素材」カテゴリーアーカイブ

生糸とは(キイト ナマイト) 生絹(キギヌ) ローシルクとは(raw silk)


キイトとナマイト 両方読めますが、意味が違います。

生糸(キイト)とは (raw silk)
一般に言う絹糸の事で「かいこ」の繭を70℃ほどのお湯に浸け ほどいて繰り取った糸のことです。絹糸本体のフィブロインを セリシンが覆っています。生絹とかローシルク(raw silk)とも呼ばれます。

生糸のまま織って、通常染め加工前の精練(セイレン 練り)で セリシンを除去して、普通の絹織物になります。セリシンを除去して 初めて硬い生機(キバタ)から、絹鳴りのする柔らかい絹織物になります。生絹織物(キギヌオリモノ)とか後練織物(アトネリオリモノ)と呼ばれます。

目を粗く織って、わざと精練しないで 細かい網の目状に仕上げた 硬いオーガンジーのような織物もあります。また 生糸のまま製品にして、厚みのあるつるつるしない 使えば使うほど柔らかくなる製品もあるようです。
生糸の靴下

(生糸の製品は 混率上はシルク100%ですが、くずなどが混入しており 実成分上はシルク100%では ないようです)

ブータンやネパールでは 宗教上の理由から殺生を避け、「蚕から蛾が出た後の穴の開いた繭」を使うため、長い絹糸が取れず、一本一本が短く、それを縒る(ヨル or撚る)という製作過程となるそうです。
また、短い絹糸をよっているため、糸の太さは太くなったり細くなったりと、ばらつきがあるそうです。
ローシルク

先に糸を精練してから織り上げる先練織物(サキネリオリモノ)と言うのもあります。

生糸(ナマイト)とは
合成繊維長繊維で 撚糸仮撚加工をしてない 紡糸された糸そのままを 表します。合繊タフタなどは 通常生糸(ナマイト)で作られてます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

セリシンとは(sericin) フィブロインとは(fibroin)


絹(シルク)糸は 中心部のフィブロイン(約70~80%)と 外側のにかわ(膠)質のセリシン(約20~30%)から成り立ってます。

表面のセリシンを 溶かすことを精練(練り)といい、これで絹鳴りのする 上品な光沢の絹織物になります。通常の絹織物は ほとんどフィブロインの成分のみで作られてます。精練しないで 作った織物の例に オーガンジー(セリシンは 一部は取れている)があります。

精練工程に携わっていた 作業員の手が綺麗になったことから、セリシンを用いた化粧品も セーレンなどから 販売されるようになりました。

セリシンフィブロインの 物質的な説明の詳細は 下記を参照してください。
セリシンとは?  フィブロインとは

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

精練とは? (セイレン) 練りとは


元々は 絹(シルク)の織物などを お湯で煮て、表面のセリシンを落として 中のフィブロインだけにする工程の事を指してました。「練り」(ネリ)とも言います。
(セリシンを落とすと 絹独特の光沢が出て 絹鳴りと言う絹がこすれ合う音が出るようになります。この周波数は 人間に心地よい刺激を与えるようです)

今では 合成繊維の染め工場で、加工する前に 布生地(染め加工前は生機(キバタ)と言います)から 汚れや前工程で付けられた糊や油剤等の不純物などを除去する工程の事も指します。

(コットン(綿)の場合は 綿の葉カスや植物性夾雑物の除去も含みます。ウール(毛)の場合も夾雑物の除去が必要です)

北陸の一部上場染め加工会社の 「セーレン」や「小松精練」は 精練の字を 会社名にしています。(セーレンは 正確にはセイレンなのでしょうが、会社名はセーレンです)

精練工程にだずさわる人たちの手が とても綺麗だったことから、セリシンが肌に良いことがわかり、今ではセーレンなどが 化粧品として販売しています。

これを 合成繊維のポリエステルに応用したのが、減量加工です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

(布生地の)欠点について


布生地の商品特性として 欠点の問題があります。当然 お客様は無欠点の布生地を求められます。わたしも 消費者の一人ですから そのお気持ちは良くわかります。

2~3mの布生地なら 無欠点で出すことは そんなにむずかしくありません。ですが、10mとか20m以上の布生地を 毎回毎回完全に無欠点で出すことは 不可能なんです。

(弊店お買い上げの布生地で、万が一 どうしても欠点がパターンに入ってしまう場合は 弊生地屋ご相談くださいませ。そのパターン分の布生地を 無料でお送りさせていただきます。
メール: info@kijiya.com  Tel. 0779-66-3765 )

  • 合成繊維長繊維織物は 1反(46~50m程度)の中に7箇所までの欠点は 合格反範囲内と認められてます。(欠点が7箇所まであっても 正規の商品として流通してます。3~4箇所の欠点が10mくらいの中にかたまっている事もあります)
  • 天然繊維(コットンやウール)など他の布生地では もっと検査基準が甘く(合格の欠点の数が多い。欠点が入りやすいためです)なってます。
  • また 薄地合成繊維の長繊維布生地は、欠点の補修がほとんど できません。厚く透けにくい布生地でしたら、汚れ等の欠点は インキングと言って 布生地と同じような色を塗ることによって 目立たなくする事ができます。ですが 厚い生地でもそれくらいしか できないのです。
    (それに比べて コットンやウールなどの布生地は 欠点の修正が比較的やりやすいです)
  • 言い訳に聞こえるかも知れませんが、染め工場でも弊店(生地屋)でも 検査は流し検査と言って 検査台の上である程度のスピードで 布生地を巻き取りながら検査します。微細な欠点(数ミリの大きさ)は 見逃しやすいのです。
  • また 斜めからしか見えないとか 光線の関係で見えるなど、正面からは見えにくい欠点の発見は 極めて困難です。(正面からだけ 検査してますから)
  • 欠点箇所を完全に検査して 悪い部分を全部捨てていたら、大変な資源の浪費になりますし、今の良心的な価格を 維持できなくなります。(10mの御注文で 9mめに欠点があれば、9m全部廃棄しなければ なりません)
  • 無欠点の布生地を求められるのは当然です。ですが 上記のような いろいろな理由がございますので どうかご理解をお願いできませんでしょうか? どこの布生地屋さんで 買われても同じだと思います。
    (弊店では 欠点一箇所につき 0.5m余分につけて 出してます)
  • 洋裁などの本にも 「布生地には欠点があるので 印をつけて そこを避けてパターンカットする」と 書いてあると思います。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

化繊とは? (カセン) 化学繊維とは(カガクセンイ)


この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

再生繊維とは? (サイセイセンイ) 半合成繊維とは(ハンゴウセイセンイ)


  • 再生繊維 半合成繊維も 合成繊維(合繊)も 化繊化学繊維)と、ひとくくりに言われますが、性質は下記のように全然違います。(再生繊維だけを 化繊と呼ぶ場合もあります)
  • 上記再生繊維は コットン(綿)と成分は同じ(セルロース)ですから、コットン同様の取り扱いが必要です。
  • 半合成繊維のうち セルロース系の繊維(アセテート、トリアセテート)は、熱と摩擦に弱いので アイロン時には 必ず当て布をするなどの注意が必要です。また シンナーやアセトン 除光液で溶けます
 再生繊維 半合成繊維 合成繊維
アイロン  低・中温 セルロース系:低温、当て布必須
タンパク質系:中・低温、当て布必須
 低温
水通し  必要 必要  不要
吸水性  あり ややあり  なし
静電気  起きにくい やや起きにくい  起きやすい

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

プラッシュとは? (plush)


経(タテ)パイル織物(経糸がループ状に飛び出している。タオルなどがその例)の一種で、パイル(ループ)をカットして 長い毛羽を表面に出した織物です。

毛羽の長さをいろいろに変え、熱と圧力で 毛羽を寝かせたり 縮れさせたり クセをつけたりして いろいろな動物の毛に似せたもがつくられています。

タオルなどでも 超高級品は、パイルをカット(カット・パイル)して 手触りを良くしたものもあります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

合成繊維は地球(環境)に優しい?


いろいろ 異論もあろうかと思いますが、わたしは

合成繊維(合繊)は地球に優しい」 (ポリエステルとかナイロン、アクリルなど)

と本心から思います。理由としましては、

  1. 最も少ないエネルギー・コストで作れます。
    (綿とかウールとか、1年かけて大変なエネルギーと労力(オーガニック・コットン以外は 農薬や肥料も必要です)をかけて(地球に負荷をかけて) 原料が作られます。そのような耕地があれば、地球人口70億を越えて不足が予想される食料生産に振り向けるべきだと わたしは思います)
  2. 合成繊維の方が一般に 丈夫で 長持ちします。
    (綿100%のズボンは 毎日のようにはいていると 1~2年くらいでダメになります。綿100%のシャツもそうで、袖口や襟が擦り切れてしまいます。ウールなども同様です)
  3. 合成繊維はリサイクル可能です。
    (PETボトルからのリサイクルは既に実用化され、ポリエステルやナイロン繊維からのリサイクルも研究が進んでいます。天然繊維はボロにする以外に使い道がありません)
  4. 厚手のウールの服を沢山着るより、ユニクロ等から発売された薄手で軽量のダウンやヒートテックなどの機能性防寒素材の方が 暖かくて見た目もいいです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シフォンとは? シフォン・ジョーゼットとは? シホン シホン・ジョーゼット


薄くて透ける柔らかい布生地をシフォン(又はシホン)と言います。代表的な素材がシフォン・ジョーゼット(シホン・ジョーゼット)です。透ける薄いジョーゼットを シフォン・ジョーゼットと呼びます。

元々は シルク(絹)で作られたものを言いましたが、現在では化繊(合成繊維再生繊維)で作られたものも 差します。最近はほとんどポリエステル製のものしか見かけなくなりました。

シホンとも言いますが、英語表記が
Chiffon georgette
ですので、「シフォン・ジョーゼット」の方が 発音の原音に近いと思います。

余談ですが、シフォン・ケーキは シフォンのように 柔らかいので シフォン・ケーキと言うように なったらしいです。

下記が生地屋で 扱っている代表的なシフォン・ジョーゼットです。

繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

50Dシフォン・ジョーゼット(147cm巾)

巾の広い75Dシフォン・ジョーゼット

巾の広い75Dシフォン・ジョーゼット

75Dシフォン・ジョーゼット(147cm巾)

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

シャンブレー・シフォンジョーゼット(112cm巾)

色数の多い75Dシフォン・ジョーゼット(112cm巾)

色数の多い75Dシフォン・ジョーゼット(112cm巾)

75Dシフォンジョーゼット(112cm巾)

生地屋お奨めシフォン・ジョーゼットを見る

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

布生地の素材の見分け方


燃やして 匂いで見分けます。混紡(糸の段階で 2種類以上混ぜて 糸にする事)の場合は ちょっと困難ですが(不可能ではありません。最下段 注1)参照)、混織(コンショク)や 素材で色分けされているもの等は ほどいて同一と思われる繊維くずを集めて燃やされれば わかります。

(具体的には マッチやライターの火で あぶって、すぐに消して 匂いをかぎます)

だいたい 次のような感じです。

  1. 綿(コットン)やレーヨン キュプラベンベルグ) アセテート等は、紙が燃えたような匂い。(紙もコットン等も 全部主成分はセルロースです) 短繊維(一本の繊維くずが5cm以下と短い)なら だいたいコットンです。長繊維(糸の端から端まで一本の繊維)なら だいたいレーヨンかキュプラ アセテートです。ただスフのように レーヨンの短繊維で作られた布生地もありますから 一概には決められません。ですが、スフはほとんど売ってないと思います。
  2. 毛(ウール)や絹(シルク)は 髪の毛が燃えたような匂い。どちらも たんぱく質でできています。短繊維なら ウール、長繊維なら シルクです。ですが、非常に稀ですが、絹紡糸と言って 絹のくずで作った紡績糸があります。非常に高価ですので、ほとんど一般には売られてません。
  3. 合成繊維は プラスチックが燃えたような刺激臭がします。主に ポリエステル ナイロン アクリルです。匂いの違いは わずかで、わたしは素材の分かったものを 燃やしてみて、その匂いと比較して決めます。ポリエステルは長繊維 短繊維両方あります。アクリルも両方ありますが、短繊維の生産量は 非常に少ないので、あまり一般には売られてません。ナイロンは長繊維のみです。

あと カシミヤとか アンゴラとか 動物の毛を用いたものもあります。これは 上記の2と同じですが、わたしも 匂いをかいだ事が ないので何とも言えません。

注1)混紡された糸を ほどいて、顕微鏡などで見て 同じ種類と思われる繊維くずを かためて燃やします。その匂いを嗅げば区分できるはずです。最低豆粒くらいの量がないと 匂いがしませんが)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。