ばれる 糸の細かい屈曲が発現します。(染加工前では 糸は屈曲してません。染加工後に発現します)
  • 糸が毛羽立ちにくくなります。
  • 中程度の撚り(中撚)ですと、布生地にコシが出ます。
  • 中撚以上で、手触りがドライになります。(ベトつかない乾いた感じです)

中程度のシボが立たない程度の撚回数は ボイル撚り、シボが立つ強い撚回数は クレープ撚りとも言われます。詳しくは次の「中撚、強撚」の項を参照してください。
(「撚り数が1,800~2,400回ではボイル撚り 3,000回前後になるとクレープ撚りという。」
と言う記述も他で見られますが、メータ当たりの撚り回数で 区別するのは おかしいと思われます。撚りの効果で区別すべきだと 思われます)

単純な工程ですが 布生地に対する効果が大きいので、布生地の産地では 撚糸だけを専門にする会社もあります。

同じ撚回数800回/mでも 太い糸では効果高いですし、細い糸では低いです。ですが、75D(デニール)くらいの太さのポリエステル糸では 撚回数によっておおむね下記のように区分されてます。

  • 甘撚(アマヨリ):100~500T/m(TはTurnで 回数のこと)程度。主に製造しやすくするために(毛羽立ちしにくい) かけます。
    糸を小分割できるので 小ロット対応で かける事もあります。(あまり 手触りや外観には 大きな影響はありません)
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  • 中撚(チュウネン):800~1,500T/m程度。ボイル撚りとも言います。主に布生地の手触りをドライにしたり、コシを出すためにかけます。
    目の粗い織物では 織物の目よれ(糸がずれること)を 防ぐためにかける事もあります。シボはほとんど立ちません。
    この撚回数以上では そのままでは巻いてしまって取り扱い困難なために、ヒートセットをして撚り止めをします。
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  • 強撚(キョウネン):2,500~3,000T/m程度。クレープ撚りともいいます。シボを出したり、ドレープ性落ち感を出したりする時にかけます。最もドライな乾燥した手触りになります。
    織物の緯糸に片方の撚方向の糸だけを 入れると、経シワの楊柳になります。

他にも 合撚と言って、2種類以上の糸を合わせるためとか、糸を太くするために 撚り合せたりする場合もあります。トラム撚りは合撚の一種です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。