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エンボス加工とは(embossing finish)


エンボス加工とは、熱可塑性(熱すると柔らかくなる性質)の織物などの布生地に 型のついたローラー等で熱をかけて 凹凸の押型模様をつける加工です。

ローラーの大きさの制約上 小さい柄や経トライプの模様が多いです。

楊柳などで 経シワの形状を一様にするために(通常は両耳端近くの 経シワが強くなり、真ん中は平坦になりやすい)、リラックスと言う楊柳シボを立てる工程の前に行う事もあります。

(エンボスで シワの型押をつけておくと 一様になりやすい。染工場によって 型が違う事が多く、同じ生機を加工しても 楊柳の形状は同じにならない事もあります)

エンボスをしない楊柳シボは やや不均一で自然な感じで仕上がります(ナチュラル楊柳。ただし 経糸に比べて緯糸の撚糸力を十分に強く織物設計しないと 不均一になりやすい)。

下記はその布生地の一例です。写真クリックで この布生地の詳細をご覧になれます。

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

玉虫の綺麗なシャンブレー楊柳

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

クリアカット仕上げとは(clearcut finish) ドライ・フィニッシュとは(dry finish)


クリアカット仕上げとは、表面の毛羽(ケバ)を 焼いたりカットしたりして 綺麗にする仕上げ方法です。ドライ・フィニッシュとも言われ、主に薄めの梳毛織物のように元々毛羽の多い布生地を 春夏向きにするために用いられます。

ポーラトロピカルクレープジョーゼットなどの薄めの梳毛織物に用いられ、本来秋冬素材である梳毛織物の用途を拡げています。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

ヒートセットとは (heat setting)


ヒートセットとは、合成繊維など熱可塑性(ネツカソセイ 熱をかけると柔らかくなる性質)繊維を 熱処理して形態や寸法安定性を保つようにする加工です。

繊維(紡糸段階) 糸(撚糸等) 布生地(染め工程) 製品のいずれの段階でも、行なう事は可能です。

布生地の場合は 主に下記の目的でヒートセットされます。

  1. 一定寸法への巾だし
  2. 洗濯などに対しての寸法安定性付与
  3. 布生地表面の平滑化

ヒートセットには 乾熱(温風)と湿熱(蒸気)の2種類があり、湿熱の方が熱容量が大きいので 同じ温度でも湿熱の方が効果が大きいです(50℃くらいの差があるそうです。湿熱130℃と同じヒートセットをしようとすると 乾熱では180℃くらいまで温度を上げないとダメだそうです)。

織布工程の前に 糸に中撚ボイル撚 800~1,500T/m程度)以上の撚りをかけた場合は、そのままでは 糸が巻いてしまって 製織困難なので、80℃の湿熱でヒートセットして 撚り止めします。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

工業的漂白とは (コウギョウテキ ヒョウハク bleaching)


漂白とは 染色工程で 繊維中に含まれる色素を除去して白くする事です。晒し(サラシ)とも言います。(家庭用漂白剤については 次をクリックしてください。家庭用漂白剤とは)

酸化する事によって色素を無効化したり(酸化漂白 通常塩素を用います)、逆に還元(酸化の反対)する事によって色素を無効化したり(還元漂白 通常亜硫酸を用います)します。

白色(自然な白色)に仕上げる場合と、下晒し(シタザラシ)と言って より鮮明な色に仕上げるために 染め前布生地をより白く漂白する場合があります。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シュライナー加工 (Schreiner finish)


シュライナー加工とは、コットン(綿)の布に約45度の角度で刻んだローラーを 高温高圧で当てて 絹のような光沢を与える加工方法です。シルキー加工の一つです。

ドイツのシュライナーの発明で、「擬絹つや出し加工」とも 言われます。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シルキー加工 (silky finish)


シルキー加工とは シルク(絹)以外の繊維を、シルクのような外観 風合いを持たせるための加工方法です。コットン(綿)では、シルケット加工マーセライズ加工とか シュライナー加工があり、合成繊維ポリエステルでは 減量加工(ゲンリョウカコウ)があります。

ポリエステルでは 糸の断面を花びらのような三角形(異型断面)にして、外観をシルクに似せてますが、減量加工で風合いがシルクよりも良くなります。暗いところで、減量加工されたポリエステル布生地と シルクのを両方触ると、多くの人がポリエステルの方が 手触りが良いと言うくらいです。

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

シルケット加工 (mercerization) マーセライズ加工 (mercerize finish) マーセリゼーション(mercerization)


シルケット加工とは(マーセライズ加工 マーセリゼーションとも言います) シルキー加工の一種で、綿糸または綿布に絹(シルク)のような光沢を持たせる加工方法です。

張力をかけながら 苛性ソーダ等でアルカリ処理をすると、綿糸や綿布に絹のような光沢を与えられます。同時に染色性も向上して 綺麗な色に染められるようになります。

(アルカリ濃厚液中で 綿の繊維が膨潤して円形に近くなり光沢が増します。張力がかかっているので 形状の安定が保たれ、綿の非晶領域が増加するので 染色性が向上します)

現在 綿や合繊綿混紡製品の織物の多くは、精練 漂白後にシルケット加工が行われています。

糸に処理をしてから織り上げると ソフトな手触りの高級な織物になります。これを「先シルケット」と言います。

フォーマル・ウエアなどで 光沢とビビットな色目が要求される時に 広く用いられます。逆にTシャツのように マットで自然な風合いが求められるカジュアル・ウエアなどの時は あまり用いられません。(一部ミセス シニア向けには 用いられる事もあります)

この記事は サテン生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

減量加工 (ゲンリョウカコウ) アルカリ減量加工


減量加工とは、合成繊維ポリエステルを、強いアルカリ液(苛性ソーダ等)で 繊維の表面を溶かして 風合い(手触り)を柔らかくする加工方法です。

絹織物で 表面のセリシンを溶かして フィブロインを残す加工を、精錬(練り)と言いますが それをポリエステルに応用した加工方法です。

この加工方法により ポリエステル織物の用途が大きく拡がり、強い撚り(ひねり)をかけた強撚糸織物の風合いが 非常に良くなりました。
(この加工方法が拡がる前は、硬いポリエステルの強撚糸を 柔らかいレーヨンなどと2本交互とかに配列して 手触りを柔らかくすると言う 苦肉の策もとられたと聞いたことがあります)

先染め 後染め (サキゾメ アトゾメ)


先染めとは 糸を染めてから織物に織る事です。後染めとは その反対で、織ってから布生地を染めます。

先染めは チェック(格子)やストライプ(経縞)に多く用いられます。自由に多色で作る事が可能で ギンガムや 有名なバーバリー・チェック等は この方法で作られてます。

ただ 作る前に柄や色を決定する必要があり 後から変更できないために、売れ行きを見ながら 調整すると言う事ができません。

後染めは 無地やプリント生地に使われます。ですが異種類の糸を組み合わせて作ることで 後染めでチェックやストライプを作る事も可能です。柄は先に決まってしまいますが、色は後から変更可能です。

ですが、あまり多色は難しく また他方の糸が汚染される場合も多いので 色の組合せは限界がある事が多いです。

(稀ですが、プリントでチェックやストライプを表現している場合もあります。この場合は 柄が糸目に沿ってないので 判別可能です)

例えば 下記のように組み合わせて 2種類以上の染料を使って 染め分けます。染め方は染料の性質によって1回で染められる場合( 1)は1回で染められます)と 2回以上に分けなければ ならない場合があります。
1)通常のポリエステル+カチオン可染ポリエステル
2)ポリエステル+コットン

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。

精練とは? (セイレン) 練りとは


元々は 絹(シルク)の織物などを お湯で煮て、表面のセリシンを落として 中のフィブロインだけにする工程の事を指してました。「練り」(ネリ)とも言います。
(セリシンを落とすと 絹独特の光沢が出て 絹鳴りと言う絹がこすれ合う音が出るようになります。この周波数は 人間に心地よい刺激を与えるようです)

今では 合成繊維の染め工場で、加工する前に 布生地(染め加工前は生機(キバタ)と言います)から 汚れや前工程で付けられた糊や油剤等の不純物などを除去する工程の事も指します。

(コットン(綿)の場合は 綿の葉カスや植物性夾雑物の除去も含みます。ウール(毛)の場合も夾雑物の除去が必要です)

北陸の一部上場染め加工会社の 「セーレン」や「小松精練」は 精練の字を 会社名にしています。(セーレンは 正確にはセイレンなのでしょうが、会社名はセーレンです)

精練工程にだずさわる人たちの手が とても綺麗だったことから、セリシンが肌に良いことがわかり、今ではセーレンなどが 化粧品として販売しています。

これを 合成繊維のポリエステルに応用したのが、減量加工です。

この記事は 布生地通販の生地屋店長の三浦宗之が書いています。