布生地の名前」カテゴリーアーカイブ

寒冷紗とは (カンレイシャ Victoria lawn)


寒冷紗とは、コットン(綿)の平織の薄地織物で、濃い糊を付けて 固く仕上げたものです。ビクトリア・ローンも言います。

経・緯(タテ・ヨコ)とも 40番手くらいの綿糸を用いて、ごく粗く織り上げます。60~80番手の糸を用いた上質なものもあり、造花用 人形の衣装 カーテン地などにも使われます。
(亡くなった人の死装束(コットンやレーヨン製だと 燃やしてもほとんど においがしない為)や、音声特性がいいので スピーカーの前に張る布としても 使われたようです)

40番手以下の太いものには、白と黒があり 共に農作物の日よけ 防虫 防暑(日光を遮る)などの目的にも 使われたようです。

近年はコットンだけでなく、レーヨンや ポリエステル ビニロンなどで 作られたものもあるようです。

芯地(薄地用) ふすま張地 蚊帳 等の用途もあるそうです。

元来は で作られていたようです。たぶん 麻で作るより安価にできたので、だんだんと置き換えが進んだのではないでしょうか?

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ピン・ストライプとは(pin stripe) ドッテッド・ストライプ(dotted stripe) ピンポインテッド・ストライプ(pinpointed stripe) ピンヘッド・ストライプ(pinhead stripe)


ピン ストライプとは、濃色地に明るい色のピンの頭のような点を 連続させた縞柄のことです。一般に縞の間隔は狭いです。ピンを沢山刺したようなので ピン ストライプと言われるのだと思います。

ドッテッド・ストライプピンポインテッド・ストライプピンヘッド・ストライプとも言われます。下記写真は shutterstockさんより 拝借しています。

ピン・ストライプ

ピン・ストライプ

ピン・ストライプ生地の写真 (もっと細かい幅の柄もあります)

紳士スーツ用の毛織物生地によく使われています。

プリントで作って 点線ではなく、連続した線になっていても ピン・ストライプと呼ぶ事もあるようです。(本来の意味からは はずれてますが)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

小倉とは(コクラ)


小倉とは、経糸(タテイト)1本に対し、緯糸(ヨコイト)を2~3本引き揃えて 平織または綾織に織った 比較的密な綿織物です。

白 紺 霜降りなどの色があります。袴(ハカマ) 帯 学生服などに使われましたが、現在は少なくなってます。福岡県小倉で生産されたので この名前があります。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

カルゼとは(kersey)


カルゼとは、経糸(タテイト)に霜降りの双糸 または杢糸、緯糸(ヨコイト)には 単糸を使用した綾織物です。

  • 紡毛のカルゼは、経緯(タテヨコ)に紡毛糸を用いて、2/2ので緻密に織り 十分に縮充して、起毛後煎毛(センモウ)します。
    布面は毛羽で隠れていて、光沢があります(下記写真参照)。
    .
  • 綿のカルゼは、経糸に42双糸くらいの杢糸、緯糸に20番手くらいの染糸を使って、2/2のに織った織物です。霜降り効果があります。
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  • 日本では 綿の小倉をカルゼと言う場合もあります。

下記が紡毛カルゼの例です。(写真は「apparel fashion Wiki」から 拝借しています)

紡毛カルゼ(光沢があって 綾目がはっきり見える)

紡毛カルゼ(光沢があって 綾目がはっきり見える)

紡毛カルゼの布生地写真

カルゼの名称は、イギリスのサッフォード州の毛織物産地ガージー(Kersey)に由来すると言われています。

丈夫なので コートやジャケット パンツ スカートなどに使われます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ビエラとは (Viyella)


ビエラとは、本来は綿(コットン)50% 毛(ウール)50%の混紡の糸で 2/2の綾織にして フランネル仕上げ(起毛)した織物の事です。

イギリスのウィリアム・ホリンズ社(Willam Hollins & Co)の商標名でしたが、現在は綿や毛織物の薄手フランネルも ビエラと呼ばれてます(フランネルの中で薄いもの)。

シャツ、パジャマなどに よく使われてます。

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ギャバジンとは(gaberdine) ギャバ


ギャバジンとは、単にギャバとも言い 綿(コットン) 梳毛 麻 ポリエステルなどで 織られた丈夫で緻密な綾織物です。一般に特定の素材(綿とかウールとか)の織物の名前ではなく 織り方(織組織)の名前と言えます。

バーバリーのコート地が有名です。通常経糸の密度が 緯糸の倍くらいあるので(この方が織布の生産性は高い)、綾目(斜文目)が急角度になります。(裏面の方が綾目がはっきり見える場合もあります)

綿ギャバジンは40~60番手双糸使い、毛ギャバジンは48~72番手双糸使いが多いです。毛のギャバジンは厚く本格的な冬物に使用される事が多く、綿やポリエステルのものは 薄手で秋冬のコート地に使われる事が多いです。

ギャバジンの名前の由来は、もともと中世に着られた緩やかなクロークないしガウンを意味し、後に雨用のクロークや、身体を保護するスモックなどを意味するようになった「ギャバジン (gaberdine, gabardine)」という言葉に由来しているそうです。

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バーバリーとは (Burberry)


バーバリーとは、コートで超有名なイギリスのブランド名です。布生地では 綿ギャバジンの一種で 元々はバーバリー・ブランンドのオイル・クロス(透湿防水加工)のコート地につけられた商標でした。ですが、今ではコート地の代名詞にように使われています。

ポリエステル一般をテトロンと呼ぶのと 同じような感じですね)

経・緯に80~100番双糸を使い、密度は経190~200本/吋 緯95~100本/吋にして 2/2の綾(ツイル)に織ります。緻密でかすかな光沢のある手触りの良い織物です。

緻密に織った布生地に 耐久性のある撥水オイルをコーティング(塗布)しているので、ゴアテックスほど高性能ではないですが、透湿防水性能(汗をかいても ムレにくい)があります。それで 第二次世界大戦では 戦場のトレンチ・コート生地(トレンチは塹壕の意味です)として採用されました。

バーバリーの創始者 トーマス・バーバリー氏は、梳毛または綿を 織布工程の前に防水加工を施して緻密に織り上げて 布生地を織ることの特許を取りました。これが コート生地のバーバリーの始まりです。

ゴム引きよりはずっと着心地がよく(透湿性のため 昔はゴアテックスなどはなかった)、1911年に南極点に到達したロアール・アムンセン、南極大陸横断探検隊を率いたアーネスト・シャクルトンをはじめ、極地探検家たちに愛用されたそうです。1924年にエベレスト初登頂を目指したジョージ・マロリーが遭難した際にも、彼はこの布で作られたジャケットを着用していたそうです。

でも アムンセンと同時期に南極点を目指して 遭難したロバート・スコットの防寒服も、バーバリー社が製作したものらしいですが。
(牛革を重ねた形状の防寒服で、汗など体から出る水蒸気を吸い込み それが体温を奪って 保温の役目をあまり果たさなかったらしいです。それに比べて アムンゼンのは伝統的な防寒服であるアザラシの毛皮(耐水性がある)で作られていたらしいです)

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帆布とは(ハンプ canvas) キャンバス セールクロス(sailcloth) ダック(duck)


帆布とは、セールクロス ダック テント・ダック キャンパス ズックとも言い、通常10番手くらいの糸を密に織った非常に丈夫な厚手の平織物です。厚いものを織る時は 10番手くらいの糸を2~8本撚り合わせて使います。

本来は船の帆に使われてました。厚さは1~11号まであり、数字が小さいほど厚いです。10、11号は薄物、6~9号は厚物、2~4号は極厚物と言われるそうです。細い糸を使って 密に織ってあるものほど 高級とされ、防水性に優れてます。

コットン(綿)製が主ですが、麻や合繊製のものもあります。コットンや麻は 水分を含むと膨らむので 防水性が不完全ながら増しました。ゴム引き等の手法がなかった時代は 布生地ではこの程度の防水性しかできませんでした。

用途は 帆 天幕(テンマク) スニーカー カバン 日よけ 建築用シート 洋画布 着物の衿芯や帯芯 相撲の廻し トラックの幌 競馬のゼッケン等など 幅広く使われます。用途によって 防水やゴム引きする事もあります。

ダックの語源は、布を意味するオランダ語の”doek”だそうです。

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ふくれ織とは(フクレオリ) マトラッセ/クロッケ(matelasse/cloque(仏) 紋ピケ 紋ピッケ


ふくれ織とは、マトラッセ(matelasse)、クロッケ(cloque 最後のeには 上に点が付きます) とも言い 二重織の浮いた部分と結節部分で 凹凸の模様を表した織物です。紋ピケ(紋ピッケ)は、ピケの手法で 盛り上がった柄を作ったも織物で ふくれ織に属します。

下記の写真がその例です。
(写真は「京都 着物通販【きものACT】」さんより 転載しています)

ふくれ織の布生地例

ふくれ織の布生地例

ジャガード織機でしか製織できず 非常に珍しい織物で高価です。

マトラッセの語源は「寝床、物を横たえる場所」といった意味のアラビア語(matrah)からきているものと思われます。英語ではマットレス(mattress)に相当します

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袋織とは(フクロオリ)


袋織とは、経緯二重織で 織組織の中に結節点(上下の布生地をつなぐ部分)をもうけないで、両端の耳部分だけ繋がっている布生地です。袋状になっているので この名前があります。(下を縫い合わせれば 本当に袋として使えます)

ほとんど見かけない織物で 私も実物を見たことがありません。

昔のフライシャトル織機では 繋がった部分をもうけなくても良かった(耳部分でつながる)のですが、最近のシャトルレス織機では 別途作る必要があります。

もうすぐ廃業されますが、みやしん(株)さんでは ニューヨークの自由の女神のストールを この袋織の手法で作られたそうです。1.5mくらいの巾の布生地しか織れない織機で、袋織の手法を応用して 数十mの巾の布生地を織られたとか。

(何重にも織って 両端だけカットして 広げて数十mの巾の布生地にしたそうです。
みやしん(株)さんのリンク先は みやしんさんにしてありません。大変残念ですが、近い将来なくなると思いますので)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。