投稿者「kijiya」のアーカイブ

織物(布生地)の表裏の見分け方


合成繊維(合繊)長繊維織物の場合は 下記のように見分けます。(コットンやウールでは 反対の場合もあります。歴史的に各布生地産地でやり方が違います。たぶん それぞれの布生地や機械にとって都合の良い法方が取られているでしょう)

  1. 両耳の2列に空いている針の穴が 上に凸の方が表
  2. 反物は 巻いてある内側が表
  3. 虫眼鏡等で拡大して 毛羽みたいな表面の毛が 比較して寝てない方が表

で 見分けます。

  1. は 最後の仕上げセットで、表を上にして 機械にかけるため
  2. は 使用面を保護するため
  3. は ローラーなどにかかるときに 表を上にしているため(ローラー面の方は 毛等が寝てしまう)

片表面だけしか 布生地の検査はしてないです。薄い生地の場合は 問題ありませんが(片面に欠点があれば 裏からでも見える)、透けにくい布生地の場合は注意しないと裏側だと 検査で見逃した欠点がある場合があります。

ですが 表裏の見分けがつかなければ、(支障がなければ)お好きな方をお使いになられて 問題ありません。(だだし その場合、一枚の洋服では 使う面を統一した方が無難です)

プロの縫製工場さんでも、平織りのように 表裏のない組織の場合、表裏を気にせずにパターン・カットする場合もあります。(勿論 使う面は統一しますが。わたしのような布生地のプロでも 表裏を見分けることは 困難です)

著名なデザイナーさんでも 作り手が思った面と反対を 面白いと表にされる事も多々あります。またバックサテン・アムンゼンや 下記の生地のように 最初から両面を使うことを想定する布生地もあります。(ですが この場合も矛盾するようですが 主使用面しか検査しません)

裏面も使えるストレッチ・サテン

裏面も使えるストレッチ・サテン クリックで詳細へ飛べます

ストレッチ・サテン:MB3000

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ポリエステルの二色染めとは? カチオン可染とは?


  • 通常ポリエステル繊維は 分散染料と言う染料で 130℃以上に温度を上げて(圧力を上げて) 染めます。
  • ですが、カチオン染料と言う染料でも染まる分子基を ポリエステルの中に入れることによって カチオン染料でも染められる繊維を作れます(カチオン可染糸)。
  • カチオン可染糸の中にも 100℃以下でも染まる 常圧カチオン可染糸(通常の大気圧では100℃以上に温度が上がらない)と、100℃以上でないと 綺麗な色に染まらない 通常のカチオン可染糸の二種類があります。
  • 常圧カチオン可染糸は 高価ですが、100℃以上に温度を上げると劣化しやすい 絹(シルク)などを混ぜた布生地に使われます。
  • ポリエステル100%で 二色に染め分ける場合は 通常のカチオン可染糸を用いますが、カチオン可染糸もポリエステルですので 分散染料で染まってしまいます。
  • ですので カチオン可染糸を濃い色(又は混ざった色)でしか 染めることができず、色の組合せに限界があります。
    通常のポリエステル糸:分散染料だけで染まる
    カチオン可染糸:分散染料とカチオン染料の両方で染まる
  • ポリエステル100%で シャンブレー(玉虫)やチェック ストライプに染め分ける場合は このカチオン可染糸を用います。
  • この場合 後染め二浴(2回染める)との記述も見受けられますが、現在では分散染料とカチオン染料を一緒に入れて 一浴で染めています。
  • 下記が ポリエステル100%で二色に染めた織物の例です。クリックで 布生地の詳細がご覧になれます。
金属光沢のシャンブレー・サテン

金属光沢のシャンブレー・サテン

シャンブレー・サテン:MB8400

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

シャンブレー・シワ・ヘリンボン:MM1333

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

シャンブレー楊柳:MB9000

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

シャンブレー・シフォン・ジョーゼット:MB7506

シャンブレーオジヤ:MS9410

カチオン染料には 色によっては200℃の温度(通常はこのような高温はかけませんが)で 変色してしまう成分もあります。弊生地屋のシャンブレー楊柳:MB9000は 200℃の高温でも 変色しにくい染料で染めてます。ですので200℃の温度で加工する事も可能です。

200℃でも変色しにくいシャンブレー楊柳
200℃でも変色しにくいシャンブレー楊柳

シャンブレー楊柳:MB9000

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ブランドの布生地は売ってないの?


よく生地屋へお問合せがあるのですが、

  • アパレルさんのブランド(バーバリーとか ヒステリックミニ等)の布生地は アウトレット以外 まず世の中に売っていないと思います。(アウトレットでも バーバリー・チェックのような看板生地は 売らないのではと思います。ブランド価値が下がってしまいますから)
  • 生地屋はアウトレットでも 方針として売りません。
  • 生地問屋さんが持っている 生地ブランド(ジョン・カルドー等)の生地は 売っていると思いますが、一般消費者の方が思われるブランドの意味とは 違うと思います。
  • 弊生地屋もそうですが、ブランド又はデザイナーさん向けに作ったオリジナル生地は 他へは販売しません。(生地ソースを知られるだけでも とても嫌がります。類似商品が出回るのを恐れるからです)
  • 布生地は 洋服の大切な要素の1つですので、デザイナーさんは 大変な労力とコストをかけて オリジナル生地を作ります。
  • 著名デザイナーさんは 弊店が在庫している布生地を使う場合でも、色だけはオリジナルにします。(黒とか白とかの定番色以外)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

キャラクター(ミッキーやキティ等)柄の布生地ありませんか?


よく生地屋へお問合せがあるのですが、

  • ミッキーやアンパンマン等のキャラクター柄の布生地ありませんか?

まず 世の中にありません。ディズニーなどのそれぞれの キャラクターを所有している会社が版権を持ってます。それらの会社に無断で作る事は できませんし、当然類似していてもダメです。

布生地として 売っている事は、わたしは見たことがありませんし 考えにくいです。
(製品として売った方が 利幅が大きいですし、布生地で売れば 類似品が出回る事になってしまいます)

ですので 生地屋も販売してません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

衣装や洋服のカッコいいプリント又は柄の布生地ありませんか?


よく生地屋へお問合せがあるのですが、

  1. アパレル(企画製造元)さんが作った製品のプリント柄がカッコいいので 同じ柄か似たようなものがありませんか?
  2. 衣装を直したいのですが、同じ柄か似たような柄は?
  3. ブランド物の柄(例:バーバリー ヒステリックミニ等)の 柄と同じ生地は? ミッキーやキティなどの キャラクター柄は?

大変申しわけないのですが、世の中にまず ありません。1.と2.の場合 柄が勝負ですので、市販されているプリント布生地を使うことは ほとんどありません。

(絶対にないとは 言い切れませんが、生地屋に売っているような無難な柄では アパレルさんが付加価値を上げるような製品を作る事は、大変困難です。また もし沢山売れた時には、類似品が多数出回る事になります)

3.の場合も ブランドさんやキャラクター会社が版権を持っています。そこの承諾なしに 作る事はできません。もし 見つかれば当然 販売差し止めの警告、従わなければ損害賠償を訴えられます。類似していても ダメです。

アパレルさんは プリント問屋さんが提案する柄から、厳選して数量(通常数反から数十反)を決め発注します。
(プリント問屋さんは、プリント柄の版権を プリント柄企画会社から提案された膨大な柄の中から厳選して買っています。あの柄がいいからと 勝手に他社のを真似もできないのです)

プリント問屋さんは その数量だけ受注生産します。その柄を 他に販売することも 通常まずありません。柄は印象に残るので 他で売っていれば すぐにわかってしまいます。当然苦情も来て次の仕事を失う事になるからです。

(生地屋さんなどの)市販品で売っているものは 花柄とかアニマル柄など 版権のからみそうにない 無難な柄ばかりになってます。非常に多種多様(プリント物の定番中の定番と言われる 水玉だけでも 大きさや色の組合せは それこそ星の数ほどあります)で 気に入られた柄は その場で買っておかないと 一期一会になります。

弊店は ポリエステル(合成繊維)製の 無地生地のみの取り扱いになってます。詳しくは下記を参照してくださいませ。
プリント布生地(柄物)は 売ってないの?

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

織組織とは? 織物組織とは? 三原織組織とは(サンゲン オリソシキ)


織物は ニット(編物)などと違い、経糸(タテイト)と 緯糸(ヨコイト)を交差させて 生地(布)にしています。代表的なものに 下記の三原織組織(サンゲン オリソシキ)があります。

1.平織(plain)
2.綾織(アヤオリ ツイル 斜文織  twill)
3.サテン(朱子織 繻子織 シュスオリ  satin)

これ以外にも 上記の変化形 複合形など 無数に種類があります。(上記のリンクをクリックすると それぞれの織組織生地の 特長や用途が書いてあります)

コットン(綿)やウール(毛)、ポリエステルナイロンなどの合成繊維キュプラベンベルグ)などの再生繊維など 全ての素材(糸の種類)で 全ての織組織は存在しえます。

糸の交差させぐあいを表すのに 下記のような織組織図と言うものを用います。

織組織図
実際の糸の絡み方

平織りの組織図

平織

平織りの糸の絡み方

平織りの糸の絡み方

織組織図で、黒い部分が 経糸(タテイト)が上(浮き)になっている部分、白い部分が下になっている部分です。

 

三原織組織の代表的な織組織図は 下記のようになります。

三原織組織
黒い部分が 経糸(タテイト)が上(浮き)になっている部分、白い部分が下になっている部分です。
平織りの組織図

平織

2/1ツイル(綾織)

2/1ツイル

2/2ツイル(綾織)

2/2ツイル

5枚サテン(朱子)

5枚サテン

8枚サテン(朱子)

8枚サテン

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ドレープ性とは?


衣類や掛け布などを、優美にまとわせ ゆったりとしたひだを入れる事が出来る性質です。自然に出来る布のたるみが美しいひだを描きます。ジョーゼットデシン クレープなど強撚糸織物がでやすいです。ドレープ性が良いとスカートやドレスが 回った時に美しく開きます。

ドレープ性の良い生地は 落ち感も良好です。反対の意味は 「ハリ感のある生地」になります。

当店の生地は 撚糸が入った織物が多く、下記の商品を中心に ドレープ性は良好なものが 大変多いです。

1) サテン MB8410 サテン クレープ(147cm巾)
2) デシン MB2000 シルデュー デシン1(140cm巾)

3) 中肉素材 MB6100 二重織ジョーゼット(140cm巾)
4) 中肉素材 MB6120 チリメン ジョーゼット(112cm巾)

5) 薄地 MS7400 50Dシフォン ジョーゼット(147cm巾)
6) 薄地 MS7100 75Dシフォン ジョーゼット(147cm巾)

7) 薄地 MS7104 75Dシフォン ジョーゼット(112cm巾)
8) 薄地 MS7110 100Dシフォン ジョーゼット(112cm巾)

 

下記プロモーション・ビデオの冒頭で MB8410:サテンクレープを振り回して ドレープとはどう
言うものかを見せています。(綺麗に広がる様子がおわかりになられるかと)

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ジョーゼットとは?(georgette)


経(タテ)と緯(ヨコ)の糸に強撚糸(撚糸回数2,000T/m以上)を使用して粗く織った生地を 高熱をかけて練った織物です。多くは透けていてシャリ感があり春夏用の織物です。

ジョーゼットは薄い布生地でも中肉でも、シワになりにくく ドレープ性がいいので 綺麗なヒダになり、回ると綺麗に広がります。ですので ダンス衣装や優美なドレスなどにピッタリです。

(薄いジョーゼットは 縫いにくいです。でもコツをつかめば うまく縫えます。次のリンク先に 縫製のコツが書いてあります。 縫いにくい薄いジョーゼット縫製のコツ )

高級なジョーゼットは非常に柔らかく(絹と間違う程) 表面に微妙なシボが発現しています。これがジョーゼットの生命です。

シフォン・ジョーゼットの繊細なシボ

シフォン・ジョーゼットの繊細なシボ

シボの大きなものは縮緬(ちりめん)と呼ばれる生地ですが、それに対して高級なジョーゼット生地は 細かいシボが一様に立っています。このシボがジョーゼットのふくらみ感やドレープ感 ドライ感 手触りの良さの元になっています。

 

よく「シボなんかいらない、値段が安い方が良い」なんて言われると悲しくなります。例えば撚糸回数を落とす、正規のシボ立て工程をしないなど製造工程で手を抜けば シボのないプレーンなジョーゼットが安く出来上がります。

また コストを落とすために 極限まで糸密度を 荒くしたジョーゼットも見受けられます。このような生地は ちょっとしたことで伝線したり 糸が引っかかったりし易い(ミシンで縫うと ぐちゃぐちゃになり易い)です。

 

その点 弊店のジョーゼット群は 【 プロが長年使ってきた生地で 安心して 】使えます。

 

確かに洋服はデザインや柄 縫製の良し悪しの占める割合が高いかも知れませんが、素材である生地が安っぽければ決して良い洋服にはならないと思います。

日本を代表される世界的に超有名デザイナーのK女史は 頑固にシボ高のシフォン・ジョーゼットを使い続けておられます。

 

当店の代表的なジョーゼット織物には下記があります。(クリックで 参照できます)

薄地
繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

繊細で丈夫な50Dシフォン・ジョーゼット

50Dシフォン・ジョーゼット(147cm巾)

巾の広い75Dシフォン・ジョーゼット

巾の広い75Dシフォン・ジョーゼット

75Dシフォン・ジョーゼット(147cm巾)

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

シャンブレー・シフォンジョーゼット(112cm巾)

色数の多い75Dシフォン・ジョーゼット(112cm巾)

色数の多い75Dシフォン・ジョーゼット(112cm巾)

75Dシフォンジョーゼット(112cm巾)

中肉
色がとってもビビットな中肉二重織ジョーゼット

色がとってもビビットな中肉二重織ジョーゼット

二重織ジョーゼット(140cm巾)

色が深くて綺麗な縮緬ジョーゼット

色が深くて綺麗な縮緬ジョーゼット

縮緬ジョーゼット(112cm巾)

中肉:150D梨地ジョーゼット: MS6000(147cm巾)

もっと他のジョーゼットも見る

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シャンブレーとは?(玉虫とは イリデッセントとは)


通常は経糸と緯糸の色を変えた織物。または 色の違う糸を細かく配列した織物(細かいので一見無地生地に見える)。見る角度を変える事によって 2色(3色以上使っている場合は その色の数だけ、あまり細かいとそのいくつかの複合色)の濃淡に見えます。玉虫とも言います。

シャンブレー○○の生地と言っても、白色や黒色など 他の色を混ぜると 白や黒でなくなる色や、特定の色を出すため わざと同色に染めて シャンブレーになってない色もあります。それでも その生地を シャンブレー○○と呼びます。
長繊維のシャンブレー織物は欠点が出易く織こなすのには非常に技術とノウハウが要ります。

イリデッセント(iridesent)とは シャンブレーの英訳です。

 

シャンブレー生地の例として 弊店では次のような生地があります。クリックで各布生地の詳細が見れます。

金属光沢のシャンブレー・サテン

金属光沢のシャンブレー・サテン

シャンブレー・サテン:MB8400

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

綺麗なシャンブレー・シワヘリンボン

シャンブレー・シワ・ヘリンボン:MM1333

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

シャンブレー楊柳:MB9000

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

2色の濃淡が綺麗なシャンブレー・シフォンジョーゼット

シャンブレー・シフォン・ジョーゼット:MB7506

シャンブレーオジヤ:MS9410

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

梨地とは?(ナシジ crepe weave アムンゼン amunzen)


織物の組織の名前で 果物の梨のようなブツブツの表面感から「梨地」(なしじ)と言います。又は この織組織で織った織物の総称です。

ほとんど無数に織組織の種類はあり、代表的な620本x620本の織組織(当店の織物に採用)でも いろいろな組み合わせがあります。

 

アムンゼンは 元々ウールの変わり織の梨地織物(梨地の変化織組織)の事を 言っていたのですが、シボのある変わり織の梨地生地の総称になっているようです。また 梨地編(ニット)も アムンゼンと言うそうです。

 

近くで良く見ると 表面のブツブツはわかりますが、離れてみるとほとんど平滑に見えます。ですから 「平織」(ヒラオリ)と勘違いする人も多いです。

分野は全然ちがいますが、表面を硬くした 梨の表面のような「梨地メッキ」と言う金属メッキもあります。

 

生地の例: 150D梨地ジョーゼット

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。