起毛とは、布生地の表面をひっかいて 毛羽(ケバ)を出す加工です。これにより 布生地の表面を毛羽が覆い 手触りが柔らかくなり、独特の外観、厚みが出て温かみのあるものになります。糸や布の織組織を隠したり、柄物の輪郭をぼかす効果をねらう場合もあります。
通常は片面だけの起毛ですが、より保温効果等を出すために 両面起毛する場合もあります。また布生地を柔らかくする目的で あえて裏側を起毛する場合があります。(起毛により 布生地が揉まれるのと、織組織が多少でも崩され 若干でも薄くなる事が 影響するのでしょうか?)
フランネルやネル、スエードクロス(人工皮革)が 代表的な起毛製品です。起毛の後に、ブラッシング(brushing)で毛羽の方向を揃えたり、シャリング(shearing 煎毛)により 毛羽の長さを揃える事もあります。
起毛には 湿式と乾式があり、湿式の方が起毛効果が高いです。合繊や綿(コットン)等の起毛には 針金(シンプ)を植えつけた針布を使い、上質の毛織物には 薊(アザミ)の実を使います。
(たぶん 薊の実を使った方が、細かい上品な毛羽になるのだと思います。ですが、薊の実の耐久性が 針布より低いので、生地値の安いものには 使いにくいのでしょう)
この記事は 生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。