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色が違って見える 演色性とは(color rendering property)


布生地の場合、色が違って見える時は 大きく次の2つの場合があります。

  1. 太陽光や蛍光灯など光源の違い(演色性 エンショクセイ)
  2. 染バッチが違う

2.の場合は 次を参照してください。
後から買いに行った布生地の色が微妙に違う

演色性とは、光源によって 同じ色でも微妙に違って見える事です。太陽光(自然光)の下で 同じ色に見えても、蛍光灯などの下では 違う色に見える現象です。弊生地屋は 自然光(北向きの窓)で 色合わせしてます。蛍光灯の下で 色合わせする会社も あるようです。

プロのアパレルの方でも、演色性のことをご存じなくて 「色が違う」と言う おしかりを受ける事が 稀にあります。演色性の事を 御説明してご納得いただきます。(弊店は北向き窓で 色合わせしてますと。自然光で色が合っていても、蛍光灯の光では 違ってみえる場合があります)

下記写真のように 同じ肉の写真でも 色が違って見えます。(写真は コニカミノルタさんのHPより拝借しています。演色性とは)

光源による演色性の違い

光源による演色性の違い

上の肉の写真、左が 演色性が一番高い(太陽光に一番近い)ので 一番美味しく自然に見えます。

  1. 左: 演色指数(Ra)の一番高い(Ra91)D50と言う蛍光灯
  2. 中: 昼白色蛍光灯(Ra79)
  3. 右: LED(Ra68)

(現在販売されているLEDは 技術が進んで もっと演色性は上がってます。Ra85程度とか、実際 昼白色の蛍光灯よりも 自然に見えます)

白熱電球は 演色指数が一番高く(ほとんどRa100 照度は暗いですが)、また 赤味に見えるので(赤黄色の暖色は 食欲をそそります。マックの看板が 赤と黄色なのは そのためです) レストラン等では 白熱電球を使う場合が多いです。

下記が太陽光のグラフです。縦軸は 上のグラフと同じように 相対値になってます。(グラフは 1.023world – ヤドカリパークとマリンアクアリウムさんの ブログより拝借してます)

太陽光(自然光)のスペクトル

太陽光(自然光)のスペクトル

太陽光の計算上のスペクトル

このグラフの形(スペクトル)と 蛍光灯やLEDのグラフの形の違いが 演色性の原因の一つです。LEDのスペクトルが 一番太陽光に近いのですが、480nm(ナノメートル)辺りの 相対値が 低すぎるためか、自然光からは程遠い色の見え方になってます。

他にも 人の目が感じる色の強さが 色によって違うのも要因の一つです。下記グラフのように 明るい所(点線のグラフ)では550nm辺りの緑色が最も強く感じます。(暗い所(実線のグラフ)では 500nm辺りの空色です。写真は シャープさんのHPより拝借しています)

暗い時と明るい時の比視感度

暗い時と明るい時の比視感度

暗い時と明るい時の比視感度

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

よろけ織とは オンジュレー(仏 ondule eは上に点がつきます)


よろけ織とは、オンジュレーとも言い、

  1. 特殊な筬(オサ)を使って 経糸を波状にしたもの
  2. 緯糸を波状にしたもの

で、波型の地模様が現れます。非常に珍しい織物(私も写真でしか 見たことがありません。通常は 経糸緯糸共 直線です)で、一般に平織が多いそうです。

下記が経糸をよろけさせた織物の例です。わかりにくいですが、経糸が波状になっている部分があります。
(写真は nunotech研究所様より 拝借しています)

経よろけ織(たてよろけ)

経よろけ織(たてよろけ)

経よろけ織(たてよろけ)

下記が緯糸をよろけさせた織物の例です。特殊な方法でやっているようですが、緯よろけ織の布生地としては このようなものだと 思われます。
(写真は 小林繊維株式会社様より拝借しています)

緯糸よろけ織(よこよろけ)

緯糸よろけ織(よこよろけ)

緯よろけ織(よこよろけ)

オンジュレーとは フランス語で「波形」の意味だそうです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

異型断面とは(イケイダンメン)


異型断面とは、糸では下記の写真のように シルク(絹)を真似て 合成繊維再生繊維で 糸の断面を丸でない断面にした繊維の総称です。
(下記写真は 丸安毛糸株式会社様より 拝借しています)

異型断面の例(左:シルク 右:レーヨン)

異型断面の例(左:シルク 右:レーヨン)

異型断面の例

丸でない形にする事によって(通常の合成繊維や再生繊維は 丸断面です)、下記のような特性が出てきます。

  • 絹のような光沢が出る(絹独特の光沢は 上記写真のような 不完全ながら三角形になっている為)
  • 合繊独特のぬめり感が軽減して ドライなタッチになる
  • 糸の表面に 上記右写真のように縦の溝をつけて、毛細管現象で水分を排出しやすくなる(速乾の布生地の中には これを利用しているものもある)

三又のような三角(例:東レシルック等 単に「異型断面」と言うと この三又のような三角断面を指すことが多いです)  星型 五角形等、いろいろな種類があります。最近は 下記写真のような精密な断面の糸も 作られるようになったみたいです。
テイジンさんのホームページより 拝借)

精密な形の異型断面

精密な形の異型断面

テイジンタコ足断面の軽量・多機能繊維

下記が 弊生地屋取り扱いの 異型断面繊維の布生地です。画像やリンク・クリックで 詳細がご覧になれます。

シワになりにくいサテン・クレープ

シワになりにくいサテン・クレープ

サテン・クレープ:MB8410

金属光沢の綺麗なシャンブレー・サテン

金属光沢のシャンブレー・サテン

シャンブレー・サテン:MB8400

手触りの良いシルデュー・デシン

手触りの良いシルデュー・デシン

手触りの良いシルデュー・デシン:MB2000

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

シャンブレー・シワ・ヘリンボン:MM1333

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

シャンブレー楊柳:MB9000

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

シャンブレー・シフォン・ジョーゼット:MB7506

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ダブル幅とは(W幅) シングル幅 ダブル巾 W巾 シングル巾 S巾


ダブル幅とは(W巾)、合繊織物の場合、現在では布幅140cm幅以上のものを言います。それ未満をシングル幅(S巾)と言いますが、112cm幅のものが多いです。

ただ 繊維(素材)がちがうと 呼び方も変わるようです。コットン(綿)ではシングル幅は92cm(ヤード幅 ヤール幅とも言います。1ヤード=91.44cm)のようです。ウール(毛)では ほとんど150cm幅以上のようです。
(ですので「ダブル幅とは」で検索すると いろいろな幅の答えが出てきます)

手芸店では 布生地を置く棚の長さの関係もあり、90cm幅の布生地が置かれている事が多いようです。

シングル幅では 身頃と袖や他のパーツを別々の長さで取らなければ ならない事が多く、用尺が余分に必要になります。ですが、ダブル幅では 身頃の長さの中で袖や他のパーツを取ることができて、取り効率が良くなります。

用尺が短くて済むのと(メータ単価は倍にはならない)、最近は体格が良くなってきていて 大きなサイズはシングル幅では 取りづらい場合もあるので、プロのアパレルさんは ダブル幅の指定が多いです。

ただプリント下(P下)は、プリント工場の設備がダブル幅に対応してない工場も多く シングル幅の布生地が主体になります。

幅はあくまでも公称で、その幅までパターンが取れますよ(端には いろいろな歪が残っているので 実際にギリギリまで取る場合は あまりありません)と言う意味です。実際には公称幅以上ある事が多いです。(数センチですが)

倍の長さでないのに ダブル幅と言うのは、いろいろ調べましたが よくわかりませんでした。身頃の長さの中で 袖等他のパーツも取れるので ダブル幅と言うのかも知れません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

転写捺染とは(テンシャナセン transfer style print) 転写 転写プリント


転写捺染とは、単に転写とか転写プリントとも言い 子供の遊びに使われる「写し絵」と同じ手法です。あらかじめ 図柄を紙に印刷しておき、布生地に重ねて圧力と熱を加えて 図柄を転写させる方法です。

多品種少量生産に向いているので 近年日本で盛んに行われるようになりました。インターネットでも オリジナル柄で衣装等のオーダーを受けるお店も増えてきているようです。
(インクジェット・プリンターで 図柄を印刷して使用)
よさこい屋オーダー

優れた点としては下記があります。

  • 多色で自由な柄が作れる(工業生産のプリントは色数等の制限項目が多い)
  • 水等を使わずに 廃水も発生発生しないので 環境に優しい
  • 簡単な小規模な設備で 捺染(ナセン プリント)可能
  • 少量でも比較的低コストで生産できる

短所としては下記があります。

  • 中量以上では コスト高になる
  • 深みのある濃い色は出にくい(表層だけで捺染するため)

主流は ポリエステル繊維の昇華転写捺染(乾式転写捺染)と呼ばれる方法で、ポリエステルを染める分散染料が移行昇華しやすい欠点を 逆手に取った捺染方法です。
(昇華とは 固体から液体を経ずに いきなり気体に変化する現象です。反対に気体から いきなり固体になる場合も昇華と言います)

親水性の天然繊維では 熱を乾式ではなく蒸気を用いた湿式転写捺染をします。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

手捺染とは(テナセン) ハンド ハンドプリント(hand screen printing) ハンドスクリーン(hand screen printing)


手捺染とは、ハンドとかハンド・プリントとも言い(スクリーンを用いたものは ハンド・スクリーンとも言う)、型紙 スクリーン ブロックなどに模様を彫刻し、手工芸的に布生地に捺染する方法の事です。

大きく分けて下記の4種類があります。

  • 型紙捺染(カタガミナセン):美濃紙(ミノガミ)に生渋(ナマシブ)を張り重ね、漆(ウルシ)などを塗布します。これに模様を彫刻して布生地の上に載せて捺染します。
    .
  • スクリーン捺染:木製または金属製の枠に 篩絹(フルイギヌ 現在は絹製ではないと思います)を張った枠型を使います。篩絹の網目の模様以外の部分を膠(ニカワ)やラックなどでふさぎ捺染します。
    (シルク・スクリーンと同様の方法)
    .
  • 摺り捺染(スリナセン):刷毛(ハケ)を使って 型紙の上から染料をすり込みます。ぼかしを出すときに使います。
    .
  • 絞り染め(シボリゾメ):防染剤(ボウセンザイ)を施した糸で、下絵に従って固く絞り これを染めます。そうすると 絞られたところが染まらず模様になります。

少量生産の場合は 機械捺染よりスクリーン捺染のような手捺染の方が コストが安くなります。多くのハンド・プリント工場は112cm巾(シングル巾)の設備しか持っていない所が多く ダブル巾P下生地が一般的でない理由の一つです。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ソウコウとは(綜絖 heald ヘルド)


ソウコウとは(綜絖)、英語でヘルド(heald)と言い 織物織機で織るときに 経糸をつっておくものです。(下記写真の赤丸部分。この写真は アウベルクラフトさんより拝借してます)

ソウコウ(綜絖 ヘルド heald)

ソウコウ(綜絖 ヘルド heald)

アウベルクラフトさんは 上記手織り織機を14万円くらいで販売されてます)

大昔は 上記写真のように紐でできていましたが、鋼の針金→板状のヘルド(大別して2種類あり、板厚の薄いものと 厚いもの。厚いものは金属板を打ち抜いて作ります)と 進化してきてきました。

筬(オサ)に次いで 機屋(ハタヤ 織物製造業者 織布業者)の大切な道具です。織機の高速回転化に伴って 非常に速く消耗するようになりました。傷ができたり 曲がっていたりすると、経糸が切れたり 経筋(タテスジ)などの生地の欠点になります。

ジャガード織機では ソウコウは現在でも紐製で 福徳液などの強化液で強化して使います。ソウコウ自体をつっている外側の枠は ソウコウ枠(綜絖枠)と言います。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

オサとは(筬 reed)


オサとは()、下記写真のようなもので 織物を織るときに 経糸を通しておくものです。(2番目の写真。これらの写真は 日本竹筬技術保存研究会さんより 拝借してます)

筬の写真(上:金筬 下:竹筬)

筬の写真(上:金筬 下:竹筬)

筬の使われ方

筬の使われ方

大昔は竹筬を使用していたようですが、現在は工業生産する場合は金筬(カナオサ 金属製の筬)しかつかいません。
経編(タテアミ ニットの種類の1種)機の、導糸針を1列に並べて取り付けた板も 筬と言います)

昔は 金筬は機屋(ハタヤ 織物製造業者 織布業者)の財産と言われましたが(半永久的に使えた)、織機の高速回転化に伴って 消耗品となりました(筬が磨耗して傷がついたりして 使えなくなります)。

一つの羽(ハ 筬ではこの字を使います。英語でreed split/reed dent 通常鋼かステンレスです)の隙間に通常1~6本の経糸を通し、これによって織物の経糸密度がほぼ決まります。

(織縮み 染加工縮みなどで、筬密度x通し本数より実際の織物経密度は多くなります。「羽二重」は一つの隙間に2本糸を通す事から 名前がつきました。エアージェット・ルームでは 空気の拡散を少しでも防ぐために 突き出た窪みのある筬羽になってます)

この筬羽に傷がついたり 羽が曲がったりすると、経糸が切れたり 経筋(タテスジ)などの生地の欠点になります。

金筬は 金属製で上下(専門用語で「天地」と言いいます)が固定され 通常「鯨寸(クジラスン 約3.875cm)」間の羽数で密度を表わします。

織物の経緯(タテヨコ)の糸密度も 昔は鯨寸間の本数で表されていたようですが、海外規格のインチ(吋 inch 2.54cm)間の糸本数で 通常表わすようになりました。

金筬は 上下のバネで羽が挟まれており このバネの厚みとコイルの数で密度が決まります。このバネと羽を固定する方法には ハンダで固定する方法と樹脂で固定する方法があります。ハンダの方が耐久性があり 製造現場で傷んだ時に直しも効きますが、ハンダは製造時に熱をかけるために 精度が狂いやすい欠点があります。樹脂製のは現場直しが効きません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ケミカルウォッシュとは(chemical wash)


ケミカルウォッシュとは、ジーンズを人工的に中古風に加工する方法の一つで、塩素系の漂白剤を混ぜた洗剤で ムラになるように脱色する加工の事です。化学的にするので ケミカルと言います。

ストーン・ウォッシュの方法を併用して、ゴムボールや軽石などを一緒に入れると こすれて使い込んだような自然な感じに脱色できます。
(まだら模様になります。私も大昔 ジーンズを塩素系の漂白剤で 脱色しましたが、ただ洗濯機で回すだけでは 使い込んだ感じには脱色できませんでした)

1986年にイタリアのライフル社が世に送り出した、一世を風靡した加工方法です。2011年初め頃より人気再燃しているようです。

ただ 塩素系の漂白剤と 軽石等を使った加工は 布生地自体を傷めます。
(私は 個人的には好きになれません。ストーン・ウォッシュの項でも書きましたが、製品の寿命を縮める上に 有害な薬品を使ったりで環境負荷が高いです。塩素系の漂白剤は 布生地を傷めますので あまり頻繁に使わない方がいいです。

私の母がそうで、綺麗になったように見える(リンク先の最後を参照)ので 頻繁に使い、よく下着や服が破れました(笑)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ストーンウォッシュとは(stone wash)


ストーンウォッシュとは、人工的に中古風に加工する方法の一つで、軽石 人工研磨石 セラミック等を入れて洗う加工方法です。ジーンズが有名ですが、ジャンパー 皮製品等にも使われます。

ジーンズでは、柔らかくなり とてもはき易くなります。また「アタリ」(擦りきれ)もできて ジーンズ特有の顔(表情)が出てきます。

元々は 河原の石を使っていたようですが その後人工研磨石が使われ(ストーン・ウォッシュの名前が定着)、軽くて機械に負荷の少ない軽石が使われるようになりました。今では セラミックやゴムボール(バイオ・ウォッシュに使用)も 使われるようになってます。

軽石には 大 中 小と大きさがあり、人工研磨石には 三角形 四角形 星型 球形などの形があります。使っていく内に だんだん小さくなるので、一定時間稼動させると ふるいにかけて 小さくなったものは除いて 新しい石を補給するそうです。

新しい石には 尖った部分もあるので、一度空回しして 丸みをつけるそうです。

ですが、下記のような いろいろな問題もあります。

  • ポケット等の砂(石の屑)を 取り除いてやらなければならない。(たぶん 人手でポケット布を裏返して 出しているのだと思います)
  • 大量に発生する砂をどう処理するのか(ケミカル・ウォッシュの場合は 次亜塩素酸ソーダ等の薬品が入っているので よりやっかい)。
  • 頑丈な洗濯機(ワッシャー)が必要で 機械の傷み方も速い。
  • 同じ機械で 製品染めなどをすると、砂の残りや機械の中の傷で その製品に擦り切れやアタリが発生する。

(余談ですが、私個人的には 古着加工は好きではありません。確かにカッコいいかも知れませんが、製品の寿命を確実に縮めます。有害な薬品を使ったり、機械の損耗を速めたりと環境にも優しくありません)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。