布生地の耳とは、布生地の両端部の事です。染加工の時についた2列の針穴が空いています。耳の部分だけ違う織組織にしたものを 耳組織と言います。
耳でない洋服等に使用する部分を 「地」とも言います。下記が織物の耳の例(写真)です。
(余談ですが、耳の近辺の地は 歪が残っているので あまりギリギリまで使わない方が 無難です。また 同様の理由で 端の方は重要な部分に使わない方が良いです。
例:身頃を真ん中 袖を両端 )
織物の耳は 織物の顔とも言われ 重視された時期もあったようですが、基本的に捨てる部分ですので 現在はそれほど重視されません。
(耳の部分だけ別の経糸を使ったり、織組織を別のもの(耳組織)にしたりしました)
ただ、下記のような場合もあります。
- 一部のブランド生地には 耳の部分にロゴが入っている
- インドの民族衣装サリーなどは 耳を額のところへ持ってくるなど デザインの重要な一部になっていて重視されます
織布工程や染色工程で 支障の出ないようにするために、
- 薄地の織物では 耳は地よりも肉厚にする(織っている最中に 耳が緩んで緯(糸)入れ支障が出ないように、また 染加工中にほどけないように等)
. - 昔は全部フライ・シャトル織機で織ったので、耳は締まり気味だったので 緩めの耳組織でした。ですが エアジェット・ルームなどの新しいシャトルレス織機では 耳は緩み気味なので 締まり気味の耳組織にする。
(余談ですが、フライ・シャトルの「シャトル」は アメリカの地球と宇宙を往復する宇宙船「スペース・シャトル」の語源になりました)
この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。