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ケミカルウォッシュとは(chemical wash)


ケミカルウォッシュとは、ジーンズを人工的に中古風に加工する方法の一つで、塩素系の漂白剤を混ぜた洗剤で ムラになるように脱色する加工の事です。化学的にするので ケミカルと言います。

ストーン・ウォッシュの方法を併用して、ゴムボールや軽石などを一緒に入れると こすれて使い込んだような自然な感じに脱色できます。
(まだら模様になります。私も大昔 ジーンズを塩素系の漂白剤で 脱色しましたが、ただ洗濯機で回すだけでは 使い込んだ感じには脱色できませんでした)

1986年にイタリアのライフル社が世に送り出した、一世を風靡した加工方法です。2011年初め頃より人気再燃しているようです。

ただ 塩素系の漂白剤と 軽石等を使った加工は 布生地自体を傷めます。
(私は 個人的には好きになれません。ストーン・ウォッシュの項でも書きましたが、製品の寿命を縮める上に 有害な薬品を使ったりで環境負荷が高いです。塩素系の漂白剤は 布生地を傷めますので あまり頻繁に使わない方がいいです。

私の母がそうで、綺麗になったように見える(リンク先の最後を参照)ので 頻繁に使い、よく下着や服が破れました(笑)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ストーンウォッシュとは(stone wash)


ストーンウォッシュとは、人工的に中古風に加工する方法の一つで、軽石 人工研磨石 セラミック等を入れて洗う加工方法です。ジーンズが有名ですが、ジャンパー 皮製品等にも使われます。

ジーンズでは、柔らかくなり とてもはき易くなります。また「アタリ」(擦りきれ)もできて ジーンズ特有の顔(表情)が出てきます。

元々は 河原の石を使っていたようですが その後人工研磨石が使われ(ストーン・ウォッシュの名前が定着)、軽くて機械に負荷の少ない軽石が使われるようになりました。今では セラミックやゴムボール(バイオ・ウォッシュに使用)も 使われるようになってます。

軽石には 大 中 小と大きさがあり、人工研磨石には 三角形 四角形 星型 球形などの形があります。使っていく内に だんだん小さくなるので、一定時間稼動させると ふるいにかけて 小さくなったものは除いて 新しい石を補給するそうです。

新しい石には 尖った部分もあるので、一度空回しして 丸みをつけるそうです。

ですが、下記のような いろいろな問題もあります。

  • ポケット等の砂(石の屑)を 取り除いてやらなければならない。(たぶん 人手でポケット布を裏返して 出しているのだと思います)
  • 大量に発生する砂をどう処理するのか(ケミカル・ウォッシュの場合は 次亜塩素酸ソーダ等の薬品が入っているので よりやっかい)。
  • 頑丈な洗濯機(ワッシャー)が必要で 機械の傷み方も速い。
  • 同じ機械で 製品染めなどをすると、砂の残りや機械の中の傷で その製品に擦り切れやアタリが発生する。

(余談ですが、私個人的には 古着加工は好きではありません。確かにカッコいいかも知れませんが、製品の寿命を確実に縮めます。有害な薬品を使ったり、機械の損耗を速めたりと環境にも優しくありません)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

バイオ加工とは


バイオ加工とは、特殊な酵素を使って微生物に布生地の表面を食べさせる加工です。

セルロース(コットンやレーヨンの主成分)の分解酵素(セルラーゼ酵素)を利用したもので、微生物を含むバイオ溶液につける事によって、布生地を柔らかくしたり 古着感覚を出したりします。

ジーンズなどの洗い加工の一つです。固くて欠点の多い繊維だったテンセル(リヨセル)は この処理等(柔らかくする加工には 他にも「もみ処理」「たたき処理」等があります)によって 柔らかい布生地になりました。シルク(絹)の精練(練り)や ポリエステル減量加工と同じような手法です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

スエードクロスとは(suede cloth)


スエードクロスとは、スエードに似せた人工スエードの事です。繊維素材はほとんどポリエステルで、超極細(糸の中の1本のフィラメントの太さが0.5デニール以下程度)のフィラメントを使います。

スエードとは(suede)、カーフ(子牛の皮) キッド(仔山羊) ピッグスキン(豚皮)などの小動物が主体で、皮の表面をサンドペーパー等でけずり、ビロードのような感触に仕上げたものです。非常に細かい仕上げのものはシルキーと言われています)

基布は不織布 織物 ニットがあり、これにウレタン系樹脂を含浸させて 起毛した物が多いです。

本物の皮のスエードに比べて 手触り等はやや違いますが、軽くて発色性も良く 取り扱いが簡単なので、コート ジャケットなどに使われます。均質なので 自動車のシートや 家具などにも広く使われています。熱に弱いのが最大の弱点です。(たばこの火の粉等で 簡単に穴が開いてしまいます)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

起毛とは(キモウ raising)


起毛とは、布生地の表面をひっかいて 毛羽(ケバ)を出す加工です。これにより 布生地の表面を毛羽が覆い 手触りが柔らかくなり、独特の外観、厚みが出て温かみのあるものになります。糸や布の織組織を隠したり、柄物の輪郭をぼかす効果をねらう場合もあります。

通常は片面だけの起毛ですが、より保温効果等を出すために 両面起毛する場合もあります。また布生地を柔らかくする目的で あえて裏側を起毛する場合があります。(起毛により 布生地が揉まれるのと、織組織が多少でも崩され 若干でも薄くなる事が 影響するのでしょうか?)

 フランネルネルスエードクロス(人工皮革)が 代表的な起毛製品です。起毛の後に、ブラッシング(brushing)で毛羽の方向を揃えたり、シャリング(shearing  煎毛)により 毛羽の長さを揃える事もあります。

起毛には 湿式と乾式があり、湿式の方が起毛効果が高いです。合繊や綿(コットン)等の起毛には 針金(シンプ)を植えつけた針布を使い、上質の毛織物には 薊(アザミ)の実を使います。

(たぶん 薊の実を使った方が、細かい上品な毛羽になるのだと思います。ですが、薊の実の耐久性が 針布より低いので、生地値の安いものには 使いにくいのでしょう)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

フランネルとは(flannel) フラノ


フランネルとは、フラノとも呼ばれ 経糸(タテイト)・緯糸(ヨコイト)とも 紡毛(ボウモウ)糸を使い、平織または綾織縮充(シュクジュウ)を施して 毛羽を押さえた、軽くて柔らかい紡毛織物です。

梳毛(ソモウ)で織ったものもあり、梳毛フランネルと呼ばれます。綿織物の場合は コットン・フランネル又は綿ネルと言います(片面か両面を起毛しています)。詳しくは下記をクリックで。
ネルとは

現在では ウール(毛)からだけでなく、ウールと綿 ウールと合成繊維などから 作られる事もあるそうです。

フランネルと言う名称は、イギリスのウェールズ地方の言葉で “gwlanen” (ウールのような)からきたと言われています。

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ネルとは(cotton flannel) コットン・フランネル 綿ネル


ネルとは、綿フランネル(コットン・フランネル 綿ネルとも呼ばれます)の略称です。甘撚の緯糸を打ち込んで平織、2/1綾織、2/2綾織の綿織物を起毛した布生地です。起毛してあるので 肌触りが柔らかくて暖かく、バジャマ ベビー衣料 シャツなどに使われます。

片面だけを起毛したもの(片面ネル)、両面を起毛したもの(両面ネル)の2種類があります。起毛は、晒し(サラシ P下にする事) 無地染め 捺染した後で 行います。

(綿で フランネルに似せて作った織物です。似せる為に起毛しています。ウールのフランネルは起毛しません)

“cotton frannel” と書かれた用語解説も多いのですが、フランネルが “flannel” のスペリングでもあり 英和辞典に “frannel” と言う単語は ないので( “flannel” はあります)、間違いだと思います)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

撥水加工とは(ハッスイカコウ)


撥水加工とは、織物にシリコン、フッソ素系撥水剤、蝋質(ロウシツ)、アルミナ石鹸、ピリジニウム塩、セラチンなどの樹脂を付着させて、半永久的な防水性を与えようとする加工方法の事です。水を防ぎながら 織物自体の通気性はほとんど損ないません(通気性防水加工)。
(最近は シリコンやフッソ素系撥水剤を使う事が多いようです)

撥水加工をすると 水をはじくようになり、泥水等の水系の汚れも防ぎます。衣類などは 市販の撥水スプレーよりも、クリーニング店(技術の差が大きいとの記述を見かけますが)などで きちんと撥水加工してもらった方が、当然効果も高いですし 長持ちします。

生地屋では 撥水加工は承っておりません。
(余談ですが、撥水加工をすると 摩擦染色堅牢度は向上します)

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

透湿防水とは(防水透湿) 防水吸汗(吸汗防水)


透湿防水とは、水は防ぐが汗などの湿気は通す性質の事です。登山などでは 雨や雪で体が濡れると 体温を奪われ危険です。一方 湿気が抜けていかないと 汗をかいて同様に危険です。それを緩和する目的で開発されました。

(土砂降りの雨では 布生地表面に水の幕ができて 透湿性能が大きく低下したり(縫い目から水が浸透する場合もあります)、激しい運動をすると 透湿速度が間に合わずに汗をかいたりします)

布生地の 防水透湿防水吸汗吸汗防水も 全て同じような意味です。

ゴアテックスが有名で、水滴が水蒸気(水分子)よりも 大きいことを利用します。水滴よりも小さく 水分子よりも大きな微細な穴を多数あけて、さらに撥水加工をほどこして 水滴を通りにくくしてます。

ただ 表面が汚れてたり洗濯を繰り返したりして 撥水性が落ちると、水の膜になり 透湿性が大きく低下します。また 中にコットン(綿)の下着を着ていて ベトベトに濡れると、やはり同じように水の膜ができて 性能が大きく低下します。

ですので
・なるべく汚れないようにして 撥水性能低下したら洗濯しましょう。洗濯を繰り返して 撥水性が落ちてきたら、撥水加工などを依頼して 撥水性を回復させましょう。
・下着は コットン100%ではなく 吸湿速乾性のものを 着ましょう。(コットン100%のものは 吸湿速乾と表示してあっても 性能の低いものが多いそうです)

生地屋では 透湿防水素材の取り扱いは 大変申しわけございませんが、ありません。

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

チンツ加工とは(chintz finish)


チンツ加工とは、布生地に光沢を出す加工の事です。ポリエステルナイロンでは 高熱をかけたローラーの間を通して(この機械をカレンダーと言います)、熱と圧力で布生地をつぶし光沢を出します。

透湿防水生地で 放水性能を上げるために 布生地の目を詰まらせる為や、中に羽毛の入ったダウン・ジャケット等で 中から羽毛が出てこないように ダウンプルーフ加工をする時などにも 用いられます。(光沢を出すと言う目的からは 少しはずれているかも知れませんが)

コットン(綿)やウール(毛)などでは、糊付けや蝋びき後(耐久性を上げるために さらに樹脂加工する場合もあります)、上記のカレンダーで つぶして強い光沢を出します。

チンツとは 元々コットン(綿)や人絹などの平織物に更紗(サラサ)模様をプリント(捺染)した光沢のある織物の事です。これらの織物のような光沢を出す後加工方法の事を 総称して言うようになりました。

下記の布生地はポリエステル100%ですが、カレンダーでチンツ加工された織物の例です。

T&Tチンツ・ジョーゼット:MM1935-2

T&Tチンツ・ジョーゼット:MM1935-2

T&Tチンツ・ジョーゼット:MM1935-2

この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。