家庭での染色は止められた方がいいです


よくYahoo知恵袋等で 質問があるのですが、布生地や糸は 素材(綿やポリエステル等)によって 全部染料が違います。綿や麻 レーヨン キュプラ(ベンベルグ)等(主成分がセルロースで同じ)、同じ染料で染まるものもありますが、染着差が出ます。なので 混紡等で混ざったものを 染めると、まだらになったりします。

必ず染料の対象素材を確かめてから、染めてください。綿や麻 レーヨン キュプラ等は 比較的染やすいと思います。綿とポリエステルの混紡でしたら、綿用とポリエステル用 2つの染料で染めないとダメです。

(別に綺麗に染められなくても いい場合は別ですが。染料の性質によっては、一度に染められず 染料ごとに2回に分けて染めないとダメな場合が多い)

ポリエステルは染まりにくく 鍋で煮て100℃の温度まで 上げる必要があります。それでも 深い濃色は難しいかも知れません(通常135℃まで高圧で温度を上げて 染めています)。また ポリエステルに限らず、布地によりも かなり大きな容量の鍋を使わないと 染ムラになりやすいです。

使った鍋は 染料の汚れがこびり着いて、物理的には 綺麗に洗えば使える筈ですが、心理的に料理等には使いたくなくなります。

元の色と 全然違う色に染めようと 脱色されても、綺麗に前の色が抜けるわけでもなく(ポリエステル等 脱色自体が ご家庭では難しい素材もあります)、前の色の影響が残ると 思われたらいいです。なので 例えば濃紺から綺麗なピンク色への染め替えは 不可能です。

また製品を染める場合は、素材表示は綿100%でも 縫い糸は大抵ポリエステル製で、染めるにはポリエステル用の染料が必要です。煮ると 芯地等の副資材がダメージを受けるかもしれませんし、プラスチックのボタン等が 汚染(染料の色が着く)される場合もあります。

クシャクシャになってクセがついた洋服等を、アイロンで綺麗にそろえるのも 結構大変です。

レーヨンはなぜ縮む?


レーヨン(ビスコース・レーヨン)は水洗いすると 縮みます。糸が膨潤(水分を吸って太くなる)して、糸と糸の間隔が詰まり 縮むようです。

レーヨン素材の特徴

なので レーヨンを扱いなれたクリーニング業者に頼むか(慣れてないと ドライクリーニングで、汗等の水分系の汚れは とれない)、自宅で短時間(3-4分以内 レーヨンが縮みきる前に終わらせる)で手洗いし、30秒くらいの短時間脱水します。

半乾きの状態で 形を整え、縮んだ部分を引っ張って 干すといいようです。この場合 洗う前に 縦横と袖長さの寸法を 計っておくといいです。

ビンテージ加工の家庭でのやり方


工場での加工でなく 個人の方が、家庭等で洋服や布生地のビンテージ加工をするやり方です。用意する物は 下記です。

  1. メラミン・スポンジ
  2. 霧吹き
  3. 240番くらいのサンド・ペーパー
  4. 割り箸や木片(湾曲しているもの)
  5. 小石

色抜きする場合は、1.と2.を用いて 色抜きします。タワシで擦るより 生地にタメージをあまり与えずに できるようです。(勿論 多少のダメージはあります)

たわしはもう古い!ジーンズ・デニムスカートの色を簡単に抜く方法

物理的に 布生地にダメージを与えたい場合は、3. 4. を使って 下記のサイトに詳しくやり方が 書かれてます。

ジーパンをダメージ加工する方法

5.の小石は 小さな部分を 擦ったりして物理的にダメージを与えるのに使います。

合成繊維(ポリエステルやナイロン等)製のものは 丈夫過ぎるので ビンテージ加工には あまり向きません(物理的なら 240番よりもっと細かめのサンドペーパーなら できるでしょうが。色は繊維の中まで浸透しているので メラミン・スポンジでも無理でしょう)。レーヨンやベンベルグ等の 再生繊維は、ビンテージ加工が可能です。

また 同じ天然繊維でも シルクやベンベルグ裏地のようなフィラメントの長繊維は あまり向いていないと思います。

私個人的には ビンテージ加工は お奨めできません。製品や生地の寿命を縮めるからです。特に 物理的にダメージを与えるやり方は その部分の周辺の生地も 破れ易くなります。

金糸とは 銀糸とは


金糸とは(銀糸とは)、ポリエステル・フィルムに 金属を蒸着して細く裁断し 糸状にしたものです。 (蒸着されている金属は 通常金や銀ではありません。なので 管理が悪いと色があせます。金と違い 銀は元々錆びますが)

古代では 薄く延ばした金や銀を 細く切って、糸にしてたようです。古墳などから 発掘されてます。こちらは本物の 金と銀です。

和紙に薄い金箔(銀箔)を 漆で貼り付けて 細く切った金糸(銀糸)が、作られるようになり コストが安くなりかなり普及した。

1950年代に ポリエステル・フィルムに金属を蒸着する方法が出現して 大量生産が行われるように なりました。

 

防水加工の生地は染色できますか? 撥水加工の生地は染色できますか?


Q.防水加工の生地は 染色できますか? 撥水加工の生地は 染色できますか?

A.結論から書きますと、できません。「撥水」の場合は「防水」の部分を 撥水と読み替えてください。(空気を通さないゴム引きしたような 安物のカッパ以外の話しです)

  1. 防水加工をとらないと 綺麗に染色できません(ムラになる)が、通常 そのような布生地は 強固に防水加工されてます。簡単にとれません(染加工工場でも 困難と聞いてます)。
    .
  2. その素材(綿とか ポリエステルとか)専用の染料(綿なら反応染料か直接染料、ポリエステルなら分散染料)で 高温で染めないと、染色堅牢度は 低くなってしまいます。
    .
  3. 染色後 再度防水加工するには、クリーニング屋さん等で 防水加工(スプレー防水より 堅牢度は高くなる)しますが、元のような堅牢度のある防水性にするのは 困難です。

防水加工の上から アクリル等の顔料を塗れば、その色になるとは 思いますが、洗濯すると だんだんとれて行くと思います。本来の防水性(撥水性)も失われます。

PP加工(パーマネント・プレス)の耐久性や印刷の変色性は?


Q.PP加工パーマネント・プレス加工は御社でも行っていらっしゃいますでしょうか? 折り込みの耐久性や印刷した場合の変色は どうでしょうか?

A.大変申しわけございませんが、弊生地屋では やっておりません。耐久性は 熱可塑性合成繊維では ほぼ半永久的ですが、綿等の樹脂加工したものは 耐久性が劣ると思います。

(たぶん10回程度の洗濯ではOKだと思いますが、50以上回くらいやるとかなり劣化するかと)

通常100℃以上の温度をかけますので、染工場やプリント工場で使うような通常の染料でしたらOKだと思いますが、耐熱性の低い 顔料やフィルムを貼るような印刷でしたら 劣化や変色しやすいかも知れません。
(一概に言えません。印刷材料とプレス温度によって 違いますから)

オンスとは(デニム等で)


オンスとは、布生地の厚さを表わします。1平方ヤード当たりの重さ(オンス)です。大きいほど厚い布生地になります。

1オンス = 28.3g弱 1平方ヤード = 0.84m²(平方メートル)

通常のジーンズには14オンス辺りの布生地が使われているので、それ以下は 薄い生地になります。20オンスのようにヘビー・オンスと言われる 重く分厚い生地を使ったものも あるそうです。10オンス以下は 薄い部類になり、ライト・オンスと言って 軽く薄い夏用デニムになります。

一般に布生地の厚さは ミリやミクロンで表すのではなく、目付けと言って 1m²(平方メートル)当たりのグラム数(例:120g/m²)や、デニムのように 表わします。

生地屋では デニムの取扱いは、大変申しわけございませんが ありません。

バーバリーのコートを直したい


Q.バーバリー 英国で買ったトレンチコートの衿を直したいのですが 似た生地はございますか。古いのですが 夫が好きなコートで直して使用したいとのことです。

A.バーバリーと 言いますと、たぶん綿のツイル生地(又は キャバジン)だと 思います。(稀にポリエステルの場合もあります。ついているタグの混率をごらんくださいませ)

バーバリーですと オイル・コーティングで 撥水加工がしてあり、水をはじくと思います。
(古いコートですと、もう撥水しないかも 知れませんが。クリーニング時に 撥水加工を指定してあると、はじきます)

今のコートの混率にあわせて ツイルで検索してみてくださいませ。
(例:「綿 ツイル 通販」とか 「ポリエステル ツイル 販売」。大変申しわけございませんが、弊店でツイルの取扱いは ございません)

撥水加工された生地は なかなか売ってないと思いますので、修復後 クリーニング屋さんで 撥水加工されるといいと思います。
(スプレーなどで 撥水性能を付加できますが、一時的で クリーニング屋さんの方が、オリジナルほどではありませんが 耐久性が高いです)

ただ コートやジャケットの修復は かなり技術が必要になります。専門の お直し屋(リフォーム)さんを 探された方が いいと思います。

リップルとは?(ripple) リップル加工とは(ripple finish)


1)リップルとは、布生地を部分的に強く縮ませて 凹凸を作ったものです。(リップルはさざ波の意味)

縞(ストライプ)状やチェック状のサッカー、シアサッカー、しじら織りと違い 丸やひょうたん等自由な形にする事が可能です。

リップル加工した布生地

リップル加工した布生地

(上記写真は 他サイトのものですが、一部しか使ってませんし 色合いも変えております。版元さん御容赦くださいませ)

リップル加工とは そのようにする加工方法の事です。綿やレーヨンなど セルロース系の布生地の場合は、強アルカリ性の苛性ソーダなどを付けて(プリントと同様の手法で付けます) その部分(しぼのある部分 上記写真の細かい凹凸のある部分)を強く縮ませて作ります。

肌に触れる面積が小さくなるので、ベトつきにくく 夏の洋服や寝具に良く使われます。

2)緯縞(ヨコシマ)状の隆起を出すニットの組織で、別名テレビ柄とも言います。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

バージン・ウールとは ヴァージン・ウールとは


2つの意味で使われているようです。

  1. まだ一度も毛を刈った事のない羊(子羊)から、初めて刈った羊毛
    .
  2. 再生ウール等を使ってない 新しい羊毛(通常 ウール・マークがつきます)

1.は 毛が細く柔らかいのて珍重されます。これを好んで使うデザイナーさんも いらっしゃるようです。当然 とても高価になります。(その羊の一生の内 一度しか取れませんから)

多くのお店では 2.の意味で使うことが 多いようです。通常売っている毛糸や 洋服は、当然バージン・ウールヴァージン・ウール)がほとんどです。

ちなみに バージン・ウール(ヴァージン・ウール)は和製英語のようです。トレーナーと同じく 外国人には通じません。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。