ヤング率とは、初期引っ張り抵抗度です。最初引っ張る力に比例して伸び、力を緩めると 元の長さにバネのように戻ります(弾性変形 ダンセイヘンケイ)。ですが ある力の限界を超えると もう元の長さには 戻りません(塑性変形 ソセイヘンケイ)。この限界まで伸ばした時(弾性変形内)の抵抗率(「力/伸び」の比)を ヤング率とか弾性率、見かけヤング率などと言います。
大きいほど 堅いコシのある繊維と言う事になり、この値の大きいコットン(綿)や ポリエステルはコシや張りのある布生地になりますが、引裂き強度は弱くなります(もろい)。この値の低いナイロンなどは コシのないダラリとした感じになりますが、引裂き強度は増します。
(ナイロンがパラシュートに使われたり、アラミド繊維(ケブラー等)登場前の防弾チョッキ(バリスティック・ナイロン)などに使われたのは、強度もさることながら その強い引裂き強度の為です。強度的には ポリエステルの方が強いです)
ナイロンは結晶化度が ポリエステルに比べて低いので 低ヤング率となります。「ヤング」と言う名称は トマス・ヤング(Thomas Young)に由来します。
皆さんには あまり馴染みはないかも知れませんが、大変重要な物性値の1つで 繊維の物性表には必ず載っています。
この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。