素材」カテゴリーアーカイブ

ピリングとは (pilling)


ピリングとは 毛玉や糸の飛び出しの事です。合成繊維やニットはなりやすいです。天然繊維もなりますが、強度が弱いので 擦り切れて落ち易いので あまり目立ちません。

ピリングは 引きちぎるより、はさみや市販の毛玉取り機でカットされた方がいいです。この時に くれぐれも布生地を切らないように注意してくださいませ。わたしは これで洋服や靴下等を何着か穴をあけてしまいました。また やりすぎると布生地の膨らみ感が減ってしまいます。

余談ですが、ピルは”pill”と書いて 動詞の意味に「毛玉にする」と言う意味があります。また 避妊薬のピルも同じスペルで 名詞は「丸薬、カプセル」や「経口避妊薬」の意味が、動詞では「・・・に丸薬を飲ませる、・・・を丸薬にする」と 言う意味があります。

参考:抗ピル加工

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

抗ピル加工 抗ピリング加工


抗ピル加工ピリング加工)とは、合成繊維等に発生し易い毛玉のような 糸が飛び出したもの(ピリングと言います)を 発生しにくくする加工です。

ピリングは 繊維の強度が強いのと繊維同士が滑り易いと 起こり易いです。ですので、

  • 薬品で処理をして 繊維の強度を落とす。(衣服等に要求される 引裂き強度はクリアする程度にです)
  • アクリル酸エステル系の薬品を付けて 繊維同士の摩擦係数を上げる

などの 加工方法が取られます。織物よりは ニット(編物)の方がなりやすいです。

ウール(毛)100%のセーターなどは 繊維の強度が弱いために ピリングや毛玉は発生しにくいですが、アクリル等の合成繊維等が混じったものは ピリングや毛玉が発生し易いです。市販の毛玉取り機等で綺麗にする事ができます。引きちぎったりするよりは 毛玉取り機やはさみ等でカットする方がいいと思います。

(この時 くれぐれも布生地を切らないように。わたしは 何度か切ってしまって 洋服や靴下等をダメにしてます(涙)。また やりすぎると布生地の膨らみ感が減ってしまいます)

余談ですが ウール100%のものは 非常に虫に食われ易いです(上等ないいものほど 美味しいのか食われますね)が、混ざっていると食われにくいです。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

二重織とは 2重織 (ニジュウオリ)


二重織2重織)とは 織物の織組織で、織組織が二重になっているものです。これによって 例えば 2種類の糸を裏と表どちらかに 沢山出すことが可能になったり、肉厚の布生地を作れたりします。

  1. 経二重織(経糸が二重になってます)
  2. 緯二重織(緯糸が二重になってます)
  3. 経緯二重織(経糸と緯糸が両方二重になってます。断面を横から見ると 2枚の布生地に見えます。上と下をつなぐ結節点で 数ミリ間隔でつながっています。結節点の数が多いと 固く締まった織物に、少ないと柔らかい膨らみのある織物になる傾向です)

大きく分けると 上記の3種類があります。1.が一番生産性が高く、3.が織組織的に一番肉厚の織物を作ることが可能です。下記が経緯二重織織物の例です。

二重織ジョーゼット(中肉)

中肉二重織ジョーゼット

中肉二重織ジョーゼット

遮光カーテンは 二重織の代表的な例で、表裏サテン織組織で 中に原着の黒い糸(糸の段階で黒く染められている)が 入っています。ですので 光を遮る性能が高いのです。

余談ですが、アメリカの防弾チョッキは 8重織になっているそうです。ナイロンからもっと強度の強いケブラー(わたしの卒論はケブラーでした)と言うアラミド繊維になり ボディガードなどで死亡する人が減ったそうです。(防弾チョッキでも 至近距離から撃たれたりすると 貫通するそうです。日本にいて良かったですね!)

この記事は 布生地生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリ塩化ビニル繊維 ポリ塩化ビニール繊維 テビロン


ポリ塩化ビニル繊維とは ポリ塩化ビニール繊維とも言われ、塩ビと呼ばれる樹脂を紡糸して 糸にしたものです。日本ではテイジン(株)からテビロンと言う商標で販売されてます。次のような利点と欠点があります。

<利点>

  • マイナスの静電気を帯電する性質があり、リュウマチなどに良いと言われています。
  • 丈夫で耐薬品性が優れてます(ですが、シンナーやネイルの除光液で溶けます)。
  • 自己消火を持つ繊維です(燃焼により溶融せず炭化するので 火傷などの二次障害が起こりにくい)。

<欠点>

  • 耐熱性がなく 60℃で収縮してしまいます。ですので アイロンがけは基本的に不可です。(どうしても必要な場合は 低温で当て布をしてください。乾燥機等の使用も不可です。耐熱性を100℃まで高めた テビロンⅢと言うのが あるらしいのですが、検索してもでてきませんでした)
  • 水分はほとんど吸いません。
  • ドライクリーニングにより 繊維中の可塑剤が流失するので、ドライクリーニングは不可です。
    (今ではほとんど見かけなくなりましたが、ポリ塩化ビニルを用いた合皮素材も 可塑剤が流失して硬くなるので 同様にドライクリーニング不可です)
  • 塩素系漂白剤の使用も不可です。
  • 綺麗な色に染まりにくい。

上記のような利点と欠点を持つために、一般衣料用としてはあまり使用されず 健康下着などに使われているようです。

ちなみに 同じ樹脂を使用した塩ビは 水道管などに広く使用されてます。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

バーズアイ (bird’s eys) 鳥目織(トリメオリ)


バーズアイとは 鳥目織とも言われ、下記写真のように 小さな鳥の目のような柄の事です。

本来は 白目の中に瞳にあたる黒い点があるものを指しますが、下記のようになくても バーズアイと言われる事が多いです。婦人服ではあまり用いられず 紳士服等でよく使われます。

バーズアイ(鳥目織)

バーズアイ(鳥目織)

(写真は オーダースーツコンシェルジュ 松はじめさんの サイトより写真のごく一部を拝借してます)

先染めの二重織で 織柄で作る事が多いです。(二重織でなくても作成可能ですが、主用途が紳士のスーツ等なので 生地厚が必要な為と思われます)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ドビー (dobby) ドビー素材 ドビー織 ドビー柄


ドビー素材とは ドビー織(柄)とも言われ、経糸(タテイト)を1回おきに交互に 上げ下げしないで織る織組織の布生地の事です。代表的な織組織に サテンツイル 梨地等があります。

(梨地を平織と 勘違いされてる問屋や小売店さんの方も いらっしゃいますが、平織で梨地は作れません。またドビーを織る機械(織機)で 平織は可能ですが、平織用の機械でドビー織はできません)

数ミリ程度の小さな柄とか 同じパターンの繰り返し(織柄で作る ストライプとかチェック)なら 可能ですが、大きな柄はできません。ネクタイやブランド・ロゴに使われるような大きな柄は ジャガードで作ります。

昼夜サテンやサテン・ストライプ・ジョーゼット(サテンとジョーゼット部分が 経ストライプになっている)などは ドビー柄の特徴的な布生地です。

(経糸を吊り下げる枠(ソーコーと言います)を ワイヤーで吊り下げている通常のドビー織機と、カムで枠を上げ下げするカム・ドビー織機と 呼ばれる2種類があります。
カム・ドビー機は高速で動かす事ができて 生産性は高いですが、柄や経糸本数の制限があります)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

減量加工 (ゲンリョウカコウ) アルカリ減量加工


減量加工とは、合成繊維ポリエステルを、強いアルカリ液(苛性ソーダ等)で 繊維の表面を溶かして 風合い(手触り)を柔らかくする加工方法です。

絹織物で 表面のセリシンを溶かして フィブロインを残す加工を、精錬(練り)と言いますが それをポリエステルに応用した加工方法です。

この加工方法により ポリエステル織物の用途が大きく拡がり、強い撚り(ひねり)をかけた強撚糸織物の風合いが 非常に良くなりました。
(この加工方法が拡がる前は、硬いポリエステルの強撚糸を 柔らかいレーヨンなどと2本交互とかに配列して 手触りを柔らかくすると言う 苦肉の策もとられたと聞いたことがあります)

蛍光白 (ケイコウシロ) 白色の種類 生成り (キナリ)


通常 白色には3種類くらいあります。

  1. 蛍光白(ケイコウシロ)
  2. 通常の意味の白 自然白(オフ白)
  3. 生成り(キナリ アイボリー色 象牙色)

蛍光白は 男性のワイシャツの白のように、少し青みがかった 太陽光の下ではちょっと目に痛いくらいの白です。スノーホワイト(snow white)とか言われます。人工的な感じの白です。
蛍光剤が入ってますが、通常光を当てた後 暗いところに持っていっても 光るくらいの強い蛍光剤は入ってません。

(昔の洗剤には 白さを際立たせるために 青い染料が少し入ってました。今は 人工的な白さは嫌われるのか 入っていないようです)

通常の意味の白は 普通自然界で見られるような白色で、蛍光剤の入ってない白色の紙は この色です。(白い紙には 多くの場合多少の蛍光剤入ってます) 合成繊維キュプラなどの再生繊維 アセテートなどの半合成繊維の染めてない布生地(オフ off オフ白)は この色になります。(糸本来の色で ほとんど通常の白色です)

生成りは天然繊維などに使われる色名で 糸の色そのままです。コットン(綿)やウール(毛)では 黄色っぽい白色になります。合成繊維や半合成繊維では 染めているのでアイボリー(象牙)色と 書かれている事も多いですが、「生成り」と表示されている場合もあります。

(ですので 合成繊維や半合成繊維で「生成り」と 書かれている場合や、天然繊維で「オフ白」と書かれている場合は 染料がついています)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

オフ (off) P下 (ピーシタ) プリントシタ


オフは ボイルド・オフ(boiled off 煮立てて仕上げしたもの)の略で、通常の染品と同じ加工をして 染加工だけしてません。布生地の色は 糸の色になります。
(天然繊維では 黄色っぽいですが、合成繊維キュプラなどの再生繊維 アセテートなどの半合成繊維では ほとんど白色です)

似たような布生地にP下があり、プリント下の事で プリントする前の白生地を指します。両者は下記だけが違います。
オフ:帯電防止用などの樹脂がついてます
P下:何もついてません

通常 P下はプリントするのに使われたり、P下から無地染めしたりします。

P下は プリント柄がずれないように プリント台に固定する必要があります。ですので 樹脂などがついていると、うまくくっつかないので 作業に支障がでます。

逆に縫製等するときは、帯電防止剤がついてないと 静電気が発生して作業に支障がでます(まとわりついたり、埃などが吸着したり等。通常売ってませんが、縫製される方はP下を買ってはダメです)。

オフは天然繊維では 生成りと言う場合が多いです。ですが 合成繊維でも天然繊維でも 布生地によっては、オフや生成りと言いながら 実際は染めていたり(アイボリー(象牙)色等)する場合も ありますので、注意が必要です。
(特に ご自身で染められる場合は 要注意です。必ず染めてないものをお選びください)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

制電加工 帯電防止加工 (antistatic finish)


制電加工とは 合成繊維は一般に静電気が起きやすいので(水分をほとんど含まないので 起こり易い。天然繊維も電気を通しませんが、水分(湿気)を含みやすいので 静電気が溜まらずに逃げていきます)、それを防ぐために 帯電防止の樹脂を布生地に付ける事を言います。

帯電防止加工とも言い、プリント下P下 プリント前の布生地)以外の合成繊維の布生地は 通常この加工がされてます。何度か洗濯すると 取れてしまいますが、今度は洗剤の残渣が 静電気を防ぐ役割をしてくれます。(残渣は ほんの少しで大丈夫です)

(P下に 帯電防止の樹脂をつけると(オフになります) プリント台にうまく付かなかったりします。逆にP下を通常の縫製工場へ持っていくと 静電気のために布がからみついたりして 作業に支障が出るときもあります)

ただ 冬場のようにあまり乾燥すると 帯電防止の樹脂や洗剤の残渣でも 水分が不足して、静電気を防げなくなるので 静電気防止スプレーなどをして 防ぎます。
(急場では 霧吹きで湿らせたり 軽く水気を振ったりでもいいと 思います)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。