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バイオ加工とは


バイオ加工とは、特殊な酵素を使って微生物に布生地の表面を食べさせる加工です。

セルロース(コットンやレーヨンの主成分)の分解酵素(セルラーゼ酵素)を利用したもので、微生物を含むバイオ溶液につける事によって、布生地を柔らかくしたり 古着感覚を出したりします。

ジーンズなどの洗い加工の一つです。固くて欠点の多い繊維だったテンセル(リヨセル)は この処理等(柔らかくする加工には 他にも「もみ処理」「たたき処理」等があります)によって 柔らかい布生地になりました。シルク(絹)の精練(練り)や ポリエステル減量加工と同じような手法です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

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この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

耳とは(ミミ selvage) 耳組織(ミミソシキ) 地(ジ)


布生地のとは、布生地の両端部の事です。染加工の時についた2列の針穴が空いています。耳の部分だけ違う織組織にしたものを 耳組織と言います。

耳でない洋服等に使用する部分を 「」とも言います。下記が織物の耳の例(写真)です。

サテンクレープの耳(クリックで拡大)

サテンクレープの耳(クリックで拡大)

(余談ですが、耳の近辺の地は 歪が残っているので あまりギリギリまで使わない方が 無難です。また 同様の理由で 端の方は重要な部分に使わない方が良いです。
例:身頃を真ん中 袖を両端 )

織物の耳は 織物の顔とも言われ 重視された時期もあったようですが、基本的に捨てる部分ですので 現在はそれほど重視されません。
(耳の部分だけ別の経糸を使ったり、織組織を別のもの(耳組織)にしたりしました)

ただ、下記のような場合もあります。

  • 一部のブランド生地には 耳の部分にロゴが入っている
  • インドの民族衣装サリーなどは 耳を額のところへ持ってくるなど デザインの重要な一部になっていて重視されます

織布工程や染色工程で 支障の出ないようにするために、

  • 薄地の織物では 耳は地よりも肉厚にする(織っている最中に 耳が緩んで緯(糸)入れ支障が出ないように、また 染加工中にほどけないように等)
    .
  • 昔は全部フライ・シャトル織機で織ったので、耳は締まり気味だったので 緩めの耳組織でした。ですが エアジェット・ルームなどの新しいシャトルレス織機では 耳は緩み気味なので 締まり気味の耳組織にする。

(余談ですが、フライ・シャトルの「シャトル」は アメリカの地球と宇宙を往復する宇宙船「スペース・シャトル」の語源になりました)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シック アンド シン強調加工とは (T&T強調加工 thick and thin)


シック アンド シン強調加工とは(T&T強調加工)、結晶化率の差で作った ポリエスエルフィラメント糸の布生地で、染め時間を通常より短くして カスリのような染ムラを出す加工方法の事です。通常の染時間ですと 染まりにくい結晶化率の高い部分も 同じような色に染まってしまい、カスリのような染ムラは ほとんど見えなくなってしまいます。

(シック アンド シンの糸の詳細は 下記をクリックしてみてください。
シック アンド シンとは  )

下記が シック アンド シン強調加工をした色もある、弊店取り扱いの布生地です。クリックで詳細をご覧になれます。
(シック アンド シン強調加工をしてない色も 沢山あります)

コットンのような手触り T&Tシフォン・ジョーゼット

コットンのような手触り T&Tシフォン・ジョーゼット

T&Tシフォン・ジョーゼット:MS7802

コットンのような手触り T&Tメッシュ

コットンのような手触り T&Tメッシュ

T&Tメッシュ:MS5020

天日干し風 T&Tチンツ・ジョーゼット

天日干し風 T&Tチンツ・ジョーゼット

T&Tチンツ・ジョーゼット:MM1935-2

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

捺染とは(ナッセン ナセン printing) プリント


捺染とは、プリントの事です。一般的な工程(直接捺染法)は 下記のようです。

  • 染料や助剤をのりと練り合わせて 捺染のりを作る
  • それをスクリーンやローラーなどの プリント機械(捺染機)を使い、布生地にプリント(印捺)する
    .
  • 水蒸気で加熱(スチーミング)し 染料をよく布生地に浸染させ定着させる(発色させるとも言う)
  • 洗浄液で洗浄(ソーピング)し 付着染料などを除去
  • 水洗した後 乾燥して巾を整え製品とする

ですが、柄によっていろいろなやり方があります。
(捺染の反対は 浸染で無地染めの事(浸けて染めるので)です)

  • 抜染法(バッセン):その部分だけ染まらないようにのりをつけ 下染めした後、そののりを取り除いて その部分だけプリントする
    (抜染には 白色抜染着色抜染がある。
    下染めは、濃色は通常の染め(浸染)、薄い色はパディングと言って 染料を塗布して浸染させ定着させます。パディングの方がコストが安い)
    .
  • 防染法(ボウセン):色が着かないように のりや蝋などを付けて 全体を染める(その部分だけ白く残る)

水玉(プリント業界では定番なので「無地」と言われるそうです)やストライプなど 単純な柄は、高速生産が可能でコストの安いローラー捺染をします。複雑な柄は スクリーン捺染(スクリーン印刷とほぼ同様の方法)をします。

スクリーン捺染は 機械でやる場合と手で操作する場合(手捺染 ハンド・プリント)があります。大量にやる場合は機械でやりますが、少量の場合は手捺染でやります。
(少量の場合は 手捺染の方がコスト安くなります)

(多くのプリント工場は112cm巾の機械しか持っていない所が多く 140cm巾以上の広巾(W巾)をプリントできる工場は少ないです。

柄がずれないように 布生地はプリント台に貼り付けます。この時に プリント下(P下 何もついていない)でなく、オフ(Off 染色してなく帯電防止剤付き)を使うと プリント台に張り付きにくいので トラブルの原因になります)
.

最近は セーレン(株)のビスコテックスに代表される プリンターのインクジェット方式を応用したプリントも沢山やられるようになって来ています。従来の捺染に比べての利点は、

  • 数多くの色(ビスコテックスは1677万色)の配色が可能(従来は10色程度 色数が多いほど型が必要で、コスト・アップになる)
  • ビルの壁面につるすような巨大な柄も可能
    .
  • 1mや着分(2~5m程度)の生産も可能(ただし1m当たりのコストは非常に高くなります)
  • 微細な模様も出せる

反面 欠点としては、

  • 深い色が出ない
  • 大量に発注しても 一枚当たりの印刷時間は長いために コストが下がらない

プリントの柄は 意匠権がついている事が多く、あのブランドのプリントが カッコ良かったからと 勝手に真似をして生産できません。また 既存の洋服の柄を持ってこられても 同様のプリント柄の布生地が 売られている事はまずありません。(完全受注生産)

(生地屋さんで売られているプリント生地は 水玉や花柄などの差しさわりのない柄ばかりです。キティちゃんなどのキャラクラー柄も 通常は売られてません)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

枡見本とは(マスミホン)


枡見本とは、先染め織物やプリント布生地において 配色を変えた見本布生地の事です。通常 量産する前に 枡見本を作製して、発注者に了解をもらって本生産に入ります。数種から数十種類の配色見本を作ります。

先染め織物では、経方向(タテホウコウ)と 緯方向(ヨコホウコウ)に 数配色ずつの色の組み合わせを取ります。出来上がった織物は、枡状に配色見本ができるので この名前があります。

プリント布生地の場合は、1つの柄で 配色をいろいろ変えた見本を作ります。手捺染(テナッセン テナセン、ハンド・プリントの事)の場合は やはり枡状に配色見本ができます。
(ローラー捺染の場合は ストライプ状になります)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

パーマネント・プレス加工(permanent press) 耐久加工(durable press) パーマネント・プリーツ


パーマネント・プレス加工とは、コットン(綿)  レーヨンなどの布生地に 樹脂加工(樹脂をつける)をして 高温で処理し、半永久的なプレスを施した加工方法です。略してPP加工とも言います。

(樹脂は熱可塑性(熱をかけると 柔らかくなる)のものを用います。元々 ポリエステルナイロンなどの合成繊維は、熱可塑性なので 樹脂加工しなくても パーマネント・プレス加工は可能です。

キュプラレーヨンなどの 再生繊維は 熱可塑性でなないので、パーマネント・プレス加工をするためには コットンなどと同様に 樹脂加工が必要です)

この加工をすると、下記のような特徴が現れます。

  1. 洗濯後 ノーアイロンで着れます。
  2. プリーツのひだが消えにくい。(パーマネント・プリーツ
  3. 型崩れしにくく シワができにくい。

樹脂をつけるために どうしても元々も風合いは多少損なわれます。アメリカでは DP加工(durable press  耐久加工)と言われています。

生地の分子同士を 架橋反応でつなぐ、形態安定加工とは 違います。

(余談ですが、熱可塑性の反対は 熱硬化性と言います。熱をかけると固くなり、フェノール樹脂エポキシ樹脂等がそうです。炭素繊維やガラス繊維などで作られた 繊維強化プラスチック(FRP  Fiber Reinforced Plastics)は 熱硬化性樹脂が用いられてます。
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最近では 量産性を考慮して(射出成型等が可能になる) 熱可塑性樹脂を用いたカーボン・ファイバー強化プラスチック(CFRP  Carbon Fiber Reinforced Plastics)の量産化試験も始まっているようです。
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現在 一般にカーボン素材と言うと 熱硬化性樹脂を用いたものがほとんどです)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。大変申しわけございませんが、弊店では パーマネント・プレス加工は やっておりません。

ヤング率とは(Youngs modulus) 弾性率(ダンセイリツ)


ヤング率とは、初期引っ張り抵抗度です。最初引っ張る力に比例して伸び、力を緩めると 元の長さにバネのように戻ります(弾性変形 ダンセイヘンケイ)。ですが ある力の限界を超えると もう元の長さには 戻りません(塑性変形 ソセイヘンケイ)。この限界まで伸ばした時(弾性変形内)の抵抗率(「力/伸び」の比)を ヤング率とか弾性率見かけヤング率などと言います。

大きいほど 堅いコシのある繊維と言う事になり、この値の大きいコットン(綿)や ポリエステルはコシや張りのある布生地になりますが、引裂き強度は弱くなります(もろい)。この値の低いナイロンなどは コシのないダラリとした感じになりますが、引裂き強度は増します。

(ナイロンがパラシュートに使われたり、アラミド繊維(ケブラー等)登場前の防弾チョッキ(バリスティック・ナイロン)などに使われたのは、強度もさることながら その強い引裂き強度の為です。強度的には ポリエステルの方が強いです)

ナイロンは結晶化度が ポリエステルに比べて低いので 低ヤング率となります。「ヤング」と言う名称は トマス・ヤング(Thomas Young)に由来します。

皆さんには あまり馴染みはないかも知れませんが、大変重要な物性値の1つで 繊維の物性表には必ず載っています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

反内縫製とは(タンナイホウセイ)


反内縫製とは、一反内で一個の製品(洋服)を作る事を言います。通常は反内縫製を厳密に守ります。

染ロットごとに 微妙に色が違ってしまう(注1)事があります。また 同一染ロット内でも、中の数反の色が微妙に違う事がありえます。(生機(きばた)の生産時期が 大きく離れてたり、原料の糸のロットが違っていたり等)

(注1:例えば グレー色なら同じグレーなんですが、微妙に赤っぽかったり 青っぽかったり)

色が微妙に違う為の欠点(例:身頃と袖色が微妙に違う等)を避けるために、一反内で一個の製品を作ります(反内縫製)。例えば用尺(ヨウジャク)3mのドレスを作るとして 一反46mなら
46/3=15.333・・・

なので 15着のドレスを作り、残った1mは もったいないですが、使わないのです。
(欠点等で そこを避けて裁断した場合は 話しが違ってきますが。通常は欠点等のロス率も見込んで用尺を決めます。布生地は無欠点ではありませんので)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

中希とは(チュウキ listing)


中希とは、一反の布生地(無地染め)の中で 色が微妙に違う事を言います。多くの場合 両耳端と中央部分の色が違います。非常に稀にですが、一反の巻き始めと巻き終わりで 中希になる場合もあります。

主に染色工程の原因が多いですが、稀に生機が原因(一反の製織中に緯糸の製造ロットが変わった等。製造ロットが違うと染まり具合も違う時があります)の場合もあります。

(通常は 一反の布生地の中では、色が微妙にでも 違う事はない筈です。それで反内縫製と言って 一反内で一個の製品(洋服)を作ります)

中希(チュウキ)が発生していると、例えば見ごろと 袖の色が微妙に違う(縫い合わせた縫い目に顕著に現れる)と 言う欠点が発生します。

(余談ですが、染ロットが異なる布生地間で 厳密に同じ色になる事は 稀ですので、ご注意くださいませ。詳しくは 下記を参照してくださいませ。(淡色や黒等は 違っていても目立ちにくいです)
後から会に行った布生地の色が微妙に違う! )

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。